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絢爛!思いの丈!
チョット·チョコット·チョイス
しおりを挟む端から見ても明らかに気配が変わったゴライゴのシルエット。
「エシュタガ!ジャミングネガティブ!」
「!」
ガルンの一声でゴライゴに向かおうとしたガルンシュタエン ティアザを、ゼレクトロンの中の藍罠が呼び止める。
〔まぁまぁ!待てって!〕
〔何故だ?!〕
エシュタガはガルンシュタエン ティアザを不服そうに振り返えらせた。
〔なんだか知らねーけど、今は宇留の正念場らしいじゃんか?モーちょい樹の上に立って見守ってやろーぜ?〕
〔藍罠?樹の側じゃなかったか?〕
〔あれ?ウエ?ソバ?どっちでしたっけ椎さん?〕
エシュタガはわざとらしく溜め息をついて呆れた。
〔はぁ···師でも姉でもどっちでもいい!問題なのはマネージャーがあいつらの戦いを邪魔した事だ!マネージャーめ!彼はなんだかんだ言ってムスアウだったのだ!相手の矜持が読めんのは相変わらずらしい!何に乗っているか知らんが、丁度ティアザのフルパワーを試したい思っていた所だしな?〕
〔待てって!〕
ガシッ!
そう告げて向き直るガルンシュタエン ティアザ。そして藍罠が声を掛けるのと、ツツジ色の巨人の腕がガルンシュタエン ティアザの肩を掴むのは同時だった。
〔離せっ!〕
ガルンシュタエン ティアザは腕を振り払った。
ゴガッ!
〔あいて!〕
〔あ!〕〔あ!〕
エシュタガはてっきりゼレクトロンがガルンシュタエン ティアザの肩を掴んだものと思っていた。
しかし肩を掴んだ者の正体はロウズレオウだった。
ガルンシュタエン ティアザの軽い裏拳を眉間に喰らい、額を押さえているロウズレオウを見たエシュタガ達と藍罠達は呆然としている。
〔あいててて!〕
〔共上さん?!それが噂のマタ···ロ、ロウズレオウっすか?···ちょあんた!なにやってんのー?〕
〔い、いきなり後ろに居る方が悪い!〕
エシュタガは若干口を尖らせて不満を述べる。
〔ふぅ!ダイジョブダイジョブ!まぁそんなに熱くならんと。もーちょっとだからねぇ?···で?代わりと言っちゃなんだがスパーリングがご希望ならロウズレオウが最初に相手してやろうかぁ?〕
〔ぬ!〕
ロウズレオウから響く共上の口調は大丈夫と笑っていたが、同時にイライラを隠す事もしていなかった。少々戦慄するエシュタガ。
〔ちょちょちょ!アナタガタまでエキサイトする事ないでしょ···!〕
場を冷まそうとした椎山だったが、椎山は藍罠の心拍数上昇を検知してギョッとした顔で相棒の表情を見た。
〔いいですねぇ!ゼレクトロンも混ぜてもらっていいですか?!〕
「おい!藍罠まで!」
〔よしいいぞ!···さぁ!お前らのスピードとパワー!堪能させてくれ!〕
ロウズレオウは前屈みに構えて二体を誘う。
〔さぁ!全力で来い!〕
〔上から目線で!〕
〔ハッハッハァ!〕
「おーい!あんたラァ!」
「あ?ゥん?モグ!」
ロウズレオウを追ってきた最終局面省専用中型旅客機の中で、ひたすらアーモンドチョコを口に放り込んでいたスフィの表情が歪む。
窓からスフィが見た光景は昔懐かしいケンカ描写だった。
海上、しかも空中であるにも関わらず、球状の土煙が膨れては弾け、時折その内部からゼレクトロン、ロウズレオウ、ガルンシュタエン ティアザの顔がヒョコヒョコと出入りし、周囲にはドラムセットを適当に乱打する騒音が響いている。
「古ッッッ!」
スフィは、三体のスパーリングがあまりにも超昔のアニメかマンガのケンカ表現ナイズされていた為、ストレートに感想を吐露する。そして三体の奥に見えるゴライゴのシルエットに目を向けると、何かを察して瞳を見開いた。
「マッタく、莫迦なアニキ達バッカりで良かったワね?」
ドゴォ!!
「「「!」」」
その時、ロウズレオウがゼレクトロンに、ゼレクトロンがガルンシュタエン ティアザに、ガルンシュタエン ティアザがロウズレオウのそれぞれ頬にジャンケンのような三竦みで拳を叩き込んで動きが止まる。
「「「アレぇ???」」」
ーーーーーーーーー
三体は失神するように機能停止に陥り、同時にボシャンと海へと落ちて海上に暫く浮かんでいた。
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