魔王を倒した勇者の息子に復讐をする悪堕ちヒロイン達

音喜多子平

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堕ちた戦巫女

9ー3

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 やがて再起動が叶ったシオーナは無表情のままに混乱を露にしていたものの、ソルカナとラーダの様子を見てメロディアに敵対意識がないと言うことは理解できた。そして徐々に落ち着きを取り戻したシオーナを囲い、メロディアとソルカナ、そして人が疎らということでひょっこりと現れたラーダの三人は自販機で買ったジュースを飲みつつ互いに状況を整理し合っていた。

「…了解した。まさか【八英女】うち私を含めて七人も手も足もでないなんて…にわかには信じがたい」
「あはっ、ホントにね。ま、あの二人の子供ってんなら納得だけどさ~」
「それも容認し難い。スコア殿と魔王様が婚姻関係になるなんて」
「それについても完全に同意ですわ」

 と、かつての父母を知る面々は心のしこりに触れられたような面持ちになる。

 メロディアはそのわだかましい雰囲気を払拭する意味も込めてシオーナに気になっている事を聞いた。 

「ところでシオーナさんの首から下はどうなってるんですか?」
「魔界を出てみなと解散した後、スコア殿について得た情報を元にクラッシコ王国に向かっていた。しかし、この町に差し掛かったところでエネルギー・エンプティを起こして機能停止している間に分割された。詳細は分からない」
「誰が何の目的で…」
「ただボディの居場所は分かる」
「え、本当ですか!?」
「潤沢な魔力でメインの頭部が起動したことで探知が可能。私の体は今、三分割にされている」
「さ、三分割…?」
「そう。身体の腰回りの結合を外されている。なので頭、上半身、下半身の三つ」
「分かりやすく言うとX2のカウンターハンターの持ってるゼロのパーツと一緒ということですね」
「誰が分かるんだ、その例え」
「しかもボディパーツは現在進行形で辱めを受けている」
「は?」
「具体的に言うと乳房を揉まれている…あ、今誰かが乳首を吸い始めた」
「あはっ。完全に慰み者にされてんね」
「魔王様に戦闘兵器兼性的な欲求を満たす為の人形として改造されているので、その理解で合ってる」
「すまし顔で何言ってんだ!? とんでもないことになってんだろ!」

 メロディアは勢い良く立ち上がるとシオーナの頭を小脇に抱えた。

「場所が分かるんですよね!? 連れていってください。シオーナさんのボディを回収します」
「了解」

 三人はシオーナに案内をされるがまま、地上へと飛び出す。

「恐らく、機能停止しているシオーナさんを拾った誰かがいるのでしょうね」
「ええ。そしてティパンニの職工にでも調べさせたんでしょう。母さんがエロ目的で改造していたということで、特殊な性癖を持った奴に売り捌こうとしたとかが考えられます。この町は本当に何でもお金になりますから」
「で、誰かに買われて絶賛辱しめられ中ってことね。やば~」
「あなたと会って様々なシステムが再起動ができたお陰」

 そんな会話をしつつ、ものの五分くらい走った頃合いにシオーナが三人を制止させた。

「ここ。この建物の六階にボディがある」
「…ここの……六階?」

 シオーナ以外の三人は立ち止まった場所で唖然とした。よく見知った場所だったせいだ。それもそのはずでメロディア達はシオーナと会うべく、ここから出発したのだ。つまりはティパンニで拠点にしていたホテルということになる。

「あはっ。アタイ、オチが分かったよ」
「奇遇ですね。僕もです」

 メロディアはシオーナの頭部をマントで覆い隠すと何食わぬ顔でエントランスを突っ切り、エレベーターに乗った。まるで気分はサイコパスな猟奇殺人者のようだ。

 六階で降り、ソルカナとラーダと共に部屋のドアの前に立つ。防音機能は中々のものだったが、ここまでくると中のどんちゃん騒ぎの喧騒が漏れていた。

 絶対にこいつらじゃん。と、メロディアは大きなため息を漏らしつつ、メロディアは部屋の中に入った。

 すると、やはりというか。ベットの上でシオーナのボディパーツと思わしきアブノーマルな物体を囲んできゃっきゃと騒いでいる四人がいた。レイディアントに至っては恍惚の表情になって、甘え声を出している。

「あ、おかえりなさい」

 ドロマーがこちらの気も知らずに暢気なあいさつをしてくる。メロディアは能面のような無味乾燥とした顔で尋ねた。

「何をしているんですか?」
「いや~それがですね…部屋の片付けを早々に終わらせたら、朝御飯を食べようと言う流れになりまして」
「それで?」
「私とミリーとでコンビニにでも行こうとホテルを出たらですよ。路地の露天に良い感じのトルソが売っていたので思わず衝動買いしてしまったんです」
「見てくれよ、中々いいだろ? 腕はあるのに頭と下半身がないっていう相当マニア向けの奴だぞ、これ」
「レイディアントさんのおもちゃに最適ですよ。肌の質感とか物凄いクオリティ高いですもん」
「マミぃ~~♥️」
「…」

 あまりにも予想通り過ぎて驚いた。頭に過っていた想像と現実がここまで重なるという経験を今後メロディアはするのだろうか。

 少しだけ頭が痛くなったのをため息でごまかした。何というか一周回って怒る気をなくした親の心境に似ている。

 するとドロマーが尋ね返してきた。

「そちらはどうです? シオーナには会えたんですか?」

 そう聞かれたメロディアは悪戯心を働かせた。せめてもの仕返しにシオーナの生首でも見せて驚かそうという魂胆を持つと、黙ってマントをドロマーに渡した。

 ドロマーは小首を傾げながらもその包みを解く。すると珍しく「ひゃあっ!」と可愛らしい悲鳴を上げた。そして皆に伝える。

「みんな! メロディア君がかなりアブノーマルな【自主規制】のお土産を買ってきましたよ!」
「仲間の顔を見忘れたか、このドアホドラゴン!!」

 と、一喝して全員を床に正座させた。
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