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Episode2
高揚する勇者
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ピオンスコに腹を刺されたレイダァは、うめき声の一つも立てずに絶命し崩れ落ちた。半端な毒であれば、もがき苦しんだり、今わの際に一矢報いる猶予を与えることもあるがピオンスコの毒針には、いらぬ懸念だった。
「す、すごいよ。ピオンスコ」
「へへへ」
と、ピオンスコは得意気になった。
的確かつ最速で相手の急所を狙う技術は確かなものだし、ナイフでの急所狙い戦闘スタイルと思わせておいてからの隠し針は、実際にかなりの脅威なのでそれは誇っていいことだとは思う。しかも、ミラーコートの迷彩が通用しないくらいの相手であっても、経験からくる先入観でピオンスコの技前を活用するためにミラーコートを着ていると思い込むはず。そこから繰り出させれる毒針を躱すのは至難の業になるだろう。
これは思った以上に、戦力の底上げになるかも知れない。
そんな分析をしていると、バズバ率いる『果敢な一撃』もレイダァを退け、戻ってくるところだった。
「すみません。俺達の尻拭いを・・・」
「いや、気にしなくていい。同じ雇い主を護衛しているんだ、一蓮托生だろ?」
「そう言ってもらえると助かります」
そう言って笑った。謙虚だし、爽やかさもある。こういう若者がいてくれるというのは、何とも心が洗われる様だった。
するとその時。後ろの商隊からまた悲鳴があがった。オレを除く全員が取り乱した。
「な、なんだ!?」
レイダァは身体能力もさることながら知能も高い。大方、挟み撃ちを仕掛けるために後ろからもそれなりの数が押し寄せたんだろう。
オレがそう説明すると、叱咤に似た様な反論が飛んできた。ピオンスコも、まるで『果敢な一撃』のパーティのように焦っている。
「じゃあ、急いで応戦しないと・・・!」
それでもオレは取り乱さない。今度はラスキャブも一緒だ。一番後ろに誰がいるのかを知っているのだから当然だろう。
連中は有無も言わさず、後方へと駆け出して行った。
オレとラスキャブは、メカーヒーの乗る馬車に近づき、一先ずの安全が確保できた事を告げた。それと同時に、レイダァがこんな標高の低い場所に出てくるのは、少し妙だとも伝えておいた。ひょっとしたら、何かの事実を知っているかも知れないとは思ったが、メカーヒーも首をかしげるばかりだった。
報告が終わりメカーヒーが再出発の意向を固めると、勇んで駆けていったバズバ達が度肝を抜かれた様な顔をして戻ってくるところだった。
「大丈夫だっただろう?」
「ああ・・・アンタが凄いんだと思ってたけど、違うな。アンタ達が凄いんだ」
その賛辞にオレは口角を上げることで返事とした。
引き続いて前の護衛を任せると、ラスキャブと共にしんがりに戻って行く。すると死屍累々としたレイダァ達の骸を背にした、涼しい顔のルージュと退屈顔のアーコに出迎えられた。オレが前方での戦いの成果とピオンスコへの期待を話そうとすると、出鼻を挫くように、向こうから声を掛けられる。
「ピオンスコが想像以上の活躍ぶりだったみたいだな」
「む。見えてたのか? それともオレの心を・・・」
「バーカ。お前の顔見たら誰だってわかるだろ。読みやすいったらありゃしねえ」
アーコの悪態にルージュさえもがニッと微かに笑う。そこまで顔に出やすいものかと、オレは自分の顔を一撫でした。
「す、すごいよ。ピオンスコ」
「へへへ」
と、ピオンスコは得意気になった。
的確かつ最速で相手の急所を狙う技術は確かなものだし、ナイフでの急所狙い戦闘スタイルと思わせておいてからの隠し針は、実際にかなりの脅威なのでそれは誇っていいことだとは思う。しかも、ミラーコートの迷彩が通用しないくらいの相手であっても、経験からくる先入観でピオンスコの技前を活用するためにミラーコートを着ていると思い込むはず。そこから繰り出させれる毒針を躱すのは至難の業になるだろう。
これは思った以上に、戦力の底上げになるかも知れない。
そんな分析をしていると、バズバ率いる『果敢な一撃』もレイダァを退け、戻ってくるところだった。
「すみません。俺達の尻拭いを・・・」
「いや、気にしなくていい。同じ雇い主を護衛しているんだ、一蓮托生だろ?」
「そう言ってもらえると助かります」
そう言って笑った。謙虚だし、爽やかさもある。こういう若者がいてくれるというのは、何とも心が洗われる様だった。
するとその時。後ろの商隊からまた悲鳴があがった。オレを除く全員が取り乱した。
「な、なんだ!?」
レイダァは身体能力もさることながら知能も高い。大方、挟み撃ちを仕掛けるために後ろからもそれなりの数が押し寄せたんだろう。
オレがそう説明すると、叱咤に似た様な反論が飛んできた。ピオンスコも、まるで『果敢な一撃』のパーティのように焦っている。
「じゃあ、急いで応戦しないと・・・!」
それでもオレは取り乱さない。今度はラスキャブも一緒だ。一番後ろに誰がいるのかを知っているのだから当然だろう。
連中は有無も言わさず、後方へと駆け出して行った。
オレとラスキャブは、メカーヒーの乗る馬車に近づき、一先ずの安全が確保できた事を告げた。それと同時に、レイダァがこんな標高の低い場所に出てくるのは、少し妙だとも伝えておいた。ひょっとしたら、何かの事実を知っているかも知れないとは思ったが、メカーヒーも首をかしげるばかりだった。
報告が終わりメカーヒーが再出発の意向を固めると、勇んで駆けていったバズバ達が度肝を抜かれた様な顔をして戻ってくるところだった。
「大丈夫だっただろう?」
「ああ・・・アンタが凄いんだと思ってたけど、違うな。アンタ達が凄いんだ」
その賛辞にオレは口角を上げることで返事とした。
引き続いて前の護衛を任せると、ラスキャブと共にしんがりに戻って行く。すると死屍累々としたレイダァ達の骸を背にした、涼しい顔のルージュと退屈顔のアーコに出迎えられた。オレが前方での戦いの成果とピオンスコへの期待を話そうとすると、出鼻を挫くように、向こうから声を掛けられる。
「ピオンスコが想像以上の活躍ぶりだったみたいだな」
「む。見えてたのか? それともオレの心を・・・」
「バーカ。お前の顔見たら誰だってわかるだろ。読みやすいったらありゃしねえ」
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