神樹のアンバーニオン (3) 絢爛! 思いの丈!

芋多可 石行

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絢爛!思いの丈!

もっとも!ミステリアスファイル ②

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♪~(少し不気味なコント風のアンビエントBGM)


 怪ドローンを追っかけ回す恐るべきおねえさんを追う、我らが2のBアンバーニオン軍。
 果たしてその先に待ち受けるものとは···?



 どーも、2ーBのオカルトマニア、モットモくんです。
 なんか、成り行きでKIMODAMESIみたいになっている事に不気味な運命の采配力を感じつつ、僕達は古代の森ゴノモリリゾート周辺の探索に乗り出したんだ···。



「···居ないな~?ドコ行っちゃったんだろう?あのお姉さんヒト
 わんちィの姿を探して慎重に夜道を進むアンバーニオン軍一行の中で、五雄が定番の台詞を述べながら周囲を見渡す。

 やや涼しくも、夏の濃い湿度を湛える暗闇にビクビクしながら進む少年少女達の背後には、いつの間にかビクビクするフリをしながら彼らに付き添うバスガイドの女性、アッカさんの姿があった。
「やーコワイナコワイナ~?」

「そうですね···って!ヒィ!」
 ノリツッコミ気味に最初に気が付いたのは、マユミコ委員長だった。
「うわっ!」「ガイドさん!」「ビックリした!」
 口々に驚くアンバーニオン軍の面々にニヤリと笑顔を向けるアッカさん。
 そして最後に、マユミコ委員長に向けて意味ありげにウインクをすると、今自分がここに居る理由を話し出した。
「面白そうだね?KIMODAMESI?なんかワタシンの前をガヤガヤみんなが通って行くから何事かと思ってネ?」
「?」
 ?、家なんてあったっけ?
 それを聞いた宿里が怪訝な表情で顎に手を当てる。そして先程のウインクにノックアウトされた夢令は感極まっているのか、地震の前の猫のような表情で服の胸元をクシャリと握り締めていた。

「ガイドさん!実はァ···カクカクシカジカ···」
「?、フムフム!」
 マユミコ委員長が事情を説明する。
 アッカさんは少しわざとらしく、大袈裟気味にその説明を受け止めた。
「···成る程!そういうコトナラ!ここいらへんは昔からワタシの遊び場みたいナ所だからね~!この辺で大変な事があるってんナら!保護者とシテ色々サポートしてガイドしちゃうぞ!」
「わぁ!」「ありがとうございます!」
 そんな時、喜ぶ女子達に混じり、夢令がグイッと前に出てアッカさんの手を握った。そしてその声は精一杯のイケボで彩られている。
「?」
「いやぁ、ガイドさん!助かります!みんなの為に一緒に頑張りましょう!!ガイドさん!!」

    キラキラ···

 妙に大人しいと思ったらそういう事か···?
 
 全員が夢令の背中に呆れの視線を送っていると、再び何処かからドローンのモーター音が響いてきた。

 ブーン···

「あっ!!」「なんか来た!」

 やや重苦しい音に変わってはいたが、そのモーター音は先程のドローンと同じ物であると全員が認識した。
 だがその重苦しさの正体を知った彼らは愕然とした。
 ドローンは網に捕らえられているがそれにも関わらず、網の棒ごと捕獲者であるわんちィをぶら下げたままで飛行していた。
 ブーン···!
「ゥオウ!ノォウ!イッツァハイプァワァァー!」

「ヒッ!ヒィ!!」
 夜の闇のせいで、網にくるまれた小さい塊が、叫ぶ大きい塊をぶら下げているシルエットの怪物体だと勘違いしたマユミコ委員長が怯える。
 しかしアンバーニオン軍の前を通り過ぎた物体からわんちィが振り落とされ、わんちィはまるでマンガのキャラクターのように地面にうつぶせに突っ伏した。

 ドシャッ!
「ぐえっ!」
 
 機体を包む虫取網ごと飛んで行くドローンを見送るしかなかったアンバーニオン軍達だったが、最初にハッ!と正気に戻ったマユミコ委員長がわんちィに駆け寄る。
「···あっ!だ、大丈夫ですか?!」
「ぬ!おおお、オノレー···ドローン···?···?···!」
 ようやく頭を上げたわんちィは、ドローンへの怨み節を口にしながらアンバーニオン軍せいとたちの表情を次々と伺う。···そして一人だけニヤニヤと自分を見下しているアッカさんだけを二度見した。

「ん?んんん?」
 わんちィは足腰に力を込めて立ち上がると、ペンライトを点灯しながらアッカさんに詰め寄った。

「!?」
「ね?あなた?ドコかで?」
「さ、さぁ?ワタシはタダの通りすがりのバスガイドさんですよーだ。みんなのトモダチトモダチ!っくぁナ!ッって!眩しッッッ!」
 わんちィは、瞳孔の検査かと思う程ペンライトの先端をアッカさんの顔にほぼ密接させ、当のアッカさんはペンライトが眩しいのか、両目を交互に閉じてしかませる。
「···ぬぅぅん?あなた四年前のナンパ軍団壊滅事件の重要参考人の女に似てるんだよなぁ?」
「ぬへァ!キノセイキノセイ!」
「うーん、まぁいいか!」
 わんちィはアッカさんの瞳孔が猫目のように縦すぼみになっていたのを確認したが、ここはわざとスルーした。
 
「そうだ!お姉さん!友達が居なくなっちゃって!須舞 宇留っていうんですけど!俺達、みんなで探してるんです!」

「なにィーっ!それはいかん!」
 五雄が告げた事実にわんちィが劇的に反応した。
「んぬむむむ!行くか戻るか···?この先は道通り抜けるだけだしな···?よし!みんな!この道が切れる所まで見てから一回戻るか!?その間絶対にハグレないでね?いい?」



 何人かが威勢よくハイ!と応えていたけど···?なんだろう?この違和感。
 何の脈絡もなく現れた美人バスガイド。そして何か忘れているような?わざとらしいような?


 この時はまだ、本当にKIMODAMESIみたいな状況になっちゃう事を、俺達は、まだ想像していなかったんだ······


            最





 
 
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