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Episode3
共感する勇者
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「詳しいことは私達にも分からん。唯一、反魔法毒素を持つピオンスコだけは記憶操作の影響が甘く、多少の事は覚えていた。曰く、『螺旋の大地』で魔王城に集められた大量の魔族たちが記憶を操られ、何らかの方法でこの『囲む大地』へと送り込まれている、と。ラスキャブに至ってはほぼ完全に記憶を失っている」
「そうなの?」
「う、うん。ごめんなさい」
尋ねられたラスキャブは心底申し訳なさそうに頭を下げた。
「なら、なんでワタシは…」
「恐らくだが、別の支配魔法と元の能力を強化するために記憶操作の影響力が弱まったのだろう。強烈なイメージや知っている顔を見れば術が解ける程に弱まっていたのかも知れん」
ルージュがそう言うと、トスクルは掛かっていた毛布を避け、改めて座り直してから聞いてきた。
「なら、あなた達も記憶を取られて送り込まれてきたんですか?」
「いや違う。私を含めこちら側の三人は別の目的で旅をしている。その道中でラスキャブとピオンスコに出会い、成り行きでお前を探していたのだ」
「別の目的というのは?」
「それを私の口から伝えるのは憚られる」
そう言って、ルージュは再びオレにバトンを渡してきた。
確かにオレが話すべきだろうが、咄嗟の事だったので少し戸惑った。だが結局は単刀直入に切りだしてしまう事にした。
「ラスキャブとピオンスコは知っているから率直に教えるが、オレ達は魔王を殺すためにパーティを組んでいる」
「…」
「オレと、こっちのルージュとアーコはお前たちと違って『螺旋の大地』の出身じゃない。三人とも魔王とは浅はかならぬ縁というか、少し込み入った事情があってな」
「少し込み入った事情というのは?」
「それを聞きたいのなら、オレ達のパーティに加わってもらう事になる。そうなれば必然的に魔王と戦う事になるが」
トスクルはラスキャブ達の顔をチラリと見た後、再びオレの方を向いた。
「…分かりました。ワタシをパーティに加えてください」
「…」
「何か?」
「いや、大分あっさりと決断すると思ってな」
「頭痛も治まって落ち着いたら、頭も働くようになってきただけです。ラスキャブとピオンスコはこのパーティに大分馴染んでいるようですし、ワタシもここで放り出されたところで行く宛てがありません。元よりあなた方についていく以外の選択は取りづらいです」
「なるほどね。ピオンスコが言っていた通り、頭脳派だな」
「頭脳派、と言えるほどの事はしていないと思いますが」
と、鼻で笑われた。
オレとピオンスコは身体を動かす方が専らだから、ほんの少しの知的な面を見せられるだけでそう言う感想を抱いてしまうのはとても共感できた。
いずれにしても、オレ達の旅路にもう一人が加わったのである。
「そうなの?」
「う、うん。ごめんなさい」
尋ねられたラスキャブは心底申し訳なさそうに頭を下げた。
「なら、なんでワタシは…」
「恐らくだが、別の支配魔法と元の能力を強化するために記憶操作の影響力が弱まったのだろう。強烈なイメージや知っている顔を見れば術が解ける程に弱まっていたのかも知れん」
ルージュがそう言うと、トスクルは掛かっていた毛布を避け、改めて座り直してから聞いてきた。
「なら、あなた達も記憶を取られて送り込まれてきたんですか?」
「いや違う。私を含めこちら側の三人は別の目的で旅をしている。その道中でラスキャブとピオンスコに出会い、成り行きでお前を探していたのだ」
「別の目的というのは?」
「それを私の口から伝えるのは憚られる」
そう言って、ルージュは再びオレにバトンを渡してきた。
確かにオレが話すべきだろうが、咄嗟の事だったので少し戸惑った。だが結局は単刀直入に切りだしてしまう事にした。
「ラスキャブとピオンスコは知っているから率直に教えるが、オレ達は魔王を殺すためにパーティを組んでいる」
「…」
「オレと、こっちのルージュとアーコはお前たちと違って『螺旋の大地』の出身じゃない。三人とも魔王とは浅はかならぬ縁というか、少し込み入った事情があってな」
「少し込み入った事情というのは?」
「それを聞きたいのなら、オレ達のパーティに加わってもらう事になる。そうなれば必然的に魔王と戦う事になるが」
トスクルはラスキャブ達の顔をチラリと見た後、再びオレの方を向いた。
「…分かりました。ワタシをパーティに加えてください」
「…」
「何か?」
「いや、大分あっさりと決断すると思ってな」
「頭痛も治まって落ち着いたら、頭も働くようになってきただけです。ラスキャブとピオンスコはこのパーティに大分馴染んでいるようですし、ワタシもここで放り出されたところで行く宛てがありません。元よりあなた方についていく以外の選択は取りづらいです」
「なるほどね。ピオンスコが言っていた通り、頭脳派だな」
「頭脳派、と言えるほどの事はしていないと思いますが」
と、鼻で笑われた。
オレとピオンスコは身体を動かす方が専らだから、ほんの少しの知的な面を見せられるだけでそう言う感想を抱いてしまうのはとても共感できた。
いずれにしても、オレ達の旅路にもう一人が加わったのである。
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