9 / 30
9. 闇魔法修行-1(シルバーズ侯爵)
しおりを挟む
クロエがシルバーズ侯爵邸に着いた翌日、クロエとルカそしてシルバーズ侯爵は玄関ホールで出発の準備をしていた。
「ルイ、儂は病気療養のために領地で静養すると噂を流しておいてくれ。そしてルカは留学したことにして……。クロエはシルバーズ侯爵の養女として迎えるため、領地で教育を受けているという体にするが、クロエに扮する者の準備はできているか?」
ルイはシルバーズ侯爵に向き直ると「はい、明朝に馬車で領地に向かう手筈になっています。領地の別邸の者には計画は伝えていませんので、本物のクロエとして対応するかと」
「よし、今のところは順調だな。何か不審なことがあれば、あれで連絡をくれ。魔力が辿られることは避けたいからな」
(「あれ」ってなんのことだろ?それに私に扮した者って……、身代わりってこと!)クロエはシルバーズ侯爵とルイの話に聞き耳を立てて、顔を青くしていた。
「クロエ。……あっ、クロエって呼んでいいか?」青い顔をしているクロエを見て、ルイが声をかけた。
「……えっ、はい。クロエとお呼びください」クロエが背の高いルイを見上げると、ルイは苦笑いをして言った。
「俺たち同じ歳だから、敬語は不要だ。俺のことはルイと呼び捨てでいい」
(はぁ!?どう見てもダン兄様より年上に見えるんですけど!)
ルイは驚いているクロエを見て、「あぁ、そう見えるかもな。ヴァンパイア人は成長が早いんだ。そして成人したらそこからはほとんど老けない。爺さんは何歳だと思う?」
「おじい様は、50……55歳ぐらいでしょうか?」シルバーズ侯爵は、おじい様と呼ぶのは申し訳ないぐらい若々しく、筋肉隆々で背も高くイケおじいという容姿である。
「120歳だよ」
「はぁ!?」(イケおじい……、恐るべし)
「ヴァンパイア人はヒューマン人に比べて、寿命も長いんだ。向こうに行ったら、ヴァンパイア国について色々教えてやるよ」
「私、ヴァンパイア国について何も知りませんでした……。ぜひ、色々おしえてください」クロエはサッと前世のお辞儀をしてしまった。
「クロエ。お前、かたいな。力はいりすぎだ。魔術の訓練より、まずは性格の矯正からだな」ルカはあきれたように苦笑いをして執事の方へ行ってしまった。
(えっ……。私、かたいかなぁ。普通にしてるつもりなんだけど。かたいって、何がかたいの?)クロエは首をひねりながら自問自答していた。
「クロエ、何をしてるんじゃ?そろそろ出発するぞ」シルバーズ侯爵はクロエの手をとり魔法陣の中に入った。
「今回は荷物もたくさんあるからの。魔法陣を使って転移する」
転移するのに色々な方法があるんだぁとクロエが興味津々で魔法陣を見ていると、いきなり景色が変わった。
「えっ!もう移動したのですか!」
「ふふふ、あっというまじゃ~。ここには執事もメイドもおらんからの。儂ら3人ですべての事をこなしていくぞ。まずは荷物を部屋に運び入れよう」
シルバーズ侯爵が指をサッと動かすと、荷物があっという間に消えた。
「えっ!」クロエが驚いた顔でシルバーズ侯爵を見上げると「すごいじゃろ?」と自慢げに言い、鼻歌を歌いながらキッチンに向かっていった。
ルカは、はぁ~っとため息をつくと、「邸内を案内してやる」といってクロエを部屋へ案内してくれた。
ルカとクロエは邸内を散策してから、キッチンに向かった。キッチンの入り口を入ると、シルバーズ侯爵は鼻歌を歌いながら、すでに昼食の準備をしていた。
「えっ!おじい様は料理がお出来になるんですか!」
「じい様の作る料理は美味いぞ」とルカは味見用の小皿にスープをすくってクロエに渡した。
「あっ、いただきます……。えっ!豚汁?」
「実は、儂も転生者じゃ。みんなには内緒じゃがの。儂が転生者ということはルイとルカしか知らん。あっ、シエラは知っておったがの」
(えぇ~~~!転生者ってこの世界に結構いるの?)
「いや、この世界に転生者はそんなにはおらんじゃろ。」
クロエは目をまん丸にして、シルバーズ侯爵を凝視した。(もしかして……)
「そう、もしかしてじゃ。まぁ、常に心が読めるわけではない。読心魔法を使わんと読めん。闇魔法はな、こんなこともできるんじゃ。面白いじゃろ。前世のアニメや映画を参考に色々と試してみたら、面白いものがたくさんできたわい。魔術は柔軟な思考と創造が大事なんじゃ」
(すごい……。闇魔法、いや他の属性もアイディア次第でものすごいことができちゃうかもしれないわ)
「おじい様、私、頑張ります。私、とんでもなく凄い師匠に魔術を教わるんだってことを実感しております」クロエは感動して、シルバーズ侯爵を尊敬のまなざしで見上げた。
「ワッハッハ!師匠か!よし、ここでは儂のことは師匠と呼びなさい。ルカもじゃぞ」
「わかったよ、師匠。それより先に昼飯食おうぜ」
みんなで師匠の素晴らしい日本食を食べた後、裏庭に面した鬱蒼と茂る森の前に移動した。
「この森は魔の森じゃ。ブラウン辺境伯にある魔の森と同じ森じゃ。うちの領地も魔の森に面しているからの」
(えっ、じゃあこの森の向こうはブラウン辺境伯領なのね!)
「これから、この森の中で修行をしていく。マジックバッグは持ったな。もしものためにそのマジックバッグには食料とポーションが入っている。いざという時はそのバッグの中を探れば3日ぐらいは生活できるぞ。あっ、簡単に建てれるテントも入っているからの。備えあれば憂いなしじゃ」
そうして3人は魔の森の中へ入り1時間程歩くと綺麗な花が一面に咲き乱れている開けた場所に着いた。
「今日はここで、魔術を繰り出す時の基本となる呼吸と姿勢を訓練する」
「呼吸と姿勢ですか……?」クロエは師匠の顔を見つめ、どういうこと?と首を傾げた。
「ん~、そうじゃなぁ。クロエは光魔法を使えるんじゃったな。よし、何でもいいから光魔法を使ってみなさい」
(ん?光魔法をここで?えーっと、あっ、あの木がいいわ)
クロエは小さな蕾をつけた背の低い木の前に立ち手のひらを蕾の前にかざすと「開花」と唱えた。すると小さな蕾の花びらがどんどん広がり、その周りにあった他の蕾も花が開いて、その木は満開になってしまった。
師匠は「なるほど……。よし、クロエのクセがわかったぞ」
(クセ?普通に立って呪文を唱えただけなんだけど……?)
「まずは姿勢。体幹も出来ているし綺麗にまっすぐに立ててはいるが、全てに力が入りすぎじゃ。自然体で無駄な力を抜いて立つと、もっと小さな魔力で大きな魔法を行使できるようになる。」
「自然体ですか……」
「例えばのう……おっ、そうじゃ。クロエは剣は使えるんだったな。クロエは剣を持つときに手に力を入れて持つか?」
「いいえ。力を入れて剣を持ってしまうと、柔軟性がなくなって剣の軌道も単純になってしまいます。そして可動域も小さくなってしまいます……あっ、そういうことか!」
「クロエは頭の回転が早いのぉ。教えがいがあるわい。そうじゃ、自然体とは無駄な力を抜いた状態で、精神も気負いのない状態。しかしボーっと突っ立っているわけではなく、上下左右360度に気を纏わせておくんじゃ。気を張るんじゃなく、ふわっと纏わせて周りにある気も感じとれるように訓練してみなさい」
(なるほど。武道の基本だったわ!魔術も同じなのね。いや、魔術だけじゃないわね、これはすべてにおいて言えることだわ。あぁ、目からうろこってやつだわ)
「師匠、ありがとうございます。私、とても大事なことを教えていただきました。常に自然体でいれるように訓練します!」
師匠は優しい瞳でクロエを見つめながら言った。
「クロエ、真面目なことは良いことかもしれないが、遊びも必要じゃ。車のハンドルになぜ「あそび」があるのかは知っておるか?ハンドルも人も余裕が無いとスムーズに道が走れないんじゃ。クロエ、焦ることはない。余裕をもってゆっくり周りを見ていきなさい。クロエの人生はまだまだ長いんじゃからの」
クロエはなぜだかわからないが、涙が溢れ出して止まらなかった。(そうだ……。私、なにを焦っていたんだろ?自分で自分自身を追い込んで……)
