6 / 30
6. ヴァンパイア国に行く前に...
しおりを挟む
クロエの誕生日の日に、これからのクロエの進路についてみんなで話し合いをし、クロエが7歳になってから3年間、シルバーズ侯爵の下で闇魔法を学ぶことになった。そしてシルバーズ侯爵からもクロエがヴァンパイア国に来るまでに、すべての守りを整えるから安心して来なさいと丁寧な手紙が届いた。
クロエはヴァンパイア国に行くまでの2年間をどう過ごしていこうかと考えていた。
「何をしたらいいかしら……?光魔法の訓練は続けるとして、他にも何か私に出来ることはあるかな……」
窓辺から庭を眺めながらクロエが色々考えていると、ロイがクロエの部屋をノックして入ってきた。
「クロエ、ちょっと教えてほしいことがあるんだけど、今いいか?」
「ロイ兄様!どうしたんですか?」
「実はな、クロエがヴァンパイア国に行っている間に、俺も何か出来ることがあるんじゃないかと思ってさぁ。俺は魔道具が好きだろ?だから、辺境伯騎士団や魔術師団の補助になるような魔道具を開発しようと考えたんだ。だけどなかなかいいアイディアが浮かばなくてさぁ。そこで、クロエが前世でいた世界の話を思い出したんだ。クロエが前世で住んでいた世界は技術がかなり高度だったんだろ?だからさ、その前世で使われていた武器みたいなのがあれば教えてほしいんだ」
「ロイ兄様、凄いわ!ロイ兄様にしか出来ないことよ!わかった、すぐにリストアップしてみるわね!」
「クロエありがとう!俺もやるぜー!」
コンコンと、開いているドアをノックする音が聞こえて振り返ると、ダンがドアに寄りかかって立っていた。
「ロイ、いいじゃねぇーか!俺も協力するぜ!」
「ダン兄、聞いてたのかよ~」
「実は俺も同じこと考えてたんだ。俺は魔道具とかは詳しくないから、魔術の技術を上げていこうと思ってさ。クロエが前世の話してた時に『科学』っていう視点からみた魔術について話をしていたことがあっただろ?それで、俺らが持っている属性の原理とか仕組みを基にして、新しい魔術を開発できないかなと思ったんだ。例えばさ、雷は電気っていうもので出来てて、水は電気で分解できるんだろ?俺は雷と水の属性持ってるから、これをうまく組み合わせたらちょっといける新魔術出来るかなと思ってさぁ。だからもっと詳しく色んな属性について調べて、どんな属性にも負けない新魔術を作りたいんだ。」
「ダン兄!それ、いいアイディアだよ!俺の魔道具にもその『科学』ってやつ必要だわ!クロエ、俺たちに『科学』について教えてくれるか?」
「もちろんです!私の持っている知識はすべてお兄様たちにお教えします!」
3人で夢中で話しをしていると、辺境伯夫妻が部屋にやってきた。
「おぉ~、楽しそうな話をしてるいるなぁ」
「お父様!」
「クロエ、私たちにも、その『科学』を教えてほしいわ。今までの魔術にそんな概念はなかったもの。ぜひ私も魔術開発に取り組んでみたいわ。そして治癒魔法の技術を上げるために、前世の医学についても教えてほしいの」
「お母様!そうですね、私の知っていることすべて、この2年間でみんなにお教えさせてください!」
「俺たちのやるべきことが見えたな!クロエ、よろしく頼むぞ」
「はい、お父様!そうとなったら、これから部屋に籠って、私の前世の知識をすべてを紙にまとめてまいります!」
クロエは自室に駆け込むと紙とペンを取り出し、前世の知識を思い出しながら、この世界でも使えそうなことを片っ端から書き出した。どんどんアイディアが溢れてきて食事もとらずに机に向かっていると、部屋から出てこないクロエを心配して、ダンとロイはせっせと食事を運んでクロエの口に食べ物を入れていた。
* * *
一週間後の朝、クロエは目の下に真っ黒なクマを張り付けながらみんなが集まっていた朝食の席についた。
「おはようございます……」
「おぉ~!クロエ、ようやく部屋から出てきたのか!目の下のクマが凄いことになっているぞ!」
辺境伯夫妻は心配そうにクロエを見ていたが、ダンとロイは満面の笑みで「できたのか!」とクロエを見つめた。
「はい、お待たせしました。ロイ兄様が作った複写の魔道具で全員分を冊子にしてまとめてありますので、後程お渡しします」
「そうか、クロエありがとう!よし、ここからは俺たちの番だから、クロエはゆっくり休んでくれよ!」ダンとロイは目をキラキラさせて朝食を急いで食べた。
