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黎明編
15 ニーナ、魔法の訓練を積む
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絵を持ってきてすぐに帰るのも変なので、アリスは数日逗留していくことにした。
で、家族って言ってたから同じ部屋に泊まることになるのはいいとして、なんで同じベッドに寝てるんだ?
いや、別に変なこととかしないよ? さすがに女神様相手にそれはありません。うん、あり得ないです。絶対ウソじゃありません。
アリスがいるので、当然ニーナも遠慮して来ない。なので、とってもプラトニックな俺なのだが、逆にそれは大変なのだ。なのになんで俺のベッドに入ってくるかな? 俺、結構辛いんだけど。
だって、世界一の美女とベッドを共にして手出し無用なんだよ? いや、別に手を出したいとか言ってません。言ってないけど、これ絶対虐めてるよな? 手なんか出したら、絶対その場で神罰下る。たぶん消滅するよな俺。
ああ、でもそれって最高に幸福なのか?
ー 最高に幸福なの?
ー 盗聴禁止!
しかも、頭の中だよっ。どうしろってんだよ~っ。普通なら錯乱状態だよ、まったく~っ。
「だいじょうぶ、そうなったら私が抱きしめて戻してあげます」
「いや、それ全然大丈夫じゃないから。錯乱状態ループしちゃうから」
「まぁ」
「まぁ、じゃありません。あ、ニーナが上がって来たな。もう起きるから」
「残念」
何が、残念なんだろう?
* * *
今日はニーナと魔法の訓練をする約束だ。
さすがに水芸だけじゃニーナも満足しない。なので、また荒地で魔法の訓練をしようと街の外まで出て来たのだが。
「なんで、アリスまでいるんでしょう」
「なんで、ジャマにするんでしょう」
掛け合い漫才か!
「いいじゃないリュウジ。私、アリスさん大好き」
「ありがとう、いい子ねニーナ」
「ちょっと、そこでユリ空間作らないでください」
「あら、なにかしら?」アリスは、まだ知らないらしい。
「あ、タブレット見てたらそのうち分かります」
「師匠、今日は何の魔法を教えてくれるんですか?」
「そうだなぁ、魔力もかなり安定して来たから、一通りやってみるか」
「はい、師匠」
「じゃぁ、まず石を飛ばしてみよう。ちょっと見てな。こうやって浮かせて、ぴっ」
そういって俺は、手をかざし地面に転がっている石を飛ばして見せた。まぁ、手をかざすのは発動のきっかけでしかないんだが。
その様子を固唾を飲んで見つめているニーナは……ともかく。
「なんてアリスまで一緒になって見つめてるんでしょう?」
「えっ? だって、私も、出来るようになりたいもの」
「えっ? 出来るんじゃないの? 飛翔とか出来てたじゃん」
「アリスさんも魔法覚醒してたんですね!」
「そ、そうなのよ」アリス、ちょっと焦る。
「そうそう」
そう言うことにするしかない。まぁ、俺と一緒にいたから不思議ではないが。
「でも、まだまだなのよ。石を飛ばすのはやってないし」
「そうなんだ。まぁ、いいけど。じゃ、まずはニーナやってみて」
「はい、ししょ~っ」
ニーナは緊張した面持ちで狙った石に手をかざした。
「ん~っ」
石が、グラっと動く。
「頑張ってニーナちゃん、今動いたわよ!」アリスが励ます。
「ん~~~っ」
石は、ふわっと浮き上がったが、力尽きたのかポトリと落ちた。
「っっっはぁ~、むつかしい」
「いや、初めてでそれは大したもんだ」
俺は誉めて育てる師匠なんだ。
「そうかな?」
「じゃ、わたしも」
そう言って、今度はアリスが手をかざすと、石はスーッと浮き上がった。
「すごーいっ」
見てたニーナは大はしゃぎ。
ただ、浮いたまま飛ばせずポトリと落ちた。
「意外と、難しいわね」ちょっと戸惑った顔で言う。
「でも、すーって浮きました」とニーナ。
「でも、飛ばないのよ。どうやったら飛ぶのかしら?」
飛ばそうとはしていたらしい。
「ああ、飛ばすイメージか」
「そうそれ」
「ええっと。俺は弾くというか、後ろからハンマーで叩くイメージなんだけど」
「ああ、なるほどね」
「そっかぁ! やってみる!」
ニーナはそう言うともう一度手をかざした。
すると今度はすんなり浮き上がり、ビシッと飛んで行った。
「凄い! ニーナちゃん」
「やった~っ!」
「じゃ、私も」
アリスも調子に乗って石を浮かせると、バシッっと打ち出した。
「やった~っ!」
「やっり~っ!」
女神様、それアニメとかのセリフだよねきっと?
