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2話
しおりを挟む並んで待っている間に、人々を観察して服装は500年前と大差変わってない事を確認した。
良かった。服装は全然浮いてない。
俺の番が来た。
500年ぶりの人との会話に地味に緊張してます。
「身分証は?」
「申し訳ありません。落としてしまったらしくて…こちらで再発行お願いできませんでしょうか?」
俺の前に立つ2人の門番兵さんが、互いの顔を見合わせると1人が慌てて何処かに走って行ったが、直ぐに大柄でごつい門番兵さんを連れて戻ってきた。
あれ?俺、変な事言ったんだろうか?
ごつい門番兵さんが俺の前に立つと話しかけてきた。
「詰所で鑑定すれば銀貨5枚で仮身分証が発行出来るぞ。詰所に案内してやろう」
思いの外親切な対応に、びっくり。
しかし、この門番兵さんデカいな。俺より頭2つ分身長が高いし鎧無しでも十分ごつい。
あれ、このごつい門番兵さんの鎧ってちょっと豪華で、他の門番兵さんとは違うな。
上の人なのか?
案内された詰所には誰も居なかった。
案内してくれたごつい門番兵さんは兜を外して机に置くと、机を挟んで正面に向かい合う形で椅子に座り、俺も当然勧められて椅子に座った。
兜と外したごつい門番兵さんの顔は、ラテン系な超イケメンさんでした。
天然のアイシャドウとか凄くない?
ごつい門番兵さんがじっと俺を見ているので、フードを外して顔を晒す。
火傷の痕に一瞬視線が向かれるが、すぐにバツが悪そうに視線が逸らされた。
あれ?火傷痕のシールが役に立った?
小さく咳払いをして、気を取り直したらしいごつい門番兵さん。
「鑑定を始める前に少し話を聞かせて貰いたい」
前もって当たり障りの無い設定を決めておいて良かった。
さぁ、ドンと来い!
「出身は?」
「アデリアの聖殿の近くの村です」
「アデリアの聖殿とは…随分と遠いな…旅の目的と行き先は?」
「村が野盗に焼き討ちされましたので、移住先を探してまして…この様な顔ですから、薄気味悪く思われて中々…」
「それは気の毒に…この街に移住する気があるなら私が口添えしてもいいんだが…」
ごつい門番兵さん、チョロ過ぎない?
駄目でしょ。
先ずは鑑定しようよ、そこはさ。
平和ボケしてるんだろうかと疑ってしまうんだけど…。
「いえいえ、何処の馬の骨ともわからない者にそこまでされるのは、如何かと…嘘をついているかもですよ?まずは鑑定されてみてはどうでしょ」
俺はフェイクスキルで、Lv4の犯罪歴無しの人畜無害で善良な人間として鑑定されるように施した。
ごつい門番兵さんは、右の掌を俺にかざして鑑定スキルを使った。
「スルジュ・ドーン 21歳 Lv4 アデリア出身 流浪の民 犯罪歴無し 」
うんうん、いい感じ。
フェイクスキル、いい仕事してる。
500年経ってりゃ、本名でも問題無いとは思うけどどうせフェイクだ。「ジェ」を「ジュ」に変えての偽名にした。
ゲーム開始当初は、よく間違えられて「スルジュ」て呼ばれてたけどさ。
あっ、苗字なんていらなかったか…まぁいいか。
問題無い無い。
鑑定の結果に、笑顔で頷く。
ごつい門番兵さんは、机の引き出しから仮身分証作成の為の書類を取り出して羽ペンで何やら記入してスタンプで押印すると、金属プレートに掌をかざして彫金を施していく。
「仮身分証だ。これで7日間の滞在は認められる。引き続き滞在したい時は役所に行けばいい。もし、この街に移住を決めるなら役所の移住課に行くといい。そうすれば身分証も改めて新しく発行されるから後々面倒な事も無いだろう」
なるほど。
要は移住で本籍をこの街にして、身分証を作って貰えばいいのか。
セーフハウスも近くにあるんだし、身分証を手に入れるなら、この街で十分か…。
「色々とありがとうございます。お手数お掛けしました。こちら銀貨5枚になりますが、この銀貨使えますか?古銭しか持っていなのですが…」
500年前の銀貨が通用する訳無いと思ったが、取り敢えず出して机に5枚並べてみた。
ごつい門番兵さんは、1枚手に取ると目を丸くして酷く驚いた顔をして俺を見た。
「これはアデリア古銀貨じゃないか…これ1枚で金貨20枚の価値があるんだが…」
え、そうなの?
そんなに価値あんの?
めっちゃ持ってんだけど…。
「亡くなった母に困った時に使うようにと渡されたもので…私はただの古銭の銀貨としか思っていませんでした…」
「このまま受け取る訳にはいかないな…」
ごつい門番兵さん、正直で真面目だ。
素知らぬ顔で受け取ってしまえば、丸儲けなのになぁ。
「ドーン君、1つ提案があるんだが…」
「何でしょうか?」
「取り敢えず銀貨5枚は俺が立て替えおこう。で、君も金が要り用だろ?だったらこの2枚を俺が換金してこよう。換金後に銀貨5枚を返してくれたらいい」
ちょっとお人好し過ぎませんかね?
裏があるように思えるのは、俺だけなのか?
こっそり鑑定スキルを使ってみた。
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