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Episode1
出発する勇者
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かくしてメカーヒーの指示により、小商隊の規模の移動が始まった。
外には仰々しい間での数の馬車や品物が用意してあったのだが、オレ達に任されたのは10個ずつの木箱を乗せた馬車とメカーヒーが乗るための屋根付きの馬車の四台だけであった。恐らくはあれだけの用意もカモフラージュの一環だったのだろう。
木箱は重さも大きさもそれほどではなくスペースが余っていたので、商人の一団、残りの二つにオレ達とリホウド族のパーティがそれぞれ収まる形で同乗していた。
ここからセムヘノまでの道程を考えると、途中で町や村に立ち寄って凡そ一週間。『旅は二日先まで見ろ』という教えを鑑みれば大体十日間の道行きになると予想した。
オレは馬車に荷物を下ろすとラスキャブにすぐにでも横になって、叶うならば少しでも寝ておくように指示を出した。護衛の任務の基本は夜番だ。ルージュとアーコは良いとしても、オレ達に睡眠は必要だ。本来なら交代で昼夜の見張りの当番を決めるところだが、この二人の存在は中々心強い。もっともアーコはあまり宛てにならないのだが。
真ん中の馬車に乗っているリホウド族の連中は、少々浮足立っておしゃべりをしている。あの様子では、予想通り護衛の仕事は初めてなのだろう。もしも何も起こらないで、護衛の任務が終わると、きっと味をしめて手痛い失敗をすることになるのだろうが、それもまた経験というヤツだと思い、この場では何も言わなった。
出発したゲートが見えるか見えなくなるかといった辺りで、横になっていたラスキャブがむくりと身体を起こした。
「やっぱり、眠れないです・・・」
まあ、無理もない。日が照っている中、ゆれる馬車で寝るには慣れが必要だからな。眠れない奴に眠れと言うのも酷な話なので、オレは返っていい機会だと思いラスキャブとアーコにオレとルージュの秘密を吐露してしまうことにした。
(ルージュ。この頭の中の会話をラスキャブとすることも出来るか?)
(ああ。問題ない、少し待て)
ルージュがテレパシーの支度をしてラスキャブに語り掛ける。すると突然のことにラスキャブは変な声を出した。
「ひゃう!?」
(落ち着け、ラスキャブ。魔法を使って頭の中で会話しているだけだ)
(あ、頭の中でですか?)
(ああ。話したい事があってな)
(え? では普通に話せばいいのでは?)
(前の馬車にはリホウド族が乗っている。オレ達フォルポス族は鼻が利くのが自慢だが、リホウド族はとりわけ耳がいい。人に聞かれたくない話なんだ)
そこでオレはラスキャブの傍らの檻に入っているアーコをチラリとみた。
(どうせ、聞いているんだろ? アーコ)
(当たり前だろ)
(無駄だと分かっているが、一応は他言無用で頼む、とだけは言っておく)
そうして、オレは過去の事、かつて魔王に挑んだこと、そして返り討ちに遭い奈落の下でルージュに出会ったことを二人に聞かせたのだった。
外には仰々しい間での数の馬車や品物が用意してあったのだが、オレ達に任されたのは10個ずつの木箱を乗せた馬車とメカーヒーが乗るための屋根付きの馬車の四台だけであった。恐らくはあれだけの用意もカモフラージュの一環だったのだろう。
木箱は重さも大きさもそれほどではなくスペースが余っていたので、商人の一団、残りの二つにオレ達とリホウド族のパーティがそれぞれ収まる形で同乗していた。
ここからセムヘノまでの道程を考えると、途中で町や村に立ち寄って凡そ一週間。『旅は二日先まで見ろ』という教えを鑑みれば大体十日間の道行きになると予想した。
オレは馬車に荷物を下ろすとラスキャブにすぐにでも横になって、叶うならば少しでも寝ておくように指示を出した。護衛の任務の基本は夜番だ。ルージュとアーコは良いとしても、オレ達に睡眠は必要だ。本来なら交代で昼夜の見張りの当番を決めるところだが、この二人の存在は中々心強い。もっともアーコはあまり宛てにならないのだが。
真ん中の馬車に乗っているリホウド族の連中は、少々浮足立っておしゃべりをしている。あの様子では、予想通り護衛の仕事は初めてなのだろう。もしも何も起こらないで、護衛の任務が終わると、きっと味をしめて手痛い失敗をすることになるのだろうが、それもまた経験というヤツだと思い、この場では何も言わなった。
出発したゲートが見えるか見えなくなるかといった辺りで、横になっていたラスキャブがむくりと身体を起こした。
「やっぱり、眠れないです・・・」
まあ、無理もない。日が照っている中、ゆれる馬車で寝るには慣れが必要だからな。眠れない奴に眠れと言うのも酷な話なので、オレは返っていい機会だと思いラスキャブとアーコにオレとルージュの秘密を吐露してしまうことにした。
(ルージュ。この頭の中の会話をラスキャブとすることも出来るか?)
(ああ。問題ない、少し待て)
ルージュがテレパシーの支度をしてラスキャブに語り掛ける。すると突然のことにラスキャブは変な声を出した。
「ひゃう!?」
(落ち着け、ラスキャブ。魔法を使って頭の中で会話しているだけだ)
(あ、頭の中でですか?)
(ああ。話したい事があってな)
(え? では普通に話せばいいのでは?)
(前の馬車にはリホウド族が乗っている。オレ達フォルポス族は鼻が利くのが自慢だが、リホウド族はとりわけ耳がいい。人に聞かれたくない話なんだ)
そこでオレはラスキャブの傍らの檻に入っているアーコをチラリとみた。
(どうせ、聞いているんだろ? アーコ)
(当たり前だろ)
(無駄だと分かっているが、一応は他言無用で頼む、とだけは言っておく)
そうして、オレは過去の事、かつて魔王に挑んだこと、そして返り討ちに遭い奈落の下でルージュに出会ったことを二人に聞かせたのだった。
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