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惑星フォトス編
177 惑星フォトス・リゾート-妖精の故郷-
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浜辺で妖精族は縦横無尽に飛び回っていた。
いや、自分たちの故郷に帰ってきた喜びはわかる。だが、どうもそれだけではないようだ。飛ぶ速度が異常に速いのだ。
「おーい、ミリィ! 大丈夫か?」
「マスター、いらっしゃ~いっ! うん、やっぱりマスターは速いね~っ」
駆け付けた俺を迎えてくれたのは、やっぱりミリィだった。
「そんなに、はしゃいで大丈夫か?」
「うん? 全然平気だよ?」
「いや、お前はいいけど、サリィさんやイリィさんは疲れてないか?」
「ぜんぜん、平気です~っ」とサリィ。
「御気遣いありがとうございます。でも、ほんとに気分がいいんです。こんな気持ちは初めてです」とイリィ族長。
ほ~っ?
「ミリィ、ミリィ、ちょっと」
俺はミリィを肩の上まで呼んだ。
「はい。マスターっ」
ミリィは慣れた素振りで俺の肩にとまった。
「妖精族って、あんなに速く飛べたっけ? ミリィが遅かっただけ?」
俺は肩にとまったミリィにそっと囁くように言った。
「あれ? そう言えば、そうですね。私が一番速かったハズだけど」
見ると、他の妖精族もミリィと同じくらいの速さで飛んでいる。
「それに、気持ちイリィさんの活舌が良くなってるような」
確か、もっとゆっくりと話していたように思うけど。
「そういえば、そうですね」
俺の肩の上で首をかしげるミリィ。心当たりはないようだ。
「これって、ふるさと効果なのか?」
ー ふしぎよね。
アリスが神力リンクで言ってきた。やっぱり気になって見ていたようだ。
ー うん? 何か知ってるの?
ー 治癒の女神オリスさんによると、活力が上昇してるって。
ー え? 妖精族の?
ー そう。
ー なんでだろう?
ー 魔法共生菌の密度が高いからかもだって。
ー そういえば、魔法共生菌と共生してる生物が周りにいっぱいいるな。
ー 魔法共生菌に都合がいい環境なのかしらね?
ー ああ、そういう事か。元気なのは魔法共生菌のほうか。
ー どうも、魔力を生み出す効率がいいみたい。
なるほど。魔力の生産効率がいいのか。元気に飛び回る妖精族を見ていて、確かにそうかも知れないと思った。
ー しかし、大丈夫かな。
ー 大丈夫って?
ー いや、強壮剤を飲んだような状態かも知れないから。体に負担はないのかな?
ー ああ、そうね。要注意かも。
だとしたら、ほっとけない。
「おーい。ミリィ! 妖精族を集合させて」
「はーい、了解」
俺は、なんとか落ち着かせて全員をホテルに連れて帰ることにした。
* * *
「マスター、興奮して飛び回ってごめんなさい」とミリィ。
「マスター、私も大人げなく申し訳ありませんでした」とイリィ族長。
「マスター、ごめんなさい」とサリィ。
いや、俺は君のマスターじゃ……ま、いいけど。
「故郷に帰ってハイになるのは分かるよ。けど、まだこの環境に慣れてないし知らないことばかりなんだから、なるべく行動は控えめにするように頼む」
「分かりました」とミリィ。
とりあえず、妖精族全員の魔力が増大したのは確かなようだ。
環境による影響なのか気持ちの問題なのか、原因は特定されていない。妖精族のふるさと効果かもしれないし悪いこととは思わない。だが彼女たちが何世代も離れていたことも確かで、何か大きな影響が出るかも知れない。眼を離さないようにしようと思った。
* * *
ホテルに戻して少しすると影響が出始めた。
全員が、ぐったりとしてしまったのだ。倒れるほどではないのだが疲労困憊といった様子だ。急いで妖精族用に用意した部屋へ移動してラームジュースを提供した。
「やっぱりか。効率よく魔力を生み易いけど、同時にラームの消費も増えるみたいだな」
「はい。もしかすると、体内の魔法共生菌の数も増えているかも知れません」と女神オリス。
妖精族を休ませて、治療してくれている。
「きっと、二千年前には知っていたことなんだろうな」
「そうですね。そういう習慣になっていたようなものは、環境が変わってしまうと失われてしまいますからね」
女神オリスは心配そうに言った。
惑星フォトスを離れて忘れてしまった習慣などは改めて取り戻す必要がある。
慌てずゆっくり作り直すしかない。
神化リングと飛翔スーツのお陰で一人だけ元気なミリィが、全員の面倒をみていた。
「ごめんなさいミリィねぇさん」とサリィ。
「恐れ入ります王女様」とイリィ族長。
「二人とも、話はいいから安静にしてて。私も、浮かれちゃったね」
あれ? サリィがいると、ミリィはちょっとお姉さんなんだな。
幸い、ラームジュースを飲んだ後、一時間ほどで回復した。
思うにラームは、惑星モトスにいる時より大量に食べるものだったのかも知れない。そう言えばラームは実を付けるまでの日数がとても短かった。それは、こういう理由だったのか。ラームは沢山必要なのだ。新しい発見である。
そんなこともあったが、惑星フォトス・リゾートアイランド最初の夜は静かに更けていった。
いや、自分たちの故郷に帰ってきた喜びはわかる。だが、どうもそれだけではないようだ。飛ぶ速度が異常に速いのだ。
「おーい、ミリィ! 大丈夫か?」
「マスター、いらっしゃ~いっ! うん、やっぱりマスターは速いね~っ」
駆け付けた俺を迎えてくれたのは、やっぱりミリィだった。
「そんなに、はしゃいで大丈夫か?」
「うん? 全然平気だよ?」
「いや、お前はいいけど、サリィさんやイリィさんは疲れてないか?」
「ぜんぜん、平気です~っ」とサリィ。
「御気遣いありがとうございます。でも、ほんとに気分がいいんです。こんな気持ちは初めてです」とイリィ族長。
ほ~っ?
