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発(掘)進(行)!超琥珀神艦!

世間話

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「ぁれま!じゃあゴラさんは、怪獣の中でも随分な偉いさんてトコなんだねぇ?しっかしエリートの怪獣とも知り合いなんて!さすが護森さんだァ!」

 ゴライゴは護森に紹介された宇留の祖父、頼一郎ともう馴染んでいた。

 須舞家は三世代揃って良くも悪くも変り者一家である。
 親子孫夫婦共々アニメ好きのマンガ好きのエンタメ好き。比較的安全で条件が良いと分かれば、まだ中学生の宇留が巨大ロボットに乗ってヒーロー活動をする事もこれといって特にいとわず、家族総出でサポートしているのがいい証拠だった。そしてその許容力は、怪獣の顔が付いた島のような存在である巨大なゴライゴに対しても遺憾なく発揮されている。

「あいや頼一郎イイチロ!エリートエリートと言うてもな?ワシャはタカダカイチグループ仕切っとるダケなんよ?ワシより強い奴ァもっとおるでの?あいつとかアヤツとかキャツとかあのヤロウとかくのヤロウとかあのオカタとかあのコとか奴らとか···そいつらはたまたま人前に出んだけで?」

「っハハッ!ほぉイヤーこりゃまた!私も孫が巨大ロボに乗るだけでも鼻が高いのに、こんな御仁とお話が出来るとは中々頼もしい限りですよ!何だっけ巨大ロボ?アンヴァヴァヴァンバ?アババン?アンバババーン···?ん?」
「須舞さん!、人目があります。宇留くんもきっと須舞さんに手を振るのを我慢してますから」
「!、おっと!」
 頼一郎、護森、パニぃ、ゴライゴは揃って背後に立つアンバーニオンに視線を送る。パイロットスーツに琥珀のヘルメットを被った宇留は遠目にも正体が判別出来ず、宇留も日頃行う情報統制を強く意識してか特にオーバーなリアクションをしていない。そして護森は何故か、珍しく額に脂汗を浮かべている。
「護森さん!これはこれは失礼スンズレイしました!そうでした!秘密スッパイでしたねぇ?」
「?」

「まぁ、よかろうよかろう夏雪ナツ!、近い将来、どうせそんな悪目立ち隠しをする余裕もなくなるぞい?だが心配ならいらん!ジィジが三匹も寄れば孫達も安泰じゃて!のう?!さて!えっとどこまで話したっけかの?アキサ代々殿?」

「!、はい」
 晶叉は護森達より一度一歩引いて話を聞いていたが、今一度前再びに出て返事をした。

「、という訳でワシはともかくとして、アルオスゴロノ帝国に打って出る我が群れの総意としては、だいたい一部を除いて基本的に【共闘関係は】ナシ。まあこれまでもこれからも色々あったしあるだろうし···しかし同時に人間側には我が群れの巨獣モンは攻撃はせん。そちらも出来れば【間違えんで】くれると助かる!後回しになって悪いが、我が群れ特有の識別電磁波の情報も共有しよう!」

「ゴライゴ殿!···ご配慮ありがとうございます!では情報通り、あの映像の巨大生物兵器、ベデヘムズと呼ばれるもの達が今回の敵の主戦力という事ですね?」

「···アレを巨獣と呼んでよいものか···?」


「?」
 ゴライゴは少々目を伏せ、一瞬悲しそうな表情になった。



「···しかしゴラさん、こんな大事な話ここいらでして良いんだろうかね?」
 頼一郎は先程護森に窘められた影響か、周囲をキョロキョロと見渡しながら港に集う市井しせいの人々の熱い視線を感じているようだった。

「うんにゃ!頼一郎イイチロ軸泉ここだからイイんじゃよ!軸泉ここは強く護られておる!だから軸泉ここを選んで来てわざとこんなデカい声を出しとるんじゃ!アンバーニオンが再び目覚めてからは特に大きくなり続けておるでのゥ?ソコんとこは、ウ···!おっと!ソコんとこは宇留コハクボーイに感謝せんとな?今だってワシの護衛のつもりで即応出来るよう、ソコに突っ立っておるじゃろ?イイ子じゃてほんに!」

 ゴライゴのその言葉に、護森達や市民達もしみじみとした視線をアンバーニオンに送る。


「···しかしゴライゴ殿、あなた方もアノ帝国に打って出る以上、お仲間の安全は如何なさるおつもりですか?風の噂によると、あなたはお仲間の為にアノ帝国に帰順したと伝えられておりますが?」

「···ほう、アキサ殿···隅の一匹の我が同胞まで心を配ってくれるか、さすが調和の国の守り人かな。···うむ、それはダイジョブじゃ!実はこの度この身体、と言ってもこの【巨体のみ】ではあるが、とある協定により超過生存遺産に認められてな?その作業の為に戦わぬ者を側役で雇う事にした」

「とある協定?···では、その認定が有ればある程度あなた方は協定で守られると?」

「そう!詳細は省くが、そうなればたとえアルオスゴロノ帝国といえどおいそれと【この巨体】と戦わぬ者に手は出せんハズじゃし、今若いモンに任せとる“仕事„が完遂すれば、ワシの仕事も今よりスムーズに進むでな?···アキサ殿、コティアーシュも今そこでガンバっとる···!」

「!」

 マーティア···コティアーシュが!?



「それでの?アンバーニオン」

「?!」
 アンバーニオンは、いきなり話を振られてビクッとした宇留の動きに連動して、ピシッと背筋が伸びた。



「来週あたりからでよいのじゃが、少し手伝って欲しくての?」



















 
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