魔王を倒した勇者の息子に復讐をする悪堕ちヒロイン達

音喜多子平

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閑話 メロディアの仕事

3-28

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 それをみて次兄のマズナイが口を尖らせて言い返す。

「なんて卑劣な事を!」
「っは。説教できるような立場じゃないでしょ、アンタらは誰も気が付いていなかったよ?
「い、家の者は一体何を…」
「少々破天荒だったり、気の強いことを言っても屋敷の召使い如きじゃなにもいえないでしょ。それに私が来たのは症状が出始めた初期の頃だったし。誰も寄せ付けないように頑張ってたからね。アンタらだってほとんど家にいなかったし」
「お父さん…」

 子どもらはこぞってシャニスに目をやった。しかしここまでの騒ぎにあっても眠たそうにするばかりで覇気がない。弱っているのは誰の目にも明らかだ

「日に日に悪くなっていってるよ。特に今日はひどいわね、どんどん悪くなってる。ひょっとしたらここにいる全員の事も覚えていないんじゃない?」
「そ、んな…お父さん?」
「…どうした? 食事はまだか」
「う…」

 そんな間抜けなやり取りを見たヤタムは恨み節を飛ばしてやろうと、再びメロディア達に目を向けて言った。

「アンタらも偵察ご苦労様。台無しになったから報酬は出ないけど、私の計画もオジャンだから同情はしないわよ。それともそこのおデブちゃんからいくらもらえたり…あれ? あのメロディアとかいう子はどこ行ったっの?」
「え?」

 そう言われてこの部屋の全員がハッとなった。とりわけずっと隣にいたドロマーとレイディアントの驚きは一塩だった。まるで気配を感じていなかったことに、戦いを身を置く者としても冷や汗が出た。

 すると当のメロディア本人はまるで何でもないような風にドアを開けて入ってきた。その途端、食欲をそそる良い香りが充満する。静まり返った部屋には皆が匂いにつられて生唾を飲み込む音が聞こえんばかりだった。

 誰もがメロディアの事を見ている。

 すると彼は飛び切りの笑顔で言った。

「お待たせしました。お食事です!」
「「はい?」」

 よもやこのタイミングで食事を出すとは思っていなかった面々は絵に描いたように呆気に取られていた。すると配膳台を押して目の前を通り過ぎたメロディアに向かって、ヤタムは強気な声を出した。
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