多重世界の旅人/多重世界の旅人シリーズII

りゅう

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43 気付いたら、王女のベッドの中だった

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「きゃ~~~~~っ」

 耳を突き抜けるような黄色い叫びで目が覚めた。

「なんだ? どうした?」

 見ると、俺の右隣には目を大きく見開いたパジャマ姿の少女が居た。

「だれだ、お前?」

 少女は、まじまじと俺を見ている。

「あなたこそ、誰です?」

「うん? ここは……?」
「私のベッドです」
「い、いや、俺のベッドだろ」

 そういえば、俺のベッドにしては、ふかふかな気がする。が、他人のベッドに入った記憶はない。よって俺のベッドである。

「う、五月蠅いのぉ。何事じゃ?」

 こんどは俺の左側から聞きなれた声がした。

「ツ、ツウ姫なんでお前がいるんだよ」
「お主こそ、なんでいるのじゃ? ここはわらわのベッドじゃぞ? 夜這いに来たのか?」
「いいえ、私のベッドです」右側から謎の少女が突っこみを入れる。
「夜這いなんかに来るか!」

「あんたたち! 五月蠅いわよ」
「もう~っ、メリスさん。朝から大声ださないでくださいよ」
「なんで、お前らが俺のベッドにいるんだ?」
「だから、私のベッドです」これは謎の少女だ。
「わらわのベッドじゃ」とツウ姫。
「何言ってんの、私のよ」メリスも負けない。
「私のベッドだよ!」とユリも。
「私のベッドの筈です」シナノもいたか。
「うるさいなぁ、まだ眠いんだけど~っ」セリーって、朝はご機嫌斜めなのか?
「えええ~~~~っ?」

 謎の少女は、何が起こってるのか分からず混乱するばかりだった。

 すると、そこに一人の侍女が入って来た。

「お嬢さま、おはようございま……(昨夜はパジャマパーティーだったかしら?)」
「メ、メイ。メイよね? 私よ。マリよ。分かるでしょ?」
「えっ? あ、はい。メイです、お嬢様」
「そう。メイ、これは私のベッドよね?」
「えっ?(ベッド取りゲームかしら?)」
「いや、俺のベッドだ」
「わらわのベッドじゃ」
「私のベッドだってば」
「私のよね?」
「私のベッドです」
「ZZZ」セリー、寝てるし。

 侍女のメイはマリのベッドだと思うが、そこまで強く言われると自信が無くなった。

「それは……じゃ、じゃんけんで」
「メイの、裏切り者~っ」
「お嬢さま~っ」

  *  *  *

 その後しばらく言い合いが続いたが、要するにここはハワイ王国第二王女マリの部屋のようだった。
 もちろん転移したと思われる。ガニメデからハワイかよ。便利だな!

 で、聞くところによると、ここハワイ王国は俺の記憶より大きな島が連なる列島であり、独立国家として存続していた。最北端は日本列島に近く、そのため日系人が多くマリも日本人の血が入っているようだった。
 っていうか、普通に日本語を話している。

「では、あなたたちは別の世界から私の部屋へ夜這いに来たと」
「夜這いじゃない」俺は主張する。
「リュウは夜這いかも」とメリス。ちょっと、後で話そうか。
「わらわのベッドに夜這いに来たところで転移したのではないのか?」
「それなら、私のベッドでしょ? ね? リュウ」何故かシナノも参戦。
「なんでだよ」
「ああ、もう。わけ分かんない! とにかく、別世界からやって来たんですね?」

 マリは髪をかきむしって言った。

「うんそうだな」
「別世界のハーレムから来たんですか?」
「また、話をややこしくしない!」

 流石にメリスが突っ込んだ。

「ごめんなさい」
「まぁ、女ばかりだからな。気持ちはわかる。あれ? もう一人は?」
「あ、レジンがいない」メリスも気が付いた。

 見回しても居ない。

「あの、このベッドの下で寝てる方は?」侍女がおずおずと言った。
「あ、いた。まだ寝てる。私も寝よ~っ」寝るな!

  *  *  *

 流石にベッドから出てテーブルに移動した。
 椅子を侍女に持って来てもらったが、部屋が広いので全員座っても余裕だった。

「すまん、不可抗力とはいえ女性のベッドに転移してしまった。申し訳ない」
「い、いえ。分かって貰えれば結構です。あれは、私のベッドです」

「うん。わかった」
「ごめんなさいね」メリスも謝罪する。
「ほんとよ、リュウさんったら」
「セリー、お前もだろ」
「私は寝てたから関係ないし」
「そこ! また話を、ややこしくしない!」メリスが突っ込んだ。

「わかりました。もう、この件はこれで終わりです。それで、みなさんは偉い学者さんなんですね?」

 マリ王女の話は、ちょっと飛ぶな。

「そうなのか?」
「ちょっと偉いかも」とユリ。
「レジンは偉いんじゃないか?」
「いえ、私はそんなことありません」レジンは、まだ眠そうな声で言った。
「そんなことないでしょ」とメリス。

「すみません。偉くなくてもいいです。とにかく、世界の壁を超えて来られたんですね?」
「ほう。そう聞いて落ち着いてるなんて大したものだな。理解したのか?」俺は感心した。
「いいえ、全く」
「だよな」
「でも、とっても特殊な人たちだと理解しました」
「なるほど。間違ってませんね」レジンが頷いた。

 するとマリ王女は、居住まいを正して言った。

「そこで、特別な人たちと見込んでお願いがあります」
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