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幻の大陸アトラ編
150 神力リンク開放
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突然、俺にメッセージ誘導が届いた。届いてしまった。てか、初めての経験で、ちょっと嬉しい。いや、そうじゃなくて一大事だ。だって禁忌だからな。そんなものを送ってくるような怪しい神様の知り合いはいない。いや、怪しい使徒ならいるか? だが、今更俺にメッセージ誘導を送る筈はない。
で、驚いたことに、その怪しい神様はこの世界の担当神を名乗ったのだった。
「ちょっと、みんな静かにしてくれ」
「どうしたの?」とアリス。
「なに?」とニーナ。俺の表情を見て、ちょっと怪訝そう。
「今、この世界の担当神から、メッセージ誘導が届いた!」
「なんですって~? えっ? 私、送ってないわよ?」アリスが驚く。
「クビになった?」
「そんなわけないでしょ! 第二神扱いの私をクビに出来るのなんて、第一神様くらいよ」
「今、通信があっただろ」
「あ、今は、聞いてなかった」
「私、送ってないよ」美鈴でもないようだ。
「一時間したら、長文を送るって言ってた」
「この世界の担当神だって言ったの?」とアリス。
「うん、そう。さすがに神様がメッセージ誘導で嘘を言わないよな?」
「それは……そうだけど」とアリスも困惑した顔だ。
「神様以外からメッセージ誘導って送れないの?」とニーナ。
「普通は無理よ」と美鈴。
「じゃ、神様は決定なんだ」とニーナ。
「ねぇそれ、全員で聞いたほうがいいんじゃない?」とアリス。
「あ? そうか、神力リンク完全に開放すれば全員で聞けるか」
「それがいいわね」とイリス様も頷いた。
「分かった。とりあえず、湯から上がって準備だ」
おかしなことになった。
大陸アトラの探検を終え、ストーン神国の建設にまつわる歴史を整理していたら、メッセージ誘導でこの世界の担当神を名乗る者から話を聞けと言われたわけだ。ストーン神国の話と関係あるんだろうか? メッセージ誘導であると宣言しているので、俺の思考を誘導しようとしている訳ではないようだが。
とりあえず、女神湯を出て俺の部屋に集まることにした。談話室では、眷属以外の人も入って来そうだし、風呂の後だからな。
* * *
俺の眷属として集まったのは、女神アリスから女神シリスまで十二名、使徒は嫁六名に美鈴と侍女隊の八名だ。あと、ミリィもいた。でも、ミリィは使徒じゃないので通信は聞こえない。
「ミリィも眷属にしてあげたら?」とアリス。
「いや、使徒になるのはいいことだけじゃないから安易には決められない。子孫が作れなくなるんだぞ!」
「でも、神化リングのお陰で私達まだ平気だけど?」とニーナ。まぁ、確かに。
「それは」
「ワタシ、マスターの使徒になりたい!」とミリィ。
「いや、簡単に決めるべきじゃない」
「ずっと、一緒にいたい」とミリィ。
「ほら」とアリス。
「ほらって」
「我からも、お願いします。ミリィは我の同士だと思う」とミゼール。
「ああ、わかった。あ、言っとくけど嫁じゃないからな? 眷属だけだからな。嫁じゃないぞ」
「マスター、うれし~っ」とミリィ。
「嬉しいか? ならいいか」俺は普通に生活するほうが幸せだと思うが。
ということで、ミリィを眷属にした。
もちろん魔王化リングは神化リングに変更した。
「こ、これ凄いよ。マスター」神化リングを腕にはめたミリィが驚いて言った。
「そうか? 凄いのはいいけど、魔法共生菌は無くなるからな。ラームは育たない……けど、食べる必要もないか」
「あ、そうだね」とミリィ。もう、普通の妖精族じゃなくなった訳だ。
「はじめから、眷属で良かった気もするけどね。でも、いいタイミングかも」とアリス。
