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「おはよー、美酉!」
「うっす、おはよう!」
「おはよ、萌、琴亀君!」
校門で声をかけてきたのは、共通の友達である春瀬萌と琴亀雷矢だ。引っ込み思案な夜羽もこの二人とは気兼ねなく話せる。
「お、おはようございます……」
うん、小声でも気兼ねがない方なのよ。他の子相手だと、私の背中盾にするから。
「もう、シャキッとする!」
「わあっ!!」
肩をバシンを叩くと、その衝撃でよろけて前のめりになっていた。
「……弱過ぎじゃない?」
「ひどいよ、美酉ちゃん……」
「まあまあ。角笛、教室行こうぜ」
男子二人は同じクラスなので、夜羽は琴亀君に引っ張られていった。去年は同じクラスだったけど、二年になって分かれちゃったからなー。ちゃんとやれてるのか心配……
「美酉、おかんの顔になってる。心配しなくても、角笛君って意外とモテるみたいよ」
「うそっ、あれで!?」
気弱で私が一緒じゃないと、ろくに会話もできない夜羽が!? 琴亀君が取り成してくれてて、そっちがモテてるとかじゃないの?
「あれって……ほら、角笛君は可愛い系だし、母性本能擽られるんだよ」
「そうなんだ……悪い女に騙されなきゃいいけど」
「はいはい。それでおかんは、ヒロシ先輩とのデートで何かあったの?」
ギク。何で分かったんだろ……目の腫れはとっくに引いてるのに。
「いつもデートの翌日は、ああしたこうしたって報告くれるじゃない。それがラインも入ってないし、さっきだっていつも通り、角笛君の事ばっかりだったからさ」
そんなに分かりやすかったのか、私。萌には隠し事できないなぁ。
「……別れました」
「えっ!? ちょ、何」
キーンコーンカーンコーン……
詳細を聞こうとした萌を遮るように、チャイムが鳴り響く。焦った私たちは話を打ち切り、遅刻しないよう教室までダッシュした。
△▼△▼△▼△▼
お昼休み、私たち四人は食堂に集合して食べていた。私と夜羽はお弁当だけど、クラス違うし、一緒に食べるとなるとこうなるんだよね。
「いつもながら、角笛の弁当すげぇな……」
「美酉ちゃんや友達と食べるし、残す事もないでしょ?」
夜羽のお弁当は、毎朝炎谷さんが作ってくれる……重箱二段で(運動会かよ)。夜羽の言う通りみんなにお裾分けはしてるとは言え、それでも少し量が多い。運動オンチなのによく太らないわよね。
……なんて考え事をしていたら、ミートボールが奪われた。私のお弁当箱に箸を突っ込んだ犯人は、萌だ。
「美酉、朝の続き!」
「えっ、なになに?」
「いや、だからその……昨日、ヒロシ先輩と別れまして、へへへ」
笑い事じゃないけど、琴亀君が目を丸くするから笑って誤魔化すしかない。
そもそも、私はヒロシ先輩の彼女だったと言えるのだろうか?
半年前の文化祭で知り合ってから連絡を取り合うようになったけど、デートは三ヶ月間、そう頻繁でもなかったし、まだキスすらしていなかった。先輩のあの奔放ぶりから予想すると、知り合って即食われた女子もいそうだし、その中では私との進展は信じられないほど遅かった。誰かにかけてた電話でも、夢見てるって言われてたし、お子ちゃまと遊んであげた、ぐらいの感覚なんだろうな。
「はあ……大変だったな。その割にはあんま落ち込んでないみたいだけど」
「落ち込んだよ! 思いっきり泣いてやっと吹っ切れたんだから」
「その事なんだけど美酉、さっき変な噂が……」
萌が何かを言いかけたその時。
「あんたが牧神君の彼女?」
先輩らしき女子数名に取り囲まれた。
「うっす、おはよう!」
「おはよ、萌、琴亀君!」
校門で声をかけてきたのは、共通の友達である春瀬萌と琴亀雷矢だ。引っ込み思案な夜羽もこの二人とは気兼ねなく話せる。
「お、おはようございます……」
うん、小声でも気兼ねがない方なのよ。他の子相手だと、私の背中盾にするから。
「もう、シャキッとする!」
「わあっ!!」
肩をバシンを叩くと、その衝撃でよろけて前のめりになっていた。
「……弱過ぎじゃない?」
「ひどいよ、美酉ちゃん……」
「まあまあ。角笛、教室行こうぜ」
男子二人は同じクラスなので、夜羽は琴亀君に引っ張られていった。去年は同じクラスだったけど、二年になって分かれちゃったからなー。ちゃんとやれてるのか心配……
「美酉、おかんの顔になってる。心配しなくても、角笛君って意外とモテるみたいよ」
「うそっ、あれで!?」
気弱で私が一緒じゃないと、ろくに会話もできない夜羽が!? 琴亀君が取り成してくれてて、そっちがモテてるとかじゃないの?
「あれって……ほら、角笛君は可愛い系だし、母性本能擽られるんだよ」
「そうなんだ……悪い女に騙されなきゃいいけど」
「はいはい。それでおかんは、ヒロシ先輩とのデートで何かあったの?」
ギク。何で分かったんだろ……目の腫れはとっくに引いてるのに。
「いつもデートの翌日は、ああしたこうしたって報告くれるじゃない。それがラインも入ってないし、さっきだっていつも通り、角笛君の事ばっかりだったからさ」
そんなに分かりやすかったのか、私。萌には隠し事できないなぁ。
「……別れました」
「えっ!? ちょ、何」
キーンコーンカーンコーン……
詳細を聞こうとした萌を遮るように、チャイムが鳴り響く。焦った私たちは話を打ち切り、遅刻しないよう教室までダッシュした。
△▼△▼△▼△▼
お昼休み、私たち四人は食堂に集合して食べていた。私と夜羽はお弁当だけど、クラス違うし、一緒に食べるとなるとこうなるんだよね。
「いつもながら、角笛の弁当すげぇな……」
「美酉ちゃんや友達と食べるし、残す事もないでしょ?」
夜羽のお弁当は、毎朝炎谷さんが作ってくれる……重箱二段で(運動会かよ)。夜羽の言う通りみんなにお裾分けはしてるとは言え、それでも少し量が多い。運動オンチなのによく太らないわよね。
……なんて考え事をしていたら、ミートボールが奪われた。私のお弁当箱に箸を突っ込んだ犯人は、萌だ。
「美酉、朝の続き!」
「えっ、なになに?」
「いや、だからその……昨日、ヒロシ先輩と別れまして、へへへ」
笑い事じゃないけど、琴亀君が目を丸くするから笑って誤魔化すしかない。
そもそも、私はヒロシ先輩の彼女だったと言えるのだろうか?
半年前の文化祭で知り合ってから連絡を取り合うようになったけど、デートは三ヶ月間、そう頻繁でもなかったし、まだキスすらしていなかった。先輩のあの奔放ぶりから予想すると、知り合って即食われた女子もいそうだし、その中では私との進展は信じられないほど遅かった。誰かにかけてた電話でも、夢見てるって言われてたし、お子ちゃまと遊んであげた、ぐらいの感覚なんだろうな。
「はあ……大変だったな。その割にはあんま落ち込んでないみたいだけど」
「落ち込んだよ! 思いっきり泣いてやっと吹っ切れたんだから」
「その事なんだけど美酉、さっき変な噂が……」
萌が何かを言いかけたその時。
「あんたが牧神君の彼女?」
先輩らしき女子数名に取り囲まれた。
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