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15:初夜終了の噂
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ベッドの上で、全裸で胡坐を組んでいるオリオンに向き合い、私は片手に医学書、反対側の手で下着の紐を解きながら解説を始める。
「一般的に女性の生殖器が見える部分は陰裂と呼ばれ、外部からでは分かりにくい造りになっています。左右の大陰唇を広げると、内部に保護されている尿道口や女性器が確認できます。陰核は男性で言うところの陰茎で、ここの刺激により性的に興奮すると、普段は閉じている小陰唇が開きます。妊娠するための膣口はこの奥ですね」
出来るだけ図解と同じになるよう頑張っているが、人を撲殺できそうな厚さの医学書を片手に持ちながらは辛い。指も痺れてプルプルしてきたので開いたまま膝に立てかけ、自分で陰核に触れてみる……刺激はあるが、あまり気持ちよくはない。やっぱり異性に触れてもらわないとダメなんだろうか? でも女性も自慰ができると聞いたし……(私はした事がないが)
「尿道口、膣口、肛門は近い場所にあるので、間違えないよう位置を覚えておいてください。性交とは膣で男女の性器を結合させる事ですから、衛生面や粘膜の保護は極めて重要です。女性は快感によって膣内から愛液を分泌させ、行為をスムーズに行いますが、上手くいかない時は潤滑油などでぬめりを助けます。この部屋には香油が用意されていましたが、これも匂いが気になるのでしたら買い直しましょう。町に香り物の専門店があったはずです」
医学書の文章をなぞりながら、ふと思う。
性的興奮って何だ……いや意味は分かるけども。男性は割と分かりやすい反応らしいが、女性は果たしてどの段階で異性に対して性的興奮を覚えるのか? 性交中だと遅過ぎるし、上半身は場合によって露わにする機会も多いため、それぐらいとも考えにくい。漏らすのが日常茶飯事になってしまっては大変だ。
では、下半身を見た時? 確かに動揺はしたけれど、性的かどうかは分からない。
……と、ここで私はオリオンの方は興奮しているのか初めて気になった。ベビードールを「頭の悪い格好」と言ってるところからして、服装はダメなのは分かったが。初めて女性器(※人)を前にして、動物的本能を刺激してはいないだろうか。
私は医学書の男性のページを捲り、さっきから無言になっているオリオンの股間と見比べた。
「……え」
男性器の図解には【通常時】と【興奮時】が載っている。性交は興奮時に行うものだが、図解に近いのはどう考えても【通常時】だった……と言うか、バスローブを脱いだ時点と何も変わっていなかった。
(全く興奮していない……? いや私もだけど。そう言えば殿方は自慰の時は手で男性器に刺激を与えるらしいから、ここでボーッと見てるだけじゃダメなのかも知れない)
そう考えた私は、直接触れようと手を伸ばし――
バシッ!
