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7話

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「左様でございますか。それではドーン様、アデリア古銀貨をお見せ頂けますか?」

「はい、金貨もあるのですがそちらも大丈夫でしょうか?」

「アデリア古金貨もお持ちなんですね…素晴らしい…是非お見せ下さい」


 思い出話が終わると、団長様は俺とジーロさんを引き合わせくれた。
 勿論フードを外して顔を晒したが、ジーロさんは全く気にしてはなかった。
 互いに自己紹介をし、古銀貨を換金したい経緯を話した。で、ついでに古金貨はどの位の価値があるのか知りたくて言ってみたら、ジーロさん…目がめっちゃキラキラ輝いてます。
 とりあえず古銀貨5枚と古金貨2枚を取り出して、査定専用のカウンターに置いた。
 ジーロさんは両手に白い手袋を、右目には査定用の魔力が込められたモノクルをつけて古銀貨から査定を始めた。10分ぐらいで査定が終わりジーロさんは満足気な溜息を吐いて、古金貨の査定を始める。


「これは…なんともまぁ…」


 ジーロさんから感嘆らしき声が出る。
 その声に反応して、団長様がカウンターに置いてあるもう1枚の金貨へと身を乗り出して見た。
 アンティークとしてなら、長い年月で生み出される風合いも価値の1つになるんだろうけど、俺が出した金貨はピカピカでめっちゃ光ってるから、そういう価値は無いだろうと思ってます。
 これもまた10分ぐらいで査定は終了。
 ジーロさんからさっきよりちょっと違う深い溜息が吐かれた。


「ドーン様、査定の結果ですが…古銀貨は1枚で金貨50枚。古金貨は白金貨50枚となります」


 なんじゃ、それ。
 えーと白金貨1枚が金貨100枚換算だったよな…。
 金貨1枚を日本円で1万円ぐらいで考えると…えっ…5000万?!
 2枚で1億よ?1億!
 ヤバくない?ヤバいでしょ!


「ジーロ殿、それほど高い価値があるものなのか?父がアデリア古金貨を所有したおりに、父からは白金貨5枚の価値と聞いた覚えがある」

「通常ですとその価値ですが、ドーン様のお持ちの古金貨は別格です」
 

 別格って何ですか?
 俺には普通の金貨にしか見えませんよ?
 ちょっとジーロさん、説明オナシャス!


「ジーロ殿、詳しく説明して頂きたいのだが…」


 俺がフリーズ状態で黙り込んでいると、団長様が代わりに聞いてくれた。
 ジーロさんは、「奥でご説明致します」と俺とごつい団長様を、応接室にへと案内した。
 革張りの高価なソファーに、団長様と並んで座ると、ジーロさん自らの手でお茶を淹れてくれた。普通は使用人さんがお茶を淹れるものではないかと思いつつ、お茶を飲む。
 ジーロさんは、俺たちに向き合う形でソファーに座ると、テーブルに銀貨と金貨を並べ置いた。


「ご説明する前に、こちらからドーン様に少々ご確認をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」

「はい、どうぞ」

「ドーン様、母君からお渡しされた時に何か他に言われた事はお有りですか?」


 んなもん、ある訳ないし…。
 母君なんていないし…。
 転生したけど、俺捨て子だったし…。


「特には…その、母は病で危篤状態でしたので…」

「左様でございますか…ドーン様の父君もお亡くなりに?」


 父君なんて当然いないし…。
 元傭兵の養父オヤジはいたな。
 

「父の顔は知りません。私が産まれる前に亡くなったとしか母からは聞いておりません」

「左様でございますか…では、ドーンの家名は母君と父君のどちらかのものかおわかりでしょうか?」


 えー…アデリア全土を掌握した時に、血盟名の『Golden Dawn』をもじって当時のアデリア国王が勝手に付けただけだし…。


「わかりかねます」

「なるほど…では、最後にドーン様は、父君と母君のどちら似でしょうか?」


 似るも似ないも、自分でキャラメイクしたもんだし…。


「母とはあまり似ておりませんでしたから、父に似たのかもしれません」

「左様でございますか…。立ち入った事をお聞きして申し訳ありませんでした。ご不快でしたらどうぞお許し下さい」

「とんでもありません。お気になさらないで下さい」


 ジーロさん、適当な嘘ばっかり言ってごめんなさい。


 ジーロさんは「少々失礼致します」と頭を下げて応接室を出で行ってしまった。
 団長様と2人きりになってしまった。
 横目で団長様を見ると、何やら難しい顔をして考え込んでいた。ちょっと声をかけにくい。
 

 換金が出来るだけで良かったのになぁ…。


 

 
 

 
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