16 / 175
黎明編
16 飛行艇を作る-設計編-
しおりを挟む
アリスが神界へ帰ってから、俺は念願の魔道具作りを始めた。
マドラーばあちゃんに教えてもらったことを基に、具体的な図面にしてみた。
まぁ、魔動回路とか分からないので模型飛行機の設計図みたいになってしまったのだが。
そう、今回作るのは飛行艇だ。機体設計図に加えて魔法で何をやりたいかを描いた模式図にしてみた。これでなんとかなるだろう。というか、なってくれ。
* * *
出来た設計図を持って、俺はニーナと一緒にマドラーばあちゃんの魔道具屋を尋ねた。
これで飛行艇が作れるのか見てもらうためだ。
基本のモデルはドローンだ。
この世界にプロペラやモーターはないが、加速自体は魔力のほうが得意なので、むしろ作りやすいと思う。
「こんにちは~っ」
「あ、ニーナさんいらっしゃい!」
「こんにちはミルル。おばあちゃんいる?」
「あ、いるんだけど、ちょっと腰を痛めちゃって」
「ええっ? 大丈夫?」
出てきたミルルが、ちょっと苦笑い気味に言った。
「ニーナさんたちが来てから『若いもんには負けられられない!』とか言って、張り切り過ぎちゃったみたい」
ぴちぴちを証明しようとしたらしい。
あれ? そういや、俺って神力が回復したから治癒とか出来るかも。ちょっと見てあげようか。
「無理しちゃったのか」
「あたしゃ平気だよ。無理なんかしちゃいないさ」
奥からマドラーばあちゃんが出てきた。が、ぜんぜん平気には見えない。
「あ、おばあちゃん!」
「まだ、だめだよ寝てないと」とミルルが注意する。
「あんたらが来たのに寝てなんかいられないよ」
「もう、おばあちゃんったら」
ニーナは、さすがに心配そうな顔だ。
「あっ、そうそう。俺、治癒魔法使えるようなんだけど」
「えっ?」ニーナ驚く。
「うそっ?」ミルルも意外そうな顔をする。
「そりゃ、びっくりだね」ばあちゃんもびっくりしている。
「まぁ、知識だけなんで申し訳ないですけど、もし辛いんだったらダメ元でちょっとかけてみましょうか?」
「ほんとかい、じゃ、頼むよ。腰にくると何もできゃしないんで困ってたんだ」やっぱりか。
俺は神力リストで治癒を探して試してみた。
見た目は単に痛む腰に手をかざしてるだけだが、痛んでいる神経のまわりを薄いクッションで包むようなイメージだ。
「ありゃ、ほんとに痛くなくなったよ。よいしょ。こりゃ、大したもんだ」
「すっご~いっ」
ミルルも明るい顔で驚いている。
「し、ししょ~っ、さすがです。もう惚れ直しちゃいます」冷めてたの?
「ああ、リュウジさん。ほんとにありがとよっ。これだけは、もう諦めてたからねぇ」
マドラーばあちゃんは、腰のあたりの凝りをさすりながら背を伸ばして言った。
「たぶん、これで当分は大丈夫だと思います。痛まないだけなので、無理はダメですよ」
俺は神力の説明文を読んで伝えた。
「助かったよ。で、今日はどうしたんだい?」
「ああ、この間話してた魔道具なんですが、一応設計したので持ってきました」
俺は、手に持った設計図を掲げて見せた。
「おや、ずいぶん早いね。じゃ、工房で話を聞こうか。あ、店は閉めるよミルル」
「はい、おばあちゃん」
「いや、閉めなくても」またかい。
「かまやしないよ、もともと客なんか来やしないし、腰を痛めて閉める気だったんだ」
* * *
マドラーばあちゃんに促されて、俺達は奥の工房に移動した。
工房は、壁一面をいろんな魔道具や魔道工具が埋め尽くしている。
いかにも作業場という雰囲気の部屋だが思いのほか広く、ベランダからは小さな庭に出られるようになっていた。
部屋の中央にある大きなテーブルにはミルルの作業中の部品が並んでいた。
数は減ったようだが、まだ温風扇は売れてるらしい。俺は、その作業台の空いたところに設計図を広げて見せた。
「こ、こりゃ~なんだい? とんでもないもの描いてきたね」
設計図を覗き込んだマドラーばあちゃんが驚いた。
「す、凄ーい。こんな細かい図面見たことないよ」ミルルも驚いている。
「やっぱり、これって凄いんだ」
あらかじめニーナにも見せていたが、その時の反応は「蜘蛛の巣みたい」だった。
そりゃそうか。
「あ、そうか、こっちのほうがいいか」
そう言って、完成予想図と模式図を出してみた。
「ほう、これなら分かるよ」とマドラーばあちゃん。
