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翌日の朝…はとっくに過ぎ去り、時刻は夕方前。
アタシは部屋をノックされるまで高いびきをかいていた。つまりは半日近く寝ていたことになる。
飛び起きたアタシはボサボサの髪と寝ぼけ眼をどうにかこうにか誤魔化してドアを開ける。するとそこには出かける支度を済ませたノリンさんとチカちゃんがいた。
「お早う、架純さん。寝れた? って聞くまでもなさそうだね~」
「あはは…おかげ様でぐっすりと」
「無理もない。昨日は架純殿が一番の気概を見せてくれたからのう」
「それでどうかしたんですか?」
二人はするりと扉を抜けて部屋の中に入ってきた。ちょっとしか隙間は開いていないし、ドアの前にはアタシが立っていたのにも関わらず、ぶつかるどころかどうやって入ってきたのかすら分からなかった。
吸血鬼の能力の一つだろうか。もしくはアタシがまだ寝ぼけているのか。
そして扉を閉めると、ひそひそとした声で喋り出す。
「今からチカ殿と共に聞き込みと飯の調達に行ってこようと思ってのう」
「ならアタシも。すぐに支度するから」
「いやいや、それには及ばんよ」
「え?」
「架純さんはドル君とナナシ君とお留守番してて~。やってもらいたい事もあるし」
「やってもらいたい事?」
「うむ。ナナシと共に坊主から吸血鬼の事を教わってくれ。成り立ての架純殿らには色々と気をつけてもらいたい事が多いからのう」
「もう二人は起きてるから」
「わかりました。なら支度をしたらすぐそちらに」
「お願いね~」
そう言い終わると二人は再び部屋を後にした。
アタシはチカちゃんが持ってきてくれた桶の水で顔を洗う。部屋に鏡はなかったので手櫛で髪を整えると端切れで髪を結った。自分で朝の身支度をしたのは三カ月ぶりだ。エオイル城にいる間はお付きのメイドさんが頭の先からつま先まで整えてくれていたのだ。
二、三日はお姫様気分も心地よかったが、アタシの性分として申し訳なさが勝ってしまっていたのを思い出した。やっぱりこっちの方が気楽でいい。
アタシは全ての支度を終わらせると男子部屋を尋ねた。
部屋は窓が木の板で閉じられていたので昼間だと言うのに暗い。アタシの部屋も似た様なものだったけど。
部屋に入るとすぐに猫ナナシ君が足に擦り寄って顔を擦り付けてきた。可愛い。
「お早う。ナナシ君」
「オハヨウ」
アタシはフィフスドル君にも挨拶しようと彼に目を向けた。しかし備え付けの机に向かって物凄い集中力を発揮しながら何かしていたので声を掛けることができなかった。手を突き出し自分の目の前に魔法陣を作っている。
その陣は絶え間なく千変万化して形が変わっていく。キラキラと光っているので、部屋の暗さと相まって小さなプラネタリウムを見ているかのようだった。
やがて、「ふう」という息遣いと共にフィフスドル君の作業が終わった。そして彼は改めてアタシを見てきた。
「やっと起きたか」
「う…ごめんね。思ったよりも疲れていたみたいで」
「いいさ。庶民な上に吸血鬼に成りたてのお前では心労もひとかたならぬだろうからな」
「そう思うとフィフスドル君達はすごいね。昨日、エオイルに召喚されたばかりなのに色々と頭が回って、落ち着いてて」
「慣れているからな」
「え? 異世界に来るのに?」
「いや、いくらなんでも異世界は初めてだが…アンチェントパプル家の者として不測の事態に対応する為の渡世術は勉強している。まさか異世界で役立てるとは思わなかったが、少なくとも取り乱して醜態をさらしたりはしないさ」
「耳が痛い…」
アタシなんて三カ月も経つというのに未だに心は落ち着かない。取り乱したり現実逃避する時間の方が多かったんじゃないだろうか。
「気にするな。誰もお前に期待していない」
「そう面と向かって言われるとなぁ…ちょっとは期待してもらっても」
心底ずうずうしいな、アタシって。昨日まではあんなに期待されることに閉塞感を感じていたというのに。
けれども見識のある大人として、自分よりも年下の四人にずっと甘えっぱなしというのはどうかとも思う。ノリンさんに至ってはかなりの年上だが、やっぱり見た目的にはアタシが一番の年長者なんだからしっかりしないと、という気持ちはどうしても出てきてしまうのだ。
「なら、いつ期待されてもいいように常に修練することだな」
フィフスドル君は椅子から立ち上がって「さて」と一言呟いた。
そしてアタシと猫ナナシ君の前に仁王立ちになった。
「お前たち二人が吸血鬼としてどのくらいのポテンシャルがあるか、色々と確認していくぞ」
「はい」
「ワカッタ」
「まずは…日光耐性だな。窓を開けるから少し離れていろ」
アタシと猫ナナシ君は言われるがままに部屋の隅に寄った。板が外されると夕日が部屋の中に差しこんでくる。
フィフスドル君は眩しそうに手で庇を作った。
「よし、ここまで来て指をそっと日光にかざしてみろ。くれぐれもゆっくりな」
「う、うん」
「ワカッタ」
アタシ達は恐る恐る影の中から手を伸ばして指先を太陽に当てる。
てっきり煙が出たり、灰になったりするのも覚悟していたがそんな事は起きなかった…アタシには。隣にいた猫ナナシ君は猫の手から煙を出していたのだ。
「ひゃっ!?」
「ナナシ。すぐに手を引け」
猫ナナシ君はすぐに影の中に引っ込んだおかげで大事には至らなかった。けどアタシの心臓はバクバクと脈打っていた。怖すぎる。
「ナナシはまだ日光に耐性がないか…次だ。今みたいなことが起こるかもしれないから何か異変を感じたらすぐに動けよ」
「わかった…」
と、一抹の不安を抱きながらアタシ達は弱点の検証を進める。
フィフスドル君の話によると『日光』、『鏡』、『十字架』、『銀』、『香辛料』の五つが吸血鬼の五大アレルギーらしい。というか、吸血鬼の弱点ってアレルギー反応だったんだ。まあ人間でも重篤なアレルギー持ちの人は小麦や卵で亡くなる場合もあるから程度の問題ではあると思うけど。
しかも、このカテゴライズはアメリカの吸血鬼の基準だそうで、日本生まれのアタシや出自が不明のナナシ君にはどこまで通用するか分からないそうだ。
事実、アタシは全部平気だったし、ナナシ君も鏡と十字架と銀は平気だった。つまり彼は日光を避け、ニンニクなどを含めた香辛料には注意しなければならないという事だ。
尤も日光もナナシ君の特技の一つである、影に入る能力を使って誰かの影に潜めば問題がないという事も判明していたのだけれど。
検証で分かり切っている事だが、フィフスドル君は改めて言う。
「ふむ。ナナシは少なくとも日中の活動は無理だな。影に潜めば平気なのは不幸中の幸い。香辛料に至っては…まあ口にしなければ問題ないだろう」
「オレ、ヨワイ」
「昨日の血の一件もそうだが吸血鬼としてはお前の方が普通だ。おかしいのはこっちだから気にしなくていい」
「そんな、人を珍獣みたいに…」
「比較ができなくて分かり辛いかもしれないが、お前はかなりの特異体質だ。吸血鬼として自分は変わり者だと頭に入れておけ」
「うぅ…」
人間の時は黒聖女。吸血鬼になったら変わり者。
アタシは人間でも吸血鬼でも、普通でいたいだけなのにぃ。
アタシは部屋をノックされるまで高いびきをかいていた。つまりは半日近く寝ていたことになる。
飛び起きたアタシはボサボサの髪と寝ぼけ眼をどうにかこうにか誤魔化してドアを開ける。するとそこには出かける支度を済ませたノリンさんとチカちゃんがいた。
「お早う、架純さん。寝れた? って聞くまでもなさそうだね~」
「あはは…おかげ様でぐっすりと」
「無理もない。昨日は架純殿が一番の気概を見せてくれたからのう」
「それでどうかしたんですか?」
二人はするりと扉を抜けて部屋の中に入ってきた。ちょっとしか隙間は開いていないし、ドアの前にはアタシが立っていたのにも関わらず、ぶつかるどころかどうやって入ってきたのかすら分からなかった。
吸血鬼の能力の一つだろうか。もしくはアタシがまだ寝ぼけているのか。
そして扉を閉めると、ひそひそとした声で喋り出す。
「今からチカ殿と共に聞き込みと飯の調達に行ってこようと思ってのう」
「ならアタシも。すぐに支度するから」
「いやいや、それには及ばんよ」
「え?」
「架純さんはドル君とナナシ君とお留守番してて~。やってもらいたい事もあるし」
「やってもらいたい事?」
「うむ。ナナシと共に坊主から吸血鬼の事を教わってくれ。成り立ての架純殿らには色々と気をつけてもらいたい事が多いからのう」
「もう二人は起きてるから」
「わかりました。なら支度をしたらすぐそちらに」
「お願いね~」
そう言い終わると二人は再び部屋を後にした。
アタシはチカちゃんが持ってきてくれた桶の水で顔を洗う。部屋に鏡はなかったので手櫛で髪を整えると端切れで髪を結った。自分で朝の身支度をしたのは三カ月ぶりだ。エオイル城にいる間はお付きのメイドさんが頭の先からつま先まで整えてくれていたのだ。
二、三日はお姫様気分も心地よかったが、アタシの性分として申し訳なさが勝ってしまっていたのを思い出した。やっぱりこっちの方が気楽でいい。
アタシは全ての支度を終わらせると男子部屋を尋ねた。
部屋は窓が木の板で閉じられていたので昼間だと言うのに暗い。アタシの部屋も似た様なものだったけど。
部屋に入るとすぐに猫ナナシ君が足に擦り寄って顔を擦り付けてきた。可愛い。
「お早う。ナナシ君」
「オハヨウ」
アタシはフィフスドル君にも挨拶しようと彼に目を向けた。しかし備え付けの机に向かって物凄い集中力を発揮しながら何かしていたので声を掛けることができなかった。手を突き出し自分の目の前に魔法陣を作っている。
その陣は絶え間なく千変万化して形が変わっていく。キラキラと光っているので、部屋の暗さと相まって小さなプラネタリウムを見ているかのようだった。
やがて、「ふう」という息遣いと共にフィフスドル君の作業が終わった。そして彼は改めてアタシを見てきた。
「やっと起きたか」
「う…ごめんね。思ったよりも疲れていたみたいで」
「いいさ。庶民な上に吸血鬼に成りたてのお前では心労もひとかたならぬだろうからな」
「そう思うとフィフスドル君達はすごいね。昨日、エオイルに召喚されたばかりなのに色々と頭が回って、落ち着いてて」
「慣れているからな」
「え? 異世界に来るのに?」
「いや、いくらなんでも異世界は初めてだが…アンチェントパプル家の者として不測の事態に対応する為の渡世術は勉強している。まさか異世界で役立てるとは思わなかったが、少なくとも取り乱して醜態をさらしたりはしないさ」
「耳が痛い…」
アタシなんて三カ月も経つというのに未だに心は落ち着かない。取り乱したり現実逃避する時間の方が多かったんじゃないだろうか。
「気にするな。誰もお前に期待していない」
「そう面と向かって言われるとなぁ…ちょっとは期待してもらっても」
心底ずうずうしいな、アタシって。昨日まではあんなに期待されることに閉塞感を感じていたというのに。
けれども見識のある大人として、自分よりも年下の四人にずっと甘えっぱなしというのはどうかとも思う。ノリンさんに至ってはかなりの年上だが、やっぱり見た目的にはアタシが一番の年長者なんだからしっかりしないと、という気持ちはどうしても出てきてしまうのだ。
「なら、いつ期待されてもいいように常に修練することだな」
フィフスドル君は椅子から立ち上がって「さて」と一言呟いた。
そしてアタシと猫ナナシ君の前に仁王立ちになった。
「お前たち二人が吸血鬼としてどのくらいのポテンシャルがあるか、色々と確認していくぞ」
「はい」
「ワカッタ」
「まずは…日光耐性だな。窓を開けるから少し離れていろ」
アタシと猫ナナシ君は言われるがままに部屋の隅に寄った。板が外されると夕日が部屋の中に差しこんでくる。
フィフスドル君は眩しそうに手で庇を作った。
「よし、ここまで来て指をそっと日光にかざしてみろ。くれぐれもゆっくりな」
「う、うん」
「ワカッタ」
アタシ達は恐る恐る影の中から手を伸ばして指先を太陽に当てる。
てっきり煙が出たり、灰になったりするのも覚悟していたがそんな事は起きなかった…アタシには。隣にいた猫ナナシ君は猫の手から煙を出していたのだ。
「ひゃっ!?」
「ナナシ。すぐに手を引け」
猫ナナシ君はすぐに影の中に引っ込んだおかげで大事には至らなかった。けどアタシの心臓はバクバクと脈打っていた。怖すぎる。
「ナナシはまだ日光に耐性がないか…次だ。今みたいなことが起こるかもしれないから何か異変を感じたらすぐに動けよ」
「わかった…」
と、一抹の不安を抱きながらアタシ達は弱点の検証を進める。
フィフスドル君の話によると『日光』、『鏡』、『十字架』、『銀』、『香辛料』の五つが吸血鬼の五大アレルギーらしい。というか、吸血鬼の弱点ってアレルギー反応だったんだ。まあ人間でも重篤なアレルギー持ちの人は小麦や卵で亡くなる場合もあるから程度の問題ではあると思うけど。
しかも、このカテゴライズはアメリカの吸血鬼の基準だそうで、日本生まれのアタシや出自が不明のナナシ君にはどこまで通用するか分からないそうだ。
事実、アタシは全部平気だったし、ナナシ君も鏡と十字架と銀は平気だった。つまり彼は日光を避け、ニンニクなどを含めた香辛料には注意しなければならないという事だ。
尤も日光もナナシ君の特技の一つである、影に入る能力を使って誰かの影に潜めば問題がないという事も判明していたのだけれど。
検証で分かり切っている事だが、フィフスドル君は改めて言う。
「ふむ。ナナシは少なくとも日中の活動は無理だな。影に潜めば平気なのは不幸中の幸い。香辛料に至っては…まあ口にしなければ問題ないだろう」
「オレ、ヨワイ」
「昨日の血の一件もそうだが吸血鬼としてはお前の方が普通だ。おかしいのはこっちだから気にしなくていい」
「そんな、人を珍獣みたいに…」
「比較ができなくて分かり辛いかもしれないが、お前はかなりの特異体質だ。吸血鬼として自分は変わり者だと頭に入れておけ」
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