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タイムリープ編(完結編)
184 女神カリス
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その後、神魔科学の女神を呼んでもらったのだが、俺は上手く説明することが出来なかった。
未来から来たのは分かっているのだが、その記憶が曖昧なのだ。覚えていたという記憶はあるのだが、詳細を思い出せなかった。
「とりあえず、標準語ではなく『女神カリス』さんと呼んでいいですか?」何故だか発音出来ないのだ。
「ええ、結構です。しかし、未来の私と研究をして今の時代に飛んで来たんですか。驚きました」
やはり、女神カリスと同一神だと分かった。使徒ポセリナが、既にいたのだ。
「もう、ずっと頼りにしてます」と素直に言った。
「確かに、私が好きそうな研究ですからね」実際、今も面白そうな顔で言った。
「そうですか。カリスさんあっての研究です。ただ、イリーガルな状況で帰れなくて困ってます」
最後に意識は完全に手放す予定だった筈だ。会話していることが、既に異常なのだ。
「先ほどの話から考えると、原因は機能拡張が使えなかったからで、間違いないでしょう」
「そうですよね。ただの人間に機能拡張が届いても使えませんからね」
鏡像メッセージ現象そのものは、人間にも起こる。ただ、機能拡張は神の眷属の能力だからな。
「でしたら、使徒にすれば、その『機能拡張』が使えますか?」
傍で聞いていたイリス様が、なんとかしようと言ってくれた。
「ええ。ただ、今から使徒になっても機能拡張は消えてしまっているので使えません」と女神カリス。
「そうですか。それは残念です」とイリス様。
「いえ、使徒になることには意味があると思います」と女神カリス。
「えっ?」
「そうなんですか?」とイリス様。
「消えた機能拡張は使えませんが、未来の私が気づいて機能拡張を再度送って来るかも知れません。そうすれば使えます」
「送ってくるでしょうか?」
「私なら、送ると思います」と女神カリス。
さすがに、自分の事だけに自信があるようだ。
「じゃ、その前に使徒になっておかなくちゃね!」とイリス様。
「はい。えっと、使徒にしてもらえますか?」
「未来の神ならいいでしょう」ちょっといたずらっぽい目で言うイリス様。
「じゃ。お願いします」
女神イリスは俺を使徒に任命した。あれ? これ不味いか? 後で改めて、本来の俺に了解貰えばいいよな?
「後は、未来の私がいつ気づいて送って来るかですね」と女神カリス。
「そうですね。未来へのメッセージ誘導が使えれば、催促出来て良かったんですが、それも消えましたから無理ですね。気長に待ちます」
俺の言葉を聞いて、女神カリスは思い切り驚いた表情を浮かべた。
「驚きました。未来へメッセージ誘導を送れるなんて」
「ああ、そうか。それも今は知らない情報ですね」
「未来は、凄いことになっているんですね!」楽しそうに言う女神カリス。
「そんな話を聞いてしまって、未来に悪影響は無いかしら?」
一緒に聞いたイリス様が心配して言った。
「未来は変化するとは思いますが大丈夫でしょう。大きな過去改変ができるようなエネルギーがないので、たぶん問題ありません」
普通のメッセージ誘導もそうだったからな。メッセージが伝わるだけなら問題ないんだろう。恐らく、有効なアクションをする人間に伝わらないとか、そういうことになるんだと思う。
「そうなんですか? 今の私には分かりませんが」と女神カリス。
「それは、未来の研究テーマですからね」
「ふふ。そうですね。とっても楽しそう! ああ、待ち遠しい!」
「良かったわ。一時はどうなるかと思いました」イリス様もほっとしたようだ。
「はい。ありがとうございます」
「でも、残念ね。もう少ししたら帰られてしまうんですね」
「ああ、そういえば、俺を地球から召喚したんですよね?」
「そうなんです」
「もうすぐ未来の記憶は消えると思います。それまでの間ですけど、何かお手伝いしましょうか?」
「本当ですか? 是非お願いします」
「あ、元の俺に戻ったら、また召喚の話をしてやってください」
「はい。それは、勿論です」
俺は、未来の記憶がある間だけ、女神イリスを手伝うことにした。まぁ、未来の記憶がなくなれば普通に召喚した人間に戻るだけだと思う。心配はしていない。
* * *
女神イリスが担当する世界は滅亡に向かっていると判定されていた。
しかし、アリスの世界とは違い食料は豊富にあり生産も産業革命が始まったばかりで活気づいていた。気候も温暖で災害も少なかった。
とても滅亡に向かっているとは思えない世界だ。
「人口が、ずっと減少しているのです」悲しそうに女神イリスが語った。
「戦争ですか?」
「いいえ。それなら諦めも付きます」そうなのか。
「そうでは無いんですか?」
「はい。文化も発展しています。これまででは最高の状態でしょう」
「では、何故人口が減るんですか?」
「子供を産まないのです」
「子供を?」
「はい。愛し合っているのに。子供が出来ると悲しそうな顔をするんです」
「そんな馬鹿な!」
「ああ、未来のあなたの世界から見ても異常なのですね」
「俺は、そう思います」
それって、基本的な欲望がおかしくなってるんだろうか? ん? けど、何処かで聞いたこともある気がする。
「私にも、全く理解できないんです。ですので、どうしていいのかも分かりません。あなたが、この世界に関与すれば、きっといい刺激になると思います」
俺がいる短い時間では大したことは出来ないだろう。でもヒントだけでも掴めればと考えているようだ。
