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発(掘)進(行)!超琥珀神艦!
フローラル マナクレス
しおりを挟む〔···ゲートシードデバイス設置機体、目標ポイント到達まで45秒、各機ゲート侵入及び降下準備、ゲートを通過後準備出来次第、直下へ最大全速、降下後は予定通り、軸泉市に潜伏中のゴライゴ中枢活動体を拘束、余力があれば、例の遺構サンプルを確認、回収の後、洋上待機中のクロヴァウタンに帰投する〕
陽陸沖 超高空 衛星軌道上。
黎明めいたその空間を飛んでいた三角形の飛行物体、アクプタンは、ブーメランのようにクルクルと回転飛行を始めた。
そしてアクプタンから溢れるように現れた白い蒸気は、やがて回転するアクプタンとは逆方向に回転しながら入れ替わり、純白と鋼色がマーブル状に混ざり合う異空間からの扉、キネイニウム空間ゲートが開く。
そのゲートから蜂のように飛び出して来た四機の戦闘ロボット。
アルオスゴロノ帝国 エグルタイプ降下装備 エグルレイダー 速攻制圧用強襲型。
戦闘中の随時換装機能がオミットされ、またサイズも半分以下ではあるが、アルオスゴロノ帝国のロボット兵器、エグルドーゴの系譜に属するやや小型のマシンである。
引き算された機体の能力をチームワークで補うという戦法を用いるアノ帝国兵のチーム、ハナギン部隊の四人は、エグルレイダーの四枚の羽根をバシャッと展開し、軸泉市へ向かって降下を始めた。
上半身と下半身をコの字に折り畳んだエグルレイダーの背中で振動を始める羽根。その振動は装甲表面の極小構造に変化を与え、大気摩擦を軽減させる為のものである。
敵に動きを気取られる前に、目標ポイントへ即座に降下する為、機体下半身のブースターにも火が灯った。
ヴーンという振動はコックピットにも伝わり、男性のみで構成されたハナギン部隊メンバーの緊張を程好く緩和している。
「やれやれ、おじいちゃん、ようやく活動体でお出かけしてくれたよ?」
四番機のパイロット、ヌキンが大人の余裕を感じさせる口調で軽口を叩いた。
「ま、これで上手く行きゃあ、奴ら巨獣にただでさえデケェ顔させずに済むって訳だよなァ?」
二番機のパイロット、キィルが血気に逸る。
「油断するなァ、相手が相手だァ!俺達のォスピードにィ、モノォ言わせてやろォぜェ!」
三番機のパイロットのワクスが、まるでスポーツ競技の指示のように丁寧かつ大声で仲間を鼓舞した。
「みんないいか?そろそろブーストを掛ける!命預けたぜ!」
一番機のパイロット、カツタが熱血ぶりを披露する。
「よし···!」
四機を送り出したゲートの大元、キネイニウム採掘坑の何処かに停車した奇妙な形の特殊指揮車の中で、隊長であるハナギンは急降下の合図を待っていた。だが······
〔き、緊急!、隊長!二号機が!キィル機が撃墜!!〕
「なんだと!!何があった!!?」
現場のハナギン部隊メンバーによる報告は大いに沸き立っていた。レーダー、目視による観測では敵影は確認出来ず。残された各員は言いたい事を勝手に通信で述べ、そして既に急降下のベストタイミングは失われてしまっていた。
「馬鹿な!?狙撃だとでも言うのか!?」
〔三番機より報告ゥ!敵影確認ン!···な!ひ!人型兵器ッ!?隊長!未確認のロボット兵器!相手は未知の機械化部隊ですッ!!!〕
「なに!未知の···人型兵器?、機械化部隊だと!?推定によればだが、日本国の人型兵器ミーム解放はまだ先のハズだぞ!?一体ドコの···?」
〔ぐっ···なんだコイツの動きは!!し、瞬間移動?!?···ぐああっ!!······
LOST
「ヌキン!!···くそっ!離脱しろ二人共!急げッ!」
〔ッッゴゴン!!ザッ!ぅおおおおっ!つ!強いぃ!······フッ
LOST
LOST
「な!なんだ!何が起きている!?」
ハナギンが気付いた時にはもう、四機全てのエグルレイダーは全て撃墜されてしまっていた。
だがその時、真っ赤になった一号機のパラメーターの音声波形が、パイロットであるカツタの声を辛うじて拾った。
〔う···ザッ!!ううう···た、隊長···〕
「!、どうしたカツタ!!状況を報告しろ!!」
〔う···た、隊長···ま、誠に申し訳ございません···急襲部隊の要である···我々が···やは···り人生、表か裏か(?)···中々···わからんもんです···たイチョ?···もし、俺が戻らなければ···拠点に置いてある···の愛車を···頼みます···〕
「しっかりしろカツタ!!諦めるな!」
〔鍵は···いつもの所に···隠して、あり···〕
「カツタァ!!!」
カツタを案ずるハナギンの叫び。
〔す···あ、あとですね?、えっと···〕
「イヤ!カツタお前ホントは元気だろ?!」
·
·
·
「······」
背面飛行で飛ぶガルンシュタエン ティアザは、超高空で行われたその戦闘の行方を目で追っていた。
ハナギン部隊を討ち取った人型兵器の部隊らしき影はもう何処にも無い。
そして呆気なく去った軸泉市の脅威に興が逸れたのか、そのまま機体を翻し、通常飛行へ戻る。
実は今までに【何度】か、軸泉を攻略しようとしていたエシュタガにとって、今の立場で眺めるその光景は、なんとも複雑なものだった。
そんな事があったのを知ってか知らずか。アンバーニオンとゼレクトロン、そしてガルンシュタエン ティアザの三機は、衣懐学園の生徒達を乗せた旅客機を遠くから守りながら、関東地方へ向けて南下していた。
「嗚呼、なんてこった···とっくに宇留にバレバレだったのかよう···」
ゼレクトロンを操る藍罠 ヨキトは両手で顔を覆いながら、中学生の宇留にとって謎のゼレクトロンパイロットを気取ろうとしていた事を深く、深く後悔していた。
(す、すいません、なんか···)
「いやいや、宇留くんは悪くないよ?いや、むしろ俺達は宝甲で繋がってるってのになんでバレないと思ってたのかが、そっちの方がどうも不思議なんだからさ」
顔を覆う藍罠の拳に装備された琥珀の籠手、ナキルの琥珀。
その中に居る小人モードの美少年、マーベラス強山こと、椎山 伊佐久が、謝る宇留をフォローする。
(いやぁ、でもお二人がゼレ先輩の操珀になってくれるなんて頼もしいですよ!改めて、よろしくお願いしますね!)
「うぅ、優しいな?宇留は···!」
顔から両手を離した藍罠の顔は、マンガキャラのようにしょんぼり顔だった。
宝甲を通して、繋がる···か···?
なるほど、華やかな手錠だ···
もしそれが本当になら···
ガルンシュタエン ティアザを操るエシュタガは、遠い南洋の水底に思いを寄せる。
もしそれが本当なら、
巨獣達は今、あの場所で中々面白そうな事をしているな?
エシュタガとガルンはここ暫く、引き摺られるかのような強いシンパシーを、その方向から強く感じていた。
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