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南北大陸編
91 マッハ神魔動飛行船就役1
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マッハ神魔動飛行船が完成した。
これは神聖アリス教国の王室専用機体、つまり俺の飛行船だ。
今回は新開発の神魔動外周エンジンに乗せ換えて超音速飛行を可能にしている。中二病全開……もとい子供の頃の夢を実現した機体だ。
子供の頃の夢はともかく、実際に出来上がったものを見上げると胸に来るものがある。
まさか超音速機の開発に本当に自分が搦めるとは思ってもみなかったからな。もっとも、最近は最初だけ口出してあとは見てることのほうが多い。苦労した日々を思い出すわけでない。作ってくれてありがとうという感謝の気持ちだ。
っていうか、良く作れたなという驚きか? いや、よく考えたら開発チームに神様がいるのだから『神様ありがとう』だな。
そんなことを考えながら発着場で待っていたら、いつもの純白の機体がゆっくりと降りて来た。
機体の胴体断面は楕円か円なのだが外側に小さい安定翼が付いている。
これは通常の飛行には使っていないのだが、何かあった時のための保険だ。
一応、重心位置を合わせた模型で安定して飛ぶのは確認している。ただ、外周エンジンの関係で先端がかなり細く鋭利になっているのが新型の特徴だ。
内部構造としては真空膜フィールドで周囲を覆われて外気を取り入れられないので空気清浄装置が付いているところが大きく違う。
二酸化炭素・酸素変換魔道具を使っている。なんだか宇宙船の装備のようになってしまった。宇宙に行くかどうかはともかく、これがあるので潜水が出来ることになっている。本当に使えるのかは知らない。
「さすがに、エンジン音が違うな」
なんでか来ているアリステリアスのヒュペリオン王が着陸する飛行船を見上げながら言った。
まぁ、王城で居候してたら暇だよね。
っていうか、最近各国に配布したビデオ会議システムを使って自国の議会をオンラインで開催しているらしい。下手すると俺の元いた世界より進んでるかもしれない。この人、何気に適応能力あるんだよなぁ。
まぁ、ダンス教室にも使ってるんだから使いたくなるのは分かる。もう議員も全員オンラインでいい気がする。むしろ声だけデカい議員を排除できていいかも知れない。
「着陸の時は、外周エンジンは使ってないんですよ」
俺はエンジン音について勘違いしてるようなので補足した。
「そうなのか? では、やはり乗り込まなくてはな」
周りを見たが、神魔動車は持って来ていないようだ。
「今回も、わしの国を一周するのだろ?」
「そうですね。今回はあっという間に終わりそうですけど」
「なに? それは残念じゃな。途中でどこかに寄らんのか?」
そんなこと、急に言われてもなぁ。とりあえず、直ぐに対応できそうなのはルセ島くらいか?
「そういえば、七人の侍女隊も参加するのじゃろ?」
「えっ? ああ、超音速で飛んで合流するとか言ってましたね」
「婿殿。その音速を超えるというのは、本当なのか? いや、婿殿の言うことだから嘘ではないのじゃろうが。さすがに、わしも神魔動車で競争するのは諦めたぞ」
あ、それで持って来てないんだ。っていうか、競争しようとしてたのか。一体どんな改造してたんだろう? それはそれで怖いんだが。
最近は、彼方此方で魔道具の開発が始まっている。
そうそう俺だけが独占状態な筈はないから当たり前なのだが、これからどんな魔道具が出てくるのか怖い気もする。
女神キリスや女神カリスは、沢山声が掛かってウキウキで出ていくのだが……まぁ、心配しても仕方ないか。
「たぶん、乗ってるだけなら実感が湧かないかもですね。ちょっと速く感じる程度だと思います」
「そこがまた、凄いところなのじゃろうな」
「エンジニアの腕の見せ所ですね。まぁ、マニアには受けないかもですが。おっ、じゃぁ、乗り込みますか」
タラップが降りて来たので俺達は乗り込むことにした。
* * *
一応、処女飛行と言うことになっているがテストは十分に繰り返している。
だが予想外の事態もあり得るし、今回はちょっとした趣向もあるので健康な大人のみに限定した。普通に子供連れて乗ろうとするんだよね、うちの嫁。
「だって、恐るべき仕様の新型飛行船と聞いて黙って見てられません」
アルテミスは、やっぱスピード狂の気配がするなぁ。っていうか、寧ろこれ家系?
「私は、嫁代表だから当然よね」
ニーナは嫁代表なんだ。嫁全員いるけどな。
「わたしは、開発者の一人だからとーぜん搭乗。子供にあとで聞かせるし」
ミルルも普通に乗って来る。
「わたしでも大丈夫なのか、みんなに話すので」
セシルは普通の人代表なのかな? あ、シスター代表? 教会代表かも?
「わたくしは、当然話題として乗らなければならないと思いますわ」
セレーネは、確かに広報担当だもんな。
「はい。姉さま」
「わらわが、こんな面白いもの見逃すわけなかろう?」だよね~っ。
* * *
発着場には一般人も見に来たりしているが、今回は搭乗者に一般人がいないので女神様が普通に搭乗している。
どうも、神魔動飛行船初飛行の時に船内を見て回れなかったのが不満だったらしく、今日の女神様は搭乗しても大人しくしていない。人数も増えてるし。
「ねぇねぇ、あの後ろに突き出した広い場所は何?」早速アリスが見つけて来た。
「ん? ああ、あれは飛行中に侍女隊が出入りする発着デッキだよ」
「えっ? 侍女隊はあそこから出入りするの? 飛びながら?」
「そう、神魔動飛空二輪に乗って出入りするんだよ」
「まぁ、危険じゃないのかしら?」
イリス様はちょっと気になるようだ。
「ああ、真空膜フィールドは乱気流とかないので比較的安全なんですよ。フィールドに入れば中は完全に無風だしね」
「ほお、またリュウジが普通じゃないもの作ったのだな」
ウリス様にも言われてしまった。
「怖くありません」
「うっ、先越された」
エリス様が言うと思ったから。でも、睨まれた。ごめんなさい。
* * *
機体は、ゆっくり上昇した。
さすがに街の上空で超音速は出さない。だが、街の外周に出たら超加速するので街から見ている一般人のほうが楽しいかもしれない。
まぁ、超加速と言っても壁に張り付くほどでではない。持続的に加速するということだ。
「来た来た来たのじゃ~!」
リリー大興奮。
とは言っても座席に座ったままだ。展望室とはいえ、超音速機なので乗客の座席はかなりしっかり作ってある。まぁ、実際は加速で身動きは取れないんだが。
そして、その横では。
「ぬぉおおおおお」
王様の雄たけび。
「まぁ、あなたったら」隣のテイア。
「お父様っ!」とセレーネも注意する。
「父様、リリーと一緒ね」とアルテミス。
うん、平常運転。
「おお、こ、これが、例の加速かい?」とマドラーばあちゃん。
「うん、これが加速と言う奴だよ」ミルルが解説する。
「こりゃ驚いた。長生きはするもんじゃ」
マドラーばあちゃん、意外と余裕。まぁ、ミルルが見てるしな。
「ねぇミルル、これはちょっとやり過ぎなんじゃない?」
ニーナには、ちょっとキツイのかな?
「そ、そうです。もうちょっと、優しくお願いします」とセシル。
わかりました。
そこで、新機能のご紹介ですよ。
これは神聖アリス教国の王室専用機体、つまり俺の飛行船だ。
今回は新開発の神魔動外周エンジンに乗せ換えて超音速飛行を可能にしている。中二病全開……もとい子供の頃の夢を実現した機体だ。
子供の頃の夢はともかく、実際に出来上がったものを見上げると胸に来るものがある。
まさか超音速機の開発に本当に自分が搦めるとは思ってもみなかったからな。もっとも、最近は最初だけ口出してあとは見てることのほうが多い。苦労した日々を思い出すわけでない。作ってくれてありがとうという感謝の気持ちだ。
っていうか、良く作れたなという驚きか? いや、よく考えたら開発チームに神様がいるのだから『神様ありがとう』だな。
そんなことを考えながら発着場で待っていたら、いつもの純白の機体がゆっくりと降りて来た。
機体の胴体断面は楕円か円なのだが外側に小さい安定翼が付いている。
これは通常の飛行には使っていないのだが、何かあった時のための保険だ。
一応、重心位置を合わせた模型で安定して飛ぶのは確認している。ただ、外周エンジンの関係で先端がかなり細く鋭利になっているのが新型の特徴だ。
内部構造としては真空膜フィールドで周囲を覆われて外気を取り入れられないので空気清浄装置が付いているところが大きく違う。
二酸化炭素・酸素変換魔道具を使っている。なんだか宇宙船の装備のようになってしまった。宇宙に行くかどうかはともかく、これがあるので潜水が出来ることになっている。本当に使えるのかは知らない。
「さすがに、エンジン音が違うな」
なんでか来ているアリステリアスのヒュペリオン王が着陸する飛行船を見上げながら言った。
まぁ、王城で居候してたら暇だよね。
っていうか、最近各国に配布したビデオ会議システムを使って自国の議会をオンラインで開催しているらしい。下手すると俺の元いた世界より進んでるかもしれない。この人、何気に適応能力あるんだよなぁ。
まぁ、ダンス教室にも使ってるんだから使いたくなるのは分かる。もう議員も全員オンラインでいい気がする。むしろ声だけデカい議員を排除できていいかも知れない。
「着陸の時は、外周エンジンは使ってないんですよ」
俺はエンジン音について勘違いしてるようなので補足した。
「そうなのか? では、やはり乗り込まなくてはな」
周りを見たが、神魔動車は持って来ていないようだ。
「今回も、わしの国を一周するのだろ?」
「そうですね。今回はあっという間に終わりそうですけど」
「なに? それは残念じゃな。途中でどこかに寄らんのか?」
そんなこと、急に言われてもなぁ。とりあえず、直ぐに対応できそうなのはルセ島くらいか?
「そういえば、七人の侍女隊も参加するのじゃろ?」
「えっ? ああ、超音速で飛んで合流するとか言ってましたね」
「婿殿。その音速を超えるというのは、本当なのか? いや、婿殿の言うことだから嘘ではないのじゃろうが。さすがに、わしも神魔動車で競争するのは諦めたぞ」
あ、それで持って来てないんだ。っていうか、競争しようとしてたのか。一体どんな改造してたんだろう? それはそれで怖いんだが。
最近は、彼方此方で魔道具の開発が始まっている。
そうそう俺だけが独占状態な筈はないから当たり前なのだが、これからどんな魔道具が出てくるのか怖い気もする。
女神キリスや女神カリスは、沢山声が掛かってウキウキで出ていくのだが……まぁ、心配しても仕方ないか。
「たぶん、乗ってるだけなら実感が湧かないかもですね。ちょっと速く感じる程度だと思います」
「そこがまた、凄いところなのじゃろうな」
「エンジニアの腕の見せ所ですね。まぁ、マニアには受けないかもですが。おっ、じゃぁ、乗り込みますか」
タラップが降りて来たので俺達は乗り込むことにした。
* * *
一応、処女飛行と言うことになっているがテストは十分に繰り返している。
だが予想外の事態もあり得るし、今回はちょっとした趣向もあるので健康な大人のみに限定した。普通に子供連れて乗ろうとするんだよね、うちの嫁。
「だって、恐るべき仕様の新型飛行船と聞いて黙って見てられません」
アルテミスは、やっぱスピード狂の気配がするなぁ。っていうか、寧ろこれ家系?
「私は、嫁代表だから当然よね」
ニーナは嫁代表なんだ。嫁全員いるけどな。
「わたしは、開発者の一人だからとーぜん搭乗。子供にあとで聞かせるし」
ミルルも普通に乗って来る。
「わたしでも大丈夫なのか、みんなに話すので」
セシルは普通の人代表なのかな? あ、シスター代表? 教会代表かも?
「わたくしは、当然話題として乗らなければならないと思いますわ」
セレーネは、確かに広報担当だもんな。
「はい。姉さま」
「わらわが、こんな面白いもの見逃すわけなかろう?」だよね~っ。
* * *
発着場には一般人も見に来たりしているが、今回は搭乗者に一般人がいないので女神様が普通に搭乗している。
どうも、神魔動飛行船初飛行の時に船内を見て回れなかったのが不満だったらしく、今日の女神様は搭乗しても大人しくしていない。人数も増えてるし。
「ねぇねぇ、あの後ろに突き出した広い場所は何?」早速アリスが見つけて来た。
「ん? ああ、あれは飛行中に侍女隊が出入りする発着デッキだよ」
「えっ? 侍女隊はあそこから出入りするの? 飛びながら?」
「そう、神魔動飛空二輪に乗って出入りするんだよ」
「まぁ、危険じゃないのかしら?」
イリス様はちょっと気になるようだ。
「ああ、真空膜フィールドは乱気流とかないので比較的安全なんですよ。フィールドに入れば中は完全に無風だしね」
「ほお、またリュウジが普通じゃないもの作ったのだな」
ウリス様にも言われてしまった。
「怖くありません」
「うっ、先越された」
エリス様が言うと思ったから。でも、睨まれた。ごめんなさい。
* * *
機体は、ゆっくり上昇した。
さすがに街の上空で超音速は出さない。だが、街の外周に出たら超加速するので街から見ている一般人のほうが楽しいかもしれない。
まぁ、超加速と言っても壁に張り付くほどでではない。持続的に加速するということだ。
「来た来た来たのじゃ~!」
リリー大興奮。
とは言っても座席に座ったままだ。展望室とはいえ、超音速機なので乗客の座席はかなりしっかり作ってある。まぁ、実際は加速で身動きは取れないんだが。
そして、その横では。
「ぬぉおおおおお」
王様の雄たけび。
「まぁ、あなたったら」隣のテイア。
「お父様っ!」とセレーネも注意する。
「父様、リリーと一緒ね」とアルテミス。
うん、平常運転。
「おお、こ、これが、例の加速かい?」とマドラーばあちゃん。
「うん、これが加速と言う奴だよ」ミルルが解説する。
「こりゃ驚いた。長生きはするもんじゃ」
マドラーばあちゃん、意外と余裕。まぁ、ミルルが見てるしな。
「ねぇミルル、これはちょっとやり過ぎなんじゃない?」
ニーナには、ちょっとキツイのかな?
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