神樹のアンバーニオン (3) 絢爛! 思いの丈!

芋多可 石行

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発(掘)進(行)!超琥珀神艦!

ハードスケジュール

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 夏休み。

 終業式後、近所のファミレスで開かれた二年B組アンバーニオン軍の夏季休暇中活動予定ミーティング&前期打ち上げ会は、磨瑠香のライバル?その○番目率いるヤンキー軍団乱入で一時騒然とした。
 だが、何故か同じタイミングで入店して来た国防隊イケオジ軍団の手腕により瞬時に鎮圧。予定より早く打ち上げ会が終わった事をいい事に宇留とヒメナは、二次会二次会と泣き縋る磨瑠香達の誘いを断腸の思いで断り家路を急ぐ。

 帰宅後ハチマキを額に締めた宇留は宿題の山を机の端に積み上げ、黙々と机に向かう。
 ディナー兼夜食のネギ塩昆布天かすおにぎり+串カツを頬張り過ぎて喉を詰まらせ、水を求めて階段から転げ落ちるも、宝甲の力で無理矢理負傷を完治させ水を飲み、呆れる母、明日美を傍目に夜食と宿題の消化を再開、「ああ、ショートスリーパーで良かった~」という台詞を五回言った所で「疲れてるでしょ?」との判断からヒメナストップ。
 本日の須舞 宇留、営業終了は27時14分であった。




 それから日曜日を挟んで月曜日の昼前、琥珀の翼、バインダーウイングを広げたアンバーニオンは、嵐吹きすさぶ南洋上で、黒いマントに身を包んだ敵集団に襲われていた。
 目下でうねりを上げる高波の威圧感と気まぐれな暴風。
 いくら体高六十メートル近い琥珀の巨神といえど、時々機体を持って行かれそうになる。
 大自然の前ではいくら巨大ロボットといえど、木の葉の一枚に過ぎないと宇留は悟った。
 そんなアンバーニオンを、五方からタヒ神が急襲する。
「よっと!」

 カキィィィィン!

 アンバーニオンは瞬時に飛行高度を僅かに下げただけで、黒いタヒ神達の組み合った鎌をもう下から見上げている。
 すると、その五体のタヒ神の内一体のフードが翻って、琥珀色のロボットフェイスが覗いた。

〔···〕

「あ!、あなた、は?」
 ヒメナの問いにそのタヒ神が応える。

〔(次のガイドはこの下よ?アンバーニオン)〕
〔(さぁ墜ちたフリをしなさい?)〕

「!?」
 少なくとも、女性二人の声がそのタヒ神から聴こえた。
 そう思った瞬間。かちあった鎌の中心からほとばしった雷撃魔法は、アンバーニオンを容赦なく荒海という名の坩堝るつぼへと叩き込んだ。



 ドヴォオォ···ゴポポ···!

 海中も海上と同じく、曇り空のせいで薄暗かった。
 そして宇留達は、周囲の海水が黒く濁っているのに直ぐ気が付いた。
 だが、今の宇留とヒメナを満たす疑問は、先程のタヒ神の言葉の意味だった。

「さっきの···まさか、琥珀の魔女アンバーウィッチ···?」
「アンバーウィッチ?」
「彼女達は北欧に居るハズ···それがどうして···?」
「撃墜の演技に協力してくれるって事はやっぱり、ゴライゴおっちゃんの依頼関係の事かな?」
「う···ん、この辺りはどんな立場でもヤバいぞ?ってアピールしたいの?···でもコレ···?」
「?」

 二人がそんな考察をしている間に、海中を漂う墨の量は増えつつあった。
 アンバーニオンのセンサーは、まず海中を漂う墨の粘性をその見た目から解析する。機体が汚れる程のオイル的な粘り気は無さそうだ。問題はその効能、だがアンバーニオンが指で触診する前に、その墨はボンヤリと操玉コックピット内に染み込んで来た。
「!、ガスや液体じゃ、ない!効能を付与され、た幻影??ウリュ!」
「···ふ!くぅ···ヒ、ヒメナ?た、分、大···ジョブ···」
「ウリュ!」
 宇留はヒメナにそう告げるとカクンと堕ちた。続けてヒメナもウトウトし始める。
 その時、操玉コックピットに映ったもの。墨の揺らめきの向こう、かなり遠くに琥珀色の宮殿?らしきものが一瞬見えた。
「?、ウ···リュ?そ、そうなら···いいけ、ど」
「······」
 力が抜け、眠りについた二人は、操玉コックピットの中で少しだけ浮かび上がる。

 すると、動かなくなったアンバーニオンの足下を染め尽くす一段と濃い墨の層の中から、先日バドキャプタン ジニカを倒した琥珀の怪獣【女神柱】がヌッと顔を出した。

 女神柱は、頭部口角に備わった両牙を開き、アンバーニオンの腹部を優しく挟み込む。
 そして巣に持ち帰るかのように、アンバーニオンを連れて、再び墨の中へと沈降していった。

















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