「クロエ、気が付けてよかったのぉ。自分だけで背負うことはないんじゃ。儂はクロエに闇魔術を教えたいと思ったからここにいる。誰にも強制されているわけではない。ルカも、ルカの目的があってここにいる。自分で決めてここにいるんじゃ、クロエのためではない。自分の目的のためにここにいる。クロエは儂らに対して心苦しい思いを持つことは不要なんじゃ」
「師匠。ありがとうございます……」
クロエは、拭いても拭いても溢れてくる涙を止めることは出来なかった。
「ルイ、儂は病気療養のために領地で静養すると噂を流しておいてくれ。そしてルカは留学したことにして……。クロエはシルバーズ侯爵の養女として迎えるため、領地で教育を受けているという体にするが、クロエに扮する者の準備はできているか?」
ルイはシルバーズ侯爵に向き直ると「はい、明朝に馬車で領地に向かう手筈になっています。領地の別邸の者には計画は伝えていませんので、本物のクロエとして対応するかと」
「よし、今のところは順調だな。何か不審なことがあれば、あれで連絡をくれ。魔力が辿られることは避けたいからな」
(「あれ」ってなんのことだろ?それに私に扮した者って……、身代わりってこと!)クロエはシルバーズ侯爵とルイの話に聞き耳を立てて、顔を青くしていた。
「クロエ。……あっ、クロエって呼んでいいか?」青い顔をしているクロエを見て、ルイが声をかけた。
「……えっ、はい。クロエとお呼びください」クロエが背の高いルイを見上げると、ルイは苦笑いをして言った。
「俺たち同じ歳だから、敬語は不要だ。俺のことはルイと呼び捨てでいい」
(はぁ!?どう見てもダン兄様より年上に見えるんですけど!)
ルイは驚いているクロエを見て、「あぁ、そう見えるかもな。ヴァンパイア人は成長が早いんだ。そして成人したらそこからはほとんど老けない。爺さんは何歳だと思う?」
「おじい様は、50……55歳ぐらいでしょうか?」シルバーズ侯爵は、おじい様と呼ぶのは申し訳ないぐらい若々しく、筋肉隆々で背も高くイケおじいという容姿である。
「120歳だよ」
「はぁ!?」(イケおじい……、恐るべし)
「ヴァンパイア人はヒューマン人に比べて、寿命も長いんだ。向こうに行ったら、ヴァンパイア国について色々教えてやるよ」
「私、ヴァンパイア国について何も知りませんでした……。ぜひ、色々おしえてください」クロエはサッと前世のお辞儀をしてしまった。
「クロエ。お前、かたいな。力はいりすぎだ。魔術の訓練より、まずは性格の矯正からだな」ルカはあきれたように苦笑いをして執事の方へ行ってしまった。
(えっ……。私、かたいかなぁ。普通にしてるつもりなんだけど。かたいって、何がかたいの?)クロエは首をひねりながら自問自答していた。
「クロエ、何をしてるんじゃ?そろそろ出発するぞ」シルバーズ侯爵はクロエの手をとり魔法陣の中に入った。
「今回は荷物もたくさんあるからの。魔法陣を使って転移する」
転移するのに色々な方法があるんだぁとクロエが興味津々で魔法陣を見ていると、いきなり景色が変わった。
「えっ!もう移動したのですか!」
「ふふふ、あっというまじゃ~。ここには執事もメイドもおらんからの。儂ら3人ですべての事をこなしていくぞ。まずは荷物を部屋に運び入れよう」
シルバーズ侯爵が指をサッと動かすと、荷物があっという間に消えた。
「えっ!」クロエが驚いた顔でシルバーズ侯爵を見上げると「すごいじゃろ?」と自慢げに言い、鼻歌を歌いながらキッチンに向かっていった。
ルカは、はぁ~っとため息をつくと、「邸内を案内してやる」といってクロエを部屋へ案内してくれた。
ルカとクロエは邸内を散策してから、キッチンに向かった。キッチンの入り口を入ると、シルバーズ侯爵は鼻歌を歌いながら、すでに昼食の準備をしていた。
「えっ!おじい様は料理がお出来になるんですか!」
「じい様の作る料理は美味いぞ」とルカは味見用の小皿にスープをすくってクロエに渡した。
「あっ、いただきます……。えっ!豚汁?」
「実は、儂も転生者じゃ。みんなには内緒じゃがの。儂が転生者ということはルイとルカしか知らん。あっ、シエラは知っておったがの」
(えぇ~~~!転生者ってこの世界に結構いるの?)
