貴方のことなんて愛していませんよ?~ハーレム要員だと思われていた私は、ただのビジネスライクな婚約者でした~

キョウキョウ

文字の大きさ
上 下
9 / 16

09.崩壊の兆し ※ランベルト王子視点

しおりを挟む
「邪魔しないでください!」
「貴女こそ、邪魔なのよ。あっち行きなさいよ」
「なんで私が、貴女の指示に従わないといけないのですか?」
「生意気なのよ」

 彼女たちの騒がしい声に、耳がキンキンと痛くなった。またか、とウンザリする。

 今日はシャルリーヌと楽しく過ごそうと思っていたのに、イローナが現れて全てが台無しになった。そして始まる二人の喧嘩。

 最近は、ずっとこうだった。乱入者が現れて色々とダメにされる。以前のように、落ち着いて女性と過ごすことが出来ない日々が続いた。

 こんなに邪魔されると、流石に苛ついてくる。しばらく、この2人と付き合うのは止めておこう。落ち着いたら、再び付き合えばいい。

「え、どこに行くのランベルト様?」
「ちょっと、待ってよ。ランベルト!」

 喧嘩も終わりそうにないので、俺は部屋を出ていく。後ろから彼女たちの呼ぶ声が聞こえてきたけど、無視する。付き合ってられないよ。



 他に誰か、一緒に過ごしてくれる女性は居ないか。

「ランベルト様」
「やぁ、アメリ」

 丁度良いタイミングで、アメリと出会った。婚約者である彼女も、ちゃんと相手にしてあげないといけないかな。時間も空いたので、今日は彼女と過ごそうか。

 そう思っていたのに。

「お願いしたいことがあります、ランベルト様」
「どうした? お願いって、何かな?」

 真剣な表情を浮かべて、アメリは俺を見上げていた。

「もう、他の女性と会うのを止めてください」
「は?」

 無意識に声が漏れた。なぜ、アメリはそんな事を言うのか。

「あの、シャルリーヌとかイローナという女性たちは何なんですか!」
「……2人が、どうかしたのか?」

 また、なにか面倒事を起こして迷惑をかけられるのかと思ったら嫌になる。そんな話は聞きたくなかった。だが、アメリの話なので聞いてあげる。

「ランベルト様の婚約者である私に、密会のセッティングをしろなんて馬鹿なことを言ってきたんですよ!?」
「なるほど。そんな事を言ったのか」
「大貴族の令嬢だからって、許されることではありません。酷すぎます」

 誰かが、密会をセッティングしてくれるのなら楽そうだと思った。あの2人も顔を合わせないようにスケジュールを管理してくれたら、喧嘩も無くなるだろう。

 誰か、やってくれないかな。エリザベートを呼び戻して、頼んでみるか。彼女は、そういうのが得意そうだから。

「私の話を聞いていますか、ランベルト様!!」
「ん? あぁ、もちろん聞いているよ」

 考え事をしている間に、彼女の話を聞き流してしまった。

「それなら、もう他の女性と会わないと約束してください!」
「何故だ? 女性と会うぐらい、別にいいだろう?」
「……ううっ」
「……はぁ」

 思わず本音が出てしまった。それを聞いて、アメリは泣き出す。

 あぁ、面倒だ。普段ならば、優しく声をかけてあげるのだが今日は気分じゃない。イライラして、全てが面倒に思えた。今日はダメだな。

 女性が泣いている姿なんて、見たくない。対処するのも面倒だから、俺は立ち去ることにする。
しおりを挟む
感想 54

あなたにおすすめの小説

婚約者様。現在社交界で広まっている噂について、大事なお話があります

柚木ゆず
恋愛
 婚約者様へ。  昨夜参加したリーベニア侯爵家主催の夜会で、私に関するとある噂が広まりつつあると知りました。  そちらについて、とても大事なお話がありますので――。これから伺いますね?

もう私、好きなようにさせていただきますね? 〜とりあえず、元婚約者はコテンパン〜

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「婚約破棄ですね、はいどうぞ」 婚約者から、婚約破棄を言い渡されたので、そういう対応を致しました。 もう面倒だし、食い下がる事も辞めたのですが、まぁ家族が許してくれたから全ては大団円ですね。 ……え? いまさら何ですか? 殿下。 そんな虫のいいお話に、まさか私が「はい分かりました」と頷くとは思っていませんよね? もう私の、使い潰されるだけの生活からは解放されたのです。 だって私はもう貴方の婚約者ではありませんから。 これはそうやって、自らが得た自由の為に戦う令嬢の物語。 ※本作はそれぞれ違うタイプのざまぁをお届けする、『野菜の夏休みざまぁ』作品、4作の内の1作です。    他作品は検索画面で『野菜の夏休みざまぁ』と打つとヒット致します。

熱烈な恋がしたいなら、勝手にしてください。私は、堅実に生きさせてもらいますので。

木山楽斗
恋愛
侯爵令嬢であるアルネアには、婚約者がいた。 しかし、ある日その彼から婚約破棄を告げられてしまう。なんでも、アルネアの妹と婚約したいらしいのだ。 「熱烈な恋がしたいなら、勝手にしてください」 身勝手な恋愛をする二人に対して、アルネアは呆れていた。 堅実に生きたい彼女にとって、二人の行いは信じられないものだったのである。 数日後、アルネアの元にある知らせが届いた。 妹と元婚約者の間で、何か事件が起こったらしいのだ。

私から婚約者を奪う為に妹が付いた嘘…これにより、私の人生は大きく変わる事になりました。

coco
恋愛
私から婚約者を奪う為、妹が付いた嘘。 これにより、後の私の人生は大きく変わる事になりました─。

婚約破棄宣言は別の場所で改めてお願いします

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【どうやら私は婚約者に相当嫌われているらしい】 「おい!もうお前のような女はうんざりだ!今日こそ婚約破棄させて貰うぞ!」 私は今日も婚約者の王子様から婚約破棄宣言をされる。受け入れてもいいですが…どうせなら、然るべき場所で宣言して頂けますか? ※ 他サイトでも掲載しています

不幸を呼ぶ令嬢なので婚約破棄だと言われましたが、それは私のせいではありません。

coco
恋愛
「お前と居ると不幸が続く、婚約破棄しろ!」 度重なる不幸は、私のせいだと言う婚約者。 その不幸から逃れる為、彼は婚約破棄を要求してきた。 でも私は知っている、その不幸は私のせいでは無い事を。 私は、不幸を呼ぶ令嬢なんかじゃない。 それに気づかないあなたは、愚か者です─。

ダンスパーティーで婚約者から断罪された挙句に婚約破棄された私に、奇跡が起きた。

ねお
恋愛
 ブランス侯爵家で開催されたダンスパーティー。  そこで、クリスティーナ・ヤーロイ伯爵令嬢は、婚約者であるグスタフ・ブランス侯爵令息によって、貴族子女の出揃っている前で、身に覚えのない罪を、公開で断罪されてしまう。  「そんなこと、私はしておりません!」  そう口にしようとするも、まったく相手にされないどころか、悪の化身のごとく非難を浴びて、婚約破棄まで言い渡されてしまう。  そして、グスタフの横には小さく可憐な令嬢が歩いてきて・・・。グスタフは、その令嬢との結婚を高らかに宣言する。  そんな、クリスティーナにとって絶望しかない状況の中、一人の貴公子が、その舞台に歩み出てくるのであった。

【完結】え?今になって婚約破棄ですか?私は構いませんが大丈夫ですか?

ゆうぎり
恋愛
カリンは幼少期からの婚約者オリバーに学園で婚約破棄されました。 卒業3か月前の事です。 卒業後すぐの結婚予定で、既に招待状も出し終わり済みです。 もちろんその場で受け入れましたよ。一向に構いません。 カリンはずっと婚約解消を願っていましたから。 でも大丈夫ですか? 婚約破棄したのなら既に他人。迷惑だけはかけないで下さいね。 ※ゆるゆる設定です ※軽い感じで読み流して下さい

処理中です...