「二人とも、いいセンスしてるな」と俺はちゃんと誉める。
二人は手を叩き合って喜んでいた。だから、そのユリ空間やめい。
「なになに? リュウジ、私たちの仲に嫉妬してるの?」
「なわけあるか」
「ふふふ」
「???」
ニーナには意味不明なようだ。それで良い。
* * *
それから、俺たちは土壁を作ったり、川の水を躍らせたりと色々やってみた。
基本、物体を加速しているだけだから対象物が違うだけで動かすことは出来るのだ。ただ、それぞれの性質が違うから意外とコントロールが難しい。
たとえば、水は塊で動かさないと、すぐに漏れたりするのだ。
「それにしても、ニーナの魔力。前より強くなってないか?」
俺は訓練の様子を見てて、ちょっと不思議に思った。
「うん、なんか私もそんな気がする」
ニーナも自覚しているようだ。
「成長するのかしら?」とアリス。
「うーん、でも共生してる菌なら増えないと思うけど」
「違うのかしら?」
アリスは共生菌説を信じてないのか?
「そろそろ、魔力切れしてもおかしくないんだけど」
「だいじょうぶ……みたい」ニーナは平気な顔だ。
「そうか。まぁでも、今日はこれくらいにしとこう」
「私、飛んでみたいんだけど!」
ニーナは何故か強く言った。
「それは、さすがにマズいだろ。魔力切れしたら墜落するし」
「だから、師匠の前でしか試せないじゃない? ねっ! ちょっとだけ!」
「わかった、ちょっとだけな」
「うん、じゃぁいくよ」
ニーナは、そう言うと目をやや伏せて精神を集中するようにした。そして、地面を見つつ石を持ち上げたようにゆっくり浮き上がった。
「おおっ」
「出来てるわ!」
ニーナは、すーっと浮いたまま目を開けてにっこり笑った。
「師匠、できました」
「おい、危ないから騒ぐなよ」俺は、ちょっと焦る。
「はい、わかってます」
すると、アリスがすーっと上昇してニーナの横についた。
「アリスさん!」
「一緒に飛びましょう」
「はい」
二人は、ゆっくり飛び始めた。だから、その……ま、いっか。
短い時間だったが二人で飛んだあと、ゆっくり着地した。さすがに、ちょっとニーナは疲れたようだ。
「もう、これ以上はだめですね」
汗を拭きつつも笑顔でそう言った。
アリスはというと、何か考え事をしている様子だった。
ともかく、俺達はニーナが倒れないか気を使いながら、夕陽が沈む前に街へと帰っていった。
* * *
その後、俺達は宿の夕食を食べてから部屋に戻った。
「ねぇリュウジ」
窓際にある椅子に座ったアリスが真面目な顔で言った。
「なんだ?」
俺はベッドで枕をクッションにしていた。
「ニーナのことなんだけど」
「うん」
「魔力が強すぎるでしょ?」
「ああ、それか」
「ええ。慣れはともかく、魔力量自体は確か増えないって聞いたと思うけど」
「うん、そんな話だった。まぁ、言い伝えでしかないんだけど」
「でも増えてた。で、ちょっと横で注意して見てたんだけど」
単なるユリじゃなかったらしい。
「うん」
「微かにあんたの神力を感じたのよね」
アリスは、ちょっと小首をかしげながら言った。
「俺の神力? 俺の神力って、アリスの神力だろ?」
俺は起き上がってベッドに座りアリスを見た。
「違うのよ、確かに私の神力が元だけど、あんたに流れた時点であんたの神力になるの」
