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Episode5
調理する勇者
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手に入れた大量の食糧を持って拠点たる宿に戻る。すると埃くさかった部屋と廊下が綺麗に拭かれていて窓から入ってくる森の匂いが心地よく感じられるようになっていた。たった三人でここまで磨き上げられるものなのかと感心した。オレは掃除や洗濯など、日常生活に関することはまるでできない。
厨房に辿り着くとやはりそこも綺麗に磨かれていた。
中ではルージュたちが一仕事を終えてお茶を飲みながら休憩しているところだった。
(戻ったか、主よ)
(成果は如何でしたか?)
(上々だ。肉に野菜、果物が大量にとれた)
(わあ、料理のしがいがありますね)
ラスキャブは大量の食材を目にして珍しくテンションが上がっていた。すると解体したシージライノの肉をまとめていた袋から何か堅いものが二つ転がり落ちた。
これは…シージライノのツノか? はて? オレはこれを入れた覚えはないんだが。
既に頭部から切り離されているので血を吸われることはなかったが、素手で持つには少しが必要だった。
するとそれを見ていたアーコが何かを思い出したような声を出した。
(あ。それ俺が持ってきたんだよ)
オレからツノをひったくるように取ったアーコは稀有にもルージュと何か相談を持ち掛けていた。
(なあルージュ。ちょっといいか?)
(なんだ? 改まって)
(ちょっとコイツを見てくれよ)
(…ふむ。吸血性の器官が付いているツノか。差し詰め今仕留めてきた獣のツノだろうが…これがどうした?)
(俺とお前でちょいといじってさ、武器に仕上げられないか? 幼獣の方は短剣、成獣の方は槍にでもなるんじゃないか?)
(ほう)
そう興味深い声を出したのはオレだった。確かに魔獣の骨や皮を加工して武器防具として使う事は多いがシージライノのツノを使った武器なんて聞いた事がない。しかし改まって考えてみると武器に流用するのは理に適っている気がする。
(面白そうだ。相手の血を奪うことに特化している構造だからな。加工次第では強力な武器になるかもしれん。やってみるか)
(よし来た。ちょっくらやってみようぜ)
二人は集中したいと言って部屋を後にした。仲がいいのは良い事だとは思うが、あの二人の場合は少々不気味にも思える。そう感じていたのはオレばかりではなかったようで、残された三人も心配そうに二人の背を目線で追っていた。
けれどあの二人は元々気が合っていると常々感じてはいた事だ。目的がかみ合えば凄いコンビネーションを発揮するから、完成を心待ちにして保存食造りにでも精を出すことにしよう。
厨房に辿り着くとやはりそこも綺麗に磨かれていた。
中ではルージュたちが一仕事を終えてお茶を飲みながら休憩しているところだった。
(戻ったか、主よ)
(成果は如何でしたか?)
(上々だ。肉に野菜、果物が大量にとれた)
(わあ、料理のしがいがありますね)
ラスキャブは大量の食材を目にして珍しくテンションが上がっていた。すると解体したシージライノの肉をまとめていた袋から何か堅いものが二つ転がり落ちた。
これは…シージライノのツノか? はて? オレはこれを入れた覚えはないんだが。
既に頭部から切り離されているので血を吸われることはなかったが、素手で持つには少しが必要だった。
するとそれを見ていたアーコが何かを思い出したような声を出した。
(あ。それ俺が持ってきたんだよ)
オレからツノをひったくるように取ったアーコは稀有にもルージュと何か相談を持ち掛けていた。
(なあルージュ。ちょっといいか?)
(なんだ? 改まって)
(ちょっとコイツを見てくれよ)
(…ふむ。吸血性の器官が付いているツノか。差し詰め今仕留めてきた獣のツノだろうが…これがどうした?)
(俺とお前でちょいといじってさ、武器に仕上げられないか? 幼獣の方は短剣、成獣の方は槍にでもなるんじゃないか?)
(ほう)
そう興味深い声を出したのはオレだった。確かに魔獣の骨や皮を加工して武器防具として使う事は多いがシージライノのツノを使った武器なんて聞いた事がない。しかし改まって考えてみると武器に流用するのは理に適っている気がする。
(面白そうだ。相手の血を奪うことに特化している構造だからな。加工次第では強力な武器になるかもしれん。やってみるか)
(よし来た。ちょっくらやってみようぜ)
二人は集中したいと言って部屋を後にした。仲がいいのは良い事だとは思うが、あの二人の場合は少々不気味にも思える。そう感じていたのはオレばかりではなかったようで、残された三人も心配そうに二人の背を目線で追っていた。
けれどあの二人は元々気が合っていると常々感じてはいた事だ。目的がかみ合えば凄いコンビネーションを発揮するから、完成を心待ちにして保存食造りにでも精を出すことにしよう。
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