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堕ちた守護天使

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 二人はぎこちない距離を保ちながら部屋外に出た。

 メロディアは先ほどのドロマーの反省を活かしてレイディアントに外套を被ってもらうように言った。奇抜とは言え修道女の格好もしているので、恐らく余計なちょっかいを掛けられる可能性は減っているだろう。

 念のためフロントにドロマー宛の言伝を頼む。

 そしてホテルの外に出た後、メロディアはクラッシコ王国の兵士駐屯所を目指して歩き始めた。すると一つ心配事が浮かんだ。誤解を招く前に先んじて言っておくことにする。

「レイディアントさん」
「…何だ?」
「今から兵士の駐屯所に行きますが、別に引き渡すなんてことは考えていないですから。暴れたりはしないでください」
「流石にな…」
「え?」
「流石に二度も後れを取った相手を前にして無謀な事は考えぬさ。貴様が本気を出せば我くらいは一捻りだろう?」
「…」
「だがな、我が改心したとは思わぬことだ。あの部屋で話したことは真実だ。魔王の血を引く貴様に飼いならされることは永劫あり得ぬことだ」

 レイディアントは短いながらも強烈な殺気をメロディアに向かって飛ばしてきた。

 そのセリフは「迷子にならないように僕の服の袖をつまみながら言わないでください」とは言わなかった。何だか面倒くさいことになりそうだったから。

 部屋であんなことがあってから言動の端々に幼さが見え隠れしているような気がしてならない。おかげで見た目とのギャップで頭が混乱しそうになってしまう。

 幼児退行が残留でもしているのだろうか、と色々な考えが頭の中を巡ったがそれは今は些細な問題だった。

 どんな考えであるにしろ、とにかく自分に敵意がない事を分かってもらえればそれでよかった。
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