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黎明編
21 ニーナ、使徒になる
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俺達は旧領主の館に引っ越して来た。
実際に引っ越してみると不具合などが見つかって多少ごたついたり、教会の拡張の話では、セシルさんと打ち合わせたりで多少バタついたが、それもなんとかなった。
これで、平和な朝が迎えられるというものだ。
ー ぴんぽーん。
これが無ければ。
ー これって何よっ。
ー すみません。
ー 添い寝して欲しいの?
ー ごめんなさい。
ー 今日は、そんなこと言ってる場合じゃないの! ちょっと大変な話があるのよ。
女神アリスから、真剣な雰囲気が伝わってきた。緊急事態か?
ー 大変?
ー うん。実は、前の担当神に連絡がついたんだけど……。
ー うん? なんの話?
ー ほら、例の雑菌について何か知らないか、この世界の前の担当神に問い合わせをしてたでしょ?
ー ああ、魔法共生菌の話か。
ー そう。そしたら、大変なことが分かったの!
ー 大変なこと?
ー この世界ってね、一度リセットされた筈だったって言うのよ!
ー うん? リセット? な、なんだって~!
ー びっくりよね!
ー ちょっと待て。リセットって、世界丸ごとやり直すみたいな話だよな?
ー そうよ。神界ルールで、一定の基準を満たしたとき実行される特別措置よ。
ー そうすると、どうなるんだ?
ー 地上の生物は全て死に絶えるわね。
ー え? そんなことになってたの? いや、なってないだろ? いつの話だ?
ー それが、私が担当する直前なのよ。神界リセットして私に渡した筈だって言うんだけど、リセットされてなかったわよね?
ってことは、俺が来る直前だよな。
ー ああ、たぶんな。ディストピアだったけど、リセットじゃないだろ。
ー そこが変なのよ。
何か、おかしなことになっているのは分かった。
ー あの時はディストピアだったけど、健美パラメータで健康にしたんだよな?
ー そうね。ああ、確かに異常な状態だったわね。だから神力を限界まで消費しちゃったわけね!
ー 神界に帰れなくなるまで使ったもんな。
ー そうよ。普通あり得ないもの。おかしいと思った。そう言うことだったんだ!
単に、アリスがポカして帰れなかったんだと思っていたら、そうじゃなかったようだ。
ー でも、なんでリセットなんてことになったんだ?
ー それがね、例の雑菌が原因らしいのよ。
ー うん? 魔法共生菌か?
ー そう。
ー えっ? あれがディストピアの原因なのか?
ー そうなのよ。だから、その魔法共生菌については前の担当神を含めて神界で対応を検討することになると思う。
ー 本当なのか? そんなにやばい菌なのか? でも、誰も危険視してないし魔法は喜んでるけど。
ー 病気と魔法の関係が分からなかったからじゃない?
ー 良く分からんが。でも、そうなると、ニーナとかミルルがヤバイんじゃないか?
ー そうね。何か対策考えないと。
ー そうだな。
ー まずは、あんたにも神力が見えるようにしとく。使い方とか練習しといてね。
ー うん? ああ、体に流れる神力が見えるようになるのか。
ー そう。神力カラーも分かる。
ー そうか。魔法が使えるって喜んで地球に帰ってたらヤバかったんだ。
ー そういうこと。
ー てか、俺はもう大丈夫なんだよな?
ー それもちゃんと調べないとね。
ー そうだな。
* * *
女神アリスの話を受けて、魔法共生菌を使った魔道具の開発は凍結することにした。こんなヤバい菌、拡散させる訳にはいかない。ニーナとミルルにも注意するように伝えた。
次の日の朝、アリスが言ったように俺は神力の流れが見えるようになっていた。
裸の状態で目を凝らすと白い血管のようじ神力の流れが見える。ちょっとグロい。
「ねぇ、そんなまじまじ見ないでよ」
「あ、いや、綺麗だな」
「馬鹿ね。もう見飽きたでしょ?」
「そんなことはないよ」
あれ? ニーナへと細く伸びている神力をずっと見てて気づいたが、血管のように太くなったり細くなったりしている。
神力が脈動してるのかと思ったが、神力にはそもそも心臓のようなポンプがあるわけじゃない。
ん? ポンプ? これって押し込めたりするんだろうか?
「あっ」
「なんだ?」
「よくわかんないけど、今風が吹いたような感じがした」
「なに!」
見ると、ニーナの中に走っている神力が、以前より太くなっていた。
「あ、もしかすると、もしかするかも」
「もしもし?」それ省略形なのか?
「お前、俺の眷属になったかも?」
「なにそれ、吸血鬼?」
「こういうとき、願望が出るって言うよね」
「知らないわよ」
ー なったわよ。
いきなり女神様から声をかけられた。
「きゃっ。今の何?」
ニーナは、思いっきり驚いたようだ。
「女神様の声」
「何それ、どゆこと?」
「実は俺、女神アリスの使徒なんだ」
「アニメの見すぎでしょ?」
「それは、女神様に言って」
ー 大きなお世話! ニーナ、私の声が聞こえるでしょ? 神界から話してるのよ。
「うそっ、あのアリスさん?」
ー そうよ、一緒に魔法の訓練したでしょ? 一緒に飛んだでしょ?
「本物なのね」
ー あの時から、ニーナは使徒になり掛かってたんだけど、今リュウジから神の力、神力が強く流れたのよ。驚いたわ。こんな事もあるのね。
「そんなこともあるんですね」
ー 普通ないわよ。
「普通じゃないんだ」
「やっぱり、リュウジだから?」
ー そうかも。
「そんな、あいまいな」
「やっぱり、そうなんだ」
「おまえ、納得するなよ」
ー 普通、使徒は使徒を増やせないのよ。リュウジは特別みたいね。
「えっ? そうなのか?」さすがにそれは驚いた。
「し、ししょ~っ」
「いや、そんなレアモンスターを見るような目でみるな。俺は普通だ。きっと女神様がレアモンスターだ」
ー 女神をモンスター呼ばわりとは、いい度胸してるわね!
「ごめんなさい、もうしません。あ、でも、そうするとニーナの魔法共生菌を駆逐出来たんじゃね?」
ー そうね~、たぶん。
「なになに? どういうこと」
「えっと、簡単に言うと神力が体に流れると、魔法共生菌を滅菌できるってこと」
ー リュウジの神力シャワーの影響かもね?
「あぁ、それもそうか。ゼロメートル神力シャワーで滅菌出来るじゃん」
ー 滅菌できたから、神力が流れたのかしらね。
「そうかも」
「え~っ、ってことは、もう魔法共生菌の危険はないってこと?」とニーナ。
「うん、たぶん大丈夫。俺と同じだ」
「良かった~っ! あ、でも魔法は使えなくなったんだ~」ニーナはちょっと残念そう。
「いや、魔力の代わりに神力が使えるよ。同じことが出来る。たぶん、前より強力になってる」
「ほんと? 凄い! やっぱ、ししょーと一緒にいて良かった!」
ー ふふふ。良かったわね。これで一つ問題は解決ね。じゃあね。
* * *
女神様の通信が終わってからもニーナは興奮気味だったが、いきなり静かになった。
「ねぇ、リュウジ」
「ん? どした?」
「さっきの女神様。私たちのこと見えてる風だったんだけど」
「うん? そうだったか?」
「見えてるよね? 神様だもの」
「そりゃ~ね?」
「きゃあぁぁぁぁぁぁ。ああ、どうしよ。全部だよね? ぜんぶ」
「俺は気にしないことにした。意外と慣れるよ?」
「なんか、気づいたら全裸で街を歩いてた気分」
「けど、動物はみんな全裸で歩いてるんだよ」
「いえ、そういう意味では。はぁ~、慣れるしかないかぁ~」
「慣れるしかないよ」
そして、また少し考えてから言った。
「もしかして、ししょ~も覗けるの?」
「な、なんのことかな~っ?」
「えっちっ!」
ご、誤解だ。が、言われてみれば千里眼で可能かも。てか、お前も出来るんだけど?
* * *
ニーナが使徒になった翌朝。
「トゥッ(あ~聞こえない)」
「ちょっと、酷いじゃないの~っ」とアリス。
「酷いじゃありせん、ぜって~クレーム入ります」
「きゃ~っ」
ニーナも目覚めた模様。
「その反応はどうなの? ちょっとショック」とアリス。
「あ、アリスさん? あ、いえ、女神アリス様?」
起きたばかりで、ちょっと朦朧としているニーナ。
「アリスさんでいいわよ。あら、なかなか寝心地いいわね、このベッド」
アリスはマットレスをフカフカしながら言った。
「はい、お気に入りです。じゃなくて、どこから……って、いきなり来れるんですか!」
一応周りを見渡して言うニーナ。別に窓から入ってないからな。
「そう、びっくりだよな。目覚めたら女神様が添い寝してる家なんて、あんまりないよ」
「絶対ありません」きっぱりと言うニーナ。
「おまけに、頭の中で考えたことは筒抜けだし」
「えええっ? 内緒ごと出来ないんですか?」
「無理ね。まぁ、黙って考えてないで全部声に出してると思ったら、別に普通よ」
「全然、普通じゃないですぅ。あれ? そういえば、そうかな? あ、なんだかそんな気もしてきました」とニーナ。
「ニーナもう少しだな。で、今日はどうしたんですか?」
「え? 二人を見てたら、私も仲間に入れて欲しくなっちゃったのよ」
「見てたんですね」とニーナ。
「いつものことよ。私は三人でいるのが自然な感じなの。でも、話ができて触れ合えるほうがいいわよね」
「私は違和感バリバリですけど」とニーナ。
「覗かれるより、このほうがいいでしょ?」
「それは、そうですけど」
「リュウジが嘘とか言ってもバレバレだし」
「アリスさん素敵! 毎日来てください!」
「お前、何言ってんの。俺は隠し事とかしてないからな」
「ほんとかな~」
「ほんとほんと」
「あるとすれば?」
「体重、見ちゃったときとかね」とアリス。
「きゃ~~~っ」
「そ、それは女神様の行為として、どうなのかな? 問題ないのかな? イリス様に聞いてみようかな?」
「わ、わたしが悪かったわリュウジ。明日も添い寝してあげるから許してね!」
「だからそれ、ご褒美になってないから」
「アリスさん明日もよろしくね」ご褒美になってるらしい。
実際に引っ越してみると不具合などが見つかって多少ごたついたり、教会の拡張の話では、セシルさんと打ち合わせたりで多少バタついたが、それもなんとかなった。
これで、平和な朝が迎えられるというものだ。
ー ぴんぽーん。
これが無ければ。
ー これって何よっ。
ー すみません。
ー 添い寝して欲しいの?
ー ごめんなさい。
ー 今日は、そんなこと言ってる場合じゃないの! ちょっと大変な話があるのよ。
女神アリスから、真剣な雰囲気が伝わってきた。緊急事態か?
ー 大変?
ー うん。実は、前の担当神に連絡がついたんだけど……。
ー うん? なんの話?
ー ほら、例の雑菌について何か知らないか、この世界の前の担当神に問い合わせをしてたでしょ?
ー ああ、魔法共生菌の話か。
ー そう。そしたら、大変なことが分かったの!
ー 大変なこと?
ー この世界ってね、一度リセットされた筈だったって言うのよ!
ー うん? リセット? な、なんだって~!
ー びっくりよね!
ー ちょっと待て。リセットって、世界丸ごとやり直すみたいな話だよな?
ー そうよ。神界ルールで、一定の基準を満たしたとき実行される特別措置よ。
ー そうすると、どうなるんだ?
ー 地上の生物は全て死に絶えるわね。
ー え? そんなことになってたの? いや、なってないだろ? いつの話だ?
ー それが、私が担当する直前なのよ。神界リセットして私に渡した筈だって言うんだけど、リセットされてなかったわよね?
ってことは、俺が来る直前だよな。
ー ああ、たぶんな。ディストピアだったけど、リセットじゃないだろ。
ー そこが変なのよ。
何か、おかしなことになっているのは分かった。
ー あの時はディストピアだったけど、健美パラメータで健康にしたんだよな?
ー そうね。ああ、確かに異常な状態だったわね。だから神力を限界まで消費しちゃったわけね!
ー 神界に帰れなくなるまで使ったもんな。
ー そうよ。普通あり得ないもの。おかしいと思った。そう言うことだったんだ!
単に、アリスがポカして帰れなかったんだと思っていたら、そうじゃなかったようだ。
ー でも、なんでリセットなんてことになったんだ?
ー それがね、例の雑菌が原因らしいのよ。
ー うん? 魔法共生菌か?
ー そう。
ー えっ? あれがディストピアの原因なのか?
ー そうなのよ。だから、その魔法共生菌については前の担当神を含めて神界で対応を検討することになると思う。
ー 本当なのか? そんなにやばい菌なのか? でも、誰も危険視してないし魔法は喜んでるけど。
ー 病気と魔法の関係が分からなかったからじゃない?
ー 良く分からんが。でも、そうなると、ニーナとかミルルがヤバイんじゃないか?
ー そうね。何か対策考えないと。
ー そうだな。
ー まずは、あんたにも神力が見えるようにしとく。使い方とか練習しといてね。
ー うん? ああ、体に流れる神力が見えるようになるのか。
ー そう。神力カラーも分かる。
ー そうか。魔法が使えるって喜んで地球に帰ってたらヤバかったんだ。
ー そういうこと。
ー てか、俺はもう大丈夫なんだよな?
ー それもちゃんと調べないとね。
ー そうだな。
* * *
女神アリスの話を受けて、魔法共生菌を使った魔道具の開発は凍結することにした。こんなヤバい菌、拡散させる訳にはいかない。ニーナとミルルにも注意するように伝えた。
次の日の朝、アリスが言ったように俺は神力の流れが見えるようになっていた。
裸の状態で目を凝らすと白い血管のようじ神力の流れが見える。ちょっとグロい。
「ねぇ、そんなまじまじ見ないでよ」
「あ、いや、綺麗だな」
「馬鹿ね。もう見飽きたでしょ?」
「そんなことはないよ」
あれ? ニーナへと細く伸びている神力をずっと見てて気づいたが、血管のように太くなったり細くなったりしている。
神力が脈動してるのかと思ったが、神力にはそもそも心臓のようなポンプがあるわけじゃない。
ん? ポンプ? これって押し込めたりするんだろうか?
「あっ」
「なんだ?」
「よくわかんないけど、今風が吹いたような感じがした」
「なに!」
見ると、ニーナの中に走っている神力が、以前より太くなっていた。
「あ、もしかすると、もしかするかも」
「もしもし?」それ省略形なのか?
「お前、俺の眷属になったかも?」
「なにそれ、吸血鬼?」
「こういうとき、願望が出るって言うよね」
「知らないわよ」
ー なったわよ。
いきなり女神様から声をかけられた。
「きゃっ。今の何?」
ニーナは、思いっきり驚いたようだ。
「女神様の声」
「何それ、どゆこと?」
「実は俺、女神アリスの使徒なんだ」
「アニメの見すぎでしょ?」
「それは、女神様に言って」
ー 大きなお世話! ニーナ、私の声が聞こえるでしょ? 神界から話してるのよ。
「うそっ、あのアリスさん?」
ー そうよ、一緒に魔法の訓練したでしょ? 一緒に飛んだでしょ?
「本物なのね」
ー あの時から、ニーナは使徒になり掛かってたんだけど、今リュウジから神の力、神力が強く流れたのよ。驚いたわ。こんな事もあるのね。
「そんなこともあるんですね」
ー 普通ないわよ。
「普通じゃないんだ」
「やっぱり、リュウジだから?」
ー そうかも。
「そんな、あいまいな」
「やっぱり、そうなんだ」
「おまえ、納得するなよ」
ー 普通、使徒は使徒を増やせないのよ。リュウジは特別みたいね。
「えっ? そうなのか?」さすがにそれは驚いた。
「し、ししょ~っ」
「いや、そんなレアモンスターを見るような目でみるな。俺は普通だ。きっと女神様がレアモンスターだ」
ー 女神をモンスター呼ばわりとは、いい度胸してるわね!
「ごめんなさい、もうしません。あ、でも、そうするとニーナの魔法共生菌を駆逐出来たんじゃね?」
ー そうね~、たぶん。
「なになに? どういうこと」
「えっと、簡単に言うと神力が体に流れると、魔法共生菌を滅菌できるってこと」
ー リュウジの神力シャワーの影響かもね?
「あぁ、それもそうか。ゼロメートル神力シャワーで滅菌出来るじゃん」
ー 滅菌できたから、神力が流れたのかしらね。
「そうかも」
「え~っ、ってことは、もう魔法共生菌の危険はないってこと?」とニーナ。
「うん、たぶん大丈夫。俺と同じだ」
「良かった~っ! あ、でも魔法は使えなくなったんだ~」ニーナはちょっと残念そう。
「いや、魔力の代わりに神力が使えるよ。同じことが出来る。たぶん、前より強力になってる」
「ほんと? 凄い! やっぱ、ししょーと一緒にいて良かった!」
ー ふふふ。良かったわね。これで一つ問題は解決ね。じゃあね。
* * *
女神様の通信が終わってからもニーナは興奮気味だったが、いきなり静かになった。
「ねぇ、リュウジ」
「ん? どした?」
「さっきの女神様。私たちのこと見えてる風だったんだけど」
「うん? そうだったか?」
「見えてるよね? 神様だもの」
「そりゃ~ね?」
「きゃあぁぁぁぁぁぁ。ああ、どうしよ。全部だよね? ぜんぶ」
「俺は気にしないことにした。意外と慣れるよ?」
「なんか、気づいたら全裸で街を歩いてた気分」
「けど、動物はみんな全裸で歩いてるんだよ」
「いえ、そういう意味では。はぁ~、慣れるしかないかぁ~」
「慣れるしかないよ」
そして、また少し考えてから言った。
「もしかして、ししょ~も覗けるの?」
「な、なんのことかな~っ?」
「えっちっ!」
ご、誤解だ。が、言われてみれば千里眼で可能かも。てか、お前も出来るんだけど?
* * *
ニーナが使徒になった翌朝。
「トゥッ(あ~聞こえない)」
「ちょっと、酷いじゃないの~っ」とアリス。
「酷いじゃありせん、ぜって~クレーム入ります」
「きゃ~っ」
ニーナも目覚めた模様。
「その反応はどうなの? ちょっとショック」とアリス。
「あ、アリスさん? あ、いえ、女神アリス様?」
起きたばかりで、ちょっと朦朧としているニーナ。
「アリスさんでいいわよ。あら、なかなか寝心地いいわね、このベッド」
アリスはマットレスをフカフカしながら言った。
「はい、お気に入りです。じゃなくて、どこから……って、いきなり来れるんですか!」
一応周りを見渡して言うニーナ。別に窓から入ってないからな。
「そう、びっくりだよな。目覚めたら女神様が添い寝してる家なんて、あんまりないよ」
「絶対ありません」きっぱりと言うニーナ。
「おまけに、頭の中で考えたことは筒抜けだし」
「えええっ? 内緒ごと出来ないんですか?」
「無理ね。まぁ、黙って考えてないで全部声に出してると思ったら、別に普通よ」
「全然、普通じゃないですぅ。あれ? そういえば、そうかな? あ、なんだかそんな気もしてきました」とニーナ。
「ニーナもう少しだな。で、今日はどうしたんですか?」
「え? 二人を見てたら、私も仲間に入れて欲しくなっちゃったのよ」
「見てたんですね」とニーナ。
「いつものことよ。私は三人でいるのが自然な感じなの。でも、話ができて触れ合えるほうがいいわよね」
「私は違和感バリバリですけど」とニーナ。
「覗かれるより、このほうがいいでしょ?」
「それは、そうですけど」
「リュウジが嘘とか言ってもバレバレだし」
「アリスさん素敵! 毎日来てください!」
「お前、何言ってんの。俺は隠し事とかしてないからな」
「ほんとかな~」
「ほんとほんと」
「あるとすれば?」
「体重、見ちゃったときとかね」とアリス。
「きゃ~~~っ」
「そ、それは女神様の行為として、どうなのかな? 問題ないのかな? イリス様に聞いてみようかな?」
「わ、わたしが悪かったわリュウジ。明日も添い寝してあげるから許してね!」
「だからそれ、ご褒美になってないから」
「アリスさん明日もよろしくね」ご褒美になってるらしい。
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