139 / 201
発(掘)進(行)!超琥珀神艦!
世間話
しおりを挟む「ぁれま!じゃあゴラさんは、怪獣の中でも随分な偉いさんてトコなんだねぇ?しっかしエリートの怪獣とも知り合いなんて!さすが護森さんだァ!」
ゴライゴは護森に紹介された宇留の祖父、頼一郎ともう馴染んでいた。
須舞家は三世代揃って良くも悪くも変り者一家である。
親子孫夫婦共々アニメ好きのマンガ好きのエンタメ好き。比較的安全で条件が良いと分かれば、まだ中学生の宇留が巨大ロボットに乗ってヒーロー活動をする事もこれといって特に厭わず、家族総出でサポートしているのがいい証拠だった。そしてその許容力は、怪獣の顔が付いた島のような存在である巨大なゴライゴに対しても遺憾なく発揮されている。
「あいや頼一郎!エリートエリートと言うてもな?ワシャはタカダカイチグループ仕切っとるダケなんよ?ワシより強い奴ァもっとおるでの?あいつとかアヤツとかキャツとかあのヤロウとかくのヤロウとかあのオカタとかあのコとか奴らとか···そいつらはたまたま人前に出んだけで?」
「っハハッ!ほぉイヤーこりゃまた!私も孫が巨大ロボに乗るだけでも鼻が高いのに、こんな御仁とお話が出来るとは中々頼もしい限りですよ!何だっけ巨大ロボ?アンヴァヴァヴァンバ?アババン?アンバババーン···?ん?」
「須舞さん!、人目があります。宇留くんもきっと須舞さんに手を振るのを我慢してますから」
「!、おっと!」
頼一郎、護森、パニぃ、ゴライゴは揃って背後に立つアンバーニオンに視線を送る。パイロットスーツに琥珀のヘルメットを被った宇留は遠目にも正体が判別出来ず、宇留も日頃行う情報統制を強く意識してか特にオーバーなリアクションをしていない。そして護森は何故か、珍しく額に脂汗を浮かべている。
「護森さん!これはこれは失礼しました!そうでした!秘密スッパイでしたねぇ?」
「?」
「まぁ、よかろうよかろう夏雪!、近い将来、どうせそんな悪目立ち隠しをする余裕もなくなるぞい?だが心配ならいらん!ジィジが三匹も寄れば孫達も安泰じゃて!のう?!さて!えっとどこまで話したっけかの?アキサ代々殿?」
「!、はい」
晶叉は護森達より一度一歩引いて話を聞いていたが、今一度前再びに出て返事をした。
「、という訳でワシはともかくとして、アルオスゴロノ帝国に打って出る我が群れの総意としては、だいたい一部を除いて基本的に【共闘関係は】ナシ。まあこれまでもこれからも色々あったしあるだろうし···しかし同時に人間側には我が群れの巨獣は攻撃はせん。そちらも出来れば【間違えんで】くれると助かる!後回しになって悪いが、我が群れ特有の識別電磁波の情報も共有しよう!」
「ゴライゴ殿!···ご配慮ありがとうございます!では情報通り、あの映像の巨大生物兵器、ベデヘムズと呼ばれるもの達が今回の敵の主戦力という事ですね?」
「···アレを巨獣と呼んでよいものか···?」
「?」
ゴライゴは少々目を伏せ、一瞬悲しそうな表情になった。
「···しかしゴラさん、こんな大事な話ここいらでして良いんだろうかね?」
頼一郎は先程護森に窘められた影響か、周囲をキョロキョロと見渡しながら港に集う市井の人々の熱い視線を感じているようだった。
「うんにゃ!頼一郎、軸泉だからイイんじゃよ!軸泉は強く護られておる!だから軸泉を選んで来てわざとこんなデカい声を出しとるんじゃ!アンバーニオンが再び目覚めてからは特に大きくなり続けておるでのゥ?ソコんとこは、ウ···!おっと!ソコんとこは宇留に感謝せんとな?今だってワシの護衛のつもりで即応出来るよう、ソコに突っ立っておるじゃろ?イイ子じゃてほんに!」
ゴライゴのその言葉に、護森達や市民達もしみじみとした視線をアンバーニオンに送る。
「···しかしゴライゴ殿、あなた方もアノ帝国に打って出る以上、お仲間の安全は如何なさるおつもりですか?風の噂によると、あなたはお仲間の為にアノ帝国に帰順したと伝えられておりますが?」
「···ほう、アキサ殿···隅の一匹の我が同胞まで心を配ってくれるか、さすが調和の国の守り人かな。···うむ、それはダイジョブじゃ!実はこの度この身体、と言ってもこの【巨体のみ】ではあるが、とある協定により超過生存遺産に認められてな?その作業の為に戦わぬ者を側役で雇う事にした」
「とある協定?···では、その認定が有ればある程度あなた方は協定で守られると?」
「そう!詳細は省くが、そうなればたとえアルオスゴロノ帝国といえどおいそれと【この巨体】と戦わぬ者に手は出せんハズじゃし、今若いモンに任せとる“仕事„が完遂すれば、ワシの仕事も今よりスムーズに進むでな?···アキサ殿、コティアーシュも今そこでガンバっとる···!」
「!」
マーティア···コティアーシュが!?
「それでの?アンバーニオン」
「?!」
アンバーニオンは、いきなり話を振られてビクッとした宇留の動きに連動して、ピシッと背筋が伸びた。
「来週あたりからでよいのじゃが、少し手伝って欲しくての?」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
「メジャー・インフラトン」序章1/ 7(太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!)
あおっち
SF
脈々と続く宇宙の無数の文明。その中でより高度に発展した高高度文明があった。その文明の流通、移動を支え光速を超えて遥か彼方の銀河や銀河内を瞬時に移動できるジャンプ技術。それを可能にしたジャンプ血清。
その血清は生体(人間)へのダメージをコントロールする血清、ワクチンなのだ。そのジャンプ血清をめぐり遥か大昔、大銀河戦争が起こり多くの高高度文明が滅びた。
その生き残りの文明が新たに見つけた地、ネイジェア星域。私達、天の川銀河の反対の宙域だった。そこで再び高高度文明が栄えたが、再びジャンプ血清供給に陰りが。天の川銀河レベルで再び紛争が勃発しかけていた。
そして紛争の火種は地球へ。
その地球では強大な軍事組織、中華帝国連邦、通称「AXIS」とそれに対抗する為、日本を中心とした加盟国軍組織「シーラス」が対峙していたのだ。
近未来の地球と太古から続くネイジェア星域皇国との交流、天然ジャンプ血清保持者の椎葉清らが居る日本と、高高度文明異星人(シーラス皇国)の末裔、マズル家のポーランド家族を描いたSF大河小説「メジャー・インフラトン」の前章譚、7部作。
第1部「太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!」。
ジャンプ血清は保持者の傷ついた体を異例のスピードで回復させた。また血清のオリジナル保持者(ゼロ・スターター)は、独自の能力を飛躍的に引き上げる事が出来たのだ。
第2次大戦時、無敵兵士と言われた舩坂弘氏をモデルに御舩大(ミフネヒロシ)の無敵ふりと、近代世界のジャンプ血清保持者、椎葉きよし(通称:お子ちゃまきよし)の現在と過去。
ジャンプ血清の力、そして人類の未来をかけた壮大な戦いが、いま、始まる――。
彼らに関連する人々の生き様を、笑いと涙で送る物語。疲れたあなたに贈る微妙なSF物語です。
本格的な戦闘シーンもあり、面白い場面も増えます。
是非、ご覧あれ。
※加筆や修正が予告なしにあります。
底辺エンジニア、転生したら敵国側だった上に隠しボスのご令嬢にロックオンされる。~モブ×悪女のドール戦記~
阿澄飛鳥
SF
俺ことグレン・ハワードは転生者だ。
転生した先は俺がやっていたゲームの世界。
前世では機械エンジニアをやっていたので、こっちでも祝福の【情報解析】を駆使してゴーレムの技師をやっているモブである。
だがある日、工房に忍び込んできた女――セレスティアを問い詰めたところ、そいつはなんとゲームの隠しボスだった……!
そんなとき、街が魔獣に襲撃される。
迫りくる魔獣、吹き飛ばされるゴーレム、絶体絶命のとき、俺は何とかセレスティアを助けようとする。
だが、俺はセレスティアに誘われ、少女の形をした魔導兵器、ドール【ペルラネラ】に乗ってしまった。
平民で魔法の才能がない俺が乗ったところでドールは動くはずがない。
だが、予想に反して【ペルラネラ】は起動する。
隠しボスとモブ――縁のないはずの男女二人は精神を一つにして【ペルラネラ】での戦いに挑む。
神樹のアンバーニオン
芋多可 石行
SF
不登校から立ち直りつつある少年、須舞 宇留は、旅行で訪れた祖父の住む街で琥珀の中に眠る小人の少女、ヒメナと出会う。
彼女を狙う謎の勢力からヒメナを守る為に、太陽から飛来した全身琥珀の巨神、アンバーニオンの操縦者に選ばれた宇留の普通の日々は、非日常へと変わって行く···
今、少年の非日常が、琥珀色に輝き始める。

タイムワープ艦隊2024
山本 双六
SF
太平洋を横断する日本機動部隊。この日本があるのは、大東亜(太平洋)戦争に勝利したことである。そんな日本が勝った理由は、ある機動部隊が来たことであるらしい。人呼んで「神の機動部隊」である。
この世界では、太平洋戦争で日本が勝った世界戦で書いています。(毎回、太平洋戦争系が日本ばかり勝っ世界線ですいません)逆ファイナルカウントダウンと考えてもらえればいいかと思います。只今、続編も同時並行で書いています!お楽しみに!
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる