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妖怪屋敷のご令嬢が寮の代表生徒に選ばれます
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他の生徒たちは抽選で選ばれた寮に行く前に集められているらしく、ひとまずはそこまで移動する手はずとなっていた。順路の関係で最初に『高慢の寮』に選ばれた人たちが待機している部屋に辿り着く。つまりは私と波路が置き去りにされるという事だ。
「今後の詳しいことは寮生の先輩から聞くように」
スオキニ先生はそう言い残して6人となった【七つの大罪】の生徒たちを再び先導する。六人はこちらに思い思いの別れの挨拶をして廊下の闇へと消えていった。
私はと言えば未だに現実逃避を試みて、セミの抜け殻のような状態で立ち尽くしている。何とか活力を取り戻せたのはこっちのことなどまるで気にせずに能天気な声を出した波路に対して怒りを覚えたからだ。
「入りましょうか、亜夜子さん」
「マジでふざけんなよ、お前…」
部屋の扉へはほんの数歩の距離だったのに、やけに遠いものに思える。
鉛のように重くなった足を引きづっている気分だ。それと同時に夢にまで見ていた魔術アカデミーでの未来予想図もどんどんと鉛色に変色していく。鉛でも飲んだかのように胃は重くなり、もしここにピストルがあれば闇に乗じて何のためらいもなく鉛玉をぶち込んでいたに違いない。
それでも私にはこの扉を開けるしかない。このバカがいたところで、私がこの学園でやるべきことは変わらないのだから。
◇
一応は私が今期の主席合格者で高慢の寮のリーダーという事なので、先に立って扉を開けた。中には十数人の同級生がおり、私達が入った瞬間にお喋りを止めてこちらに注視してきた。それからしばらくの間、沈黙が流れてしまい私はてっきり入る部屋を間違えたのではないかと錯覚してしまった。
「何これ? 何で黙ってるの?」
「さあ」
波路に聞いたところでまともな返事が返ってくるわけもないのに、聞かずにはいられなかった。ところが私がまかりなりにも声を出したのが功を制したのか、一番近くにいた男子が恐る恐る私に話しかけてきたのだ。
「あの…」
「何か?」
「さっきの試験で『冒涜の行動』を使った方ですよね?」
「そうですけど」
沈黙、再び。
が、今度の沈黙はすぐに別の女子が一歩だけ歩み寄って尋ねてきた。
「やっぱり、コルドロン・アクトフォーの弟子なんですか?」
「ええ。おっしゃる通りコルドロン・アクトフォーの弟子、アヤコ・サンモトです」
「ここに来たという事は、つまり『高慢の寮』の代表ということで…?」
「はい。先ほど『七つの大罪』のうち、高慢のブローチを頂きました。皆さんと同じ寮生です。仲良くしてくださいね」
…。
沈黙3rd Season.
何なんだ一体。もしかしてからかわれている? 口裏を合わせておいて集団でいじめを決行しているの? それともアメリカの高校はこんな感じが普通?
色々な考えが錯綜したが答えが出るはずもなかった。しかたなく私からコンタクトを取ろうと声を出そうとした時、黙り込んでいた教室の全員が雄叫びとも絶叫とも言えるような声を出して喜んだ。
「「うおおおおぉぉぉっっ!!!」」
予想していなかった歓声に、不覚にもビクっと体を強張らせてしまった。けどそんな醜態は誰も見ていない。声を荒げて喜びを体現しているばかりだった。
「あの伝説の魔女の弟子と同じ寮だぁ!」
誰も私の事など忘れたかのように盛り上がっている。酒の入った妖怪でもここまで狂喜乱舞はできないぞ…。
あの波路まで困惑しているのだから、相当な騒ぎだった。
「大げさすぎないですか?」
「そんなことないって」
そんな返事がすぐ横から聞こえてきた。このお祭り騒ぎの中にあって、その人の声は不思議とかき消されずに私の耳に届いた。声の主は勿論、波路じゃない。こいつはこんなに利口そうな声じゃないからすぐわかった。
「まず主席合格おめでとう、アヤコ・サンモトさん。僕は二年寮長のレオツルフ。よろしく」
差し出されてきた握手に応じながら自己紹介をする。レオツルフと名乗った男子生徒は私よりも頭二つ分背が高く、波路も少し見上げる程度の身長だ。その反面、体格は決して太くなく木の枝を思わせるような体格だ。おまけにかけている意味があるのか分からない程に縁が小さいメガネが、より一層薄弱さを演出している。
しかし『高慢の寮』の二年寮長という事はつまりは去年の学年主席合格者という事だ。それだけで利用価値は十分。すぐさま営業スマイルで握手に応じた。
「ありがとうございます。先輩、という訳ですね」
「ま、学年はね。コルドロン・アクトフォーの弟子と言うなら、あっという間に実力は抜かされるかもね。もしかして既に僕より優秀だったりして」
「ふふふ」
不敵に笑って見せる。どう受け取るかは相手に委ねてしまえばいい。
「ところで、今そんな事はないと仰いましたけど、どういう事でしょうか?」
「ああ、それ? 学年主席と同じ寮ならステータスになるだろう。寮が違えば競争意識が芽生えたり、反対に同じ寮生には仲間意識ができたりするし。実力者と同じ屋根の下というのは彼らからしたら安心感が生まれるのは当然さ」
「なるほど」
「それに実際に明後日には寮同士で競い合うイベントだってあるし」
「イベント?」
「詳しくは寮に行ってからでもいいだろう」
「わかりました。では黙らせます。」
私はまだ騒いでいる一年生たちに目もくれずに指だけを鳴らした。途端にこの教室の空気が凍り付く。その冷気に生徒たちの声まで一瞬で固まってしまう。
実際は一瞬だけ魔力を増大させて、その気配を部屋に充満させただけ。要するに威嚇射撃のようなものだ。全員が固唾を飲んで押し黙ってしまった。レオツルフでさえも、こめかみに冷や汗を掻いているようだ。
「流石だね。じゃあ移動しよう…でも」
「でも?」
「さっきから気になっていたんだけど、そっちの彼は? 二人で入ってきたから少し驚いてしまった」
私は余計な事は言うなと念を送る意味で波路を睨みつけた。この眼力にだって魔力をふんだんに乗せたつもりだったのに、当の本人は相変わらずのニヤケ面で暢気な挨拶をし始めた。
「はい。カツトシ・ナミチと言いまして、アヤコさんの臣下をしております」
「シンカ?」
「ストーカーと言う意味の日本語です」
「ちょっと、亜夜子さん!?」
私がそういうとレオツルフと前列の生徒たちが顔をこわばらせた。こうなったらコイツに余計な事を吹き込まれる前に、私が全員に正しい知識を埋め込んだ方が手っ取り早い。
如何にも気持ち悪そうに、私はレオツルフの後ろへ庇護欲を感じさせるように隠れた。
「日本から黙ってついてきたんです」
「それは気持ち悪いね」
「二人で入ってきたのは彼が最下位の成績で合格したからです。少々どころではない問題を起こしたので、教師陣から説教を受けていたそうです」
「なるほど、さっき繰り上げ合格で一人出ていったから何事かと思ってたら、原因が彼だったという訳か」
…もう出て行った? 大分根回しが早いな。
「そういう事です。本当にご迷惑をかけて同じ日本人として恥ずかしいですわ」
「あの…」
「ま、追々話は聞くよ。まずは移動だ。全員、寮に行く準備をしてくれ」
「皆さん、申し訳ないのですけれど彼を遠ざけていただけないかしら。本当に怖くって…」
先手必勝。先ほどの反省を活かして、さっさと周囲をこちらの味方につける作戦に出た。そしてそれは見事に成功する。これならコォムバッチ校長の言いつけ通り、あの講堂で起こった余計なトラブルを隠して話が進められる。我ながら妙案だと思った。目論見通りに【七つの大罪】に選ばれた生徒よりも、ここにいる連中は私の機嫌を取って媚びてくれるような奴ばかり。すぐに上の下くらいの実力はあるであろう数人の男子生徒が、私達の間に割って入ってバリケードどなってくれた。
それに釣られるように残りの男子たちが続々と壁役を買って出てくれたおかげで、波路の姿は瞬く間に人だかりの向こうへと消えていった。
「亜夜子さぁぁぁぁん」
「今後の詳しいことは寮生の先輩から聞くように」
スオキニ先生はそう言い残して6人となった【七つの大罪】の生徒たちを再び先導する。六人はこちらに思い思いの別れの挨拶をして廊下の闇へと消えていった。
私はと言えば未だに現実逃避を試みて、セミの抜け殻のような状態で立ち尽くしている。何とか活力を取り戻せたのはこっちのことなどまるで気にせずに能天気な声を出した波路に対して怒りを覚えたからだ。
「入りましょうか、亜夜子さん」
「マジでふざけんなよ、お前…」
部屋の扉へはほんの数歩の距離だったのに、やけに遠いものに思える。
鉛のように重くなった足を引きづっている気分だ。それと同時に夢にまで見ていた魔術アカデミーでの未来予想図もどんどんと鉛色に変色していく。鉛でも飲んだかのように胃は重くなり、もしここにピストルがあれば闇に乗じて何のためらいもなく鉛玉をぶち込んでいたに違いない。
それでも私にはこの扉を開けるしかない。このバカがいたところで、私がこの学園でやるべきことは変わらないのだから。
◇
一応は私が今期の主席合格者で高慢の寮のリーダーという事なので、先に立って扉を開けた。中には十数人の同級生がおり、私達が入った瞬間にお喋りを止めてこちらに注視してきた。それからしばらくの間、沈黙が流れてしまい私はてっきり入る部屋を間違えたのではないかと錯覚してしまった。
「何これ? 何で黙ってるの?」
「さあ」
波路に聞いたところでまともな返事が返ってくるわけもないのに、聞かずにはいられなかった。ところが私がまかりなりにも声を出したのが功を制したのか、一番近くにいた男子が恐る恐る私に話しかけてきたのだ。
「あの…」
「何か?」
「さっきの試験で『冒涜の行動』を使った方ですよね?」
「そうですけど」
沈黙、再び。
が、今度の沈黙はすぐに別の女子が一歩だけ歩み寄って尋ねてきた。
「やっぱり、コルドロン・アクトフォーの弟子なんですか?」
「ええ。おっしゃる通りコルドロン・アクトフォーの弟子、アヤコ・サンモトです」
「ここに来たという事は、つまり『高慢の寮』の代表ということで…?」
「はい。先ほど『七つの大罪』のうち、高慢のブローチを頂きました。皆さんと同じ寮生です。仲良くしてくださいね」
…。
沈黙3rd Season.
何なんだ一体。もしかしてからかわれている? 口裏を合わせておいて集団でいじめを決行しているの? それともアメリカの高校はこんな感じが普通?
色々な考えが錯綜したが答えが出るはずもなかった。しかたなく私からコンタクトを取ろうと声を出そうとした時、黙り込んでいた教室の全員が雄叫びとも絶叫とも言えるような声を出して喜んだ。
「「うおおおおぉぉぉっっ!!!」」
予想していなかった歓声に、不覚にもビクっと体を強張らせてしまった。けどそんな醜態は誰も見ていない。声を荒げて喜びを体現しているばかりだった。
「あの伝説の魔女の弟子と同じ寮だぁ!」
誰も私の事など忘れたかのように盛り上がっている。酒の入った妖怪でもここまで狂喜乱舞はできないぞ…。
あの波路まで困惑しているのだから、相当な騒ぎだった。
「大げさすぎないですか?」
「そんなことないって」
そんな返事がすぐ横から聞こえてきた。このお祭り騒ぎの中にあって、その人の声は不思議とかき消されずに私の耳に届いた。声の主は勿論、波路じゃない。こいつはこんなに利口そうな声じゃないからすぐわかった。
「まず主席合格おめでとう、アヤコ・サンモトさん。僕は二年寮長のレオツルフ。よろしく」
差し出されてきた握手に応じながら自己紹介をする。レオツルフと名乗った男子生徒は私よりも頭二つ分背が高く、波路も少し見上げる程度の身長だ。その反面、体格は決して太くなく木の枝を思わせるような体格だ。おまけにかけている意味があるのか分からない程に縁が小さいメガネが、より一層薄弱さを演出している。
しかし『高慢の寮』の二年寮長という事はつまりは去年の学年主席合格者という事だ。それだけで利用価値は十分。すぐさま営業スマイルで握手に応じた。
「ありがとうございます。先輩、という訳ですね」
「ま、学年はね。コルドロン・アクトフォーの弟子と言うなら、あっという間に実力は抜かされるかもね。もしかして既に僕より優秀だったりして」
「ふふふ」
不敵に笑って見せる。どう受け取るかは相手に委ねてしまえばいい。
「ところで、今そんな事はないと仰いましたけど、どういう事でしょうか?」
「ああ、それ? 学年主席と同じ寮ならステータスになるだろう。寮が違えば競争意識が芽生えたり、反対に同じ寮生には仲間意識ができたりするし。実力者と同じ屋根の下というのは彼らからしたら安心感が生まれるのは当然さ」
「なるほど」
「それに実際に明後日には寮同士で競い合うイベントだってあるし」
「イベント?」
「詳しくは寮に行ってからでもいいだろう」
「わかりました。では黙らせます。」
私はまだ騒いでいる一年生たちに目もくれずに指だけを鳴らした。途端にこの教室の空気が凍り付く。その冷気に生徒たちの声まで一瞬で固まってしまう。
実際は一瞬だけ魔力を増大させて、その気配を部屋に充満させただけ。要するに威嚇射撃のようなものだ。全員が固唾を飲んで押し黙ってしまった。レオツルフでさえも、こめかみに冷や汗を掻いているようだ。
「流石だね。じゃあ移動しよう…でも」
「でも?」
「さっきから気になっていたんだけど、そっちの彼は? 二人で入ってきたから少し驚いてしまった」
私は余計な事は言うなと念を送る意味で波路を睨みつけた。この眼力にだって魔力をふんだんに乗せたつもりだったのに、当の本人は相変わらずのニヤケ面で暢気な挨拶をし始めた。
「はい。カツトシ・ナミチと言いまして、アヤコさんの臣下をしております」
「シンカ?」
「ストーカーと言う意味の日本語です」
「ちょっと、亜夜子さん!?」
私がそういうとレオツルフと前列の生徒たちが顔をこわばらせた。こうなったらコイツに余計な事を吹き込まれる前に、私が全員に正しい知識を埋め込んだ方が手っ取り早い。
如何にも気持ち悪そうに、私はレオツルフの後ろへ庇護欲を感じさせるように隠れた。
「日本から黙ってついてきたんです」
「それは気持ち悪いね」
「二人で入ってきたのは彼が最下位の成績で合格したからです。少々どころではない問題を起こしたので、教師陣から説教を受けていたそうです」
「なるほど、さっき繰り上げ合格で一人出ていったから何事かと思ってたら、原因が彼だったという訳か」
…もう出て行った? 大分根回しが早いな。
「そういう事です。本当にご迷惑をかけて同じ日本人として恥ずかしいですわ」
「あの…」
「ま、追々話は聞くよ。まずは移動だ。全員、寮に行く準備をしてくれ」
「皆さん、申し訳ないのですけれど彼を遠ざけていただけないかしら。本当に怖くって…」
先手必勝。先ほどの反省を活かして、さっさと周囲をこちらの味方につける作戦に出た。そしてそれは見事に成功する。これならコォムバッチ校長の言いつけ通り、あの講堂で起こった余計なトラブルを隠して話が進められる。我ながら妙案だと思った。目論見通りに【七つの大罪】に選ばれた生徒よりも、ここにいる連中は私の機嫌を取って媚びてくれるような奴ばかり。すぐに上の下くらいの実力はあるであろう数人の男子生徒が、私達の間に割って入ってバリケードどなってくれた。
それに釣られるように残りの男子たちが続々と壁役を買って出てくれたおかげで、波路の姿は瞬く間に人だかりの向こうへと消えていった。
「亜夜子さぁぁぁぁん」
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