「うん、うん」ミルルも、これなら大丈夫らしい。
「二人乗りの飛行艇です。荷物が無ければ4人くらい乗れるかも」
「は~っ、飛行艇かい。凄いね」
模式図を遠目に持ってマドラーばあちゃんが言った。
「この、4つの膨らみ部分を浮かせることで、中の人間や荷物を運びます」
「ほう。すると魔石は真ん中に置くんだね? 魔力変換器は4箇所に置くってことだね」
「そこなんですけど、魔力を浮力に変換するとき、それぞれを微調整したいんです」
「それぞれに、しかも細かくかい? そりゃちょっとやっかいかも知れないね」
マドラーばあちゃんは遠くを見るような目で言った。
「やっぱり、難しいですか?」
「いや、出来ない訳じゃないが専用の魔道具になるね」
「おばあちゃん、面白い! これ作ってみたい!」ミルルは模式図を覗き込んで言った。
「そうかい、ミルルなら作れるだろうさ」
「そりゃ、ありがたい」
「ただね。そうなると、かなり大きな魔石がいるね」
マドラーばあちゃんは、模式図を俺に返しながら難しそうな表情で言った。
「ああ、そうかぁ。重いもんね」とミルル。
「それなんですけど、実は魔力を生み出す装置を作ろうかと思ってます」
「なんだって~!」
マドラーばあちゃん、いつになく大きな声で言った。
「魔力を生み出す? 溜めるんじゃなくて? それ魔法使いじゃん。リュウジさんを箱に閉じ込めるの?」俺は、この娘の発想が怖い。
「いや、俺を閉じ込めてどうするの? そうじゃなくて、魔法使いの力の源を集めて閉じ込めるんだよ」
マドラーばあちゃんは、しばらくあっけに取られていた。
「あんた、とんでもないこと考えるね。そんなことが出来るもんかね」
「わたしも、びっくりした。怖いくらい」いや、さっきの君の発想のほうが怖いんだけど。
「もしそれが出来れば、魔力を溜め込まなくても魔法が使えるようになるハズです」
「……」
「……」
「……」
あの、もしもし。一同、絶句している。
「あんた、そりゃ世界が変わるよ。ちょっと、簡単にしゃべちゃまずいよ」とマドラーばあちゃん。
「えっ? ああ、そう言えばそうか。油田見つけたようなもんだからな」
「ゆでん?」とミルル。
「あ、いや、材木の山というか薪の山というか」
「そういうこった。ま、うまく行けばだけどね。下手すると軍が動くよ、あんた」
マドラーばあちゃんは、厳しい顔で言った。
「そうか。そうですね。まぁ、本当に出来るかどうかは、やってみないと分かりませんが。とりあえず、このことはここだけの秘密ということで」
「もちろんさ」とマドラーばあちゃん。
「そうですね」とミルル。
「分かった」とニーナ。
この魔法を生み出す装置は「エナジーモジュール」と呼ぶことにした。
飛行艇の製作では、エナジーモジュールの開発は主に俺が担当する。加速器を含む駆動系はミルル、制御系はミルルと俺が担当することになった。ニーナは全般に補助に回ってもらう。
というか、実はエナジーモジュール開発において、ニーナがキーマンだったりする。
何しろ、俺の魔法は神力シャワーで消えちゃったのだ。本当に魔法共生菌が存在するとしたら、あるのはニーナの中だけになる。それで魔法共生菌の取り出しにはニーナの協力が不可欠という訳だ。
* * *
「それで、このガラスの壺の中に私が口で噛んだパンを出すの?」
「うん」
「なんか、汚い感じでやだなぁ。リュウジでもいいんじゃない?」
「俺じゃ、もっと汚い感じがするし、ニーナのがいい」
決して口噛み酒を飲みたいとか思ってないから。
壺の中には培養液が入っていて勝手に増殖するので、大量には必要ない。少しあればいい。
「体のどこに共生しているか分からないから、あちこち試してみるしかないんだよ」
「うん。まぁ、そう言うことなら仕方ないけど」
ニーナは嫌々ながら応じてくれた。
既に皮膚からも細菌を採取して壺で保存している。これでダメだと腸内細菌とかになって絶望的なんだよな。うまくいってくれよ。
「あたしも、手伝ってあげようか?」
「いや、ミルルは魔法覚醒してないし」
「あそっか。魔法覚醒すれば魔法使えてエナジーモジュール作れるってことなんだね」
「そういうこと」
「ねぇ、ニーナ。私にも覚醒のやり方教えて?」
「えーっ、ちょっと大変だよ? リュウジに頼みなよ」
ニーナ、その大変なことをミルルに教えないように!
「馬鹿な事言ってるんじゃありません」
「え? 何でだめなの?」とミルル。
「ともかく、ミルルはまず駆動系をお願い」
「うん、わかった」
ミルルは、やや不満げだったけど「駆動系」と聞くと自分の興味のあることなのですぐ忘れたようだ。
マドラーばあちゃんに教えてもらったことを基に、具体的な図面にしてみた。
まぁ、魔動回路とか分からないので模型飛行機の設計図みたいになってしまったのだが。
そう、今回作るのは飛行艇だ。機体設計図に加えて魔法で何をやりたいかを描いた模式図にしてみた。これでなんとかなるだろう。というか、なってくれ。
* * *
出来た設計図を持って、俺はニーナと一緒にマドラーばあちゃんの魔道具屋を尋ねた。
これで飛行艇が作れるのか見てもらうためだ。
基本のモデルはドローンだ。
この世界にプロペラやモーターはないが、加速自体は魔力のほうが得意なので、むしろ作りやすいと思う。
「こんにちは~っ」
「あ、ニーナさんいらっしゃい!」
「こんにちはミルル。おばあちゃんいる?」
「あ、いるんだけど、ちょっと腰を痛めちゃって」
「ええっ? 大丈夫?」
出てきたミルルが、ちょっと苦笑い気味に言った。
「ニーナさんたちが来てから『若いもんには負けられられない!』とか言って、張り切り過ぎちゃったみたい」
ぴちぴちを証明しようとしたらしい。
あれ? そういや、俺って神力が回復したから治癒とか出来るかも。ちょっと見てあげようか。
「無理しちゃったのか」
「あたしゃ平気だよ。無理なんかしちゃいないさ」
奥からマドラーばあちゃんが出てきた。が、ぜんぜん平気には見えない。
「あ、おばあちゃん!」
「まだ、だめだよ寝てないと」とミルルが注意する。
「あんたらが来たのに寝てなんかいられないよ」
「もう、おばあちゃんったら」
ニーナは、さすがに心配そうな顔だ。
「あっ、そうそう。俺、治癒魔法使えるようなんだけど」
「えっ?」ニーナ驚く。
「うそっ?」ミルルも意外そうな顔をする。
「そりゃ、びっくりだね」ばあちゃんもびっくりしている。
「まぁ、知識だけなんで申し訳ないですけど、もし辛いんだったらダメ元でちょっとかけてみましょうか?」
「ほんとかい、じゃ、頼むよ。腰にくると何もできゃしないんで困ってたんだ」やっぱりか。
俺は神力リストで治癒を探して試してみた。
見た目は単に痛む腰に手をかざしてるだけだが、痛んでいる神経のまわりを薄いクッションで包むようなイメージだ。
「ありゃ、ほんとに痛くなくなったよ。よいしょ。こりゃ、大したもんだ」
「すっご~いっ」
ミルルも明るい顔で驚いている。
「し、ししょ~っ、さすがです。もう惚れ直しちゃいます」冷めてたの?