「クロエ、ありがとう。今日はゆっくり休みなさいね。クロエの作った冊子を読み込んで、わからないところは夕食後にクロエに質問する時間を作るのはどうかしら」
「そうだな。各自の進捗もそこで報告し合いながら進めていこう」
「あっ、お父様、お母様。私、お願いがあるのです。調理場で料理を試作したいのですが、調理場に入る許可をいただきたいのです」
「クロエ、料理できるのか?」辺境伯は不安そうに尋ねた。
「はい、前世では料理は得意な方でした。前世で人気だった料理をこちらでも作ってみたいんです。そして前世の世界では携帯食も充実していたので、それも試作してみたくて。こちらの世界でも討伐に行く際に持っていく携帯食に干し肉等はありますが、前世の世界にあった『お湯を注ぐだけで出来るスープ』や『栄養たっぷりのクッキー』のようなものも作れたら、討伐時の携帯食や冬の間の保存食にもなるのではないかと思ったんです」
クロエは前世の知識をまとていた際に、前世の食べ物について思い出し、この辺境伯領で活かせるのではないかと考えていた。
「ほう、それは興味深いな。料理長と一緒に作業するならいいだろう。前世で得意だったといっても、まだクロエは5歳だし心配だからな」
「ありがとうございます!うふふ、作りたいものがたくさんあるんです!お兄様も楽しみにしててくださいね」
「何を作ってくれるんだ?」ダンとロイはさらに目をキラキラさせてクロエを見た。
「まずは、今日のおやつですね。ん~、甘いものとしょっぱい物……?あっ、プリンとポテトチップスを作ります。お父様とお母様にも、お茶の時間にお持ちします」
「楽しみだわ!あっ、クロエ、少し休まなくていいの?」
「はい!アイディアが浮かびすぎて、じっとしていられません!でも今日は早く寝ます」
「クロエ、無理しないようにな」
「はい!」
辺境伯夫妻は、子供たちのイキイキとしている姿を微笑ましく見ていた。
* * *
クロエは朝食の後、前世の料理を作るために調理場へ向かっていた。
「おっ!クロエ様、お待ちしてましたよ。旦那様からはお話を聞いておりますので、遠慮なく私をアシスタントにお使いください」
「料理長、ありがとうございます!」
「今日は、手始めに簡単なおやつを2種類作りたいんです。ジャガイモと、卵と……」
料理長や他の調理師たちもクロエの周りに集まって、興味深くクロエの作業を見ながら手伝いをしてくれていた。クロエは、調理場のみんなにも味見をしてもらうために多めに作り、2時間ほどかかって料理が完成した。
「おぉ~!これがポテトチップスですか!」料理長や調理場のみんなが次々に味見して、初めに揚げたポテトチップスは味見でなくなってしまった。
「これは、エールが欲しくなる!芋と塩だけの調理で簡単なのに、食感も良くて、酒のツマミには最高だな!これは騎士団の人気メニューになりそうだ!」
「クロエ様、旦那様方と坊ちゃん達の分は、お茶の時間用に再度作りますね。これは今日の騎士団の夕食にも添えてあげましょう。みんな今日は酒がすすむぞ!」
プリンも、ロイが作った冷蔵の魔道具で冷やしてある。クロエは前世で大好きたったプリンとポテトチップスが食べれるのが楽しみでニマニマと顔が緩みっぱなしだった。
そして今日のお茶の時間は辺境伯夫妻達全員が集まると、執事が調理場までクロエに伝えに来てくれた。
「クロエ~!もう出来たのか~!」ダンとロイは走ってお茶の準備のしてある談話室に入ってきた。
「旦那様と奥様ももう少しで参ります」執事がそう言うと、メイドがテーブルにポテトチップスとプリンを並べてくれた。
「遅くなってすまない!」辺境伯夫妻は部屋に入ると前世の料理に興味津々でテーブルの上を見ていた。
「これが前世の料理なのね!さぁ、早く頂きましょう!」
ダンとロイは、慎重にスプーンでプリンをすくい口に入れると、目をまん丸に見開いて「うま~い!プルプルで口の中で溶けてなくなった~!」と目をキラキラしながら食べていた。
「どれ、私はこの芋から……。んっ!」辺境伯は、後ろに立っていた執事に向き直ると、「エールをもってきてくれ」と真顔で指示していた。
辺境伯夫人は無言でプリンを食べていたが、「クロエ、これお代わりあるかしら?」とこっそりクロエに聞いていた。
クロエは、前世の料理もこの辺境伯で受け入れられると確信し、ヴァンパイア国に行くまでの2年の間に、ブラウン辺境伯領に新しい料理を伝授していこうと心に決めたのであった。
クロエはヴァンパイア国に行くまでの2年間をどう過ごしていこうかと考えていた。
「何をしたらいいかしら……?光魔法の訓練は続けるとして、他にも何か私に出来ることはあるかな……」
窓辺から庭を眺めながらクロエが色々考えていると、ロイがクロエの部屋をノックして入ってきた。
「クロエ、ちょっと教えてほしいことがあるんだけど、今いいか?」
「ロイ兄様!どうしたんですか?」
「実はな、クロエがヴァンパイア国に行っている間に、俺も何か出来ることがあるんじゃないかと思ってさぁ。俺は魔道具が好きだろ?だから、辺境伯騎士団や魔術師団の補助になるような魔道具を開発しようと考えたんだ。だけどなかなかいいアイディアが浮かばなくてさぁ。そこで、クロエが前世でいた世界の話を思い出したんだ。クロエが前世で住んでいた世界は技術がかなり高度だったんだろ?だからさ、その前世で使われていた武器みたいなのがあれば教えてほしいんだ」
「ロイ兄様、凄いわ!ロイ兄様にしか出来ないことよ!わかった、すぐにリストアップしてみるわね!」
「クロエありがとう!俺もやるぜー!」
コンコンと、開いているドアをノックする音が聞こえて振り返ると、ダンがドアに寄りかかって立っていた。
「ロイ、いいじゃねぇーか!俺も協力するぜ!」
「ダン兄、聞いてたのかよ~」
「実は俺も同じこと考えてたんだ。俺は魔道具とかは詳しくないから、魔術の技術を上げていこうと思ってさ。クロエが前世の話してた時に『科学』っていう視点からみた魔術について話をしていたことがあっただろ?それで、俺らが持っている属性の原理とか仕組みを基にして、新しい魔術を開発できないかなと思ったんだ。例えばさ、雷は電気っていうもので出来てて、水は電気で分解できるんだろ?俺は雷と水の属性持ってるから、これをうまく組み合わせたらちょっといける新魔術出来るかなと思ってさぁ。だからもっと詳しく色んな属性について調べて、どんな属性にも負けない新魔術を作りたいんだ。」
「ダン兄!それ、いいアイディアだよ!俺の魔道具にもその『科学』ってやつ必要だわ!クロエ、俺たちに『科学』について教えてくれるか?」
「もちろんです!私の持っている知識はすべてお兄様たちにお教えします!」
3人で夢中で話しをしていると、辺境伯夫妻が部屋にやってきた。
「おぉ~、楽しそうな話をしてるいるなぁ」
「お父様!」
「クロエ、私たちにも、その『科学』を教えてほしいわ。今までの魔術にそんな概念はなかったもの。ぜひ私も魔術開発に取り組んでみたいわ。そして治癒魔法の技術を上げるために、前世の医学についても教えてほしいの」
「お母様!そうですね、私の知っていることすべて、この2年間でみんなにお教えさせてください!」
「俺たちのやるべきことが見えたな!クロエ、よろしく頼むぞ」
「はい、お父様!そうとなったら、これから部屋に籠って、私の前世の知識をすべてを紙にまとめてまいります!」
クロエは自室に駆け込むと紙とペンを取り出し、前世の知識を思い出しながら、この世界でも使えそうなことを片っ端から書き出した。どんどんアイディアが溢れてきて食事もとらずに机に向かっていると、部屋から出てこないクロエを心配して、ダンとロイはせっせと食事を運んでクロエの口に食べ物を入れていた。
* * *
一週間後の朝、クロエは目の下に真っ黒なクマを張り付けながらみんなが集まっていた朝食の席についた。
「おはようございます……」
「おぉ~!クロエ、ようやく部屋から出てきたのか!目の下のクマが凄いことになっているぞ!」
辺境伯夫妻は心配そうにクロエを見ていたが、ダンとロイは満面の笑みで「できたのか!」とクロエを見つめた。
「はい、お待たせしました。ロイ兄様が作った複写の魔道具で全員分を冊子にしてまとめてありますので、後程お渡しします」
「そうか、クロエありがとう!よし、ここからは俺たちの番だから、クロエはゆっくり休んでくれよ!」ダンとロイは目をキラキラさせて朝食を急いで食べた。
「クロエ、ありがとう。今日はゆっくり休みなさいね。クロエの作った冊子を読み込んで、わからないところは夕食後にクロエに質問する時間を作るのはどうかしら」
「そうだな。各自の進捗もそこで報告し合いながら進めていこう」
「あっ、お父様、お母様。私、お願いがあるのです。調理場で料理を試作したいのですが、調理場に入る許可をいただきたいのです」
「クロエ、料理できるのか?」辺境伯は不安そうに尋ねた。
「はい、前世では料理は得意な方でした。前世で人気だった料理をこちらでも作ってみたいんです。そして前世の世界では携帯食も充実していたので、それも試作してみたくて。こちらの世界でも討伐に行く際に持っていく携帯食に干し肉等はありますが、前世の世界にあった『お湯を注ぐだけで出来るスープ』や『栄養たっぷりのクッキー』のようなものも作れたら、討伐時の携帯食や冬の間の保存食にもなるのではないかと思ったんです」
クロエは前世の知識をまとていた際に、前世の食べ物について思い出し、この辺境伯領で活かせるのではないかと考えていた。
「ほう、それは興味深いな。料理長と一緒に作業するならいいだろう。前世で得意だったといっても、まだクロエは5歳だし心配だからな」
「ありがとうございます!うふふ、作りたいものがたくさんあるんです!お兄様も楽しみにしててくださいね」
「何を作ってくれるんだ?」ダンとロイはさらに目をキラキラさせてクロエを見た。
「まずは、今日のおやつですね。ん~、甘いものとしょっぱい物……?あっ、プリンとポテトチップスを作ります。お父様とお母様にも、お茶の時間にお持ちします」
「楽しみだわ!あっ、クロエ、少し休まなくていいの?」
「はい!アイディアが浮かびすぎて、じっとしていられません!でも今日は早く寝ます」
「クロエ、無理しないようにな」
「はい!」
辺境伯夫妻は、子供たちのイキイキとしている姿を微笑ましく見ていた。
* * *
クロエは朝食の後、前世の料理を作るために調理場へ向かっていた。
「おっ!クロエ様、お待ちしてましたよ。旦那様からはお話を聞いておりますので、遠慮なく私をアシスタントにお使いください」
「料理長、ありがとうございます!」
「今日は、手始めに簡単なおやつを2種類作りたいんです。ジャガイモと、卵と……」
料理長や他の調理師たちもクロエの周りに集まって、興味深くクロエの作業を見ながら手伝いをしてくれていた。クロエは、調理場のみんなにも味見をしてもらうために多めに作り、2時間ほどかかって料理が完成した。
「おぉ~!これがポテトチップスですか!」料理長や調理場のみんなが次々に味見して、初めに揚げたポテトチップスは味見でなくなってしまった。
「これは、エールが欲しくなる!芋と塩だけの調理で簡単なのに、食感も良くて、酒のツマミには最高だな!これは騎士団の人気メニューになりそうだ!」
「クロエ様、旦那様方と坊ちゃん達の分は、お茶の時間用に再度作りますね。これは今日の騎士団の夕食にも添えてあげましょう。みんな今日は酒がすすむぞ!」
プリンも、ロイが作った冷蔵の魔道具で冷やしてある。クロエは前世で大好きたったプリンとポテトチップスが食べれるのが楽しみでニマニマと顔が緩みっぱなしだった。
そして今日のお茶の時間は辺境伯夫妻達全員が集まると、執事が調理場までクロエに伝えに来てくれた。
「クロエ~!もう出来たのか~!」ダンとロイは走ってお茶の準備のしてある談話室に入ってきた。
「旦那様と奥様ももう少しで参ります」執事がそう言うと、メイドがテーブルにポテトチップスとプリンを並べてくれた。
「遅くなってすまない!」辺境伯夫妻は部屋に入ると前世の料理に興味津々でテーブルの上を見ていた。
「これが前世の料理なのね!さぁ、早く頂きましょう!」
ダンとロイは、慎重にスプーンでプリンをすくい口に入れると、目をまん丸に見開いて「うま~い!プルプルで口の中で溶けてなくなった~!」と目をキラキラしながら食べていた。
「どれ、私はこの芋から……。んっ!」辺境伯は、後ろに立っていた執事に向き直ると、「エールをもってきてくれ」と真顔で指示していた。
辺境伯夫人は無言でプリンを食べていたが、「クロエ、これお代わりあるかしら?」とこっそりクロエに聞いていた。
クロエは、前世の料理もこの辺境伯で受け入れられると確信し、ヴァンパイア国に行くまでの2年の間に、ブラウン辺境伯領に新しい料理を伝授していこうと心に決めたのであった。
97
お気に入りに追加
246
あなたにおすすめの小説
【完結】旦那様が私に一切興味がないのは好都合。冒険者として名を上げてみせましょう!
桃月とと
恋愛
テンペスト・ウェトウィッシュは侯爵家の末娘。16歳という貴族の中での適齢期を迎えるが、全く結婚する気は起きない。何と言っても彼女は前世の記憶持ち。前世で16歳と言えばまだまだ遊びたいお年頃だった。
「せっかく生まれかわれたんだから人生楽しまなきゃ!」
彼女が転生したこの異世界の何を気に入ったかって、魔法の存在だ。しかも彼女はラッキーなことに、魔法に関して天性の才能の持ち主として生まれた。
「私、魔法使いなりたい!」
という前世の願いが転生して叶ってしまった彼女は、新たな夢を見出した。
「私、冒険者になる!」
魔獣を狩って素材を剥がしてそれを売ったり、武器や装備を作ったり、依頼を受けてお姫様の護衛をしたり、ばっさばっさと敵を倒すのだ!
アンラッキーなことに、彼女の家族はその夢を歓迎しなかった。貴族の令嬢として彼女に求められるのは、旦那様に尽くす、大人しく美しい淑女だった。
ある日騙されて連れていかれたのは、まさかの自分の結婚式。テンペストの夫となるのは、ウェンデル・ブラッド公爵。血も涙もない冷血な男だと貴族社会で噂になっている男だった。
(はあああ!?)
なりたくもなかった花嫁姿の自分に見向きもしない夫に思わずイラっとしたテンペストは、すぐに人生の計画を練り直した。
ブラッド領には有名な地下ダンジョンが存在した。冒険者の街としても有名なのだ。そこでテンペストは冒険者になることに。
「冒険者として名を上げて、大恥かかせたらぁ!!!」
ブラッド公爵家の嫁が冒険者なんて知られたら、あの冷血夫がどんな顔をするか楽しみだと、テンペストはルンルンで今日もダンジョンへと入って行く。それに冒険者として生活できるようになれば離婚だ! となったって問題ない。
だが、順調に冒険者を続けていたテンペストには予想外のことが。
「なんて美しい人なんだ!」
変装した自分の夫が、妻とは気づかず自分に惚れてしまったのだ。
「……アホかな?」
夫の浮気判定に迷いながらも、今日もテンペストは人生を楽しみます!
【完結】6歳の王子は無自覚に兄を断罪する
土広真丘
ファンタジー
ノーザッツ王国の末の王子アーサーにはある悩みがあった。
異母兄のゴードン王子が婚約者にひどい対応をしているのだ。
その婚約者は、アーサーにも優しいマリーお姉様だった。
心を痛めながら、アーサーは「作文」を書く。
※全2話。R15は念のため。ふんわりした世界観です。
前半はひらがなばかりで、読みにくいかもしれません。
主人公の年齢的に恋愛ではないかなと思ってファンタジーにしました。
小説家になろうに投稿したものを加筆修正しました。
愛し子は自由のために、愛され妹の嘘を放置する
紅子
恋愛
あなたは私の連理の枝。今世こそは比翼の鳥となりましょう。
私は、女神様のお願いで、愛し子として転生した。でも、そのことを誰にも告げる気はない。可愛らしくも美しい双子の妹の影で、いない子と扱われても特別な何かにはならない。私を愛してくれる人とこの世界でささやかな幸せを築ければそれで満足だ。
その希望を打ち砕くことが起こるとき、私は全力でそれに抗うだろう。
完結済み。毎日00:00に更新予定です。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜
青空ばらみ
ファンタジー
一歳で両親を亡くし母方の伯父マークがいる辺境伯領に連れて来られたパール。 伯父と一緒に暮らすお許しを辺境伯様に乞うため訪れていた辺境伯邸で、たまたま出くわした侯爵令嬢の無知な善意により 六歳で見習い冒険者になることが決定してしまった! 運良く? 『前世の記憶』を思い出し『スマッホ』のチェリーちゃんにも協力してもらいながら 立派な冒険者になるために 前世使えなかった魔法も喜んで覚え、なんだか百年に一人現れるかどうかの伝説の国に迷いこんだ『迷い人』にもなってしまって、その恩恵を受けようとする『当たり人』と呼ばれる人たちに貢がれたり…… ぜんぜん理想の田舎でまったりスローライフは送れないけど、しょうがないから伝説の国の魔道具を駆使して 気ままに快適冒険者を目指しながら 周りのみんなを無自覚でハッピーライフに巻き込んで? 楽しく生きていこうかな! ゆる〜いスローペースのご都合ファンタジーです。
小説家になろう様でも投稿をしております。
今度生まれ変わることがあれば・・・全て忘れて幸せになりたい。・・・なんて思うか!!