「そうなのだ。ミリィがラームジュースを持っていたからこそ妖精族を救えたのだ。使徒になってたらラームジュースを持って無かったのだ」とウリス様。
ああ、確かにそうですね。ラームも育てなかったかも。じゃ、これで良かったのか。
「あっ! ほんと、そうだね!」とミリィも納得の顔。
「うん。やっぱベストなタイミングってのはあるんだな!」
「たまたまだけどね」とニーナ。
「まぁな」
そして、俺は眷属との神力リンクを開放した。こうすると配下の眷属が何を考えているのか全て分かる。実は、これに慣れるのは結構大変なのだ。
頭で考えたことが分かることは煩わしいことはあっても、それほど変なことではない。
言葉で考えたことは音声にするかどうかの違いなので実は嘘も言えるし感情とは異なることもある。もちろん頭の中では試行錯誤しているのだから矛盾もあるし、思い浮かんだことが全部本心と限った訳でもない。頭の中というのは混とんとしているものなのだ。
リンクを解放するとこの言葉の部分が全部共有になる。つまり、眷属全員で電話会議しているようなものなのだ。まぁ、そう考えると大したことはない。ちょっと、言葉が多いだけだ。
だが、リンクを解放する俺にはこれ以外のものも伝わってくる。
それは気持ちだ。気持ちは感情だから嘘が言えないし隠しようがない。流れ込んでくる感情というのは分かりずらい感覚だが、強いて言えば飴玉をなめたような感じが一番近いと思う。何の味か分かるかって? 同じ感情を持ったことがあれば分かる。
ただ、これは共有するわけではなく一方通行で俺に集まって来るのだ。
そんなリンク開放に大分慣れたと思っていたのだが、さすがにこの数の感情が一気に流れ込んで来ると圧倒される。俺はしばらくクラクラしていた。見るとアリスもクラクラしているようだ。同列神だからアリスにも集まるのだ。神界の結婚とイリス様が言ったのは、こういうことか。結婚というより分身がいるような感じだ。
アリスも俺と同じ感覚を味わっているのか~、などと見ていたらアリスに睨まれた。ああ、そうか。男と女じゃ受け取り方が違うのか。ご愁傷さま。
で、驚いたことに、その怪しい神様はこの世界の担当神を名乗ったのだった。
「ちょっと、みんな静かにしてくれ」
「どうしたの?」とアリス。
「なに?」とニーナ。俺の表情を見て、ちょっと怪訝そう。
「今、この世界の担当神から、メッセージ誘導が届いた!」
「なんですって~? えっ? 私、送ってないわよ?」アリスが驚く。
「クビになった?」
「そんなわけないでしょ! 第二神扱いの私をクビに出来るのなんて、第一神様くらいよ」
「今、通信があっただろ」
「あ、今は、聞いてなかった」
「私、送ってないよ」美鈴でもないようだ。
「一時間したら、長文を送るって言ってた」
「この世界の担当神だって言ったの?」とアリス。
「うん、そう。さすがに神様がメッセージ誘導で嘘を言わないよな?」
「それは……そうだけど」とアリスも困惑した顔だ。
「神様以外からメッセージ誘導って送れないの?」とニーナ。
「普通は無理よ」と美鈴。
「じゃ、神様は決定なんだ」とニーナ。
「ねぇそれ、全員で聞いたほうがいいんじゃない?」とアリス。
「あ? そうか、神力リンク完全に開放すれば全員で聞けるか」
「それがいいわね」とイリス様も頷いた。
「分かった。とりあえず、湯から上がって準備だ」
おかしなことになった。
大陸アトラの探検を終え、ストーン神国の建設にまつわる歴史を整理していたら、メッセージ誘導でこの世界の担当神を名乗る者から話を聞けと言われたわけだ。ストーン神国の話と関係あるんだろうか? メッセージ誘導であると宣言しているので、俺の思考を誘導しようとしている訳ではないようだが。