「いや、この世界に転生者はそんなにはおらんじゃろ。」
クロエは目をまん丸にして、シルバーズ侯爵を凝視した。(もしかして……)
「そう、もしかしてじゃ。まぁ、常に心が読めるわけではない。読心魔法を使わんと読めん。闇魔法はな、こんなこともできるんじゃ。面白いじゃろ。前世のアニメや映画を参考に色々と試してみたら、面白いものがたくさんできたわい。魔術は柔軟な思考と創造が大事なんじゃ」
(すごい……。闇魔法、いや他の属性もアイディア次第でものすごいことができちゃうかもしれないわ)
「おじい様、私、頑張ります。私、とんでもなく凄い師匠に魔術を教わるんだってことを実感しております」クロエは感動して、シルバーズ侯爵を尊敬のまなざしで見上げた。
「ワッハッハ!師匠か!よし、ここでは儂のことは師匠と呼びなさい。ルカもじゃぞ」
「わかったよ、師匠。それより先に昼飯食おうぜ」
みんなで師匠の素晴らしい日本食を食べた後、裏庭に面した鬱蒼と茂る森の前に移動した。
「この森は魔の森じゃ。ブラウン辺境伯にある魔の森と同じ森じゃ。うちの領地も魔の森に面しているからの」
(えっ、じゃあこの森の向こうはブラウン辺境伯領なのね!)
「これから、この森の中で修行をしていく。マジックバッグは持ったな。もしものためにそのマジックバッグには食料とポーションが入っている。いざという時はそのバッグの中を探れば3日ぐらいは生活できるぞ。あっ、簡単に建てれるテントも入っているからの。備えあれば憂いなしじゃ」
そうして3人は魔の森の中へ入り1時間程歩くと綺麗な花が一面に咲き乱れている開けた場所に着いた。
「今日はここで、魔術を繰り出す時の基本となる呼吸と姿勢を訓練する」
「呼吸と姿勢ですか……?」クロエは師匠の顔を見つめ、どういうこと?と首を傾げた。
「ん~、そうじゃなぁ。クロエは光魔法を使えるんじゃったな。よし、何でもいいから光魔法を使ってみなさい」
(ん?光魔法をここで?えーっと、あっ、あの木がいいわ)
クロエは小さな蕾をつけた背の低い木の前に立ち手のひらを蕾の前にかざすと「開花」と唱えた。すると小さな蕾の花びらがどんどん広がり、その周りにあった他の蕾も花が開いて、その木は満開になってしまった。
師匠は「なるほど……。よし、クロエのクセがわかったぞ」
(クセ?普通に立って呪文を唱えただけなんだけど……?)
「まずは姿勢。体幹も出来ているし綺麗にまっすぐに立ててはいるが、全てに力が入りすぎじゃ。自然体で無駄な力を抜いて立つと、もっと小さな魔力で大きな魔法を行使できるようになる。」
「自然体ですか……」
「例えばのう……おっ、そうじゃ。クロエは剣は使えるんだったな。クロエは剣を持つときに手に力を入れて持つか?」
「いいえ。力を入れて剣を持ってしまうと、柔軟性がなくなって剣の軌道も単純になってしまいます。そして可動域も小さくなってしまいます……あっ、そういうことか!」
「クロエは頭の回転が早いのぉ。教えがいがあるわい。そうじゃ、自然体とは無駄な力を抜いた状態で、精神も気負いのない状態。しかしボーっと突っ立っているわけではなく、上下左右360度に気を纏わせておくんじゃ。気を張るんじゃなく、ふわっと纏わせて周りにある気も感じとれるように訓練してみなさい」
(なるほど。武道の基本だったわ!魔術も同じなのね。いや、魔術だけじゃないわね、これはすべてにおいて言えることだわ。あぁ、目からうろこってやつだわ)
「師匠、ありがとうございます。私、とても大事なことを教えていただきました。常に自然体でいれるように訓練します!」
師匠は優しい瞳でクロエを見つめながら言った。
「クロエ、真面目なことは良いことかもしれないが、遊びも必要じゃ。車のハンドルになぜ「あそび」があるのかは知っておるか?ハンドルも人も余裕が無いとスムーズに道が走れないんじゃ。クロエ、焦ることはない。余裕をもってゆっくり周りを見ていきなさい。クロエの人生はまだまだ長いんじゃからの」
クロエはなぜだかわからないが、涙が溢れ出して止まらなかった。(そうだ……。私、なにを焦っていたんだろ?自分で自分自身を追い込んで……)
「クロエ、気が付けてよかったのぉ。自分だけで背負うことはないんじゃ。儂はクロエに闇魔術を教えたいと思ったからここにいる。誰にも強制されているわけではない。ルカも、ルカの目的があってここにいる。自分で決めてここにいるんじゃ、クロエのためではない。自分の目的のためにここにいる。クロエは儂らに対して心苦しい思いを持つことは不要なんじゃ」
「師匠。ありがとうございます……」
クロエは、拭いても拭いても溢れてくる涙を止めることは出来なかった。
91
お気に入りに追加
246
あなたにおすすめの小説
【完結】旦那様が私に一切興味がないのは好都合。冒険者として名を上げてみせましょう!
桃月とと
恋愛
テンペスト・ウェトウィッシュは侯爵家の末娘。16歳という貴族の中での適齢期を迎えるが、全く結婚する気は起きない。何と言っても彼女は前世の記憶持ち。前世で16歳と言えばまだまだ遊びたいお年頃だった。
「せっかく生まれかわれたんだから人生楽しまなきゃ!」
彼女が転生したこの異世界の何を気に入ったかって、魔法の存在だ。しかも彼女はラッキーなことに、魔法に関して天性の才能の持ち主として生まれた。
「私、魔法使いなりたい!」
という前世の願いが転生して叶ってしまった彼女は、新たな夢を見出した。
「私、冒険者になる!」
魔獣を狩って素材を剥がしてそれを売ったり、武器や装備を作ったり、依頼を受けてお姫様の護衛をしたり、ばっさばっさと敵を倒すのだ!
アンラッキーなことに、彼女の家族はその夢を歓迎しなかった。貴族の令嬢として彼女に求められるのは、旦那様に尽くす、大人しく美しい淑女だった。
ある日騙されて連れていかれたのは、まさかの自分の結婚式。テンペストの夫となるのは、ウェンデル・ブラッド公爵。血も涙もない冷血な男だと貴族社会で噂になっている男だった。
(はあああ!?)
なりたくもなかった花嫁姿の自分に見向きもしない夫に思わずイラっとしたテンペストは、すぐに人生の計画を練り直した。
ブラッド領には有名な地下ダンジョンが存在した。冒険者の街としても有名なのだ。そこでテンペストは冒険者になることに。
「冒険者として名を上げて、大恥かかせたらぁ!!!」
ブラッド公爵家の嫁が冒険者なんて知られたら、あの冷血夫がどんな顔をするか楽しみだと、テンペストはルンルンで今日もダンジョンへと入って行く。それに冒険者として生活できるようになれば離婚だ! となったって問題ない。
だが、順調に冒険者を続けていたテンペストには予想外のことが。
「なんて美しい人なんだ!」
変装した自分の夫が、妻とは気づかず自分に惚れてしまったのだ。
「……アホかな?」
夫の浮気判定に迷いながらも、今日もテンペストは人生を楽しみます!
【完結】6歳の王子は無自覚に兄を断罪する
土広真丘
ファンタジー
ノーザッツ王国の末の王子アーサーにはある悩みがあった。
異母兄のゴードン王子が婚約者にひどい対応をしているのだ。
その婚約者は、アーサーにも優しいマリーお姉様だった。
心を痛めながら、アーサーは「作文」を書く。
※全2話。R15は念のため。ふんわりした世界観です。
前半はひらがなばかりで、読みにくいかもしれません。
主人公の年齢的に恋愛ではないかなと思ってファンタジーにしました。
小説家になろうに投稿したものを加筆修正しました。
愛し子は自由のために、愛され妹の嘘を放置する
紅子
恋愛
あなたは私の連理の枝。今世こそは比翼の鳥となりましょう。
私は、女神様のお願いで、愛し子として転生した。でも、そのことを誰にも告げる気はない。可愛らしくも美しい双子の妹の影で、いない子と扱われても特別な何かにはならない。私を愛してくれる人とこの世界でささやかな幸せを築ければそれで満足だ。
その希望を打ち砕くことが起こるとき、私は全力でそれに抗うだろう。
完結済み。毎日00:00に更新予定です。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜
青空ばらみ
ファンタジー
一歳で両親を亡くし母方の伯父マークがいる辺境伯領に連れて来られたパール。 伯父と一緒に暮らすお許しを辺境伯様に乞うため訪れていた辺境伯邸で、たまたま出くわした侯爵令嬢の無知な善意により 六歳で見習い冒険者になることが決定してしまった! 運良く? 『前世の記憶』を思い出し『スマッホ』のチェリーちゃんにも協力してもらいながら 立派な冒険者になるために 前世使えなかった魔法も喜んで覚え、なんだか百年に一人現れるかどうかの伝説の国に迷いこんだ『迷い人』にもなってしまって、その恩恵を受けようとする『当たり人』と呼ばれる人たちに貢がれたり…… ぜんぜん理想の田舎でまったりスローライフは送れないけど、しょうがないから伝説の国の魔道具を駆使して 気ままに快適冒険者を目指しながら 周りのみんなを無自覚でハッピーライフに巻き込んで? 楽しく生きていこうかな! ゆる〜いスローペースのご都合ファンタジーです。
小説家になろう様でも投稿をしております。
今度生まれ変わることがあれば・・・全て忘れて幸せになりたい。・・・なんて思うか!!
