神樹のアンバーニオン (3) 絢爛! 思いの丈!

芋多可 石行

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発(掘)進(行)!超琥珀神艦!

案ずる内に

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 暗転中。


 589トンだってさぁ
 じゃあ一匹頭100トン近くかぁ?
 行くぞ!ほぃ!よいせぇ!!
 ···何処に置くって?
 アレだ!ゲルナイドのアレの向かいっかわでいいだろ?
 俺コイツに以前まえ小突かれたんだよな?仕返ししちゃおうかな?
 ありゃオメエが酔って暴れたのがコンポンの原因だろが!やめとけやめとけ、どっこらしょ!
 うおお!本当に立ちっぱでも倒れん!良いバランサーっぷりだなコイツぁ!
 好きだねぇ?




「うわっ!」
 夢うつつに、気のイイ兄ちゃん達の会話を聞いていた気がする宇留が目を覚ますと、ロボットアニメでよく見る簡易ドッグに佇む漆黒の琥珀巨人、NOI Zノイズがアンバーニオンを出迎えた。
 岩盤を抉るように掘削されたドッグのスペースには簡易的な仮設足場が組まれ、それはさながら、NOI Zのメンテナンス中といった様子だった。
 
「おはようウリュ、ちょっと埃っぽいけど外の空気は正常、出歩くのには、問題無いよ?」
「うん、ありがとう、でもひょっとしたらここがゴライゴおっちゃんの隠れ家?」
「多分。もう少し様子を見ようねぇ?」

 アンバーニオンは片膝を突いてその場にうずくまりながら周囲の様子を見た。
 膝の三日月型宝甲は程好くしなり、地面にしっかりと食い込む。
 高い壁面付きの照明は数が少ないのにも関わらず、やけにこのスペースは明るい。他には使用済みの梱包資材の山や、多少の機材が置いてあるだけの質素な部屋。
 目の前のNOI Zには意識の気配は無く、変わった事と言えば時折遠くで轟音や何かを砕き続ける音がする事、そして宇留とヒメナは、部屋に入る曲がり角から数体の怪獣の顔半分がこちらをじぃ~っと見つめている事に気が付いた。
 ビクッ「!」
 最初は驚いた二人だったが、その怪獣達の顔には何処と無くあどけない印象があり、すぐにまだ子供だと理解する。
 
「ほーら、あっち行ってなさい!」

「!」
 その声ひとつで怪獣の子供達の顔は一斉に曲がり角の向こうに引っ込む。
 角を曲がってやって来たのは一人の人間の少年。
 少年の足には大きな球体の靴が装備されており、よく磨かれた通路を滑るようにこちらへ向かって来る。

「アラワルくん!」
 
 その少年がNOI Zのオーナーである現だと確認した宇留達は、アンバーニオンの外へ飛び出した。
 閃光と共に外部への転送が完了し、宇留達の居る丁度そこへ来る現。
「うわっ!ちょっ!わ!」
「え?」
 
「「わああ!」」

 ボンバラボッシャーン!!
 
 いきなり目の前に出現した宇留達に驚き、自走靴のスピードを落とせなかった現が二人を巻き込んで梱包資材の山に突っ込んでしまった。
 怪獣の子供達は再び顔を曲がり角からピョコピョコと突き出し、プフフと現達を笑った。

「いててて···」
 段ボールや発泡スチロールに手を突き、キュボキュボ言わせながらどうにか立ち上がろうとする宇留と現。
「全く!つくづくお前というヤツは!」
「ごめんねゲルナイドアラワル?」
「!!!」
 現の目の前には、困った顔を向けるヒメナが入ったロルトノクの琥珀アンバー
 現は宇留の胸元に顔を埋め、押し倒したような格好で踠いていた。

「があっ!!」
 恥ずかしそうに梱包資材の山から立ち上がる現。続けて宇留も申し訳無さそうに立ち上がる。
「いやあゴメンゴメン、ハイコレ、お知らせと近くまでの案内ありがとう!」
「ぬ!、むう···」
 宇留はポケットから、NOI Zの一部である黒いクラゲ型ビットを取り出して現に手渡した。現はそれを一瞥して一瞬で認証を終えると、パッと頭上で手を離す。するとクラゲ型ビットはNOI Zの元へフワフワと飛び去り、融合して見えなくなった。
「ふぅ、まぁいい!遠い所ゴクロウサマデシタ····と。話しをする前に、あっちの部屋で少し休め!ん!」
「?」
 現は持参したセカンドバッグをズイ!と宇留に押し付ける。

 その中には、今現が装着している自走靴が一式入っていた。









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