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堕ちた守護天使
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しおりを挟むそんな二人のやり取りを見ていた貴族の坊ちゃんとやらが痺れを切らせたようにまくし立ててきた。
「おい! 何をごちゃごちゃ喋っている。女、さっさと僕について来い。僕を誰だと思ってるんだ!」
「ワオ。こんなテンプレな人いるんですね♡ うえへへ」
「アンタもテンプレ側だよ」
そう言い終わるとドロマーはわざわざメロディアの後ろに回り込んだ。
「お許しください。私には心に決めた人がいるのです」
「へっへ。そんなチビよりヒカサイマ様に可愛がってもらいな。あの人が飽きたらオレ達が遊んでやるからよ」
「そ、そんな…参考までに伺いますけどヒカサイマ様の元には何人くらいの護衛がいらっしゃるんですか?」
「オレ達みたいな腕利きが十人はいる。痛い目を見ないうちについてきた方が身のためだぜ」
するとドロマーは巨漢の手を掴むとわざと手を後ろに回させ関節を極められているように装った。すると芝居がかったセリフを飛ばす。
「お許しください。ああ、メロディア君。助けてー。十人もの飢えた獣たちが私を弄ぼうとしているー」
「え、え……え?」
巨漢は混乱している。そして手を引かれるままローナのところに、むしろ連れてこられたような形になっている。
しかしヒカサイマは全く気が付かず、満足そうに笑っている。
「ぐふふ。よくやったぞ、ヤッキム」
「え、あ…はい」
ドロマーを攫った一行はメロディアに捨て台詞を吐いて去っていく。角を曲がって見えなくなるまでメロディアは茫然としていた。勿論ドロマーに対してだ。
「ここでついて行くヒロインってどうよ…」
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