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14.致命的な出来事
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ランベルト王子が傷害事件を起こした。被害者は、私の妹であるシャルリーヌ。
知らせを受けて突然のことに驚きながらも、私は急いで実家の屋敷に戻ってきた。妹は、自室で治療を受けているらしい。
部屋に入ると、彼女1人だけ。
「シャルリーヌ」
「……お姉さま」
ベッドの上で上半身だけを起こしたシャルリーヌは、かなり憔悴していた。右頬が腫れている。
そばに近寄ってイスに座り、彼女に調子はどうかと尋ねた。
「具合は、どう?」
「もう大丈夫です。医者に良くしてもらいましたから」
「そうなの。安心したわ」
「……」
外傷だけでなく、精神的なダメージも受けたという。シャルリーヌは男性恐怖症になった。父親ですら、近づくと怯えてしまうほど。
好きだと言っていた相手に暴力を振るわれたんだから、ショックも大きいだろう。
「ごめんなさい、お姉さま」
「なにが?」
「せっかく忠告してくれたのに、言うことを聞かなくて」
「あぁ、なるほど」
シャルリーヌがランベルト王子を好きだと言い始めた頃に、彼のことを好きになるのは止めておいたほうが良いと言った覚えがある。
私の婚約相手だからという理由はもちろん、他にも色々な女性と遊んでいたから。だが妹は、私のアドバイスを聞かなかった。私も、それから妹に何か言うのを諦めて放置した。
「あの時は、私も強く止めようとしなかったから。別に謝る必要は無いわよ」
「でも、ごめんなさい」
まぁ可哀想だけど、自業自得だと思う。
婚約の件についての会談に乱入してきた後、ランベルト王子は荒れていたらしい。そのタイミングで会いに行ってしまったのは、運が悪かった。とはいえ、まさか彼が女性に暴力を振るうなんて予想外だが。
「今回の件を糧にして、今後は付き合う相手を見極めなさい」
「はい」
そんな偉そうなことを言っているけれど、実は私も人を見極める能力は低いほうだと思う。でもまぁ、なんとかやっていくしか無い。
シャルリーヌの見舞いを終えて、私は彼女の部屋を出た。これから、色々と状況が変化するだろうな。
それから数日後、ランベルト王子は王族籍から存在が抹消された。第二王子だったトルステン王子が、自動的に王太子となった。
つまり私は、将来の王妃となる予定。
彼という人物は、この世に居ないものとされた。彼の姿も既に、王都からは消えていた。秘密裏に、辺境へ身柄を移送されたらしい。
もう二度と表舞台に出てこないように、死ぬまで幽閉されるのだろう。哀れだとは思うが、彼も自業自得だろう。
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「……」
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まぁ可哀想だけど、自業自得だと思う。
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彼という人物は、この世に居ないものとされた。彼の姿も既に、王都からは消えていた。秘密裏に、辺境へ身柄を移送されたらしい。
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