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閑話 メロディアの仕事
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しおりを挟むそれから二人は何事もなかったかのようにアガタフホテルに戻った。
いや、何事もなかったは嘘かも知れない。
醜態を晒したレイディアントは真っ赤な顔を更に涙ぐませては、殺気をメロディアに向かって飛ばしていた。レイディアントは何とか自らの悪癖が出ないように彼と敵対関係になりたいという一心だったからだ。
勇者と魔王の血を継ぐメロディアの実力は本物。ホテルに戻った後も槍を構え、戦闘態勢を維持する。それでようやく甘え癖を堪えることができる。それほどまでにメロディアの実力は高かった。逃げ出す叶わない今、それこそが唯一レイディアントの取れる抵抗だ。
「居心地が悪いですね」
「なら我をさっさと見限って追い出せば良かろう」
「けどそうしたら母さんとかそこら辺の悪人を殺しにかかるじゃないですか」
「当然でだ」
「うーむ」
メロディアはどうしたものかと思案するばかりで良い策がまるで浮かばない。するとレイディアントが聞いてきた。
「ところで、ドロマーは何処に?」
「ちょっと事情がありまして別行動してます」
「この街には他の皆もいるのか?」
「いえ、ドロマーさんだけです…丁度いいのでもう一度、僕の素性と他の【八英女】の事をお話します。多少ショッキングかも知れませんが」
と、予防線を張った上でメロディアは昨日から自分の身に起こっている事を話して聞かせた。とは言え半分以上は既に彼女自身が予想していた内容であるし、先ほど暴れ出した時に教えた内容の繰り返しになっている。
「そうか…そのようなことになっていたとは」
「ええ。【八英女】に関して言えば僕も少なからずショックを受けています」
しばらくの沈黙の後、レイディアントは構えを解き一つ提案をしてきた。
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