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幻の大陸アトラ編
145 幻の大陸アトラ探検-海底の楽園1-
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王都ラムダルから少しづつ上昇して到達した海底の高原地帯には「大アマデ島」で見た遺跡とそっくりな街並みが広がっていた。
「これは、どういうことだ? まるでそっくりだ」思わず俺は独り言ちていた。
「ほんとね。全く同じね」とアリス。
「何のことです?」と不思議そうな女神シリス。
「いや、以前に見た海底遺跡にそっくりなんだ」
「以前に見た?」
「ああ、南方諸国の島の海にあったんだ」
シリスは半信半疑だ。
「ビデオに残っている」とエリス様。
「そうだ。『妖精と南の島』だ!」
俺は、エリス様のビデオ作品を再生して問題のシーンをシリスに見せた。
「こんなものがあったんだ。早く教えてよ!」
そんなこと言われてもな。全く関係ないと思っていたからな。
「確かに、街の作りはそっくりね。おそらく同じ時代のものでしょう」
「やっぱりそうか。この時代は、しっかりした作りの家が多いんだな」
「そうね。ただ、石造りだから低層階しかないわね」
石造りの家で洪水に対抗しようとしたんだろうか?
「ここは、慎重に探査しましょう」
女神シリスの意見で、緩みがちだった気持ちに活が入れられた。
* * *
だが、活が入ろうが根性を入れようが、それだけで成果が出るわけではない。
石造りでしっかりしてはいるが、逆に言えば洞窟のようなものはないということだ。
低層の作りなので、何かあるかどうかはすぐに分かった。
そこには、何も残っていなかった。
そして、再び気持ちが緩みそうになったとき、それは突然現れた。
海底の高原地帯は水深五十メートル程度の浅く明るい海になっているのだが、突然目の前に暗く深い海が現れたのだ。
明るい海底になれた俺たちには、それは奈落の底のように見えた。
「ちょっと不気味ですね。盆地でしょうか?」ナエル王は、気乗りしない様子で言った。
ずっと明るい海底ばかりを調査していたので、再び暗い深海へ潜るのは抵抗がある。
「確かにのぉ。あそこに降りていくのは勇気がいるのぉ」ヒュペリオン王もか。
「あまり成果も期待できませんが進むしかないでしょう」とシリス。
暗い海は、心配したほど深くはなかったが思った通り何も見つからなかった。
そこには石造りの街さえなかった。
「ここは、もともと海だったのでは?」とマッセム王子。
何もない海底を見たら、そう思うよな。
「あるいは、湖でしょうか」と女神シリス。
「なるほど。それで構造物がないんですね」
俺たちは、海底の湖を先に進んだ。
* * *
~ 前方の高台に人工物のような反応があります。
何もない海底を進んでいたら、操縦席で何か見つけたようだ。
「スクリーンに出してくれ」インカムで指示を出した。
急造のGPS地図だが俺達の位置をしっかり示している。
~ 右側の映像が前方魔力眼の画像です。
スクリーン左半分にGPS地図、右半分に魔力波レーダーで捉えた映像が表示された。
魔力波レーダーは俺たちの前方の地形を映していた。
見ると、少し先に一段高い領域があった。島だろうか?
そして、その島と思しき場所に明確に他とは違う反応が見えた。
「分かった。その構造物を目指そう」
湖の島というと、すぐ神社を連想してしまうのだが、そういう特別な物なんだろうか?
