魔王を倒した勇者の息子に復讐をする悪堕ちヒロイン達

音喜多子平

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メロディアの仕事3

8ー1

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 何はともあれこの町にやって来た目的は果たすことができた。伝説の八英女も思えば会っていない人数の方が少ない。正直死んだものだと思っていたので、生きていたこと事態は感激だがそれ以上にショックも大きい。

 残りの二人は一体どれほどまで変わってしまっているのだろうか。

「まもなく夜も明けます。そうしたらクラッシコ王国に戻りましょうか。依然として残りの八英女である『双刃のシオーナ』と『神盾のドロモカ』のお二人は僕を狙っているのでしょうし。あまり城下を離れるのは得策じゃありません」

 メロディアがそんな意見を述べたときの事だった。突如としてソルカナとラーダの二人が、

「「あ!」」

 と、声を合わせて叫んだのだった。

 自然と全員の視線が集中する。メロディアはみんなを代表して二人に聞いた。

「どうしたんですか?」
「その事なんですが…」
「実はアタイ達、シオーナに関しては居場所が分かってるんだよね」
「え? ホントですか?」

 二人はコクリと頷いた。しかしその表情には何か含みがある。居心地の悪いというか、何かが引っ掛かっているような、そんな顔だ。

 しかし居場所が分かっていると言うのは、メロディアにとってはありがたい情報だった。いつ襲撃されるかと気を張りつめ続けているというのも中々に面倒くさいというのが本音である。叶うのならば今回のようにこちらから出向いて、さっさと事態の収束を図る方がよっぽどマシだった。

「それで、シオーナさんはどちらに」
「その…この町にいるといいますか」
「え!? ティパンニにいるんですか!?」
「うん、まあ」

 なんと言うことだろう、更に話が早くて助かる。ソルカナとラーダの踏ん切りつかない態度はこの際は気にしないことにした。

 どうせならこの町に滞在している間にシオーナとも接触しておきたいところだ。今の今帰ってきたばかりだったが、二人を案内人して彼女のところに向かうことにした。

「なら、帰ってきて早々にすみませんがシオーナさんのところに案内してください。事情を話してクラッシコ王国まで来てもらいましょう」
「次は私たちも同行しましょうか?」
「酔いも覚めましたしね」
「いえ。ドロマーさん達にはやることがあるでしょう?」

 メロディアがそういうと居残り組の四人はキョトンとした顔になった。

「え? やること?」
「むしろ盛大にやっちまった後なんだが?」
「あ。アフターピルならボク達使わないよ?」
「部屋の片付けをしろ!!」

 乱れ放題の部屋の中、特にベットを指差してメロディアは言った。レイディアントの時といい、ホテルを取るとろくなことが起きない。時間も惜しい今回は弁償沙汰はごめんだったのだ。

「部屋を片付けて出られるようにしておいてください」
「…はーい」

 少々不貞腐れた返事をする三人を尻目にレイディアントは言う。

「ならば我も残って監督をしつつ、手伝おう。シオーナの事をよろしく頼む」
「よろしくお願いします」
「何を一人でいい子ぶってるんですか? えい!」

 ドロマーは一瞬でレイディアントを組伏せると彼女の顔を飽満な胸に挟み込んだ。厳格な雰囲気は一気に剥がれ落ち、

「マミィ~♥️」

 という甘い声が部屋に響く。それについては一切言及することなく、メロディアはソルカナとラーダの二人を連れて外に繰り出したのだった。

 廊下に出ると一つ気になることがあったのを思い出す。メロディアは振り替えって二人に告げた。

「ところで…」
「なんでしょうか?」
「お二人の格好はどうにかならないんですか?」

 改めて二人の服装を見てみよう。

 ソルカナは聖職者の纏う聖衣を下地にしているので、一見まともに思える。しかしタイトな作りの服は彼女の豊満な体つきとは相性が悪い。ピッタリと素肌に張り付いて神聖さよりも扇情的なオーラを放つ。その上、もう一人の自分の憑依場所をあろうことか腹部に据えているため妊婦のような装いなのだ。妊娠しているように見えるのはそれが単発であれば問題はないけれど、この衣装の下ではなんともインモラルな雰囲気にしかならないでいる。

 服装に物申したいのはラーダも同じだった。

 全身の毛穴から自身に寄生しているスライムを抽出させてラバースーツのように着こなしているが、ボディラインの強調のされ方はソルカナの比ではない。ラーダ自身はかなりの細身であるがスタイルはかなり良いので、こちらも堂々と表を歩くには躊躇われる格好だ。

「どうにか、と言いますと?」
「もう少し体のラインの隠れるゆったりとした服を着るとか。言うまでもないことですけどこの町は悪漢やごろつきが多いですから。わざわざトラブルの種をまく必要もないでしょう?」
「確かにそうかもしれませんね。新生ワルトトゥリ教の布教の為にわざわざ性的な堪え性のない方達を集めるよう着ていた服ですし」
「そ、そんな思惑が」
「けれど生憎とお洋服はこれしか持ち合わせが…」
「それならご心配なく」

 そう言ってメロディアはいつかドロマーに見せた着せ替えの魔法をソルカナにも施す。あっという間に彼女は軽快な、それでいて落ち着きと品のあるマタニティドレス姿となった。

「まあ! 素敵ですわね」
「気に入って貰えたなら何よりです」
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