「そ、そうなのか?」
「と言っても性質が変わるわけじゃないけど。匂いって言うかカラーって言うか、感触が変化するのよ」
「匂いをかぎ分けるのか? 犬みたいだな」
「怒るわよ」
「ごめんなさい」
「で、魔力を使ってるとき、彼女からあなたの神力を微かに感じたの」
「俺からはみ出したってことか?」
「何言ってるの? 神力ははみ出したり漏れたりしないわよ」
「って、ことは?」
「わからないけど、引き出した感じね」
「ニーナと俺が恋仲だからってことはないのか?」
「ううん、それだけでは神力が流れだした理由としては足りないわね」
「そういう例はあるの?」
「そりゃ、夫婦とか恋人とか親密な人間に神力が一時的に強く影響するってことはあるんだけど、流れていくってこととはまた違うのよ。本来、神の眷属にしか流れないものだから」
「そうなんだ」
「まぁ、あんたには神力の流れが見えないから分かりにくいわね。これは普通じゃないことだから、神界の方には報告しておくわね」
そう言うと、ちょっと虚空を見るような表情をした。いま、神界に連絡したのか?
「分かった。そうすると、ニーナの魔力が増えたのは俺のときと同じように神力が関係してるってことか?」
「恐らくね」
「マズいのか?」
「それは分からない。でも、神力自体が人間に悪さすることはないの」
「そうか」
「神力が人間に流れることは普通ないんだけど、あるのはあんたみたいな場合ね」
「うん」
「彼女の場合は眷属じゃないから、やっぱり魔法共生菌がらみなのかも」
「あまり例のない現象かも?」
「そうね」
「まぁ、魔法使いの近くに使徒が居たり、女神が居たりしてるからな」
「この件に関しては神界に報告したから、神界からの回答を待ちましょ」
「うん、わかった」
で、やっぱり俺のベッドに潜り込むんですね女神様。
で、家族って言ってたから同じ部屋に泊まることになるのはいいとして、なんで同じベッドに寝てるんだ?
いや、別に変なこととかしないよ? さすがに女神様相手にそれはありません。うん、あり得ないです。絶対ウソじゃありません。
アリスがいるので、当然ニーナも遠慮して来ない。なので、とってもプラトニックな俺なのだが、逆にそれは大変なのだ。なのになんで俺のベッドに入ってくるかな? 俺、結構辛いんだけど。
だって、世界一の美女とベッドを共にして手出し無用なんだよ? いや、別に手を出したいとか言ってません。言ってないけど、これ絶対虐めてるよな? 手なんか出したら、絶対その場で神罰下る。たぶん消滅するよな俺。
ああ、でもそれって最高に幸福なのか?
ー 最高に幸福なの?
ー 盗聴禁止!
しかも、頭の中だよっ。どうしろってんだよ~っ。普通なら錯乱状態だよ、まったく~っ。
「だいじょうぶ、そうなったら私が抱きしめて戻してあげます」
「いや、それ全然大丈夫じゃないから。錯乱状態ループしちゃうから」
「まぁ」
「まぁ、じゃありません。あ、ニーナが上がって来たな。もう起きるから」
「残念」
何が、残念なんだろう?
* * *
今日はニーナと魔法の訓練をする約束だ。
さすがに水芸だけじゃニーナも満足しない。なので、また荒地で魔法の訓練をしようと街の外まで出て来たのだが。
「なんで、アリスまでいるんでしょう」
「なんで、ジャマにするんでしょう」
掛け合い漫才か!