「ああ、リュウジさん。ほんとにありがとよっ。これだけは、もう諦めてたからねぇ」
マドラーばあちゃんは、腰のあたりの凝りをさすりながら背を伸ばして言った。
「たぶん、これで当分は大丈夫だと思います。痛まないだけなので、無理はダメですよ」
俺は神力の説明文を読んで伝えた。
「助かったよ。で、今日はどうしたんだい?」
「ああ、この間話してた魔道具なんですが、一応設計したので持ってきました」
俺は、手に持った設計図を掲げて見せた。
「おや、ずいぶん早いね。じゃ、工房で話を聞こうか。あ、店は閉めるよミルル」
「はい、おばあちゃん」
「いや、閉めなくても」またかい。
「かまやしないよ、もともと客なんか来やしないし、腰を痛めて閉める気だったんだ」
* * *
マドラーばあちゃんに促されて、俺達は奥の工房に移動した。
工房は、壁一面をいろんな魔道具や魔道工具が埋め尽くしている。
いかにも作業場という雰囲気の部屋だが思いのほか広く、ベランダからは小さな庭に出られるようになっていた。
部屋の中央にある大きなテーブルにはミルルの作業中の部品が並んでいた。
数は減ったようだが、まだ温風扇は売れてるらしい。俺は、その作業台の空いたところに設計図を広げて見せた。
「こ、こりゃ~なんだい? とんでもないもの描いてきたね」
設計図を覗き込んだマドラーばあちゃんが驚いた。
「す、凄ーい。こんな細かい図面見たことないよ」ミルルも驚いている。
「やっぱり、これって凄いんだ」
あらかじめニーナにも見せていたが、その時の反応は「蜘蛛の巣みたい」だった。
そりゃそうか。
「あ、そうか、こっちのほうがいいか」
そう言って、完成予想図と模式図を出してみた。
「ほう、これなら分かるよ」とマドラーばあちゃん。
「うん、うん」ミルルも、これなら大丈夫らしい。
「二人乗りの飛行艇です。荷物が無ければ4人くらい乗れるかも」
「は~っ、飛行艇かい。凄いね」
模式図を遠目に持ってマドラーばあちゃんが言った。
「この、4つの膨らみ部分を浮かせることで、中の人間や荷物を運びます」
「ほう。すると魔石は真ん中に置くんだね? 魔力変換器は4箇所に置くってことだね」
「そこなんですけど、魔力を浮力に変換するとき、それぞれを微調整したいんです」
「それぞれに、しかも細かくかい? そりゃちょっとやっかいかも知れないね」
マドラーばあちゃんは遠くを見るような目で言った。
「やっぱり、難しいですか?」
「いや、出来ない訳じゃないが専用の魔道具になるね」
「おばあちゃん、面白い! これ作ってみたい!」ミルルは模式図を覗き込んで言った。
「そうかい、ミルルなら作れるだろうさ」
「そりゃ、ありがたい」
「ただね。そうなると、かなり大きな魔石がいるね」
マドラーばあちゃんは、模式図を俺に返しながら難しそうな表情で言った。
「ああ、そうかぁ。重いもんね」とミルル。
「それなんですけど、実は魔力を生み出す装置を作ろうかと思ってます」
「なんだって~!」
マドラーばあちゃん、いつになく大きな声で言った。
「魔力を生み出す? 溜めるんじゃなくて? それ魔法使いじゃん。リュウジさんを箱に閉じ込めるの?」俺は、この娘の発想が怖い。
「いや、俺を閉じ込めてどうするの? そうじゃなくて、魔法使いの力の源を集めて閉じ込めるんだよ」
マドラーばあちゃんは、しばらくあっけに取られていた。
「あんた、とんでもないこと考えるね。そんなことが出来るもんかね」
「わたしも、びっくりした。怖いくらい」いや、さっきの君の発想のほうが怖いんだけど。
「もしそれが出来れば、魔力を溜め込まなくても魔法が使えるようになるハズです」
「……」
「……」
「……」
あの、もしもし。一同、絶句している。
「あんた、そりゃ世界が変わるよ。ちょっと、簡単にしゃべちゃまずいよ」とマドラーばあちゃん。
「えっ? ああ、そう言えばそうか。油田見つけたようなもんだからな」
「ゆでん?」とミルル。
「あ、いや、材木の山というか薪の山というか」
「そういうこった。ま、うまく行けばだけどね。下手すると軍が動くよ、あんた」
マドラーばあちゃんは、厳しい顔で言った。
「そうか。そうですね。まぁ、本当に出来るかどうかは、やってみないと分かりませんが。とりあえず、このことはここだけの秘密ということで」
「もちろんさ」とマドラーばあちゃん。
「そうですね」とミルル。
「分かった」とニーナ。
この魔法を生み出す装置は「エナジーモジュール」と呼ぶことにした。
飛行艇の製作では、エナジーモジュールの開発は主に俺が担当する。加速器を含む駆動系はミルル、制御系はミルルと俺が担当することになった。ニーナは全般に補助に回ってもらう。
というか、実はエナジーモジュール開発において、ニーナがキーマンだったりする。
何しろ、俺の魔法は神力シャワーで消えちゃったのだ。本当に魔法共生菌が存在するとしたら、あるのはニーナの中だけになる。それで魔法共生菌の取り出しにはニーナの協力が不可欠という訳だ。
* * *
「それで、このガラスの壺の中に私が口で噛んだパンを出すの?」
「うん」
「なんか、汚い感じでやだなぁ。リュウジでもいいんじゃない?」
「俺じゃ、もっと汚い感じがするし、ニーナのがいい」
決して口噛み酒を飲みたいとか思ってないから。
壺の中には培養液が入っていて勝手に増殖するので、大量には必要ない。少しあればいい。
「体のどこに共生しているか分からないから、あちこち試してみるしかないんだよ」
「うん。まぁ、そう言うことなら仕方ないけど」
ニーナは嫌々ながら応じてくれた。
既に皮膚からも細菌を採取して壺で保存している。これでダメだと腸内細菌とかになって絶望的なんだよな。うまくいってくれよ。
「あたしも、手伝ってあげようか?」
「いや、ミルルは魔法覚醒してないし」
「あそっか。魔法覚醒すれば魔法使えてエナジーモジュール作れるってことなんだね」
「そういうこと」
「ねぇ、ニーナ。私にも覚醒のやり方教えて?」
「えーっ、ちょっと大変だよ? リュウジに頼みなよ」
ニーナ、その大変なことをミルルに教えないように!
「馬鹿な事言ってるんじゃありません」
「え? 何でだめなの?」とミルル。
「ともかく、ミルルはまず駆動系をお願い」
「うん、わかった」
ミルルは、やや不満げだったけど「駆動系」と聞くと自分の興味のあることなのですぐ忘れたようだ。
93
お気に入りに追加
482
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢を期待されたので完璧にやり遂げます!
櫻野くるみ
恋愛
公爵令嬢のマリアンヌには第一王子ジャルダンという婚約者がいた。
しかし、ジャルダンは男爵令嬢のロザリーこそが運命の相手だと豪語し、人目も憚らずに学園でイチャイチャしている。
ジャルダンのことなど好きではないマリアンヌにとってはどうでもいいことだったが、怒った父の公爵が婚約破棄の準備を進める中、マリアンヌは自分の噂話の現場に出くわしてしまう。
思わず聞き耳を立てると、最初はジャルダンとロザリーの非常識な振舞いに腹を立てているありきたりな内容は、次第にマリアンヌが悪役令嬢となってロザリーにお灸をすえて欲しいという要望に変わっていき――
公爵令嬢として周囲の期待に応えることをモットーとして生きてきたマリアンヌは、完璧な悪役令嬢となってロザリーに嫌がらせを行うことを決意する。
人並み外れた脚力と腕力を活かしてヒロインに嫌がらせを行い、自分のアリバイをばっちり作って断罪返しをする悪役令嬢……を期待された公爵令嬢のお話です。
ゆるい短編なので、楽しんでいただけたら嬉しいです。
完結しました。
【完結】記憶を失くした旦那さま
山葵
恋愛
副騎士団長として働く旦那さまが部下を庇い頭を打ってしまう。
目が覚めた時には、私との結婚生活も全て忘れていた。
彼は愛しているのはリターナだと言った。
そんな時、離縁したリターナさんが戻って来たと知らせが来る…。
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
乙女ゲームの悪役令嬢になった妹はこの世界で兄と結ばれたい⁉ ~another world of dreams~
二コ・タケナカ
ファンタジー
ある日、佐野朝日(さのあさひ)が嵐の中を帰宅すると、近くに落ちた雷によって異世界へと転移してしまいます。そこは彼女がプレイしていたゲーム『another world of dreams』通称アナドリと瓜二つのパラレルワールドでした。
彼女はゲームの悪役令嬢の姿に。しかも一緒に転移した兄の佐野明星(さのあきと)とは婚約者という設定です。
二人は協力して日本に帰る方法を探します。妹は兄に対する許されない想いを秘めたまま……
私をもう愛していないなら。
水垣するめ
恋愛
その衝撃的な場面を見たのは、何気ない日の夕方だった。
空は赤く染まって、街の建物を照らしていた。
私は実家の伯爵家からの呼び出しを受けて、その帰路についている時だった。
街中を、私の夫であるアイクが歩いていた。
見知った女性と一緒に。
私の友人である、男爵家ジェーン・バーカーと。
「え?」
思わず私は声をあげた。
なぜ二人が一緒に歩いているのだろう。
二人に接点は無いはずだ。
会ったのだって、私がジェーンをお茶会で家に呼んだ時に、一度顔を合わせただけだ。
それが、何故?
ジェーンと歩くアイクは、どこかいつもよりも楽しげな表情を浮かべてながら、ジェーンと言葉を交わしていた。
結婚してから一年経って、次第に見なくなった顔だ。
私の胸の内に不安が湧いてくる。
(駄目よ。簡単に夫を疑うなんて。きっと二人はいつの間にか友人になっただけ──)
その瞬間。
二人は手を繋いで。
キスをした。
「──」
言葉にならない声が漏れた。
胸の中の不安は確かな形となって、目の前に現れた。
──アイクは浮気していた。
婚約者が高貴なご令嬢と愛し合ってるようなので、私は身を引きます。…どうして困っているんですか?
越智屋ノマ@甘トカ【書籍】大人気御礼!
恋愛
大切な婚約者に、浮気されてしまった……。
男爵家の私なんかより、伯爵家のピア様の方がきっとお似合いだから。そう思って、素直に身を引いたのだけど。
なんかいろいろ、ゴタゴタしているらしいです。
彼女がいなくなった6年後の話
こん
恋愛
今日は、彼女が死んでから6年目である。
彼女は、しがない男爵令嬢だった。薄い桃色でサラサラの髪、端正な顔にある2つのアーモンド色のキラキラと光る瞳には誰もが惹かれ、それは私も例外では無かった。
彼女の墓の前で、一通り遺書を読んで立ち上がる。
「今日で貴方が死んでから6年が経ったの。遺書に何を書いたか忘れたのかもしれないから、読み上げるわ。悪く思わないで」
何回も読んで覚えてしまった遺書の最後を一息で言う。
「「必ず、貴方に会いに帰るから。1人にしないって約束、私は破らない。」」
突然、私の声と共に知らない誰かの声がした。驚いて声の方を振り向く。そこには、見たことのない男性が立っていた。
※ガールズラブの要素は殆どありませんが、念の為入れています。最終的には男女です!
※なろう様にも掲載
天使かと思ったら魔王でした。怖すぎるので、婚約解消がんばります!
水無月あん
ファンタジー
超庶民の前世をもつ、本好き王女アデル。だれもがうらやむ、年のはなれた完璧すぎる美貌の婚約者がいるのだが、中身は腹黒魔王。怖すぎる。このまま、こいつに管理されてしまう人生だけは送りたくない。婚約解消するため、がんばります! 前世もち王女アデルのお気軽な日々(ヤンデレ付き)のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる