貴方のことなんて愛していませんよ?~ハーレム要員だと思われていた私は、ただのビジネスライクな婚約者でした~

キョウキョウ

文字の大きさ
上 下
13 / 16

13.露呈

しおりを挟む
「勝手? 勝手とは、どういう意味だ?」
「エリザベートは、俺の女だ! それを奪い取って、勝手に婚約するなんて!」

 一度だって、ランベルト王子の女になったつもりは無い。彼と婚約していたのも、国王と両親が話し合って決めたことだから。恋愛感情なんてゼロである。

「奪ったと言うが、エリザベートに婚約破棄を言い渡したのはランベルトだろう?」
「違う! それには、事情があって……」

 元平民の貴族を庇護するために、その女性と婚約を結ぼうと考えていたらしいが。

 あの後、ランベルト王子がアメリという女性と婚約したという話は聞いたけれど、ちゃんと手続きしたという話は聞いていない。

 婚約の手続きをしていないようだけど、もしかして私が代わりに手続きするだろうと知らぬ間に任されていたとか。

 婚約関係だった頃は、そういう事がよくあった。先回りして、何か言われる前には対処していた。でも、婚約関係を破棄した今はもう気を使う必要なんて無い。

 そんな事を考えている間に、ランベルト王子とトルステン王子が言い争い、激しくぶつかっている。

 正直、兄弟2人で言い合ってくれているから私は楽だった。このまま関わらないで、終わってくれると嬉しい。

 だが、ランベルト王子は私の顔を見て話しかけてきた。

「エリザベートも何か言ってやってくれ! 本当は、こんな婚約は嫌なんだろう?」
「そんな事ありません」
「な!? ……なに?」
「トルステン様との婚約は、ちゃんと納得しています」
「そんなはず無い! お前は、俺のことを愛してくれているんだろう?」
「いいえ。何度も言いますが、貴方のことなんて愛していませんよ?」
「……ック!」

 前も、同じようなやり取りをした覚えがある。その時も、同じような答えを言ったはずだけど。ランベルト王子は忘れてしまったのか。

 今度こそ、私が貴方を愛していないことを理解してもらえたら良いんだけど。

「もういい!!!」

 私が拒絶すると、彼は怒りながら会議室を出ていった。第一王子だからといって、身勝手すぎるよ。

 会議室は静かなになった。国王を見ると、口をポカンと開けて信じられないというような表情をしている。

 しばらくして王は、横に座っている大臣に顔を寄せて何か小声で話し合っていた。見間違えじゃないか、本当にランベルト王子だったのか確認しているようだ。アレが本当の彼なんです。

「とりあえず、今日は解散する」

 国王が、会議に参加していた人たちに視線を向けて言う。

「ランベルトに関しては色々と確認した後に、厳しい処分を下すつもりだ」

 ようやく国王が、ランベルト王子の酷さを知ってくれたようだ。直接あんな場面を目撃したんだから、今までの印象は一変しただろう。

 最近、ランベルト王子が部下や執事に対して感情的に当たり散らしているという噂も聞いている。そのうち、国王の耳に入るだろう。それで、さらなる事実を知ることになるはずだ。

 彼が今後どうなるのか気にしながら、私はトルステン王子と一緒に会議室から退室した。
しおりを挟む
感想 54

あなたにおすすめの小説

婚約者様。現在社交界で広まっている噂について、大事なお話があります

柚木ゆず
恋愛
 婚約者様へ。  昨夜参加したリーベニア侯爵家主催の夜会で、私に関するとある噂が広まりつつあると知りました。  そちらについて、とても大事なお話がありますので――。これから伺いますね?