「分かりました。やるだけ、やってみましょう」
「お願いします」
俺は、地上界に顕現した。
未来から来たのは分かっているのだが、その記憶が曖昧なのだ。覚えていたという記憶はあるのだが、詳細を思い出せなかった。
「とりあえず、標準語ではなく『女神カリス』さんと呼んでいいですか?」何故だか発音出来ないのだ。
「ええ、結構です。しかし、未来の私と研究をして今の時代に飛んで来たんですか。驚きました」
やはり、女神カリスと同一神だと分かった。使徒ポセリナが、既にいたのだ。
「もう、ずっと頼りにしてます」と素直に言った。
「確かに、私が好きそうな研究ですからね」実際、今も面白そうな顔で言った。
「そうですか。カリスさんあっての研究です。ただ、イリーガルな状況で帰れなくて困ってます」
最後に意識は完全に手放す予定だった筈だ。会話していることが、既に異常なのだ。
「先ほどの話から考えると、原因は機能拡張が使えなかったからで、間違いないでしょう」
「そうですよね。ただの人間に機能拡張が届いても使えませんからね」
鏡像メッセージ現象そのものは、人間にも起こる。ただ、機能拡張は神の眷属の能力だからな。
「でしたら、使徒にすれば、その『機能拡張』が使えますか?」
傍で聞いていたイリス様が、なんとかしようと言ってくれた。
「ええ。ただ、今から使徒になっても機能拡張は消えてしまっているので使えません」と女神カリス。
「そうですか。それは残念です」とイリス様。
「いえ、使徒になることには意味があると思います」と女神カリス。
「えっ?」
「そうなんですか?」とイリス様。
「消えた機能拡張は使えませんが、未来の私が気づいて機能拡張を再度送って来るかも知れません。そうすれば使えます」
「送ってくるでしょうか?」
「私なら、送ると思います」と女神カリス。
さすがに、自分の事だけに自信があるようだ。
「じゃ、その前に使徒になっておかなくちゃね!」とイリス様。
「はい。えっと、使徒にしてもらえますか?」
「未来の神ならいいでしょう」ちょっといたずらっぽい目で言うイリス様。
「じゃ。お願いします」
女神イリスは俺を使徒に任命した。あれ? これ不味いか? 後で改めて、本来の俺に了解貰えばいいよな?
「後は、未来の私がいつ気づいて送って来るかですね」と女神カリス。
「そうですね。未来へのメッセージ誘導が使えれば、催促出来て良かったんですが、それも消えましたから無理ですね。気長に待ちます」
俺の言葉を聞いて、女神カリスは思い切り驚いた表情を浮かべた。
「驚きました。未来へメッセージ誘導を送れるなんて」
「ああ、そうか。それも今は知らない情報ですね」
「未来は、凄いことになっているんですね!」楽しそうに言う女神カリス。
「そんな話を聞いてしまって、未来に悪影響は無いかしら?」
一緒に聞いたイリス様が心配して言った。
「未来は変化するとは思いますが大丈夫でしょう。大きな過去改変ができるようなエネルギーがないので、たぶん問題ありません」
普通のメッセージ誘導もそうだったからな。メッセージが伝わるだけなら問題ないんだろう。恐らく、有効なアクションをする人間に伝わらないとか、そういうことになるんだと思う。
「そうなんですか? 今の私には分かりませんが」と女神カリス。
「それは、未来の研究テーマですからね」
「ふふ。そうですね。とっても楽しそう! ああ、待ち遠しい!」
「良かったわ。一時はどうなるかと思いました」イリス様もほっとしたようだ。
「はい。ありがとうございます」
「でも、残念ね。もう少ししたら帰られてしまうんですね」
「ああ、そういえば、俺を地球から召喚したんですよね?」
「そうなんです」
「もうすぐ未来の記憶は消えると思います。それまでの間ですけど、何かお手伝いしましょうか?」
「本当ですか? 是非お願いします」
「あ、元の俺に戻ったら、また召喚の話をしてやってください」
「はい。それは、勿論です」
俺は、未来の記憶がある間だけ、女神イリスを手伝うことにした。まぁ、未来の記憶がなくなれば普通に召喚した人間に戻るだけだと思う。心配はしていない。
* * *
女神イリスが担当する世界は滅亡に向かっていると判定されていた。
しかし、アリスの世界とは違い食料は豊富にあり生産も産業革命が始まったばかりで活気づいていた。気候も温暖で災害も少なかった。
とても滅亡に向かっているとは思えない世界だ。
「人口が、ずっと減少しているのです」悲しそうに女神イリスが語った。
「戦争ですか?」
「いいえ。それなら諦めも付きます」そうなのか。
「そうでは無いんですか?」
「はい。文化も発展しています。これまででは最高の状態でしょう」
「では、何故人口が減るんですか?」
「子供を産まないのです」
「子供を?」
「はい。愛し合っているのに。子供が出来ると悲しそうな顔をするんです」
「そんな馬鹿な!」
「ああ、未来のあなたの世界から見ても異常なのですね」
「俺は、そう思います」
それって、基本的な欲望がおかしくなってるんだろうか? ん? けど、何処かで聞いたこともある気がする。
「私にも、全く理解できないんです。ですので、どうしていいのかも分かりません。あなたが、この世界に関与すれば、きっといい刺激になると思います」
俺がいる短い時間では大したことは出来ないだろう。でもヒントだけでも掴めればと考えているようだ。
「分かりました。やるだけ、やってみましょう」
「お願いします」
俺は、地上界に顕現した。
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