とりあえず、女神湯を出て俺の部屋に集まることにした。談話室では、眷属以外の人も入って来そうだし、風呂の後だからな。
* * *
俺の眷属として集まったのは、女神アリスから女神シリスまで十二名、使徒は嫁六名に美鈴と侍女隊の八名だ。あと、ミリィもいた。でも、ミリィは使徒じゃないので通信は聞こえない。
「ミリィも眷属にしてあげたら?」とアリス。
「いや、使徒になるのはいいことだけじゃないから安易には決められない。子孫が作れなくなるんだぞ!」
「でも、神化リングのお陰で私達まだ平気だけど?」とニーナ。まぁ、確かに。
「それは」
「ワタシ、マスターの使徒になりたい!」とミリィ。
「いや、簡単に決めるべきじゃない」
「ずっと、一緒にいたい」とミリィ。
「ほら」とアリス。
「ほらって」
「我からも、お願いします。ミリィは我の同士だと思う」とミゼール。
「ああ、わかった。あ、言っとくけど嫁じゃないからな? 眷属だけだからな。嫁じゃないぞ」
「マスター、うれし~っ」とミリィ。
「嬉しいか? ならいいか」俺は普通に生活するほうが幸せだと思うが。
ということで、ミリィを眷属にした。
もちろん魔王化リングは神化リングに変更した。
「こ、これ凄いよ。マスター」神化リングを腕にはめたミリィが驚いて言った。
「そうか? 凄いのはいいけど、魔法共生菌は無くなるからな。ラームは育たない……けど、食べる必要もないか」
「あ、そうだね」とミリィ。もう、普通の妖精族じゃなくなった訳だ。
「はじめから、眷属で良かった気もするけどね。でも、いいタイミングかも」とアリス。
「そうなのだ。ミリィがラームジュースを持っていたからこそ妖精族を救えたのだ。使徒になってたらラームジュースを持って無かったのだ」とウリス様。
ああ、確かにそうですね。ラームも育てなかったかも。じゃ、これで良かったのか。
「あっ! ほんと、そうだね!」とミリィも納得の顔。
「うん。やっぱベストなタイミングってのはあるんだな!」
「たまたまだけどね」とニーナ。
「まぁな」
そして、俺は眷属との神力リンクを開放した。こうすると配下の眷属が何を考えているのか全て分かる。実は、これに慣れるのは結構大変なのだ。
頭で考えたことが分かることは煩わしいことはあっても、それほど変なことではない。
言葉で考えたことは音声にするかどうかの違いなので実は嘘も言えるし感情とは異なることもある。もちろん頭の中では試行錯誤しているのだから矛盾もあるし、思い浮かんだことが全部本心と限った訳でもない。頭の中というのは混とんとしているものなのだ。
リンクを解放するとこの言葉の部分が全部共有になる。つまり、眷属全員で電話会議しているようなものなのだ。まぁ、そう考えると大したことはない。ちょっと、言葉が多いだけだ。
だが、リンクを解放する俺にはこれ以外のものも伝わってくる。
それは気持ちだ。気持ちは感情だから嘘が言えないし隠しようがない。流れ込んでくる感情というのは分かりずらい感覚だが、強いて言えば飴玉をなめたような感じが一番近いと思う。何の味か分かるかって? 同じ感情を持ったことがあれば分かる。
ただ、これは共有するわけではなく一方通行で俺に集まって来るのだ。
そんなリンク開放に大分慣れたと思っていたのだが、さすがにこの数の感情が一気に流れ込んで来ると圧倒される。俺はしばらくクラクラしていた。見るとアリスもクラクラしているようだ。同列神だからアリスにも集まるのだ。神界の結婚とイリス様が言ったのは、こういうことか。結婚というより分身がいるような感じだ。
アリスも俺と同じ感覚を味わっているのか~、などと見ていたらアリスに睨まれた。ああ、そうか。男と女じゃ受け取り方が違うのか。ご愁傷さま。
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