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閑話 メロディアの仕事

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 部屋を出たメロディアは扉の外から眠りの魔法をかけた。万が一にも悟られたくはないというのもあったが、それよりも睡眠くらいは何の気兼ねもなく取ってもらいたいという思いからだった。

 元々完全に覚醒していた訳ではないヤタムは再び夢の中に戻っていく。

 そうして彼女が寝入ったのを見届けるとメロディアは足早に厨房に戻る。すると中には既にドロマーがシャニスの部屋から戻ってきていた。

「ドロマーさん? 早すぎませんか?」
「夢に入れずおめおめと戻ってきてたぞ」
「言い方~」
「入れなかった? 起きてたんですか?」
「いえ、そうではなくって…あの方、認知症が始まっていらっしゃいます」
「認知症?」

 メロディアは母の教えの一つを思い出していた。

認知症の人間の夢は一切のルールやセオリーが通用しないばかりか、唐突に精神が隆起と陥没を繰り返すので下手をすると一生出てこれなくなる。認知症の人間と同じ理由で7歳になっていない子供の夢に入るのは夢魔にとってはかなりの危険が伴う行為…夢への侵入を躊躇ったのは正解だ。

 それよりも何よりもシャニスが認知症であるという事実が判明したことで、点々としていたおぼろげな事柄が線になって繋がっていった。

「なるほど…」
「メロディア君の方は無事に夢には入れたようですけど、収穫はあったんですか?」
「ええ。ドロマーさんもありがとうございます。これで何となく想像が付きました。ひとまず僕なりに考えた事がありますんで聞いてもらえますか?」
「ええ。聞かせてください」

 そういうとドロマーとレイディアントは適当な場所に腰を掛けた。

 メロディアは湯を沸かし、お茶を入れながら現段階で判明している事を元に今のローナ家とそこに巻き起こらんとしている謀略とを予想して話し始めた。
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