異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう

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惑星フォトス編

169 惑星フォトス調査隊-編制-

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 宇宙神魔科学の女神セリスの参加により惑星フォトス・リゾート計画は大きく前進した。
 それどころか、惑星フォトスそのものへの理解も深められた。

 だが、惑星フォトスに到達できたとしても開発できるとは限らないということも分かってきた。
 妖精族の故郷と分かったので人間が住める可能性がかなり高いのも事実だが、今もそうだと決まっている訳ではない。本来妖精族が逃げだした惑星なのだ。高度な文明をもってしても捨て去るしかなかった惑星ということだ。
 今のままという訳にはいかないだろう。

 ということで、調査隊を派遣することになった。

「で、何で君がいるのかな?」

 俺は調査隊に参加希望と言うピステルに言った。

「いや、もうピアスも元気だし、こんな面白いものをほっとく訳ないだろ?」とピステルはすました顔で言った。

 フィスラー神に縋ってたんじゃないのか? てか、遊びじゃないんだが?

「お前なぁ、これはこの国の私的なプロジェクトなんだよ。大陸連絡評議会の活動じゃないんだよ」

 まぁ、ストーン神国を宇宙港にするなら、一部関係あるんだけど。

「いや、それを言うなら、正式な大陸連絡評議会の調査隊じゃないからこそ、自由に俺が参加できるってものだろう?」

 ああ、単なる個人の興味ですか。

「そうだけど、危険なんだぞ? 妖精族が故郷を捨てるほどのことが起こった土地なんだ。洪水以外にも何かあるかも知れないんだぞ?」

「そうなのか? でも、君なら何とか出来るんだろ?」
「いや、そんなこと分からないだろ」

「いや、君でダメなら諦めるよ」
「何言ってんだ? 諦めちゃダメだろう」

「それは、諦めないって言ってるのと同じなんだけど?」ピステル、食い下がる。
「そうです。リュウジ殿と一緒なら大丈夫です」

 そして、隣には当然のようにマッセム王子も来ていた。
 こいつらいつの間にか仲良くなってるな。ってか、思ったより順応力あるのかも?
 まぁ、フィスラー神を卒業してくれた有能な王族なら連れて行くか。

 ということで、メンバーはこうなった。

惑星フォトス調査隊
 隊長 神聖アリス教国 リュウジ・アリステリアス王
 副隊長 カセーム王国 ピステル・カセーム王
 副隊長 モニ王国 マッセム・モニ王子
 調査隊員 アリス・アリステリアス 惑星モトス担当神
 調査隊員 セリス・アリステリアス 宇宙神魔科学の女神
 調査隊員 スリス・アリステリアス 地学の女神
 調査隊員 シリス・アリステリアス 考古学の女神
 調査隊員 オリス・アリステリアス 治癒師の女神
 調査隊員 クリス・アリステリアス 薬の女神
 調査隊員 ケリス・アリステリアス 教育の女神
 調査隊員 コリス・アリステリアス 担当神候補の女神
 無害化魔法共生菌配布プロジェクト 主任 ネム
 特別顧問 妖精族王女 ミリィ
 警備担当 三従者隊
 警備担当 近衛神魔動飛行車隊

 なにこのとんでもないメンバー。
 まぁ、仕方ないと言えば仕方ないんだが。神界がらみだし、こうなるよな。

 ところで今回はナエル王は参加していない。
 何故かと言うと第一子が誕生したからだ。国を挙げてのお祭り騒ぎの真っ最中で抜けられる訳がない。
 ヒュペリオン王も遠慮して貰った。
 意外と来たがっていたが、俺の子供も連れて来そうな勢いだったので諦めて貰った。まぁ、今回はこの二人の理解の上を行ってるから参加は難しいだろうとは思っていた。ピステルやマッセムのようにはいかない。

 それと、もちろん身重の嫁は来れない。
 大事な時期だからな。七人の侍女隊は来れるが嫁達の警備をすると言う。

 三従者隊も無理だろうと思ったのだが、どうしても連れて行けとうるさい。
 従者なんだから連れて行けと言う。美鈴も来れないが俺がいれば何とかなるかと思って許可することにした。彼女たちには飛翔スーツがあるしな。

 無害化魔法共生菌配布プロジェクトのネムも、今回は待機でいいと思うのだが連れて行けと言う。
 無害化魔法共生菌の散布もしたいとか言っていたが、意外と好奇心旺盛なのかも。まぁ、妖精族の故郷と言うことで、無関係という訳ではないしな。

 聖アリステリアス王国の近衛神魔飛行車隊も付き合うと言う。
 行先を本当に理解しているんだろうか? いつの間にか、近衛神魔動飛行車隊という名前になっているのが謎だ。飛行車って何だ? どうも、真空膜フィールドを導入したらしい。もう、なにがなんだか。

