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閑話 メロディアの仕事

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「承知しました」
「いや、その前に一ついいか」

 料理を配膳しようとしたメロディア達を言葉で制止させて、ヒカサイマが立ち上がった。

「…何でしょうか、ヒカサイマ様」
「昨日…いや以前から気になっていた事があってね。お父様はボケが始まっているんじゃないのか?」
「な、何をいきなり仰るのですか?」
「お父様がボケて正常な判断ができず、何者かがそれに付けこんで傀儡にしようと企てている…そう考えるとこの最近の出来事に辻褄が合うような気がしてね」

 最近の出来事、という単語にメロディアは反応を示した。やはり何かしらは疑われていたのだろう。

「どういう事でしょうか?」
「最近になって我が家の財政がひっ迫してきていることでお父様に伺いを立てたかったのだが、電話は取り次がれず、メールには知らぬ存ぜぬの文言がずらり」
「旦那様は何も存じ上げないのですから当然です」
「しかしお父様の性格からして怪しい噂を仄めかされて知らぬふりするのは考えにくい。誰かが情報を故意に隠ぺいしているのなら話は別だが」
「わたくしが、ローナ家に仇なしているとお考えですか」
「おや、そう聞こえてしまったかな?」
「…」

 ヒカサイマの兄姉たちは一体何事かと思いながら事の成り行きを見守っている。そして自信満々の末弟を見て疑問を投げかけた。

「ヒカサイマ。どういう事だ? お前は何かを知っているのか?」
「いやいや。変な追い詰め方をしてしまっては返ってかわいそうだ。僕は女性には優しくが信条の男ですからね」

 そう言ってふんぞり返った横柄な態度のまま、ヒカサイマはメロディア達を指さした。

「そこな料理人たちは僕の紹介で使わされている。だが、その実この屋敷とお父様の様子を伺わせる偵察の任も言い含めていたのだよ」

 聞いてねーよ。とメロディアは心の中で呆れかえった。
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