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第8話 不都合が色々と ※アーベルト視点
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メイドが消えた理由なんて限られている。
例えば、誘拐とか拉致監禁された場合。けれど、この屋敷には厳重な警備がある。それは、王子である自分が住んでいるのだから当然だろう。なのに、その警備を突破して屋敷の人間を連れ去るなんて不可能に近い。
ならば、自分の意志で屋敷から出ていったのか。しかし何故なのか。その理由は、アーベルトには分からなかった。
「理由は分かりませんが、昨晩突然いなくなったのです」
「ならば、兵士に探し出すように指示しろ」
「は、はい……」
逃げ出したユリアンカに続いて、屋敷のメイドを捜索させることになるなんて予想していなかった。どちらも、昨日の出来事だ。しかし、あまり関連性は無いだろう。とにかく見つけ出して、事情を聞き出す。
「まあ、いい。とりあえず、食事を用意してくれ。腹が減っている」
「はい、すぐに!」
アーベルトに指示されたメイドは、慌ただしく厨房に向かって行った。
さて、これからどうするか。アーベルトは、考えながら席についた。しばらくしてから。
「王子殿下ッ! 大変です!!」
指示を受けたメイドが、慌てて戻ってきた。
「今度は何だ? シェフが逃げ出したのか?」
「そ、それもありますが、それよりも大変なことが!」
「一体、何が起きたというのだ」
メイドの話を聞くと、アーベルトが予想した通りシェフが一人居なくなったらしい。それだけでなく、厨房の調理道具に不備が見つかって、調理することが出来なくなったこと。さらに食料庫も壊れていて、大量の食材が腐ってしまったことが判明。
アーベルトは、メイドの報告を聞いて頭を抱えたくなった。
「それで、逃げたシェフはどこにいるんだ?」
「まだ、見つかっていません。屋敷の中は全て捜索したのですが、居ませんでした。消えたシェフが生活している部屋も確認しに行きましたが、そこにも彼の姿はありませんでした」
屋敷の使用人たちが生活している場所も探したのか。けれど、そこにも居ない。
「分かった。まずは、逃げたシェフを探し出せ。それから、シェフを派遣した商人に連絡しろ。至急、代わりの者を連れてくるように言え。それと、何でも良いから今すぐ食えるものを持って来い」
「は、はい。かしこまりました!」
アーベルトの指示を受けて、メイドはすぐに行動を開始した。席に座ったアーベルトは、どっと疲れを感じて溜息をつく。
昨日から、色々なことが起きすぎている。まさか、こんな事態になるとは思っていなかった。なんて面倒な。
その後、不味い飯を食って空腹を満たした。メイドもシェフは見つからないのに、他に色々な不備が見つかってしまった。急遽アーベルト自身が指揮を執って、屋敷の復旧作業を行うことになった。
例えば、誘拐とか拉致監禁された場合。けれど、この屋敷には厳重な警備がある。それは、王子である自分が住んでいるのだから当然だろう。なのに、その警備を突破して屋敷の人間を連れ去るなんて不可能に近い。
ならば、自分の意志で屋敷から出ていったのか。しかし何故なのか。その理由は、アーベルトには分からなかった。
「理由は分かりませんが、昨晩突然いなくなったのです」
「ならば、兵士に探し出すように指示しろ」
「は、はい……」
逃げ出したユリアンカに続いて、屋敷のメイドを捜索させることになるなんて予想していなかった。どちらも、昨日の出来事だ。しかし、あまり関連性は無いだろう。とにかく見つけ出して、事情を聞き出す。
「まあ、いい。とりあえず、食事を用意してくれ。腹が減っている」
「はい、すぐに!」
アーベルトに指示されたメイドは、慌ただしく厨房に向かって行った。
さて、これからどうするか。アーベルトは、考えながら席についた。しばらくしてから。
「王子殿下ッ! 大変です!!」
指示を受けたメイドが、慌てて戻ってきた。
「今度は何だ? シェフが逃げ出したのか?」
「そ、それもありますが、それよりも大変なことが!」
「一体、何が起きたというのだ」
メイドの話を聞くと、アーベルトが予想した通りシェフが一人居なくなったらしい。それだけでなく、厨房の調理道具に不備が見つかって、調理することが出来なくなったこと。さらに食料庫も壊れていて、大量の食材が腐ってしまったことが判明。
アーベルトは、メイドの報告を聞いて頭を抱えたくなった。
「それで、逃げたシェフはどこにいるんだ?」
「まだ、見つかっていません。屋敷の中は全て捜索したのですが、居ませんでした。消えたシェフが生活している部屋も確認しに行きましたが、そこにも彼の姿はありませんでした」
屋敷の使用人たちが生活している場所も探したのか。けれど、そこにも居ない。
「分かった。まずは、逃げたシェフを探し出せ。それから、シェフを派遣した商人に連絡しろ。至急、代わりの者を連れてくるように言え。それと、何でも良いから今すぐ食えるものを持って来い」
「は、はい。かしこまりました!」
アーベルトの指示を受けて、メイドはすぐに行動を開始した。席に座ったアーベルトは、どっと疲れを感じて溜息をつく。
昨日から、色々なことが起きすぎている。まさか、こんな事態になるとは思っていなかった。なんて面倒な。
その後、不味い飯を食って空腹を満たした。メイドもシェフは見つからないのに、他に色々な不備が見つかってしまった。急遽アーベルト自身が指揮を執って、屋敷の復旧作業を行うことになった。
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