「ミリィ、ミリィ、ちょっと」
俺はミリィを肩の上まで呼んだ。
「はい。マスターっ」
ミリィは慣れた素振りで俺の肩にとまった。
「妖精族って、あんなに速く飛べたっけ? ミリィが遅かっただけ?」
俺は肩にとまったミリィにそっと囁くように言った。
「あれ? そう言えば、そうですね。私が一番速かったハズだけど」
見ると、他の妖精族もミリィと同じくらいの速さで飛んでいる。
「それに、気持ちイリィさんの活舌が良くなってるような」
確か、もっとゆっくりと話していたように思うけど。
「そういえば、そうですね」
俺の肩の上で首をかしげるミリィ。心当たりはないようだ。
「これって、ふるさと効果なのか?」
ー ふしぎよね。
アリスが神力リンクで言ってきた。やっぱり気になって見ていたようだ。
ー うん? 何か知ってるの?
ー 治癒の女神オリスさんによると、活力が上昇してるって。
ー え? 妖精族の?
ー そう。
ー なんでだろう?
ー 魔法共生菌の密度が高いからかもだって。
ー そういえば、魔法共生菌と共生してる生物が周りにいっぱいいるな。
ー 魔法共生菌に都合がいい環境なのかしらね?
ー ああ、そういう事か。元気なのは魔法共生菌のほうか。
ー どうも、魔力を生み出す効率がいいみたい。
なるほど。魔力の生産効率がいいのか。元気に飛び回る妖精族を見ていて、確かにそうかも知れないと思った。
ー しかし、大丈夫かな。
ー 大丈夫って?
ー いや、強壮剤を飲んだような状態かも知れないから。体に負担はないのかな?
ー ああ、そうね。要注意かも。
だとしたら、ほっとけない。
「おーい。ミリィ! 妖精族を集合させて」
「はーい、了解」
俺は、なんとか落ち着かせて全員をホテルに連れて帰ることにした。
* * *
「マスター、興奮して飛び回ってごめんなさい」とミリィ。
「マスター、私も大人げなく申し訳ありませんでした」とイリィ族長。
「マスター、ごめんなさい」とサリィ。
いや、俺は君のマスターじゃ……ま、いいけど。
「故郷に帰ってハイになるのは分かるよ。けど、まだこの環境に慣れてないし知らないことばかりなんだから、なるべく行動は控えめにするように頼む」
「分かりました」とミリィ。
とりあえず、妖精族全員の魔力が増大したのは確かなようだ。
環境による影響なのか気持ちの問題なのか、原因は特定されていない。妖精族のふるさと効果かもしれないし悪いこととは思わない。だが彼女たちが何世代も離れていたことも確かで、何か大きな影響が出るかも知れない。眼を離さないようにしようと思った。
* * *
ホテルに戻して少しすると影響が出始めた。
全員が、ぐったりとしてしまったのだ。倒れるほどではないのだが疲労困憊といった様子だ。急いで妖精族用に用意した部屋へ移動してラームジュースを提供した。
「やっぱりか。効率よく魔力を生み易いけど、同時にラームの消費も増えるみたいだな」
「はい。もしかすると、体内の魔法共生菌の数も増えているかも知れません」と女神オリス。
妖精族を休ませて、治療してくれている。
「きっと、二千年前には知っていたことなんだろうな」
「そうですね。そういう習慣になっていたようなものは、環境が変わってしまうと失われてしまいますからね」
女神オリスは心配そうに言った。
惑星フォトスを離れて忘れてしまった習慣などは改めて取り戻す必要がある。
慌てずゆっくり作り直すしかない。
神化リングと飛翔スーツのお陰で一人だけ元気なミリィが、全員の面倒をみていた。
「ごめんなさいミリィねぇさん」とサリィ。
「恐れ入ります王女様」とイリィ族長。
「二人とも、話はいいから安静にしてて。私も、浮かれちゃったね」
あれ? サリィがいると、ミリィはちょっとお姉さんなんだな。
幸い、ラームジュースを飲んだ後、一時間ほどで回復した。
思うにラームは、惑星モトスにいる時より大量に食べるものだったのかも知れない。そう言えばラームは実を付けるまでの日数がとても短かった。それは、こういう理由だったのか。ラームは沢山必要なのだ。新しい発見である。
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