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復活!琥珀の闘神!
ふふふ···
しおりを挟む深夜。
首にタオルを掛けた風呂上がりの藍罠が、廊下の途中にある自販機でフルーツ牛乳を購入し飲んでいると、エントランスの外から声が聞こえて来た。
「な!なんだべ!あんたみたいなスゴいのが守ってるなんてえんずいよ!出でいぐまで、ぼく、ぼく、風景画三枚仕上げるまで帰らないがら!」
「あらそう?頑張ってね?ピーマン食べる?」
「ふん!間に合ってるよ」
最後の方、幼い少年の声は遠ざかって聞こえた。
「な?なんだ?」
藍罠は、必要以上照明で照らしていない廊下からエントランスの方に向けて顔を出す。すると扉の開く音がして女性職員が事務室まで戻って来た。
「!」
女性職員は藍罠の顔に気が付くと、声を掛けてくれた。
「あ!何でもないです!大丈夫ですから!どうぞお休みになって?」
長い黒髪を後ろで結び、メガネを装着し、ポロシャツにジーンズといった地味なコーデだったが、かなりの美人だという事が隠せていない。
女性職員はニコッと微笑み事務室に入って行った。
「すっげー美人!あんな人いたっけ?」
ピコン!
藍罠がボーッとしていると磨瑠香からメッセージがスマホに届く。
ピーマンが一つ無いんですけど!
「?」
藍罠がメッセージの意味を探っていると、体育館の方から声が聞こえて来た。
ブニャァゥォーーゥ!
酒焼けした猫のような不気味な鳴き声。
消える事務室の照明。
廊下の灯りが非常口灯の緑色に変わる。
藍罠はバタバタと宿直室に戻って行った。
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