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私の今後のこと
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「そうだった! 今まで、アンジェリークが支えてくれていたんだ。本当に感謝しているよ。だから、君からも証言してくれ。ジョスリーヌは、何も悪くなかったと!」
大事な話をしている途中で無理やり割り込んでくるアンセル様。彼は私に、助けてくれと言う。もちろん私は、首を横に振った。
「なぜ私が、そんなことをしなければならないのですか?」
「な!?」
拒否されるなんて予想していなかったのか、アンセル様は驚きの表情を浮かべている。
婚約破棄された原因である女を、なぜ私が助けなければならないのかしら。
まだ私が、頼まれたら手助けするなんて思われていたことが驚きだわ。
そんなことよりも先に、話しておかなくてはならない大事なことがある。私の今後について。
アンセル様の反応は無視して、イシステア王との話を続ける。
「私は王都を離れて、ポートリエ領で暮らそうと考えています。その許可をイシステア様にして頂きたいのです」
「ふむ……」
今後は王国の政治に関わらないように、ここから離れて静かに暮らそうと考えていた。そのことをイシステア王から許可してもらえれば、お父様を説得しやすくなる。
イシステア王は顎に手を当てて考え込む。やはり、ダメかしら。婚約破棄の件は、私に何も問題はなかったはず。だけど、立場的には王子の方が上。そこが厄介な事情だった。王族と貴族の関係は面倒ね。
王族と比べて立場の低い私や、ポートリエ家に何か責任を負わされる可能性がある。それを、なんとしても回避したかったのに。
乙女ゲームのシナリオは、まだ私を苦しめ続けるのかしら。この展開の先を描いたシナリオなんて存在していないはずだけど。
「申し訳ないが、君の願いを受け入れることは出来ない。色々な人物と関係を築いている君のような人材を、手放す訳にはいかないからな」
「……そう、ですか」
王都から離れて静かに暮らす。そんな私の願いは叶わなかったが、まだ最悪な将来を迎えるということは回避できそうだ。
イシステア王から、必要な存在だと認められている。処刑されたりしないで済む。私の求めていた最高ではないけれど、それなりに良い結果を得られたのかしら。
色々な人達との繋がりが評価されているようだし、今後も大事にしていく必要がある。それが私の生き残る道。
「君には、新しい王族の婚約相手を用意しよう。そして、その相手を支えてやってほしい。イシステア王国の将来ために」
「わかりました」
イシステア王の提案を拒否することは出来ない。だけど、私にとって悪い提案じゃない。浮気して婚約破棄を告げてきたアンセル様よりも悪い相手は、なかなか居ないだろうから。
ただ、アンセル様の様子は急に変わってしまったから。新しい相手も同じように、心変わりする可能性がある。
アンセル様の場合は、前世の知識があったからこそ驚くことなく受け入れることが容易だった。今度は、事前知識が何もない。だから、注意しておかないと。
「お、お待ち下さい!」
「……なんだ? まだ何か、言いたいことがあるというのかアンセル?」
話がまとまりかけた時、再びアンセル様が横から割り込んできた。まだ何か、不満があるらしい。面倒そうな表情を浮かべるイシステア王が対応していた。
大事な話をしている途中で無理やり割り込んでくるアンセル様。彼は私に、助けてくれと言う。もちろん私は、首を横に振った。
「なぜ私が、そんなことをしなければならないのですか?」
「な!?」
拒否されるなんて予想していなかったのか、アンセル様は驚きの表情を浮かべている。
婚約破棄された原因である女を、なぜ私が助けなければならないのかしら。
まだ私が、頼まれたら手助けするなんて思われていたことが驚きだわ。
そんなことよりも先に、話しておかなくてはならない大事なことがある。私の今後について。
アンセル様の反応は無視して、イシステア王との話を続ける。
「私は王都を離れて、ポートリエ領で暮らそうと考えています。その許可をイシステア様にして頂きたいのです」
「ふむ……」
今後は王国の政治に関わらないように、ここから離れて静かに暮らそうと考えていた。そのことをイシステア王から許可してもらえれば、お父様を説得しやすくなる。
イシステア王は顎に手を当てて考え込む。やはり、ダメかしら。婚約破棄の件は、私に何も問題はなかったはず。だけど、立場的には王子の方が上。そこが厄介な事情だった。王族と貴族の関係は面倒ね。
王族と比べて立場の低い私や、ポートリエ家に何か責任を負わされる可能性がある。それを、なんとしても回避したかったのに。
乙女ゲームのシナリオは、まだ私を苦しめ続けるのかしら。この展開の先を描いたシナリオなんて存在していないはずだけど。
「申し訳ないが、君の願いを受け入れることは出来ない。色々な人物と関係を築いている君のような人材を、手放す訳にはいかないからな」
「……そう、ですか」
王都から離れて静かに暮らす。そんな私の願いは叶わなかったが、まだ最悪な将来を迎えるということは回避できそうだ。
イシステア王から、必要な存在だと認められている。処刑されたりしないで済む。私の求めていた最高ではないけれど、それなりに良い結果を得られたのかしら。
色々な人達との繋がりが評価されているようだし、今後も大事にしていく必要がある。それが私の生き残る道。
「君には、新しい王族の婚約相手を用意しよう。そして、その相手を支えてやってほしい。イシステア王国の将来ために」
「わかりました」
イシステア王の提案を拒否することは出来ない。だけど、私にとって悪い提案じゃない。浮気して婚約破棄を告げてきたアンセル様よりも悪い相手は、なかなか居ないだろうから。
ただ、アンセル様の様子は急に変わってしまったから。新しい相手も同じように、心変わりする可能性がある。
アンセル様の場合は、前世の知識があったからこそ驚くことなく受け入れることが容易だった。今度は、事前知識が何もない。だから、注意しておかないと。
「お、お待ち下さい!」
「……なんだ? まだ何か、言いたいことがあるというのかアンセル?」
話がまとまりかけた時、再びアンセル様が横から割り込んできた。まだ何か、不満があるらしい。面倒そうな表情を浮かべるイシステア王が対応していた。
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