異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう

文字の大きさ
上 下
66 / 189
神界派閥抗争編

66 惑星リセット先行実施の請願出される1

しおりを挟む
 その日、俺は一人露天風呂に入っていた。
 ここが中二階にあることもあり、最近の嫁達は後宮にあるシャワー室を使うことのほうが多くなっているためだ。

 このところ神聖アリス教国の建国がらみで動き回っていたので、久しぶりのゆったり露天風呂を堪能していた。

 ぽしゃっ

「うん?」

 見るとアリスが来ていた。

「どうしたんだ。そんな顔して」

 見たことない表情なので聞いてみた。

「リュウジ、ちょっと変なのよ」

「俺は変じゃないぞ」
「私も変じゃないわよ。そうじゃなくて、神界の雰囲気がよ」

「神界の? どういうことだ?」
「なんていうのかな。ちょっと私達、注目を浴びちゃったじゃない? 神化リング関係で」
「ああ、そのことか」

「それで上位神から睨まれてるというか、要注意神みたいな感じになっちゃってるのよ」
「アリスがか? なんだよそれ。上位神に嫌われてるのか?」

「直接上の神様じゃないけどね。ずっと上の上位神たちに注目されてるのよ」

「ふうん。神界も、いろいろあるんだな」
「そうね。力関係とかね」

「力? エネルギー革命が気に入らなかった?」
「そんなこともないと思うんだけど? 喜んでる神はいっぱい居たし」

 ぽちゃっ

 そんな話をしていたら、さらに降りてきた。イリス様が。

「はぁ。もう何かしら。疲れちゃったわ」
「お姉さま!」
「イリス様、お久しぶりです」

「リュウジ、ちょっとここでゆっくりさせてね」
「はい、イリス様ならいつでも、いつまでも」
「ふふっ。嬉しい」イリス様がぐっと接近してきて、もう俺ドキドキです。
「リュウジの間抜けな顔見てるだけで、和みますよね。お姉さま」とアリス。
「ひどい」と言いつつ否定はしない。我ながらそういう顔してるに違いないと思う。

「まぁ、アリスったら」
「私もリュウジもお姉さまにメロメロなので仕方ないわね。私の使徒だし」
「そういう系統なのかな」
「そうね。これは、そういう神力つながりよ、運命よきっと」と、アリスは澄まして言う。
「うふふ」

 ぽちゃ

「も~、やってられないのである!」ウリス様登場。あれ、ここ風呂だけどいいのかな?

「まったく、あいつら。神化リングが欲しいなら欲しいって言えばいいのだ」腕を組んで言う。

「ウリス様、こんばんは!」一応、俺いますけど?
「聞くのだ、リュウジ! 神化リング使ってたら上位神が横で嫌み言うなんてあり得ないのだ。お前のためにやってるのに、ばかばかしいので出てきたのだ」ウリス様、全然気にしていない。

「えっ? ウリス様、上位神に頼まれた仕事を放って来ちゃったんですか?」
「構わないのだっ」
「「「えええ~~っ」」」

 いや、うるうるしてるウリス様初めて見た。意外と可愛い。

「おい人間、我をなぐさめるのだ」
「あ、はい。よく分かんないですけど、ウリス様は悪くありません」
「そうだろう、そうだろう。お前は、良く出来た人間だな。よしよし」あれ? 俺、なんで慰められてるんだ?

 ぽちゃ

 今度は誰だ?

「リュウジぃ」エリス様登場。
「えっ。エリス様まで、どうなってんだ?」
「知らない。もう、知らない。このまま家出しちゃう」
「家あったんですか?」
「そんな。浮浪者じゃあるまいし。もう、ここに住む」女神湯に? 歓迎しますけど。
「絵~」
「それ、ギャグのつもりなの?」と突っ込むエリス様。
「ええ~っ」なんで、分かるんだよ?

「もう」

 とか言いながら、やっぱり恥ずかしいのかウリス様の後ろに隠れるエリス様。

「なんだか、本当におかしなことになってますね」
「でしょ~?」とアリス。
「そうね」イリス様も。

「これって、やっぱ俺が知ってる女神様だけに神化リングを配っちゃったせいなんでしょうか?」

「そんな、子供じみたことはないと思うんだけど。面白くないと思ってる神様がいるようね」とイリス様。

「言ってもらえば提供しますけど」
「『言えば』というのも問題なんでしょうね」とイリス様。
「でも神界のエネルギーが増えることは歓迎してたハズ」とアリス。
「そうね。神界のことだけだったら良かったんだと思う」とイリス様。

「あ、魔石の大量生産で、地上もエネルギー革命起こしちゃったからまずかったのか」
「ええ、おそらく。地上の信仰に依存しているのに力を持っているのは神界だったでしょ? それが、信仰に関係のない力が増してパワーバランスが崩れてきたのが問題なんでしょうね」そうイリス様は神界の事情を説明してくれた。

「つまり、下界のくせに神界と同等のパワーを持つなってことか」
「まぁ、平たく言えば」
「不干渉主義なのに」
「そうよね! まぁ、可能性があるだけで問題なのかもね」とアリス。
「しかしなぁ、そんなこと言われても」

 さすがに、神界や神様の事は分からないぞ。

「あっ」

 いきなりアリスがびっくりした顔で声を上げた。

「アリス?」
「いま、連絡があった。リュウジ、神界評議会に緊急招集が掛かったわ」

 なに!

「神界評議会って、あの?」
「そう、神界特別措置法を審査するところ。『惑星リセット先行実施の請願』が出されたわ」

「まずいわね」困惑気味にイリス様が言った。
「ヤバイ雰囲気なのだ」とウリス様。
「先行実施?」エリス様は知らない模様。

「神界特別措置法の適用は十年後ってことになってたでしょ? それを早めろって話。これが通ると予備審査を実施して早めに実行されちゃう」とアリス。
「なんだって~っ」
「かなり急進的な一派がいるようね」とイリス様。

 身重の嫁を巻き込むわけにはいかないので、湯から上がった俺達は本館の俺の部屋で話を続けることにした。

  *  *  *

「これが、請願の内容」

 そう言って、アリスが届いた内容を神力経由で俺に見せてくれた。他の女神様にも到着しているようだ。

『神界特別措置法の適用について、以下の理由により先行実施を請願する。
  ・魔法共生菌の危険性は全く減少していない。
  ・魔法共生菌に依存する魔石作成は反神界である。
  ・魔力は使徒の神格化を抑制する。これも反神界である。
  ・神界と下界のパワーバランスが崩れ、下界が神界と対等になりつつある。
  ・一連の事態を引き起こしている使徒「リュウジ」は魔王化の危険性がある。
 以上、速やかな調査の上、惑星リセットを実施されたし』

 なにこれ、俺が目の敵にされてるのか?
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。 彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。 最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。 一種の童話感覚で物語は語られます。 童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~

冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。  俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。 そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・ 「俺、死んでるじゃん・・・」 目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。 新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。  元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

転生社畜、転生先でも社畜ジョブ「書記」でブラック労働し、20年。前人未到のジョブレベルカンストからの大覚醒成り上がり!

nineyu
ファンタジー
 男は絶望していた。  使い潰され、いびられ、社畜生活に疲れ、気がつけば死に場所を求めて樹海を歩いていた。  しかし、樹海の先は異世界で、転生の影響か体も若返っていた!  リスタートと思い、自由に暮らしたいと思うも、手に入れていたスキルは前世の影響らしく、気がつけば変わらない社畜生活に、、  そんな不幸な男の転機はそこから20年。  累計四十年の社畜ジョブが、遂に覚醒する!!

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います

ゆさま
ファンタジー
美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされ、生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれてしまった、ベテランオッサン冒険者のお話。 懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?

処理中です...