もう私、好きなようにさせていただきますね? 〜とりあえず、元婚約者はコテンパン〜

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「婚約破棄ですね、はいどうぞ」 婚約者から、婚約破棄を言い渡されたので、そういう対応を致しました。 もう面倒だし、食い下がる事も辞めたのですが、まぁ家族が許してくれたから全ては大団円ですね。 ……え? いまさら何ですか? 殿下。 そんな虫のいいお話に、まさか私が「はい分かりました」と頷くとは思っていませんよね? もう私の、使い潰されるだけの生活からは解放されたのです。 だって私はもう貴方の婚約者ではありませんから。 これはそうやって、自らが得た自由の為に戦う令嬢の物語。 ※本作はそれぞれ違うタイプのざまぁをお届けする、『野菜の夏休みざまぁ』作品、4作の内の1作です。    他作品は検索画面で『野菜の夏休みざまぁ』と打つとヒット致します。

熱烈な恋がしたいなら、勝手にしてください。私は、堅実に生きさせてもらいますので。

木山楽斗
恋愛
侯爵令嬢であるアルネアには、婚約者がいた。 しかし、ある日その彼から婚約破棄を告げられてしまう。なんでも、アルネアの妹と婚約したいらしいのだ。 「熱烈な恋がしたいなら、勝手にしてください」 身勝手な恋愛をする二人に対して、アルネアは呆れていた。 堅実に生きたい彼女にとって、二人の行いは信じられないものだったのである。 数日後、アルネアの元にある知らせが届いた。 妹と元婚約者の間で、何か事件が起こったらしいのだ。

私から婚約者を奪う為に妹が付いた嘘…これにより、私の人生は大きく変わる事になりました。

coco
恋愛
私から婚約者を奪う為、妹が付いた嘘。 これにより、後の私の人生は大きく変わる事になりました─。

婚約破棄宣言は別の場所で改めてお願いします

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【どうやら私は婚約者に相当嫌われているらしい】 「おい!もうお前のような女はうんざりだ!今日こそ婚約破棄させて貰うぞ!」 私は今日も婚約者の王子様から婚約破棄宣言をされる。受け入れてもいいですが…どうせなら、然るべき場所で宣言して頂けますか? ※ 他サイトでも掲載しています

不幸を呼ぶ令嬢なので婚約破棄だと言われましたが、それは私のせいではありません。

coco
恋愛
「お前と居ると不幸が続く、婚約破棄しろ!」 度重なる不幸は、私のせいだと言う婚約者。 その不幸から逃れる為、彼は婚約破棄を要求してきた。 でも私は知っている、その不幸は私のせいでは無い事を。 私は、不幸を呼ぶ令嬢なんかじゃない。 それに気づかないあなたは、愚か者です─。

ダンスパーティーで婚約者から断罪された挙句に婚約破棄された私に、奇跡が起きた。

ねお
恋愛
 ブランス侯爵家で開催されたダンスパーティー。  そこで、クリスティーナ・ヤーロイ伯爵令嬢は、婚約者であるグスタフ・ブランス侯爵令息によって、貴族子女の出揃っている前で、身に覚えのない罪を、公開で断罪されてしまう。  「そんなこと、私はしておりません!」  そう口にしようとするも、まったく相手にされないどころか、悪の化身のごとく非難を浴びて、婚約破棄まで言い渡されてしまう。  そして、グスタフの横には小さく可憐な令嬢が歩いてきて・・・。グスタフは、その令嬢との結婚を高らかに宣言する。  そんな、クリスティーナにとって絶望しかない状況の中、一人の貴公子が、その舞台に歩み出てくるのであった。

【完結】え?今になって婚約破棄ですか?私は構いませんが大丈夫ですか?

ゆうぎり
恋愛
カリンは幼少期からの婚約者オリバーに学園で婚約破棄されました。 卒業3か月前の事です。 卒業後すぐの結婚予定で、既に招待状も出し終わり済みです。 もちろんその場で受け入れましたよ。一向に構いません。 カリンはずっと婚約解消を願っていましたから。 でも大丈夫ですか? 婚約破棄したのなら既に他人。迷惑だけはかけないで下さいね。 ※ゆるゆる設定です ※軽い感じで読み流して下さい

処理中です...