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17話
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腹ペコだった俺はイネスさんの手料理に涙を浮かべながら、感激のミートボールスパゲッティとオムレツを食べた。正直美味かったっ!人に作ってもう飯って500年振りだわー。
団長様の目があるからしなかったけど、居なければ間違いなく欠食児童並みにがっついて食べてたと思う。
お貴族様相手に食べるんだから、ちゃんとマナーを守らないとね。
「ご馳走様でした。本当にとても美味しかったです。グティエレス様とイネスさんに感謝です」
ナプキンで口元を拭って礼を言うと、団長様は俺の顔をどことなし惚けた感じで見ていた。
美味いもん食べりゃさ、やっぱ自然と笑みが出るってもんでしょ?それに団長様との会話も楽しかったし。にまにまと自分でも笑ってるのわかるもんな。
半日以上火傷痕シールを貼っつけてるから、それそろ粘着力が落ちきてる筈だ。笑うと端っこの方が浮いてくるから気をつけないとだ。
「あの私の顔…そんなに見ないで頂けますか?」
「あ、あぁ…すまない…気分を害したのなら申し訳ない。そのなんだ…いい笑顔だったんでつい」
にまにま笑ってる顔がいい笑顔ってないだろ。目がおかしいんじゃないのかってちょっと心配になるぞ。もしかして火傷の痕に耐性でもついて気にならなくなったのか?
「2階の書斎でもう少し飲まないか?」
「いえ、私はもうお酒はもう…それにいい加減お立て替えして頂いたお金をお返ししてお暇しようかと…」
やんわりとお断りと暇乞いを入れると、ご機嫌だった団長様がしょんぼりと眉を下げて俺を見た。
あの真っ黒な目にズクンと胸が痛む。可愛がっていたワンコの目とまた重なる。どうも俺はあの目に弱いらしい。わしゃわしゃと頭を撫でやりたくなる。
おいおい、待て待て。
ワンコじゃなくて、立派なお貴族様で騎士団の団長様に俺は何考えてるんだよ…。
「もう少し君と話がしたい…」
あまりにも素直な言葉と真っ黒な目にまたまたワンコと重なる…。なんかもう断れなくなる。
俺、ワイン飲んでないんだけど、もしかして匂いで酔った?
うーん…どうしよ。
「それでしたら、もう少しだけなら…」
結局俺はもうちょっと団長様にお付き合いする事にして、書斎へと移動した。
移動する時何故か左手が俺の背中に添えられてたんだけど、酔ってないんだけどなぁ。
微妙にエスコートされてる様な気がしないでもない。でも不思議と嫌な気持ちもしないし…まぁ、気を遣ってくれているんだろうと思う事にしよう。うん。
書斎の3人がけソファーに座ると、団長様は棚からボトルとグラス2個を手にして俺の隣に座って、機嫌良さ気にボトルからブランデーらしきものをグラスに注ぎ始めた。
うーん…解せぬ。何故隣なのだ?
距離がめっちゃ近いんですけど!
まぁ、いいや。気にしたらいかん。
相手は酔っ払いとでも思っておこう…。ワインをかなり飲んでたしな。
「では、お先に銀貨5枚をお返し致します。ありがとうございました」
銀貨5枚を懐に入れてた財布から出して、ローテーブルの上に置いた。やっと返せる事が出来て肩の荷が1つ降りた感じだ。
だけど、団長様はそれに目を少し向けただけだった。
「今でなくても良かったんだがな…それよりこれを、アップル・ブランデーだ。ワインは好まないようだから、これなら君も飲めると思う」
琥珀色の酒が入ったグラスを差し出されて、要らないと言うのもちょっと失礼かなと思って一言礼を言って受け取った。
グラスからはリンゴの甘くて良い匂いがした。俺が作る果実酒とはまた違った芳醇な香りだった。
「試しに一口飲んでみるといい」
どうやら俺に拒否権はないらしい。仕方ないから、言われたように一口飲んでみると…めっちゃ美味かったっ!
程よい甘さで芳醇な香りが鼻に抜けていく感じが凄くいいし、何より飲み易い。
「凄く美味しいです。それに飲み易いですね」
「そうか、良かった。なら遠慮せず飲んでくれ。飲みながらでいいから、これから話す事を考えて欲しい」
「はい…何でしょうか?」
あまりにもアップル・ブランデーが美味しくて空になったグラスに、団長様がボトルを傾けて注いでくれる。俺ももう1杯だけならと思い、お断りはしなかった。
「君は我が家の庭園をどう思う?率直に言ってくれて構わない」
「では、率直に言わせて頂きます。こじんまりとして豪華さや派手さはありませんが、私個人としてはとても素敵な庭園だと思います。このお屋敷の皆様が大切にされているのも今日の事で良くわかりますし…」
セーフハウスの庭園もこじんまりとしてるんだよなぁ。
豪華や派手な庭園はキレイだなって思うだけで、俺は見ていても和まないんだよな。
「そうか。あの庭園は亡くなった母と今いる使用人たちとが一緒になって作り育てたから、彼らにとっても大切なのだと思う。そこでだ、君が好ましいと思うなら我が家の庭園の世話をして貰えないか?」
ん、何で俺?
そりゃ、土弄りは嫌いじゃないけどトマスさんとマリアさんいるでしょ?
「トマスさんとマリアさんのご夫婦が庭師さんでは?」
「それはそうだが、トマス夫婦もいい歳だ。無理はさせたくない。君にはトマス夫婦の手伝いをして欲しい。君は…見た目よりかなり力があるし…」
確かにトマスさん腰曲がってたしなぁ。あれでは無理をさせたくないって気持ちもわかる。多分他のグティエレス家の皆さんも手伝ってはいるんだろうけど、付きっきりでお手伝いは無理だと思う…。
力があるって言われちゃったよ…やっぱインパクトあるよなぁ…。敷石をポイしたしなぁ…。あの後、こっそり敷石を元の位置に戻したんだけど、団長様にバッチリ見られてたしな…。
俺はやらかした事を思い出して、グラスを一気に空にした。
あぁ、美味い…。
自分からお代わりを頼んで注いで貰い、そのまま一気に飲み干した。
「住むのは屋敷ではなく、トマス夫婦のコテージの側に今は使っていない小さなログハウスがある。昔、父が母に息抜き用に作ったものだから風呂もトイレも付いている。そこを使えばいい」
ほぉほぉ。
バス・トイレ付きのログハウスとは、なかなかの良物件ですな。
「現状から言って、身分証の取得するにあたっては決まった職に就かなくてはならないのは、君もわかっている事だ。住み込みの庭師となれば問題はクリアだ」
「それはそうですが…私は」
「わかっている。雇主は俺になるが、俺個人に仕える事はない。トマス夫婦の手伝いさえしてくれたら後は自由にしていい。仕事量に似合った給金も支払う」
うーん…双方の理にかなってはいるんだろうけど…でもなぁ。
「それでは、私ばかりが得をしているように思えます」
「そうか、なら毎日とは言わないが一緒に飯を食ったり酒を飲んだり話相手をして欲しい。出来れば雇主ではなく…友として接して欲しい…」
団長様の目があるからしなかったけど、居なければ間違いなく欠食児童並みにがっついて食べてたと思う。
お貴族様相手に食べるんだから、ちゃんとマナーを守らないとね。
「ご馳走様でした。本当にとても美味しかったです。グティエレス様とイネスさんに感謝です」
ナプキンで口元を拭って礼を言うと、団長様は俺の顔をどことなし惚けた感じで見ていた。
美味いもん食べりゃさ、やっぱ自然と笑みが出るってもんでしょ?それに団長様との会話も楽しかったし。にまにまと自分でも笑ってるのわかるもんな。
半日以上火傷痕シールを貼っつけてるから、それそろ粘着力が落ちきてる筈だ。笑うと端っこの方が浮いてくるから気をつけないとだ。
「あの私の顔…そんなに見ないで頂けますか?」
「あ、あぁ…すまない…気分を害したのなら申し訳ない。そのなんだ…いい笑顔だったんでつい」
にまにま笑ってる顔がいい笑顔ってないだろ。目がおかしいんじゃないのかってちょっと心配になるぞ。もしかして火傷の痕に耐性でもついて気にならなくなったのか?
「2階の書斎でもう少し飲まないか?」
「いえ、私はもうお酒はもう…それにいい加減お立て替えして頂いたお金をお返ししてお暇しようかと…」
やんわりとお断りと暇乞いを入れると、ご機嫌だった団長様がしょんぼりと眉を下げて俺を見た。
あの真っ黒な目にズクンと胸が痛む。可愛がっていたワンコの目とまた重なる。どうも俺はあの目に弱いらしい。わしゃわしゃと頭を撫でやりたくなる。
おいおい、待て待て。
ワンコじゃなくて、立派なお貴族様で騎士団の団長様に俺は何考えてるんだよ…。
「もう少し君と話がしたい…」
あまりにも素直な言葉と真っ黒な目にまたまたワンコと重なる…。なんかもう断れなくなる。
俺、ワイン飲んでないんだけど、もしかして匂いで酔った?
うーん…どうしよ。
「それでしたら、もう少しだけなら…」
結局俺はもうちょっと団長様にお付き合いする事にして、書斎へと移動した。
移動する時何故か左手が俺の背中に添えられてたんだけど、酔ってないんだけどなぁ。
微妙にエスコートされてる様な気がしないでもない。でも不思議と嫌な気持ちもしないし…まぁ、気を遣ってくれているんだろうと思う事にしよう。うん。
書斎の3人がけソファーに座ると、団長様は棚からボトルとグラス2個を手にして俺の隣に座って、機嫌良さ気にボトルからブランデーらしきものをグラスに注ぎ始めた。
うーん…解せぬ。何故隣なのだ?
距離がめっちゃ近いんですけど!
まぁ、いいや。気にしたらいかん。
相手は酔っ払いとでも思っておこう…。ワインをかなり飲んでたしな。
「では、お先に銀貨5枚をお返し致します。ありがとうございました」
銀貨5枚を懐に入れてた財布から出して、ローテーブルの上に置いた。やっと返せる事が出来て肩の荷が1つ降りた感じだ。
だけど、団長様はそれに目を少し向けただけだった。
「今でなくても良かったんだがな…それよりこれを、アップル・ブランデーだ。ワインは好まないようだから、これなら君も飲めると思う」
琥珀色の酒が入ったグラスを差し出されて、要らないと言うのもちょっと失礼かなと思って一言礼を言って受け取った。
グラスからはリンゴの甘くて良い匂いがした。俺が作る果実酒とはまた違った芳醇な香りだった。
「試しに一口飲んでみるといい」
どうやら俺に拒否権はないらしい。仕方ないから、言われたように一口飲んでみると…めっちゃ美味かったっ!
程よい甘さで芳醇な香りが鼻に抜けていく感じが凄くいいし、何より飲み易い。
「凄く美味しいです。それに飲み易いですね」
「そうか、良かった。なら遠慮せず飲んでくれ。飲みながらでいいから、これから話す事を考えて欲しい」
「はい…何でしょうか?」
あまりにもアップル・ブランデーが美味しくて空になったグラスに、団長様がボトルを傾けて注いでくれる。俺ももう1杯だけならと思い、お断りはしなかった。
「君は我が家の庭園をどう思う?率直に言ってくれて構わない」
「では、率直に言わせて頂きます。こじんまりとして豪華さや派手さはありませんが、私個人としてはとても素敵な庭園だと思います。このお屋敷の皆様が大切にされているのも今日の事で良くわかりますし…」
セーフハウスの庭園もこじんまりとしてるんだよなぁ。
豪華や派手な庭園はキレイだなって思うだけで、俺は見ていても和まないんだよな。
「そうか。あの庭園は亡くなった母と今いる使用人たちとが一緒になって作り育てたから、彼らにとっても大切なのだと思う。そこでだ、君が好ましいと思うなら我が家の庭園の世話をして貰えないか?」
ん、何で俺?
そりゃ、土弄りは嫌いじゃないけどトマスさんとマリアさんいるでしょ?
「トマスさんとマリアさんのご夫婦が庭師さんでは?」
「それはそうだが、トマス夫婦もいい歳だ。無理はさせたくない。君にはトマス夫婦の手伝いをして欲しい。君は…見た目よりかなり力があるし…」
確かにトマスさん腰曲がってたしなぁ。あれでは無理をさせたくないって気持ちもわかる。多分他のグティエレス家の皆さんも手伝ってはいるんだろうけど、付きっきりでお手伝いは無理だと思う…。
力があるって言われちゃったよ…やっぱインパクトあるよなぁ…。敷石をポイしたしなぁ…。あの後、こっそり敷石を元の位置に戻したんだけど、団長様にバッチリ見られてたしな…。
俺はやらかした事を思い出して、グラスを一気に空にした。
あぁ、美味い…。
自分からお代わりを頼んで注いで貰い、そのまま一気に飲み干した。
「住むのは屋敷ではなく、トマス夫婦のコテージの側に今は使っていない小さなログハウスがある。昔、父が母に息抜き用に作ったものだから風呂もトイレも付いている。そこを使えばいい」
ほぉほぉ。
バス・トイレ付きのログハウスとは、なかなかの良物件ですな。
「現状から言って、身分証の取得するにあたっては決まった職に就かなくてはならないのは、君もわかっている事だ。住み込みの庭師となれば問題はクリアだ」
「それはそうですが…私は」
「わかっている。雇主は俺になるが、俺個人に仕える事はない。トマス夫婦の手伝いさえしてくれたら後は自由にしていい。仕事量に似合った給金も支払う」
うーん…双方の理にかなってはいるんだろうけど…でもなぁ。
「それでは、私ばかりが得をしているように思えます」
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