れもんぴーる
ファンタジー
冤罪をかけられ、家族にも婚約者にも裏切られたリュカ。
父に送り込まれた刺客に殺されてしまうが、なんと自分を陥れた兄と裏切った婚約者の一人息子として生まれ変わってしまう。5歳になり、前世の記憶を取り戻し自暴自棄になるノエルだったが、一人一人に復讐していくことを決めた。
メイドしてはまだまだなメイドちゃんがそんな悲しみを背負ったノエルの心を支えてくれます。
復讐物を書きたかったのですが、生ぬるかったかもしれません。色々突っ込みどころはありますが、おおらかな気持ちで読んでくださると嬉しいです(*´▽`*)
*なろうにも投稿しています
転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。
【完結済み】当主代理ですが、実父に会った記憶がありません。
BBやっこ
恋愛
貴族の家に生まれたからには、その責務を全うしなければならない。そう子供心に誓ったセリュートは、実の父が戻らない中“当主代理”として仕事をしていた。6歳にやれることなど微々たるものだったが、会ったことのない実父より、家の者を護りたいという気持ちで仕事に臨む。せめて、当主が戻るまで。
そうして何年も誤魔化して過ごしたが、自分の成長に変化をせざるおえなくなっていく。
1〜5 赤子から幼少
6、7 成長し、貴族の義務としての結婚を意識。
8〜10 貴族の子息として認識され
11〜14 真実がバレるのは時間の問題。
あとがき
強かに成長し、セリとしての生活を望むも
セリュートであることも捨てられない。
当主不在のままでは、家は断絶。使用人たちもバラバラになる。
当主を探して欲しいと『竜の翼』に依頼を出したいが?
穏やかで、好意を向けられる冒険者たちとの生活。
セリとして生きられる道はあるのか?
<注意>幼い頃から話が始まるので、10歳ごろまで愛情を求めない感じで。
恋愛要素は11〜の登場人物からの予定です。
「もう貴族の子息としていらないみたいだ」疲れ切った子供が、ある冒険者と出会うまで。
※『番と言われましたが…』のセリュート、ロード他『竜の翼』が後半で出てきます。
平行世界として読んでいただけると良いかもと思い、不遇なセリュートの成長を書いていきます。
『[R18] オレ達と番の女は、巣篭もりで愛欲に溺れる。』短編完結済み
『番と言われましたが、冒険者として精進してます。』 完結済み
『[R18]運命の相手とベッドの上で体を重ねる』 完結
『俺たちと番の女のハネムーン[R18]』 ぼちぼち投稿中
令嬢に転生してよかった!〜婚約者を取られても強く生きます。〜
三月べに
ファンタジー
令嬢に転生してよかった〜!!!
素朴な令嬢に婚約者である王子を取られたショックで学園を飛び出したが、前世の記憶を思い出す。
少女漫画や小説大好き人間だった前世。
転生先は、魔法溢れるファンタジーな世界だった。リディーは十分すぎるほど愛されて育ったことに喜ぶも、婚約破棄の事実を知った家族の反応と、貴族内の自分の立場の危うさを恐れる。
そして家出を決意。そのまま旅をしながら、冒険者になるリディーだったのだが?
【連載再開しました! 二章 冒険編。】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる