上 下
8 / 17

装備調達

しおりを挟む
 家から飛び出した後、武具屋に来た。

「やっぱり冒険の準備って言ったら、装備だよな!」

 オンラインゲームなんかでは、新しい装備を買う時が一番ワクワクする。
 店の中には様々な形や大きさの剣や槍、斧などが壁に立て掛けられていた。
 さらに金属製の鎧や革で作られたであろう胸当てや、魔導師が来てそうなローブなんかも置いてある。

「うお、すげぇ! これとか、かっこいいじゃん!」

 立て掛けてあった少し大きめな剣を持ち上げた。
 かっこよかったが、重すぎて持つ手がぷるぷると震える。

「こ、これは俺には早いな……」

 傷つけないように、元ある場所へと戻す。

「なぁ、アト。何かオススメの武器とか防具とかはあるか?」

 基本的にわからない事や、アドバイスが欲しい時はアトに聞くのがいい。
 きっと的確な答えを返してくれるはずだから。

「うーん、何でもいいんじゃなーい?」

 興味なさそうだった。
 あっそ。そういう態度とるんだ。ふーん。

「そっか。俺よくわからないし武器も防具もこの店で一番高いやつ買うわ。値段が高いなら性能も良いだろ」

 片っ端から値段の高いやつを選んでいく。

「あー、でも、これだとギルドからもらった報奨金だけじゃ全然足りないわー。まぁ、ストリ様からもらったお金があるから大丈夫か」

 興味なさそうにその辺を飛んでいたアトの動きが、ピタッと止まった。

「えーっと、カシュ? 武器はそれよりこっちの方がいいわよ。値段の割に丈夫だし見たところ切れ味もけっこうありそうだから」
「え、でも、こっちの方が性能いいんでしょ?」
「いやいや! かけだし冒険者には、かけだし冒険者なりの装備があるわ! カシュはまだ冒険者になりたてで重い武器や防具は合わないから、さっき勧めた剣と、そうね……防具は、この比較的軽くて丈夫そうな手甲と胸当てと脛当て……うん、この三つがいいわ!」

 アトが次々とオススメの武器や防具を選んでいく。

「それと覚えておいて。かけだし冒険者が高価な武器や防具を身に着けていると、それだけで盗賊とかに狙われる危険性があるわ」

 アトが心配している。俺ではなく、自分の金を。
 それでも言っていることは最もで、選んでくれた武具も俺に合いそうな物ばかりだった。
 試着してみると体にぴったりと合い動きやすい。
 先ほどまで選んでいた装備を買うのをやめ、アトに勧められた片手剣と鉄よりは軽い白銀色の防具を買った。
 それを見たアトは安堵の表情を浮かべている。
 オマケで買った短剣のせいで報奨金だけでは足りず、アトのお金から少し出したのは黙っておこう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ものひろいの能力もらったけど魔法と恋愛に夢中です。

紫雲くろの
ファンタジー
前代未聞の転生者特典を大量使用、チートVSチートなど今までにないド派手バトル描写が多いので、俺つえーに飽きた人にオススメです。 ごく一般的な社畜だった主人公コウは事故により異世界転生を果たす。 転生特典でもらった一定間隔でランダムにアイテムが手に入る能力”ものひろい”により 序盤にて伝説級アイテムの聖剣を手に入れて世界最強かと思いきや、そこに転生特典を奪う強敵が現れたり、リアルチートの元嫁が来たりと忙しい日々を送る。 チートマシマシ&強敵マシマシ、バトルラブコメ物語。 こちらの作品もよろしくおねがいします。こちらはギャグ増々でお送りしてます。 豪運少女と不運少女 小説家になろう様にも投稿しております。

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。 魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。 だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。 見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。 「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?

伽羅
ファンタジー
 転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。  このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。  自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。 そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。 このまま下町でスローライフを送れるのか?

天才魔法使いの未来まで巻き込んだ隠し子騒動

藤田 晶
ファンタジー
魔法が日常にある世界。その昔、魔法を創り出した大賢者マーリンによって、魔法は誰でも使える力となった。しかし、そのマーリンには誰も知らない重大な秘密があった。数千年後の世界で、天才的魔法使いがマーリンの失われた真実を見つけ出すために、魔法を使い世界を変える。 これは、偉大なる魔法使いの予言の書であり、終わりに向けた物語。 ※異世界転生、異世界前世、逆ハーレム、BL要素一切ございません。 ※なろう様で先行更新中 なろう様で公開しているところまでは何回かにわけてですがすぐに更新予定です。追いつき次第章ごとの公開に切り替え予定です。 なろう→ https://ncode.syosetu.com/n6619ew/

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

処理中です...