 こうしてメンバーは決まった。
 マッハ神魔動飛行船の改造が終わるのを待って出発する。

  *  *  *

 マッハ神魔動飛行船の改造は順調に進んだ。
 追加の加速制御と軌道ナビゲーションシステムは女神セリス、女神カリス、女神キリスに任せるとして他にも懸案事項はある。

 惑星フォトスが人間の住環境として適切かどうかを調べる必要があるのだ。当然、無害化魔法共生菌も持っていく。
 環境調査に関しては治癒師の女神オリスと薬の女神クリスにお願いすることにした。
 分野としては違うようだが、怖いのは病気などだから彼女たちが最適だと思う。

「今の惑星フォトスにも無害化魔法共生菌が必要なのか?」ピステルが疑問を口にした。
「いや、元々妖精族の故郷なら当然いるだろう? それに、二重惑星は細菌を共有している可能性があるからな」
「よく分からないが、君が言うならそうなんだろうな」
「念のためさ」

 惑星規模だから、すぐに調べ尽くすのは無理だろう。少しづつ調べるしかない。

「無害化魔法共生菌については、先行して転移散布魔道具を使えばいいんじゃない?」

 クリスさんに指摘されるまで忘れていた。
 最近使って無かったからな。早めに散布をしておこう。ただ、担当外の惑星で使徒の千里眼は使えないから神眼が使える俺や女神が担当するしかない。

「任せてよ。女神隊は十四名いるのよ!」

 アリスが頼もしい。ってか、リゾート計画なので、やる気満々である。

  *  *  *

 惑星フォトスの調査について、大陸連絡評議会の席で俺の私的プロジェクトとして予定を発表した。

「今回、参加出来ないのはつくづく残念ですが、頑張って行って来てください。映像もよろしく」

 ナエル王は本当に残念そうな顔で言った。このところ常連だったからな。

「噂は聞いておりましたが、また途方もない話になってますね」これはヒスビス国王だ。

 どうも、マッセム王子から話を聞いているらしい。王妃の出産から三か月なので、まだ出歩く気にならないようだが興味津々のようだ。

「そうですね。当然映像を送ります。暫定的に配信も出来るとは思いますが、何が飛び出すか分からないのが怖いところです」

 あまりにも先進的なプロジェクトなのでさすがに引かれると思ったが、この世界の人間も俺との付き合いが長いせいか、あまり驚かなくなった気がする。
 まぁ、『フィスラーの鉄則』を常時発動している人もいるかも知れないが。

「確かに、何が飛び出すかわかりませんな」

 ナエル王は期待を持った目で言った。妖精族の出てくるアトラ大陸の伝説にも関係しているとのことで興味が出てきたようだ。

「しかし、妖精族がフォトスから転移して来たとはのぉ。神様に言われなければ信じられないところじゃ」とヒュペリオン王。

 いや、聞いた俺も、まだ半信半疑なんだが。

「さよう。伝説のへプタが、転移門だったとは言葉もありませんな」

 と西海岸同盟のアーラス王。妖精族の貴重な伝説を今に伝えるだけあって関心も高いのだろうか。

 まぁ、兄弟星だからな。全く離れた惑星の話ではない。
 月の話なのだ。そう思うと、昔話に出てくることを今やっているようなものだから、あながち突飛なこととも言えないかも。

 なんだか会議というより雑談めいてきてしまったので会議は切り上げることにしたが、各国それぞれではあるが大きな関心を抱いていた。
 ストーン神国の件で既にバラしているが、神界との関係が更に深くなる未来に期待が膨らむようだ。

  *  *  *

 その日、俺は王城執務室に惑星フォトス調査隊メンバーを集めていた。
 調査内容の詳細について協議するためだ。

「ヘプタという名の転移門が今もあるとしたら、ぜひ調査してみたいわね!」

 当然、一番興味を持っているのは考古学の女神シリスだ。

「滅亡直前に惑星を脱出したわけだから当然陸地付近に残っている筈。だから、きっと見つかると思うの!」

 なるほど。確かにそうだ。恐らく、今も点在する島に転移門があるのだろう。

「極端に水が多い惑星という意味で興味がありますね」これは、地学の女神スリスだ。
「そういう意味では、私のほうが専門家も知れませんね」これは宇宙神魔科学の女神セリスだ。
「ええ、一緒に調査しましょう!」と女神セリス。

 この二人の女神様がいれば、歴史の謎は直ぐに解明されそうだ。

 ただ、今回は発掘調査隊ではない。
 リゾート惑星の開発調査隊なのだ。これはこれで切実なのだ。

「問題は、本当にリゾート惑星にできるかだな」
「神や使徒だけのリゾートなら景観だけ良ければいいけど、リゾート施設の維持を人間が担当するなら、住環境は確保しないとね」と女神ケリス。

 結構考えているようだ。恐らく惑星モトスでの窓口はストーン神国になるだろうしな。

「少なくとも、ルセ島と同等以上にしないと、ルセ島がパンクしちゃう」

 女神コリスも分かってらしい。
 長く入り浸ってるもんな。一番危機感を感じているのかもしれない。自分の居場所が無くなると。
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