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Episode4
納得する勇者
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幸い、オレ達の事が見つかった訳ではない。今は全員が姿を変えているという優位性も保てている。最悪の場合、戦闘の混乱に乗じて逃げるという手も取れなくはない。オレは自分自身でも驚くほどに、ジェルデ達を見捨てる算段を頭の中に描いていた。
だがそんなオレの頭の中になお握りしめているルージュの声が聞こえてきた。
(少し待て。本当にアレは魔王なのか? 気配が妙だ)
「何?」
ルージュの声が頭の中にこだましたオレ達は再度、こっそりと魔王の様子を伺った。落ち着いてみてみれば、確かにルージュの言う通り、様子がおかしい。具体的に言えばかつて対峙した時に感じたまがまがしいほどのオーラが消え失せている。いや、それでも並みのパーティならば片手間で壊滅させられるほどの実力を秘めてはいるが。
しかし、全力の魔王を知っている身からすれば違和感以外の何者でもない。
「外見はそっくりだが本当に魔王か? プレッシャーが薄くて、中身がないような」
「もしかすると、ありゃ『デコイ』って奴かもしれねえな」
アーコが確信めいた口調で言った。オレは聞きなじみのない言葉だったから、何も考えずにおうむ返しに聞き返す。
「デコイ?」
「ああ。簡単に言えば魔法で作った人形だ。本来なら身代わりとして使う魔法だと聞いた事があるが、あれは使い方がちっとばかり違うな」
「なるほど。こういう有事の際に発動する、緊急の措置といったところか」
「多分な。普通なら文字通り囮に使うのが常套手段だが、魔王が作るとなるといっぱしの軍隊にも匹敵するくらいの分身が出来上がるってことだろう」
そう結論付けられると納得のいく話だった。
不在のはずの魔王がいる理由。
ベストなタイミングで進軍を止められた訳。
醸し出される不自然なオーラ。
その全ての説明が付く。
「しかし、本物でないと知れたなら手はある。その上、あの程度の潜在魔力であるなら撃破して敵の士気を削ぐ方がいいかもしれん」
「ええ。私もその意見に賛成です」
「なら一つ暴れてやるか」
「それで一体どうやるの?」
ピオンスコが飛ばした疑問にオレは彼女一人にではなく、全員に返事をする。
だがそんなオレの頭の中になお握りしめているルージュの声が聞こえてきた。
(少し待て。本当にアレは魔王なのか? 気配が妙だ)
「何?」
ルージュの声が頭の中にこだましたオレ達は再度、こっそりと魔王の様子を伺った。落ち着いてみてみれば、確かにルージュの言う通り、様子がおかしい。具体的に言えばかつて対峙した時に感じたまがまがしいほどのオーラが消え失せている。いや、それでも並みのパーティならば片手間で壊滅させられるほどの実力を秘めてはいるが。
しかし、全力の魔王を知っている身からすれば違和感以外の何者でもない。
「外見はそっくりだが本当に魔王か? プレッシャーが薄くて、中身がないような」
「もしかすると、ありゃ『デコイ』って奴かもしれねえな」
アーコが確信めいた口調で言った。オレは聞きなじみのない言葉だったから、何も考えずにおうむ返しに聞き返す。
「デコイ?」
「ああ。簡単に言えば魔法で作った人形だ。本来なら身代わりとして使う魔法だと聞いた事があるが、あれは使い方がちっとばかり違うな」
「なるほど。こういう有事の際に発動する、緊急の措置といったところか」
「多分な。普通なら文字通り囮に使うのが常套手段だが、魔王が作るとなるといっぱしの軍隊にも匹敵するくらいの分身が出来上がるってことだろう」
そう結論付けられると納得のいく話だった。
不在のはずの魔王がいる理由。
ベストなタイミングで進軍を止められた訳。
醸し出される不自然なオーラ。
その全ての説明が付く。
「しかし、本物でないと知れたなら手はある。その上、あの程度の潜在魔力であるなら撃破して敵の士気を削ぐ方がいいかもしれん」
「ええ。私もその意見に賛成です」
「なら一つ暴れてやるか」
「それで一体どうやるの?」
ピオンスコが飛ばした疑問にオレは彼女一人にではなく、全員に返事をする。
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