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絢爛!思いの丈!
プロジェクト·JIKUIZUMI the FINAL
しおりを挟む高台にあるサービスエリア。
林間学校帰りの衣懐学園一行が急遽立ち寄る事になったその憩いの場は、何故か異常な混雑ぶりを見せていた。
駐車場には続々と車が訪れ、数分後には満車になる勢いだ。
駐車場から休憩所に登る階段付近には人々が殺到し、下へ抉り込むように遠くの海を見下ろす風景から目が離せないでいる。
水平線手前の沖合い。巨大な島のような物体が海上を優雅に進み、軸泉湾方面に向かっている。
トイレや自販機コーナーに向かおうとしている生徒達も足を止め、その非日常な光景に見入っていた。
おっちゃん···?
見間違える筈が無い。
宇留は動く島のような巨大生物の正体が巨獣の長、ゴライゴだと認めた。
「護森さんの言ってた事はコレか!」
スマイ···!
「?!」
自分を呼ぶ声がして、宇留は周囲を見渡す。
(こっちだスマイ!)
「!」
休憩所施設の外、建物の角から、バスガイド姿のアッカさんが体を半分だけ覗かせて宇留を見ていた。
そしてその姿はスッと奥の方に引っ込む。宇留達はそれを追うように休憩所の裏へと進んだ。その間にもアッカからの想文が、普段のオッサンボイスで宇留に届く。
(見ての通りだスマイ、運んでやるからアンバーニオンに乗って軸泉港で準帝に会うんダ!なぁ二、戦うワケじゃない、ちょっとした顔合わせさ?学校のバスの方は心配するナ?今頃にはもう、本日の変わり身こと、パン屋がお前のコスプレをして堂々と座席で狸寝入りしてるって寸法ダ!)
「なるほどそういう···うん!わかった!」
宇留はそう呟きながら更に奥の角を曲がる。
すると、その建物の裏には既に琥珀の虎への変身を終えたアッカ。ソイガターが宇留達を待っていた。
「乗れッ!」
「おおっ!」
勇ましい掛け声と共に駆け出した宇留は、ソイガターが差し出した腕をステップにして下半身を跳ね上げると、軽やかに身を翻し背中に股がった。
「ヌオ!前より動けるようになったナ!行くぞ!」
宇留達をその背に乗せたソイガターは、言い終わるや否やジャンプでサービスエリアを囲む高いフェンスを飛び越え、裏手にある作業道路の中心を南に向かって走り出す。
そして風の中からまるで滲むように溢れた白いパイロットスーツは、宇留の体を這うように包み、最後に琥珀のヘルメットがカシャンと頭部を覆う。
宇留のパイロットスーツ装着を確認したソイガターは、更に加速してジャンプした。下方へとどんどん遠ざかる森の木立、そして高速道路。
高速道路の上を飛び越えたソイガターは、着地した先の林道を貫くように迅速に駆け抜けて行く。
「···ねぇウリュ?」
「?、どうしたの?ヒメナ?」
「···今のウリュなら詠唱なしでもアンバーニオンを喚べるかも?」
「ホォ!マジか?もうそこにまで至ったのカ?スマイ!」
ソイガターは凄まじい速度で地面を蹴り続けているが、その感心の言葉に荒ぶる呼吸の雰囲気は一切感じられなかった。
「そうか···う~ん、でもこういうのは気分だし!なるべく言おうかな?」
「オオ!さすがスマイ!そう来なくちゃナ!」
「ほら!行くよヒメナ!自分がもういらないなんて言わないで?」
「!、ウリュ···」
「ヨッシャ!ヒメニャ!オレも言うゾ!」
「よーし!みんなで!···ッはぁあああ!ウェラ!クノコハッ!ウヲ!」
「「ウェラ!クノコハ!ウヲ!」」
「「「アンバーニオンッ!!!」」」
三人の詠唱と共に、林道のコーナーから空中へと飛び上がったソイガターが光に包まれる。
その光は矢のように加速する。
矢は遠くの山合の上に現れた日中の星の的、アンバーニオンに向かって、輝く糸を夏の空気の中に真っ直ぐ描いていた。
今年もご覧頂きありがとうございました。
今回にて、林間学校編、及び2023年中の公開は終了となります。
来年初頭より最終決戦編前編、発(掘)進(行)!超琥珀神艦編がスタート予定です。
宜しくお願い致します。
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