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黎明編
13 ミルルの魔道具作り
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マドラーばあちゃんの魔道具店に行ってから、魔道具についていろいろ考えるようになって時々通っている。
飛行艇の設計もやっているのだが、今日はその事ではなくて孫娘のミルルの魔道具を見て思い付いた生活必需品を作って貰おうと思ってやって来た。
「ちわ~」
「あ、リュウジさんこんにちは」
元気よく、ミルルが迎えてくれた。もう、常連客のようだ。
「おや、いい所に来たね」
珍しくマドラーばあちゃんも店頭にいた。
「えっ? なんですか?」
「いやね。この間あんたが言ってた温風扇。あれ作ってみたら大人気なんだよ」
勢い込んでマドラーばあちゃんが言う。どうしたんだ?
「温風扇? ああ、ドライヤーですね~っ。出来たんですか! それ俺も欲しいなぁ」
「ああ、いくらでも持ってきな。あれから、この店の一年分くらい売上げて驚いたよ」
マドラーばあちゃんは、そう言うと奥から革袋を持ってきた。
「これはあんたの取り分だ。取っときな」
渡された革袋は重かった。
「俺の取り分なんていいですよ」
「何言ってんだい、取ってくれないと次頼めないじゃないか。ちゃんと確認しとくれ?」
「なるほど。分かりました。有り難くいただきます」
そういえば、そろそろ宿賃がなくなる。使徒だから食事もいらないし最悪野宿でもいいんだけど、やっぱり普通に生活するなら金を稼がないとな。
革袋を覗くと、結構な金額があるようだ。
「多過ぎませんか?」
「ちゃんとミルルが計算したから大丈夫。それだけ、売れたってこった」
「凄いな。ついでに、俺の思い付いた小さい魔道具も作ってくれると嬉しい」
調子に乗って思い付いた生活必需品の話をする俺。
「おや、また面白そうなもの思い付いたのかい?」
「ええ。この間見せてもらったミルルの魔道具で思い付いたんだけど」
「おや、そうかい。じゃ、奥で聞こうじゃないか。ミルル、店閉めるよ」
「いや、閉めなくっても」さすがに、それは悪い。
「もう、今日の分はほとんど売っちまったし、かまやしないよ」
マドラーばあちゃんは、俺が戸惑ってる間にさっさと店を閉めてしまった。
* * *
工房に入ると、ミルルが温風扇を作っている最中らしく中央のテーブルに部品が並べられていた。
「大繁盛ですね」
「ああ、こんなことは初めてだよ。あんたのお陰さ」
「いや、売れるもの作ったミルルのお手柄ですよ」
「そりゃ、もちろんミルルの仕事さ。でも、そういう物が欲しいと言ったのはあんただからね」
マドラーばあちゃんはテーブルの端を片付けてから、椅子を薦めてくれた。
「まぁ、あれは用途が分かれば作れるから」
「温風扇に強弱ボタンが欲しいとか、冷風だけ欲しいとか、使ってみるまでは考え付かないことを初めから出来たのが人気の秘密だよ」とマドラーばあちゃん。さすがに鋭いな。
「まぁ、そうですね」
「リュウジさん、お茶をどうぞ~」ミルルがお茶を用意してくれた。
「おお、すまん。うん、旨い。」
「ミルルのお茶は最高さね。」マドラーばあちゃん、相変わらずだ。
「で、今日はどんな魔道具を思い付いたんだい?」
マドラーばあちゃんもお茶を一口飲んで言った。
「ああ、ミルルの魔動フォークと魔動ナイフを見て思い付いた物なんです」
「あぁ、あれはあんまり売れなかったんだ~」ミルルは残念そうに言った。
「うん、それを別の用途に使おうと思って。魔動ナイフだけど、髭剃りに使えるんじゃないかな」
「あれをヒゲを剃るのに使うの? ちょっと危ないかも?」とミルル。
「うん、そのままだと危ない。だからナイフの刃の部分は潰してギザギザの間に入ったヒゲだけを魔法でカットしてほしいんだ。肌をなぞっただけなら傷つけないような奴」
「金属の刃の部分は使わないの?」とミルル。
「うん、ミルルの魔動ナイフって、ギザギザの間に食い込んだものは魔法で切ってるだろ?」
「うん、そうだね」
「ギザギザを髭だけが入る隙間にして、魔法で髭を剃りたいんだ。そうすればいつまでもよく切れる魔動髭剃りの出来上がりってわけだ」
「あ~、なるほど~」ミルル、ちゃんと理解してくれたようだ。
「あんた、よくそんなこと思い付くね」
横で聞いていたマドラーばあちゃんが感心したように言った。いや、バリカンとか似たものいろいろあったし。正直ミルルの発想が凄いと思う。
「あれは、魔法で切ってるミルルのアイデアが凄いと思いますよ」
「そうかね。まぁ、あたしもミルルは大したものだと思ったけど、あんたも分かるかい」
「ええ、特に真鍮など弱い金属を使って硬い髪をカットするにはあの方法が最高でしょう」
「そうかい、そうかい」
マドラーおばあちゃんご満悦の様子。
「こまかい調整とか必要だろうけど」
髭剃りは、使い勝手を良くするのが難しいからな。
「分かった。今の話だけでも作れると思う。やってみるね~」とミルル。有り難い。
「うん、頼む。あ、実際に試すときは危ないから動物の毛皮とかで試したほうがいい」
「そだね~っ。あ、悩んだら相談しに行っていい?」
もう、頭の中では作り始めてるようだ。
「うん、もちろんいいよ」
「たぶん、髭剃る人の意見は聞かないと分からないからね」
流石に、ミルルには想像できないからな。
「髭も、本物を見ないと分からないかもね?」
「ああ、それそれ。硬さとかね~。ちょっと触らせて貰うかも~」
触ってどうするんだろ? 感触か? まぁ、髭の硬さは人それぞれだからな。実際作っても、何度も試行錯誤は必要だろう。
「おお、いいよ。じゃ、また後で」
「うん、後でまた~」
それから俺は新製品のドライヤーを貰ってほくほくの体で帰ったのだった。これで、また一つ便利になった。
* * *
「ミルル、あいつとは仲良くしときな」見送ったマドラーばあちゃんは言った。
「うん、わかった~っ」
飛行艇の設計もやっているのだが、今日はその事ではなくて孫娘のミルルの魔道具を見て思い付いた生活必需品を作って貰おうと思ってやって来た。
「ちわ~」
「あ、リュウジさんこんにちは」
元気よく、ミルルが迎えてくれた。もう、常連客のようだ。
「おや、いい所に来たね」
珍しくマドラーばあちゃんも店頭にいた。
「えっ? なんですか?」
「いやね。この間あんたが言ってた温風扇。あれ作ってみたら大人気なんだよ」
勢い込んでマドラーばあちゃんが言う。どうしたんだ?
「温風扇? ああ、ドライヤーですね~っ。出来たんですか! それ俺も欲しいなぁ」
「ああ、いくらでも持ってきな。あれから、この店の一年分くらい売上げて驚いたよ」
マドラーばあちゃんは、そう言うと奥から革袋を持ってきた。
「これはあんたの取り分だ。取っときな」
渡された革袋は重かった。
「俺の取り分なんていいですよ」
「何言ってんだい、取ってくれないと次頼めないじゃないか。ちゃんと確認しとくれ?」
「なるほど。分かりました。有り難くいただきます」
そういえば、そろそろ宿賃がなくなる。使徒だから食事もいらないし最悪野宿でもいいんだけど、やっぱり普通に生活するなら金を稼がないとな。
革袋を覗くと、結構な金額があるようだ。
「多過ぎませんか?」
「ちゃんとミルルが計算したから大丈夫。それだけ、売れたってこった」
「凄いな。ついでに、俺の思い付いた小さい魔道具も作ってくれると嬉しい」
調子に乗って思い付いた生活必需品の話をする俺。
「おや、また面白そうなもの思い付いたのかい?」
「ええ。この間見せてもらったミルルの魔道具で思い付いたんだけど」
「おや、そうかい。じゃ、奥で聞こうじゃないか。ミルル、店閉めるよ」
「いや、閉めなくっても」さすがに、それは悪い。
「もう、今日の分はほとんど売っちまったし、かまやしないよ」
マドラーばあちゃんは、俺が戸惑ってる間にさっさと店を閉めてしまった。
* * *
工房に入ると、ミルルが温風扇を作っている最中らしく中央のテーブルに部品が並べられていた。
「大繁盛ですね」
「ああ、こんなことは初めてだよ。あんたのお陰さ」
「いや、売れるもの作ったミルルのお手柄ですよ」
「そりゃ、もちろんミルルの仕事さ。でも、そういう物が欲しいと言ったのはあんただからね」
マドラーばあちゃんはテーブルの端を片付けてから、椅子を薦めてくれた。
「まぁ、あれは用途が分かれば作れるから」
「温風扇に強弱ボタンが欲しいとか、冷風だけ欲しいとか、使ってみるまでは考え付かないことを初めから出来たのが人気の秘密だよ」とマドラーばあちゃん。さすがに鋭いな。
「まぁ、そうですね」
「リュウジさん、お茶をどうぞ~」ミルルがお茶を用意してくれた。
「おお、すまん。うん、旨い。」
「ミルルのお茶は最高さね。」マドラーばあちゃん、相変わらずだ。
「で、今日はどんな魔道具を思い付いたんだい?」
マドラーばあちゃんもお茶を一口飲んで言った。
「ああ、ミルルの魔動フォークと魔動ナイフを見て思い付いた物なんです」
「あぁ、あれはあんまり売れなかったんだ~」ミルルは残念そうに言った。
「うん、それを別の用途に使おうと思って。魔動ナイフだけど、髭剃りに使えるんじゃないかな」
「あれをヒゲを剃るのに使うの? ちょっと危ないかも?」とミルル。
「うん、そのままだと危ない。だからナイフの刃の部分は潰してギザギザの間に入ったヒゲだけを魔法でカットしてほしいんだ。肌をなぞっただけなら傷つけないような奴」
「金属の刃の部分は使わないの?」とミルル。
「うん、ミルルの魔動ナイフって、ギザギザの間に食い込んだものは魔法で切ってるだろ?」
「うん、そうだね」
「ギザギザを髭だけが入る隙間にして、魔法で髭を剃りたいんだ。そうすればいつまでもよく切れる魔動髭剃りの出来上がりってわけだ」
「あ~、なるほど~」ミルル、ちゃんと理解してくれたようだ。
「あんた、よくそんなこと思い付くね」
横で聞いていたマドラーばあちゃんが感心したように言った。いや、バリカンとか似たものいろいろあったし。正直ミルルの発想が凄いと思う。
「あれは、魔法で切ってるミルルのアイデアが凄いと思いますよ」
「そうかね。まぁ、あたしもミルルは大したものだと思ったけど、あんたも分かるかい」
「ええ、特に真鍮など弱い金属を使って硬い髪をカットするにはあの方法が最高でしょう」
「そうかい、そうかい」
マドラーおばあちゃんご満悦の様子。
「こまかい調整とか必要だろうけど」
髭剃りは、使い勝手を良くするのが難しいからな。
「分かった。今の話だけでも作れると思う。やってみるね~」とミルル。有り難い。
「うん、頼む。あ、実際に試すときは危ないから動物の毛皮とかで試したほうがいい」
「そだね~っ。あ、悩んだら相談しに行っていい?」
もう、頭の中では作り始めてるようだ。
「うん、もちろんいいよ」
「たぶん、髭剃る人の意見は聞かないと分からないからね」
流石に、ミルルには想像できないからな。
「髭も、本物を見ないと分からないかもね?」
「ああ、それそれ。硬さとかね~。ちょっと触らせて貰うかも~」
触ってどうするんだろ? 感触か? まぁ、髭の硬さは人それぞれだからな。実際作っても、何度も試行錯誤は必要だろう。
「おお、いいよ。じゃ、また後で」
「うん、後でまた~」
それから俺は新製品のドライヤーを貰ってほくほくの体で帰ったのだった。これで、また一つ便利になった。
* * *
「ミルル、あいつとは仲良くしときな」見送ったマドラーばあちゃんは言った。
「うん、わかった~っ」
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