「いいじゃないリュウジ。私、アリスさん大好き」
「ありがとう、いい子ねニーナ」
「ちょっと、そこでユリ空間作らないでください」
「あら、なにかしら?」アリスは、まだ知らないらしい。
「あ、タブレット見てたらそのうち分かります」
「師匠、今日は何の魔法を教えてくれるんですか?」
「そうだなぁ、魔力もかなり安定して来たから、一通りやってみるか」
「はい、師匠」
「じゃぁ、まず石を飛ばしてみよう。ちょっと見てな。こうやって浮かせて、ぴっ」
そういって俺は、手をかざし地面に転がっている石を飛ばして見せた。まぁ、手をかざすのは発動のきっかけでしかないんだが。
その様子を固唾を飲んで見つめているニーナは……ともかく。
「なんてアリスまで一緒になって見つめてるんでしょう?」
「えっ? だって、私も、出来るようになりたいもの」
「えっ? 出来るんじゃないの? 飛翔とか出来てたじゃん」
「アリスさんも魔法覚醒してたんですね!」
「そ、そうなのよ」アリス、ちょっと焦る。
「そうそう」
そう言うことにするしかない。まぁ、俺と一緒にいたから不思議ではないが。
「でも、まだまだなのよ。石を飛ばすのはやってないし」
「そうなんだ。まぁ、いいけど。じゃ、まずはニーナやってみて」
「はい、ししょ~っ」
ニーナは緊張した面持ちで狙った石に手をかざした。
「ん~っ」
石が、グラっと動く。
「頑張ってニーナちゃん、今動いたわよ!」アリスが励ます。
「ん~~~っ」
石は、ふわっと浮き上がったが、力尽きたのかポトリと落ちた。
「っっっはぁ~、むつかしい」
「いや、初めてでそれは大したもんだ」
俺は誉めて育てる師匠なんだ。
「そうかな?」
「じゃ、わたしも」
そう言って、今度はアリスが手をかざすと、石はスーッと浮き上がった。
「すごーいっ」
見てたニーナは大はしゃぎ。
ただ、浮いたまま飛ばせずポトリと落ちた。
「意外と、難しいわね」ちょっと戸惑った顔で言う。
「でも、すーって浮きました」とニーナ。
「でも、飛ばないのよ。どうやったら飛ぶのかしら?」
飛ばそうとはしていたらしい。
「ああ、飛ばすイメージか」
「そうそれ」
「ええっと。俺は弾くというか、後ろからハンマーで叩くイメージなんだけど」
「ああ、なるほどね」
「そっかぁ! やってみる!」
ニーナはそう言うともう一度手をかざした。
すると今度はすんなり浮き上がり、ビシッと飛んで行った。
「凄い! ニーナちゃん」
「やった~っ!」
「じゃ、私も」
アリスも調子に乗って石を浮かせると、バシッっと打ち出した。
「やった~っ!」
「やっり~っ!」
女神様、それアニメとかのセリフだよねきっと?
「二人とも、いいセンスしてるな」と俺はちゃんと誉める。
二人は手を叩き合って喜んでいた。だから、そのユリ空間やめい。
「なになに? リュウジ、私たちの仲に嫉妬してるの?」
「なわけあるか」
「ふふふ」
「???」
ニーナには意味不明なようだ。それで良い。
* * *
それから、俺たちは土壁を作ったり、川の水を躍らせたりと色々やってみた。
基本、物体を加速しているだけだから対象物が違うだけで動かすことは出来るのだ。ただ、それぞれの性質が違うから意外とコントロールが難しい。
たとえば、水は塊で動かさないと、すぐに漏れたりするのだ。
「それにしても、ニーナの魔力。前より強くなってないか?」
俺は訓練の様子を見てて、ちょっと不思議に思った。
「うん、なんか私もそんな気がする」
ニーナも自覚しているようだ。
「成長するのかしら?」とアリス。
「うーん、でも共生してる菌なら増えないと思うけど」
「違うのかしら?」
アリスは共生菌説を信じてないのか?
「そろそろ、魔力切れしてもおかしくないんだけど」
「だいじょうぶ……みたい」ニーナは平気な顔だ。
「そうか。まぁでも、今日はこれくらいにしとこう」
「私、飛んでみたいんだけど!」
ニーナは何故か強く言った。
「それは、さすがにマズいだろ。魔力切れしたら墜落するし」
「だから、師匠の前でしか試せないじゃない? ねっ! ちょっとだけ!」
「わかった、ちょっとだけな」
「うん、じゃぁいくよ」
ニーナは、そう言うと目をやや伏せて精神を集中するようにした。そして、地面を見つつ石を持ち上げたようにゆっくり浮き上がった。
「おおっ」
「出来てるわ!」
ニーナは、すーっと浮いたまま目を開けてにっこり笑った。
「師匠、できました」
「おい、危ないから騒ぐなよ」俺は、ちょっと焦る。
「はい、わかってます」
すると、アリスがすーっと上昇してニーナの横についた。
「アリスさん!」
「一緒に飛びましょう」
「はい」
二人は、ゆっくり飛び始めた。だから、その……ま、いっか。
短い時間だったが二人で飛んだあと、ゆっくり着地した。さすがに、ちょっとニーナは疲れたようだ。
「もう、これ以上はだめですね」
汗を拭きつつも笑顔でそう言った。
アリスはというと、何か考え事をしている様子だった。
ともかく、俺達はニーナが倒れないか気を使いながら、夕陽が沈む前に街へと帰っていった。
* * *
その後、俺達は宿の夕食を食べてから部屋に戻った。
「ねぇリュウジ」
窓際にある椅子に座ったアリスが真面目な顔で言った。
「なんだ?」
俺はベッドで枕をクッションにしていた。
「ニーナのことなんだけど」
「うん」
「魔力が強すぎるでしょ?」
「ああ、それか」
「ええ。慣れはともかく、魔力量自体は確か増えないって聞いたと思うけど」
「うん、そんな話だった。まぁ、言い伝えでしかないんだけど」
「でも増えてた。で、ちょっと横で注意して見てたんだけど」
単なるユリじゃなかったらしい。
「うん」
「微かにあんたの神力を感じたのよね」
アリスは、ちょっと小首をかしげながら言った。
「俺の神力? 俺の神力って、アリスの神力だろ?」
俺は起き上がってベッドに座りアリスを見た。
「違うのよ、確かに私の神力が元だけど、あんたに流れた時点であんたの神力になるの」
「そ、そうなのか?」
「と言っても性質が変わるわけじゃないけど。匂いって言うかカラーって言うか、感触が変化するのよ」
「匂いをかぎ分けるのか? 犬みたいだな」
「怒るわよ」
「ごめんなさい」
「で、魔力を使ってるとき、彼女からあなたの神力を微かに感じたの」
「俺からはみ出したってことか?」
「何言ってるの? 神力ははみ出したり漏れたりしないわよ」
「って、ことは?」
「わからないけど、引き出した感じね」
「ニーナと俺が恋仲だからってことはないのか?」
「ううん、それだけでは神力が流れだした理由としては足りないわね」
「そういう例はあるの?」
「そりゃ、夫婦とか恋人とか親密な人間に神力が一時的に強く影響するってことはあるんだけど、流れていくってこととはまた違うのよ。本来、神の眷属にしか流れないものだから」
「そうなんだ」
「まぁ、あんたには神力の流れが見えないから分かりにくいわね。これは普通じゃないことだから、神界の方には報告しておくわね」
そう言うと、ちょっと虚空を見るような表情をした。いま、神界に連絡したのか?
「分かった。そうすると、ニーナの魔力が増えたのは俺のときと同じように神力が関係してるってことか?」
「恐らくね」
「マズいのか?」
「それは分からない。でも、神力自体が人間に悪さすることはないの」
「そうか」
「神力が人間に流れることは普通ないんだけど、あるのはあんたみたいな場合ね」
「うん」
「彼女の場合は眷属じゃないから、やっぱり魔法共生菌がらみなのかも」
「あまり例のない現象かも?」
「そうね」
「まぁ、魔法使いの近くに使徒が居たり、女神が居たりしてるからな」
「この件に関しては神界に報告したから、神界からの回答を待ちましょ」
「うん、わかった」
で、やっぱり俺のベッドに潜り込むんですね女神様。
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