れもんぴーる
ファンタジー
冤罪をかけられ、家族にも婚約者にも裏切られたリュカ。
父に送り込まれた刺客に殺されてしまうが、なんと自分を陥れた兄と裏切った婚約者の一人息子として生まれ変わってしまう。5歳になり、前世の記憶を取り戻し自暴自棄になるノエルだったが、一人一人に復讐していくことを決めた。
メイドしてはまだまだなメイドちゃんがそんな悲しみを背負ったノエルの心を支えてくれます。
復讐物を書きたかったのですが、生ぬるかったかもしれません。色々突っ込みどころはありますが、おおらかな気持ちで読んでくださると嬉しいです(*´▽`*)
*なろうにも投稿しています
転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。
【完結済み】当主代理ですが、実父に会った記憶がありません。
BBやっこ
恋愛
貴族の家に生まれたからには、その責務を全うしなければならない。そう子供心に誓ったセリュートは、実の父が戻らない中“当主代理”として仕事をしていた。6歳にやれることなど微々たるものだったが、会ったことのない実父より、家の者を護りたいという気持ちで仕事に臨む。せめて、当主が戻るまで。
そうして何年も誤魔化して過ごしたが、自分の成長に変化をせざるおえなくなっていく。
1〜5 赤子から幼少
6、7 成長し、貴族の義務としての結婚を意識。
8〜10 貴族の子息として認識され
11〜14 真実がバレるのは時間の問題。
あとがき
強かに成長し、セリとしての生活を望むも
セリュートであることも捨てられない。
当主不在のままでは、家は断絶。使用人たちもバラバラになる。
当主を探して欲しいと『竜の翼』に依頼を出したいが?
穏やかで、好意を向けられる冒険者たちとの生活。
セリとして生きられる道はあるのか?
<注意>幼い頃から話が始まるので、10歳ごろまで愛情を求めない感じで。
恋愛要素は11〜の登場人物からの予定です。
「もう貴族の子息としていらないみたいだ」疲れ切った子供が、ある冒険者と出会うまで。
※『番と言われましたが…』のセリュート、ロード他『竜の翼』が後半で出てきます。
平行世界として読んでいただけると良いかもと思い、不遇なセリュートの成長を書いていきます。
『[R18] オレ達と番の女は、巣篭もりで愛欲に溺れる。』短編完結済み
『番と言われましたが、冒険者として精進してます。』 完結済み
『[R18]運命の相手とベッドの上で体を重ねる』 完結
『俺たちと番の女のハネムーン[R18]』 ぼちぼち投稿中
令嬢に転生してよかった!〜婚約者を取られても強く生きます。〜
三月べに
ファンタジー
令嬢に転生してよかった〜!!!
素朴な令嬢に婚約者である王子を取られたショックで学園を飛び出したが、前世の記憶を思い出す。
少女漫画や小説大好き人間だった前世。
転生先は、魔法溢れるファンタジーな世界だった。リディーは十分すぎるほど愛されて育ったことに喜ぶも、婚約破棄の事実を知った家族の反応と、貴族内の自分の立場の危うさを恐れる。
そして家出を決意。そのまま旅をしながら、冒険者になるリディーだったのだが?
【連載再開しました! 二章 冒険編。】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる