8 / 48
7話
しおりを挟む
「左様でございますか。それではドーン様、アデリア古銀貨をお見せ頂けますか?」
「はい、金貨もあるのですがそちらも大丈夫でしょうか?」
「アデリア古金貨もお持ちなんですね…素晴らしい…是非お見せ下さい」
思い出話が終わると、団長様は俺とジーロさんを引き合わせくれた。
勿論フードを外して顔を晒したが、ジーロさんは全く気にしてはなかった。
互いに自己紹介をし、古銀貨を換金したい経緯を話した。で、ついでに古金貨はどの位の価値があるのか知りたくて言ってみたら、ジーロさん…目がめっちゃキラキラ輝いてます。
とりあえず古銀貨5枚と古金貨2枚を取り出して、査定専用のカウンターに置いた。
ジーロさんは両手に白い手袋を、右目には査定用の魔力が込められたモノクルをつけて古銀貨から査定を始めた。10分ぐらいで査定が終わりジーロさんは満足気な溜息を吐いて、古金貨の査定を始める。
「これは…なんともまぁ…」
ジーロさんから感嘆らしき声が出る。
その声に反応して、団長様がカウンターに置いてあるもう1枚の金貨へと身を乗り出して見た。
アンティークとしてなら、長い年月で生み出される風合いも価値の1つになるんだろうけど、俺が出した金貨はピカピカでめっちゃ光ってるから、そういう価値は無いだろうと思ってます。
これもまた10分ぐらいで査定は終了。
ジーロさんからさっきよりちょっと違う深い溜息が吐かれた。
「ドーン様、査定の結果ですが…古銀貨は1枚で金貨50枚。古金貨は白金貨50枚となります」
なんじゃ、それ。
えーと白金貨1枚が金貨100枚換算だったよな…。
金貨1枚を日本円で1万円ぐらいで考えると…えっ…5000万?!
2枚で1億よ?1億!
ヤバくない?ヤバいでしょ!
「ジーロ殿、それほど高い価値があるものなのか?父がアデリア古金貨を所有したおりに、父からは白金貨5枚の価値と聞いた覚えがある」
「通常ですとその価値ですが、ドーン様のお持ちの古金貨は別格です」
別格って何ですか?
俺には普通の金貨にしか見えませんよ?
ちょっとジーロさん、説明オナシャス!
「ジーロ殿、詳しく説明して頂きたいのだが…」
俺がフリーズ状態で黙り込んでいると、団長様が代わりに聞いてくれた。
ジーロさんは、「奥でご説明致します」と俺とごつい団長様を、応接室にへと案内した。
革張りの高価なソファーに、団長様と並んで座ると、ジーロさん自らの手でお茶を淹れてくれた。普通は使用人さんがお茶を淹れるものではないかと思いつつ、お茶を飲む。
ジーロさんは、俺たちに向き合う形でソファーに座ると、テーブルに銀貨と金貨を並べ置いた。
「ご説明する前に、こちらからドーン様に少々ご確認をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「はい、どうぞ」
「ドーン様、母君からお渡しされた時に何か他に言われた事はお有りですか?」
んなもん、ある訳ないし…。
母君なんていないし…。
転生したけど、俺捨て子だったし…。
「特には…その、母は病で危篤状態でしたので…」
「左様でございますか…ドーン様の父君もお亡くなりに?」
父君なんて当然いないし…。
元傭兵の養父はいたな。
「父の顔は知りません。私が産まれる前に亡くなったとしか母からは聞いておりません」
「左様でございますか…では、ドーンの家名は母君と父君のどちらかのものかおわかりでしょうか?」
えー…アデリア全土を掌握した時に、血盟名の『Golden Dawn』をもじって当時のアデリア国王が勝手に付けただけだし…。
「わかりかねます」
「なるほど…では、最後にドーン様は、父君と母君のどちら似でしょうか?」
似るも似ないも、自分でキャラメイクしたもんだし…。
「母とはあまり似ておりませんでしたから、父に似たのかもしれません」
「左様でございますか…。立ち入った事をお聞きして申し訳ありませんでした。ご不快でしたらどうぞお許し下さい」
「とんでもありません。お気になさらないで下さい」
ジーロさん、適当な嘘ばっかり言ってごめんなさい。
ジーロさんは「少々失礼致します」と頭を下げて応接室を出で行ってしまった。
団長様と2人きりになってしまった。
横目で団長様を見ると、何やら難しい顔をして考え込んでいた。ちょっと声をかけにくい。
換金が出来るだけで良かったのになぁ…。
「はい、金貨もあるのですがそちらも大丈夫でしょうか?」
「アデリア古金貨もお持ちなんですね…素晴らしい…是非お見せ下さい」
思い出話が終わると、団長様は俺とジーロさんを引き合わせくれた。
勿論フードを外して顔を晒したが、ジーロさんは全く気にしてはなかった。
互いに自己紹介をし、古銀貨を換金したい経緯を話した。で、ついでに古金貨はどの位の価値があるのか知りたくて言ってみたら、ジーロさん…目がめっちゃキラキラ輝いてます。
とりあえず古銀貨5枚と古金貨2枚を取り出して、査定専用のカウンターに置いた。
ジーロさんは両手に白い手袋を、右目には査定用の魔力が込められたモノクルをつけて古銀貨から査定を始めた。10分ぐらいで査定が終わりジーロさんは満足気な溜息を吐いて、古金貨の査定を始める。
「これは…なんともまぁ…」
ジーロさんから感嘆らしき声が出る。
その声に反応して、団長様がカウンターに置いてあるもう1枚の金貨へと身を乗り出して見た。
アンティークとしてなら、長い年月で生み出される風合いも価値の1つになるんだろうけど、俺が出した金貨はピカピカでめっちゃ光ってるから、そういう価値は無いだろうと思ってます。
これもまた10分ぐらいで査定は終了。
ジーロさんからさっきよりちょっと違う深い溜息が吐かれた。
「ドーン様、査定の結果ですが…古銀貨は1枚で金貨50枚。古金貨は白金貨50枚となります」
なんじゃ、それ。
えーと白金貨1枚が金貨100枚換算だったよな…。
金貨1枚を日本円で1万円ぐらいで考えると…えっ…5000万?!
2枚で1億よ?1億!
ヤバくない?ヤバいでしょ!
「ジーロ殿、それほど高い価値があるものなのか?父がアデリア古金貨を所有したおりに、父からは白金貨5枚の価値と聞いた覚えがある」
「通常ですとその価値ですが、ドーン様のお持ちの古金貨は別格です」
別格って何ですか?
俺には普通の金貨にしか見えませんよ?
ちょっとジーロさん、説明オナシャス!
「ジーロ殿、詳しく説明して頂きたいのだが…」
俺がフリーズ状態で黙り込んでいると、団長様が代わりに聞いてくれた。
ジーロさんは、「奥でご説明致します」と俺とごつい団長様を、応接室にへと案内した。
革張りの高価なソファーに、団長様と並んで座ると、ジーロさん自らの手でお茶を淹れてくれた。普通は使用人さんがお茶を淹れるものではないかと思いつつ、お茶を飲む。
ジーロさんは、俺たちに向き合う形でソファーに座ると、テーブルに銀貨と金貨を並べ置いた。
「ご説明する前に、こちらからドーン様に少々ご確認をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「はい、どうぞ」
「ドーン様、母君からお渡しされた時に何か他に言われた事はお有りですか?」
んなもん、ある訳ないし…。
母君なんていないし…。
転生したけど、俺捨て子だったし…。
「特には…その、母は病で危篤状態でしたので…」
「左様でございますか…ドーン様の父君もお亡くなりに?」
父君なんて当然いないし…。
元傭兵の養父はいたな。
「父の顔は知りません。私が産まれる前に亡くなったとしか母からは聞いておりません」
「左様でございますか…では、ドーンの家名は母君と父君のどちらかのものかおわかりでしょうか?」
えー…アデリア全土を掌握した時に、血盟名の『Golden Dawn』をもじって当時のアデリア国王が勝手に付けただけだし…。
「わかりかねます」
「なるほど…では、最後にドーン様は、父君と母君のどちら似でしょうか?」
似るも似ないも、自分でキャラメイクしたもんだし…。
「母とはあまり似ておりませんでしたから、父に似たのかもしれません」
「左様でございますか…。立ち入った事をお聞きして申し訳ありませんでした。ご不快でしたらどうぞお許し下さい」
「とんでもありません。お気になさらないで下さい」
ジーロさん、適当な嘘ばっかり言ってごめんなさい。
ジーロさんは「少々失礼致します」と頭を下げて応接室を出で行ってしまった。
団長様と2人きりになってしまった。
横目で団長様を見ると、何やら難しい顔をして考え込んでいた。ちょっと声をかけにくい。
換金が出来るだけで良かったのになぁ…。
15
お気に入りに追加
3,750
あなたにおすすめの小説
【完結】ハードな甘とろ調教でイチャラブ洗脳されたいから悪役貴族にはなりたくないが勇者と戦おうと思う
R-13
BL
甘S令息×流され貴族が織りなす
結構ハードなラブコメディ&痛快逆転劇
2度目の人生、異世界転生。
そこは生前自分が読んでいた物語の世界。
しかし自分の配役は悪役令息で?
それでもめげずに真面目に生きて35歳。
せっかく民に慕われる立派な伯爵になったのに。
気付けば自分が侯爵家三男を監禁して洗脳していると思われかねない状況に!
このままじゃ物語通りになってしまう!
早くこいつを家に帰さないと!
しかし彼は帰るどころか屋敷に居着いてしまって。
「シャルル様は僕に虐められることだけ考えてたら良いんだよ?」
帰るどころか毎晩毎晩誘惑してくる三男。
エロ耐性が無さ過ぎて断るどころかどハマりする伯爵。
逆に毎日甘々に調教されてどんどん大好き洗脳されていく。
このままじゃ真面目に生きているのに、悪役貴族として討伐される運命が待っているが、大好きな三男は渡せないから仕方なく勇者と戦おうと思う。
これはそんな流され系主人公が運命と戦う物語。
「アルフィ、ずっとここに居てくれ」
「うん!そんなこと言ってくれると凄く嬉しいけど、出来たら2人きりで言って欲しかったし酒の勢いで言われるのも癪だしそもそも急だし昨日までと言ってること真逆だしそもそもなんでちょっと泣きそうなのかわかんないし手握ってなくても逃げないしてかもう泣いてるし怖いんだけど大丈夫?」
媚薬、緊縛、露出、催眠、時間停止などなど。
徐々に怪しげな薬や、秘密な魔道具、エロいことに特化した魔法なども出てきます。基本的に激しく痛みを伴うプレイはなく、快楽系の甘やかし調教や、羞恥系のプレイがメインです。
全8章128話、11月27日に完結します。
なおエロ描写がある話には♡を付けています。
※ややハードな内容のプレイもございます。誤って見てしまった方は、すぐに1〜2杯の牛乳または水、あるいは生卵を飲んで、かかりつけ医にご相談する前に落ち着いて下さい。
感想やご指摘、叱咤激励、有給休暇等貰えると嬉しいです!ノシ
主人公の兄になったなんて知らない
さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を
レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を
レインは知らない自分が神に愛されている事を
表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346
【R18】男しかいない世界に転生したら最初から性奴隷でしたが、優しいご主人様に買われたのでボクは幸せです【男の娘BL】
クロバ
BL
「過去に何があったかは、聞かん。だが、もう何も心配する必要は、ない」
「ご主人様……」
ご主人様は、胸をぎゅっと掴みながら泣いているボクの顔をハンカチで優しく拭いてくれた。
男性しか存在しない世界に転生した主人公ゆうとが入り込んだ肉体は、
その世界で稀に誕生する女性に酷似した特徴をもつ「男の娘」であった。
いきなり奴隷商から性奴隷として金持ちの男に売り飛ばされてしまうのだが……
ゆうとを買ったご主人様は、
超紳士的でイケメンのオジサンであった。
次第に二人の仲は、
主人と奴隷以上の関係に発展していく。
タイトルの前に★がついている回は、エロシーン有りです。
※大分作風が変わりますが、「男の娘」主人公の作品としてもう1つ「男女逆転世界にきたら~」という作品も連載しております。
愛されなかった俺の転生先は激重執着ヤンデレ兄達のもと
糖 溺病
BL
目が覚めると、そこは異世界。
前世で何度も夢に見た異世界生活、今度こそエンジョイしてみせる!ってあれ?なんか俺、転生早々監禁されてね!?
「俺は異世界でエンジョイライフを送るんだぁー!」
激重執着ヤンデレ兄達にトロトロのベタベタに溺愛されるファンタジー物語。
注※微エロ、エロエロ
・初めはそんなエロくないです。
・初心者注意
・ちょいちょい細かな訂正入ります。
傾国の伯爵子息に転生しました-嵌められた悪女♂は毎日が貞操の危機-
ハヤイもち
BL
”だからお前のことを手に入れることにする”
高校三年生卒業間際の誰もいない教室で親友に告白された主人公。
しかし、気づいたら悪役子息:シャルル伯爵子息に転生していた。
元の世界に戻るためにはシャルルを演じ切らないといけない。
しかし、その物語のシャルルは王子を陥れ、兄弟たちで殺し合わせた末に、
隣国の王子をたぶらかし亡命→その後気まぐれで自国に戻った際に
騎士団長に捕らわれて処刑されるというすさまじい悪役だった。
それでも元の世界に戻るために主人公は悪役を演じ切ると誓うが…。
※主人公は関西弁で本心隠す系男子。
2chスレ描写あります。
親友→→主人公(ヤンデレ)
隣国王子→→主人公
など主人公愛され描写あり。
R18禁BLゲームの主人公(総攻め)の弟(非攻略対象)に成りました⁉
あおい夜
BL
昨日、自分の部屋で眠ったあと目を覚ましたらR18禁BLゲーム“極道は、非情で温かく”の主人公(総攻め)の弟(非攻略対象)に成っていた!
弟は兄に溺愛されている為、嫉妬の対象に成るはずが?
【完結】祝福をもたらす聖獣と彼の愛する宝もの
透
BL
「おまえは私の宝だから」
そう言って前世、まだ幼い少年にお守りの指輪をくれた男がいた。
少年は家庭に恵まれず学校にも馴染めず、男の言葉が唯一の拠り所に。
でもその数年後、少年は母の新しい恋人に殺されてしまう。「宝もの」を守れなかったことを後悔しながら。
前世を思い出したヨアンは魔法名門侯爵家の子でありながら魔法が使えず、「紋なし」と呼ばれ誰からも疎まれていた。
名門家だからこそ劣等感が強かった以前と違い、前世を思い出したヨアンは開き直って周りを黙らせることに。勘当されるなら願ったり。そう思っていたのに告げられた進路は「聖獣の世話役」。
名誉に聞こえて実は入れ替わりの激しい危険な役目、実質の死刑宣告だった。
逃げるつもりだったヨアンは、聖獣の正体が前世で「宝」と言ってくれた男だと知る。
「本日からお世話役を…」
「祝福を拒絶した者が?」
男はヨアンを覚えていない。当然だ、前世とは姿が違うし自分は彼の宝を守れなかった。
失望するのはお門違い。今世こそは彼の役に立とう。
☆神の子である聖獣×聖獣の祝福が受け取れない騎士
☆R18はタイトルに※をつけます
どうも、ヤンデレ乙女ゲームの攻略対象1になりました…?
スポンジケーキ
BL
顔はイケメン、性格は優しい完璧超人な男子高校生、紅葉葵(もみじ あおい)は姉におすすめされたヤンデレ乙女ゲーム「薔薇の花束に救済を」にハマる、そんな中ある帰り道、通り魔に刺されてしまう……絶望の中、目を開けるとなんと赤ん坊になっていた!?ここの世界が「薔薇の花束に救済を」の世界だと気づき、なんと自分は攻略対象1のイキシア・ウィンターだということがわかった、それから、なんだかんだあって他の攻略対象たちと関係を気づいていくが……
俺じゃなくてヒロインに救ってもらって!そんなこと言いながら、なんだかんだいって流されるチョロい系完璧超人主人公のヤンデレたちを救う物語
ーーーーーーーーーーーー
最初の方は恋愛要素はあんまりないかも……総受けからの固定になっていきます、ヤンデレ書きたい!と壊れながら書いているので誤字がひどいです、温かく見守ってください
コメントやお気に入り登録をしてくださったら励みになります!良かったらお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる