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12:認識共有の噂
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「旦那様、子供はどのようにして作るのかはご存じですか?」
「はぁ? バカにしてんのか」
オリオンにムッとした声を返されるが、本人が子供なのだ。肝心の養父もマナーに関しての教育が不完全だったし、本番前に双方の認識を擦り合わせておく必要がある。
「一応言っておきますが、コウノトリが連れてくるのではありませんよ」
「知ってるよ! 男の精子と女の卵子が出会って受精卵ってのになったら、分裂しながら人の形になってくんだろ。二年前に白いションベンみたいなのが漏れてて病気になったのかと心配してたら、師匠が教えてくれた」
何だ、分かってるじゃないか……精通の詳細までは別に要らなかったが、大賢者ピエールはきちんと親として導いていたようだ。まあ、肝心なのはそこからだけど。
「では精子と卵子はどのようにして出会うのか、具体的な話はされていますか?」
「話っつーか……獣とか昆虫の交尾は何匹か見せられたな」
交尾か……全く参考にならないわけでもないが、傍から見ているだけでは勘違いしている可能性がある。ポーズだけ真似してうっかり後ろを、なんて事になったら大惨事。
「人間では……と言うより、貴方自身が異性とお付き合いした経験は?」
「あんまり興味なかったな。酒飲んでるおっさんが派手な姉ちゃんとベタベタしてたり、学園でも気取った女に男がペコペコご機嫌取っててさ。ああはなりたくねえよ」
ローズマリーにデレッとしているから、少なくとも興味はあると思っていたが、恋愛に対して嫌悪感のようなものを抱いている。もっとも、彼女はいい子だし間違いなく可愛い。年齢さえクリアできていれば問題なかっただろう。
「それなのに三つも年上の女と番う羽目になるなんて……役目とは言え同情します」
「賭けに負けたからには潔く諦めるよ。逃げ回るのも情けないしな」
私との結婚、完全に罰ゲーム扱い。
受け入れてくれただけでも良しとすべきなのだろうか、うーん……
「なんで今更そんな事を? 偉そうに言っといて怖気づいたのか?」
「わたくしの覚悟はとうにできております」
世界のために貴方を人柱(※種馬)にするという覚悟が。
「ただ一口に子作りと言いましても、どこから始めるべきなのか、あらかじめ決めておこうと思いまして」
「どこからって……順番があるのか?」
「一般的にはキスが最初に来ますね」
「ウェッ」
獣の交尾と同じでもいいが、試しに一般論を語ったところ、あからさまに嫌がられたのでキスは除外とする。
「あとは、お互いの体に触れ合ったり」
「どこを触るんだ?」
「個人の自由ですけど……胸、とか」
「子作りに必須なのか?」
「いいえ、特には」
「んじゃ別にいいや」
……何だ、このやり取り。物凄くどうでもいい事を、大真面目に語っているだけの気がする。いや、オリオンの傾向が見えてきたではないか。
(彼は私にまっったく興味がないし、できれば触れたくない。精神年齢が幼過ぎて、反応が悪ガキのそれ。よって本番では前戯なしの性交のみが望ましい……)
いや大丈夫か、これ?
いくら私の方が大人だからって、導く立場だからって、未経験の子供相手に無茶が過ぎる。と言うか私も未経験なんですけど!
「少し……考えさせてください」
「? 分かった」
首を傾げながらも書庫から出ていくオリオンに続いて、私は屋敷の探索に戻った。
「はぁ? バカにしてんのか」
オリオンにムッとした声を返されるが、本人が子供なのだ。肝心の養父もマナーに関しての教育が不完全だったし、本番前に双方の認識を擦り合わせておく必要がある。
「一応言っておきますが、コウノトリが連れてくるのではありませんよ」
「知ってるよ! 男の精子と女の卵子が出会って受精卵ってのになったら、分裂しながら人の形になってくんだろ。二年前に白いションベンみたいなのが漏れてて病気になったのかと心配してたら、師匠が教えてくれた」
何だ、分かってるじゃないか……精通の詳細までは別に要らなかったが、大賢者ピエールはきちんと親として導いていたようだ。まあ、肝心なのはそこからだけど。
「では精子と卵子はどのようにして出会うのか、具体的な話はされていますか?」
「話っつーか……獣とか昆虫の交尾は何匹か見せられたな」
交尾か……全く参考にならないわけでもないが、傍から見ているだけでは勘違いしている可能性がある。ポーズだけ真似してうっかり後ろを、なんて事になったら大惨事。
「人間では……と言うより、貴方自身が異性とお付き合いした経験は?」
「あんまり興味なかったな。酒飲んでるおっさんが派手な姉ちゃんとベタベタしてたり、学園でも気取った女に男がペコペコご機嫌取っててさ。ああはなりたくねえよ」
ローズマリーにデレッとしているから、少なくとも興味はあると思っていたが、恋愛に対して嫌悪感のようなものを抱いている。もっとも、彼女はいい子だし間違いなく可愛い。年齢さえクリアできていれば問題なかっただろう。
「それなのに三つも年上の女と番う羽目になるなんて……役目とは言え同情します」
「賭けに負けたからには潔く諦めるよ。逃げ回るのも情けないしな」
私との結婚、完全に罰ゲーム扱い。
受け入れてくれただけでも良しとすべきなのだろうか、うーん……
「なんで今更そんな事を? 偉そうに言っといて怖気づいたのか?」
「わたくしの覚悟はとうにできております」
世界のために貴方を人柱(※種馬)にするという覚悟が。
「ただ一口に子作りと言いましても、どこから始めるべきなのか、あらかじめ決めておこうと思いまして」
「どこからって……順番があるのか?」
「一般的にはキスが最初に来ますね」
「ウェッ」
獣の交尾と同じでもいいが、試しに一般論を語ったところ、あからさまに嫌がられたのでキスは除外とする。
「あとは、お互いの体に触れ合ったり」
「どこを触るんだ?」
「個人の自由ですけど……胸、とか」
「子作りに必須なのか?」
「いいえ、特には」
「んじゃ別にいいや」
……何だ、このやり取り。物凄くどうでもいい事を、大真面目に語っているだけの気がする。いや、オリオンの傾向が見えてきたではないか。
(彼は私にまっったく興味がないし、できれば触れたくない。精神年齢が幼過ぎて、反応が悪ガキのそれ。よって本番では前戯なしの性交のみが望ましい……)
いや大丈夫か、これ?
いくら私の方が大人だからって、導く立場だからって、未経験の子供相手に無茶が過ぎる。と言うか私も未経験なんですけど!
「少し……考えさせてください」
「? 分かった」
首を傾げながらも書庫から出ていくオリオンに続いて、私は屋敷の探索に戻った。
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