* * *
海中とはいえ、真空膜フィールドのおかげで移動速度は速い。
慎重に進んでもすぐに目標に到着した。
「見えて来ましたね」マッセム王子だ。
「確かに人工の構造物ですね。幅は二百メートルくらい? 高さも二十メートル以上ありそうです」とマッセム。
いままで低層階の構造物しか見て来なかった俺たちにとって、それは異常な物体に見えた。
やや上昇して眺めてみたが、それは円柱状の構造物で最上部がドーム状になっていた。
さらに、そのドーム状の天井は光沢のあるガラスのようなもので出来ていた。
構造物の壁は珊瑚などに覆われてしまっているのに、天井部分だけは綺麗に取り除かれていた。
また、建物の最下層部分から、二本のロープのようなものが海面まで伸びていた。
恐らく何かいる。
「これか?」
「これでしょうね」とシリス。
そう言ったまま、まじまじとその構造物を見てしまった。
これはなんだろう? この時代のものとは思えない形をしている。
いや、問題はそこではない。誰かいるのかだ。
だが、驚かせてはまずい。まずは様子を見ることにした。
飛行船を百メートルほど手前で停止して何か動きがないか待ってみた。
「誰も出て来ませんね。降りてみましょうか?」
少し眺めていたが特に反応がないのでミゼールが聞いて来た。
「そうだな。俺と美鈴で行ってみるか。侍女隊は待機」飛翔神魔道具があるから楽だしな。
「了解、マスター」
「あと私ね」女神シリスも来るらしい。
そうえば、女神だから呼吸もしなくていいし安全だったな。
それと、外部ハッチを出るとき、もう一人いるのに気が付いた。
「ミリィも待ってていいんだぞ」
「ワタシ、マスターと一緒にいる!」
なんか妖精っぽいのが一緒だと、まだちょっと違和感あるんだよなぁ。
「マスター?」
「なんでもない。じゃ、いくぞ」
俺たちは海中に飛び出した。
そこは水深三十メートルくらいで明るい海底だった。
水温は緯度的に三十度近くはあると思う。付近の海底は砂地で魚影は薄いが、おかげで透視度は高く、よく見通せた。
* * *
ドームのある建物の最下層に出入口らしきものを見つけた。
これは明らかに人間が作った建物だろうと思われる。人間サイズだからだ。
「これ、普通にドアよね。って開いてるし」
美鈴が珊瑚などが付着したドアを引くとそのまま開いてしまった。
「全員探照灯をつけろ。周りに気を付けろよ」さすがに内部は暗かった。
周囲に気を使いながら通路らしきものを進んで行く。
いくつか部屋を見つけたが使われていないようで中は荒れ放題だった。
そして、そのまま通路を進むと階段に出くわした。
「上に行ってみよう」
この階を諦めた俺は、この建物の天頂部分に見えた植物園ぽい構造物まで登ってみようと思った。一番上から調査するほうが早い気がしたのだ。
ところが、階段を登ってみると二階から上には普通に空気があり、壁なども綺麗に手入れされていた。
「これは、どういうことだ? まるでそっくりだ」思わず俺は独り言ちていた。
「ほんとね。全く同じね」とアリス。
「何のことです?」と不思議そうな女神シリス。
「いや、以前に見た海底遺跡にそっくりなんだ」
「以前に見た?」
「ああ、南方諸国の島の海にあったんだ」
シリスは半信半疑だ。
「ビデオに残っている」とエリス様。
「そうだ。『妖精と南の島』だ!」
俺は、エリス様のビデオ作品を再生して問題のシーンをシリスに見せた。
「こんなものがあったんだ。早く教えてよ!」
そんなこと言われてもな。全く関係ないと思っていたからな。
「確かに、街の作りはそっくりね。おそらく同じ時代のものでしょう」
「やっぱりそうか。この時代は、しっかりした作りの家が多いんだな」
「そうね。ただ、石造りだから低層階しかないわね」
石造りの家で洪水に対抗しようとしたんだろうか?
「ここは、慎重に探査しましょう」
女神シリスの意見で、緩みがちだった気持ちに活が入れられた。
* * *
だが、活が入ろうが根性を入れようが、それだけで成果が出るわけではない。
石造りでしっかりしてはいるが、逆に言えば洞窟のようなものはないということだ。
低層の作りなので、何かあるかどうかはすぐに分かった。
そこには、何も残っていなかった。
そして、再び気持ちが緩みそうになったとき、それは突然現れた。
海底の高原地帯は水深五十メートル程度の浅く明るい海になっているのだが、突然目の前に暗く深い海が現れたのだ。
明るい海底になれた俺たちには、それは奈落の底のように見えた。
「ちょっと不気味ですね。盆地でしょうか?」ナエル王は、気乗りしない様子で言った。
ずっと明るい海底ばかりを調査していたので、再び暗い深海へ潜るのは抵抗がある。
「確かにのぉ。あそこに降りていくのは勇気がいるのぉ」ヒュペリオン王もか。
「あまり成果も期待できませんが進むしかないでしょう」とシリス。
暗い海は、心配したほど深くはなかったが思った通り何も見つからなかった。
そこには石造りの街さえなかった。
「ここは、もともと海だったのでは?」とマッセム王子。
何もない海底を見たら、そう思うよな。
「あるいは、湖でしょうか」と女神シリス。
「なるほど。それで構造物がないんですね」
俺たちは、海底の湖を先に進んだ。
* * *
~ 前方の高台に人工物のような反応があります。
何もない海底を進んでいたら、操縦席で何か見つけたようだ。
「スクリーンに出してくれ」インカムで指示を出した。
急造のGPS地図だが俺達の位置をしっかり示している。
~ 右側の映像が前方魔力眼の画像です。
スクリーン左半分にGPS地図、右半分に魔力波レーダーで捉えた映像が表示された。
魔力波レーダーは俺たちの前方の地形を映していた。
見ると、少し先に一段高い領域があった。島だろうか?
そして、その島と思しき場所に明確に他とは違う反応が見えた。
「分かった。その構造物を目指そう」
湖の島というと、すぐ神社を連想してしまうのだが、そういう特別な物なんだろうか?
* * *
海中とはいえ、真空膜フィールドのおかげで移動速度は速い。
慎重に進んでもすぐに目標に到着した。
「見えて来ましたね」マッセム王子だ。
「確かに人工の構造物ですね。幅は二百メートルくらい? 高さも二十メートル以上ありそうです」とマッセム。
いままで低層階の構造物しか見て来なかった俺たちにとって、それは異常な物体に見えた。
やや上昇して眺めてみたが、それは円柱状の構造物で最上部がドーム状になっていた。
さらに、そのドーム状の天井は光沢のあるガラスのようなもので出来ていた。
構造物の壁は珊瑚などに覆われてしまっているのに、天井部分だけは綺麗に取り除かれていた。
また、建物の最下層部分から、二本のロープのようなものが海面まで伸びていた。
恐らく何かいる。
「これか?」
「これでしょうね」とシリス。
そう言ったまま、まじまじとその構造物を見てしまった。
これはなんだろう? この時代のものとは思えない形をしている。
いや、問題はそこではない。誰かいるのかだ。
だが、驚かせてはまずい。まずは様子を見ることにした。
飛行船を百メートルほど手前で停止して何か動きがないか待ってみた。
「誰も出て来ませんね。降りてみましょうか?」
少し眺めていたが特に反応がないのでミゼールが聞いて来た。
「そうだな。俺と美鈴で行ってみるか。侍女隊は待機」飛翔神魔道具があるから楽だしな。
「了解、マスター」
「あと私ね」女神シリスも来るらしい。
そうえば、女神だから呼吸もしなくていいし安全だったな。
それと、外部ハッチを出るとき、もう一人いるのに気が付いた。
「ミリィも待ってていいんだぞ」
「ワタシ、マスターと一緒にいる!」
なんか妖精っぽいのが一緒だと、まだちょっと違和感あるんだよなぁ。
「マスター?」
「なんでもない。じゃ、いくぞ」
俺たちは海中に飛び出した。
そこは水深三十メートルくらいで明るい海底だった。
水温は緯度的に三十度近くはあると思う。付近の海底は砂地で魚影は薄いが、おかげで透視度は高く、よく見通せた。
* * *
ドームのある建物の最下層に出入口らしきものを見つけた。
これは明らかに人間が作った建物だろうと思われる。人間サイズだからだ。
「これ、普通にドアよね。って開いてるし」
美鈴が珊瑚などが付着したドアを引くとそのまま開いてしまった。
「全員探照灯をつけろ。周りに気を付けろよ」さすがに内部は暗かった。
周囲に気を使いながら通路らしきものを進んで行く。
いくつか部屋を見つけたが使われていないようで中は荒れ放題だった。
そして、そのまま通路を進むと階段に出くわした。
「上に行ってみよう」
この階を諦めた俺は、この建物の天頂部分に見えた植物園ぽい構造物まで登ってみようと思った。一番上から調査するほうが早い気がしたのだ。
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