ネトゲ世界転生の隠遁生活 〜俺はのんびり暮らしたい〜

瀬間諒

文字の大きさ
上 下
3 / 48

2話

しおりを挟む

 並んで待っている間に、人々を観察して服装は500年前と大差変わってない事を確認した。

 良かった。服装は全然浮いてない。


 俺の番が来た。
 500年ぶりの人との会話に地味に緊張してます。


「身分証は?」

「申し訳ありません。落としてしまったらしくて…こちらで再発行お願いできませんでしょうか?」


 俺の前に立つ2人の門番兵さんが、互いの顔を見合わせると1人が慌てて何処かに走って行ったが、直ぐに大柄でごつい門番兵さんを連れて戻ってきた。

 あれ?俺、変な事言ったんだろうか?

 ごつい門番兵さんが俺の前に立つと話しかけてきた。


「詰所で鑑定すれば銀貨5枚で仮身分証が発行出来るぞ。詰所に案内してやろう」


 思いの外親切な対応に、びっくり。
 
 しかし、この門番兵さんデカいな。俺より頭2つ分身長が高いし鎧無しでも十分ごつい。
 あれ、このごつい門番兵さんの鎧ってちょっと豪華で、他の門番兵さんとは違うな。
 上の人なのか?

 案内された詰所には誰も居なかった。
 案内してくれたごつい門番兵さんは兜を外して机に置くと、机を挟んで正面に向かい合う形で椅子に座り、俺も当然勧められて椅子に座った。
 
 兜と外したごつい門番兵さんの顔は、ラテン系な超イケメンさんでした。
 天然のアイシャドウとか凄くない?

 ごつい門番兵さんがじっと俺を見ているので、フードを外して顔を晒す。

 火傷の痕に一瞬視線が向かれるが、すぐにバツが悪そうに視線が逸らされた。

 あれ?火傷痕のシールが役に立った?

 小さく咳払いをして、気を取り直したらしいごつい門番兵さん。


「鑑定を始める前に少し話を聞かせて貰いたい」


 前もって当たり障りの無い設定を決めておいて良かった。

 さぁ、ドンと来い!


「出身は?」

「アデリアの聖殿の近くの村です」

「アデリアの聖殿とは…随分と遠いな…旅の目的と行き先は?」

「村が野盗に焼き討ちされましたので、移住先を探してまして…この様な顔ですから、薄気味悪く思われて中々…」

「それは気の毒に…この街に移住する気があるなら私が口添えしてもいいんだが…」


 ごつい門番兵さん、チョロ過ぎない?
 駄目でしょ。 
 先ずは鑑定しようよ、そこはさ。
 平和ボケしてるんだろうかと疑ってしまうんだけど…。
 

「いえいえ、何処の馬の骨ともわからない者にそこまでされるのは、如何かと…嘘をついているかもですよ?まずは鑑定されてみてはどうでしょ」 


 俺はフェイクスキルで、Lv4の犯罪歴無しの人畜無害で善良な人間として鑑定されるように施した。

 ごつい門番兵さんは、右の掌を俺にかざして鑑定スキルを使った。


・ドーン 21歳 Lv4 アデリア出身 流浪の民 犯罪歴無し 」


 うんうん、いい感じ。
 フェイクスキル、いい仕事してる。
 500年経ってりゃ、本名でも問題無いとは思うけどどうせフェイクだ。「ジェ」を「ジュ」に変えての偽名にした。
 ゲーム開始当初は、よく間違えられて「スルジュ」て呼ばれてたけどさ。
 あっ、苗字なんていらなかったか…まぁいいか。
 問題無い無い。

 鑑定の結果に、笑顔で頷く。

 ごつい門番兵さんは、机の引き出しから仮身分証作成の為の書類を取り出して羽ペンで何やら記入してスタンプで押印すると、金属プレートに掌をかざして彫金を施していく。


 「仮身分証だ。これで7日間の滞在は認められる。引き続き滞在したい時は役所に行けばいい。もし、この街に移住を決めるなら役所の移住課に行くといい。そうすれば身分証も改めて新しく発行されるから後々面倒な事も無いだろう」


 なるほど。
 要は移住で本籍をこの街にして、身分証を作って貰えばいいのか。
 セーフハウスも近くにあるんだし、身分証を手に入れるなら、この街で十分か…。


「色々とありがとうございます。お手数お掛けしました。こちら銀貨5枚になりますが、この銀貨使えますか?古銭しか持っていなのですが…」


 500年前の銀貨が通用する訳無いと思ったが、取り敢えず出して机に5枚並べてみた。
 ごつい門番兵さんは、1枚手に取ると目を丸くして酷く驚いた顔をして俺を見た。


「これはアデリア古銀貨じゃないか…これ1枚で金貨20枚の価値があるんだが…」


 え、そうなの?
 そんなに価値あんの?
 めっちゃ持ってんだけど…。


「亡くなった母に困った時に使うようにと渡されたもので…私はただの古銭の銀貨としか思っていませんでした…」

「このまま受け取る訳にはいかないな…」


 ごつい門番兵さん、正直で真面目だ。
 素知らぬ顔で受け取ってしまえば、丸儲けなのになぁ。


「ドーン君、1つ提案があるんだが…」

「何でしょうか?」

「取り敢えず銀貨5枚は俺が立て替えおこう。で、君も金が要り用だろ?だったらこの2枚を俺が換金してこよう。換金後に銀貨5枚を返してくれたらいい」


 ちょっとお人好し過ぎませんかね?
 裏があるように思えるのは、俺だけなのか?
 こっそり鑑定スキルを使ってみた。



しおりを挟む
感想 88

あなたにおすすめの小説

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜 ・話の流れが遅い ・作者が話の進行悩み過ぎてる

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

俺が総受けって何かの間違いですよね?

彩ノ華
BL
生まれた時から体が弱く病院生活を送っていた俺。 17歳で死んだ俺だが女神様のおかげで男同志が恋愛をするのが普通だという世界に転生した。 ここで俺は青春と愛情を感じてみたい! ひっそりと平和な日常を送ります。 待って!俺ってモブだよね…?? 女神様が言ってた話では… このゲームってヒロインが総受けにされるんでしょっ!? 俺ヒロインじゃないから!ヒロインあっちだよ!俺モブだから…!! 平和に日常を過ごさせて〜〜〜!!!(泣) 女神様…俺が総受けって何かの間違いですよね? モブ(無自覚ヒロイン)がみんなから総愛されるお話です。

主人公の兄になったなんて知らない

さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を レインは知らない自分が神に愛されている事を 表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346

この道を歩む~転生先で真剣に生きていたら、第二王子に真剣に愛された~

乃ぞみ
BL
※ムーンライトの方で500ブクマしたお礼で書いた物をこちらでも追加いたします。(全6話)BL要素少なめですが、よければよろしくお願いします。 【腹黒い他国の第二王子×負けず嫌いの転生者】 エドマンドは13歳の誕生日に日本人だったことを静かに思い出した。 転生先は【エドマンド・フィッツパトリック】で、二年後に死亡フラグが立っていた。 エドマンドに不満を持った隣国の第二王子である【ブライトル・ モルダー・ヴァルマ】と険悪な関係になるものの、いつの間にか友人や悪友のような関係に落ち着く二人。 死亡フラグを折ることで国が負けるのが怖いエドマンドと、必死に生かそうとするブライトル。 「僕は、生きなきゃ、いけないのか……?」 「当たり前だ。俺を残して逝く気だったのか? 恨むぞ」 全体的に結構シリアスですが、明確な死亡表現や主要キャラの退場は予定しておりません。 闘ったり、負傷したり、国同士の戦争描写があったります。 本編ド健全です。すみません。 ※ 恋愛までが長いです。バトル小説にBLを添えて。 ※ 攻めがまともに出てくるのは五話からです。 ※ タイトル変更しております。旧【転生先がバトル漫画の死亡フラグが立っているライバルキャラだった件 ~本筋大幅改変なしでフラグを折りたいけど、何であんたがそこにいる~】 ※ ムーンライトノベルズにも投稿しております。

処理中です...