「何すんだ、バカ!」
悲鳴のような怒号で手を払われた。真っ赤な顔で睨み付けられるが、決して興奮しているわけではないのは分かる……物理的に。
じんじん痺れている手を押さえ、呆気に取られる私を残してベッドから下りた彼は、椅子に引っかけていたバスローブを羽織って帯を結ぶ。
「さっきからわけわかんねーし気持ち悪い事するし、付き合ってられっか! 今日は自分の部屋で寝るから勝手にしろ、クソが!」
怒鳴りつけながら彼の部屋に続くドアに手をかけ――
「あんたもさっさと服着て寝ろ。窓全開で丸出しだと風邪ひくぞ」
それだけ言うと、ぴしゃりと閉められてしまった。
「……」
残された私はしばらく動けなかったが、唐突なくしゃみで我に返った。オリオンの言う通り、夜中に窓を開けっぱなしで半裸のままは寒い。下着を着け直すと窓を閉め、一人ベッドに潜り込む。
本番ではないとは言え、初夜はちっとも気持ち良くなかった。濡れるどころか、空気に晒されて乾いている始末。明らかに失敗だっただろう。
ではどうすればよかったのか、なんて今の私には思い付きもしなかったが……
「一般的に女性の生殖器が見える部分は陰裂と呼ばれ、外部からでは分かりにくい造りになっています。左右の大陰唇を広げると、内部に保護されている尿道口や女性器が確認できます。陰核は男性で言うところの陰茎で、ここの刺激により性的に興奮すると、普段は閉じている小陰唇が開きます。妊娠するための膣口はこの奥ですね」
出来るだけ図解と同じになるよう頑張っているが、人を撲殺できそうな厚さの医学書を片手に持ちながらは辛い。指も痺れてプルプルしてきたので開いたまま膝に立てかけ、自分で陰核に触れてみる……刺激はあるが、あまり気持ちよくはない。やっぱり異性に触れてもらわないとダメなんだろうか? でも女性も自慰ができると聞いたし……(私はした事がないが)
「尿道口、膣口、肛門は近い場所にあるので、間違えないよう位置を覚えておいてください。性交とは膣で男女の性器を結合させる事ですから、衛生面や粘膜の保護は極めて重要です。女性は快感によって膣内から愛液を分泌させ、行為をスムーズに行いますが、上手くいかない時は潤滑油などでぬめりを助けます。この部屋には香油が用意されていましたが、これも匂いが気になるのでしたら買い直しましょう。町に香り物の専門店があったはずです」
医学書の文章をなぞりながら、ふと思う。
性的興奮って何だ……いや意味は分かるけども。男性は割と分かりやすい反応らしいが、女性は果たしてどの段階で異性に対して性的興奮を覚えるのか? 性交中だと遅過ぎるし、上半身は場合によって露わにする機会も多いため、それぐらいとも考えにくい。漏らすのが日常茶飯事になってしまっては大変だ。
では、下半身を見た時? 確かに動揺はしたけれど、性的かどうかは分からない。
……と、ここで私はオリオンの方は興奮しているのか初めて気になった。ベビードールを「頭の悪い格好」と言ってるところからして、服装はダメなのは分かったが。初めて女性器(※人)を前にして、動物的本能を刺激してはいないだろうか。
私は医学書の男性のページを捲り、さっきから無言になっているオリオンの股間と見比べた。
「……え」
男性器の図解には【通常時】と【興奮時】が載っている。性交は興奮時に行うものだが、図解に近いのはどう考えても【通常時】だった……と言うか、バスローブを脱いだ時点と何も変わっていなかった。
(全く興奮していない……? いや私もだけど。そう言えば殿方は自慰の時は手で男性器に刺激を与えるらしいから、ここでボーッと見てるだけじゃダメなのかも知れない)
そう考えた私は、直接触れようと手を伸ばし――
バシッ!
「何すんだ、バカ!」
悲鳴のような怒号で手を払われた。真っ赤な顔で睨み付けられるが、決して興奮しているわけではないのは分かる……物理的に。
じんじん痺れている手を押さえ、呆気に取られる私を残してベッドから下りた彼は、椅子に引っかけていたバスローブを羽織って帯を結ぶ。
「さっきからわけわかんねーし気持ち悪い事するし、付き合ってられっか! 今日は自分の部屋で寝るから勝手にしろ、クソが!」
怒鳴りつけながら彼の部屋に続くドアに手をかけ――
「あんたもさっさと服着て寝ろ。窓全開で丸出しだと風邪ひくぞ」
それだけ言うと、ぴしゃりと閉められてしまった。
「……」
残された私はしばらく動けなかったが、唐突なくしゃみで我に返った。オリオンの言う通り、夜中に窓を開けっぱなしで半裸のままは寒い。下着を着け直すと窓を閉め、一人ベッドに潜り込む。
本番ではないとは言え、初夜はちっとも気持ち良くなかった。濡れるどころか、空気に晒されて乾いている始末。明らかに失敗だっただろう。
ではどうすればよかったのか、なんて今の私には思い付きもしなかったが……
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