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05.早まった考え
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婚約を申し込まれたけれど、とりあえず一旦落ち着こう。慌てる必要は無いから。だって、トルステン王子には婚約相手が居るんだから。
私の考えを察して、彼はこう言った。
「ヴェロニカのことなら、気にする必要はない」
「何故ですか? トルステン様には既に、婚約相手が居ますよね。それなのに婚約を申し込むなんて。気にする必要はない、というのはどういう意味ですか?」
ランベルト王子と兄弟であるトルステン王子も同じように、自分の欲望を優先して今の婚約相手から乗り換えるつもりなのか。だとしたら、失望する。
そう思ったが、違ったようだ。
「最近、ヴェロニカは周囲に結婚の不満を漏らしているんだよ」
「結婚の不満ですか?」
不愉快そうな表情を浮かべて、トルステン王子は説明してくれた。
「そう。彼女、本当は兄のランベルトと結婚したいと言っている」
「ッ! そんな事を、公言しているのですか!?」
「もちろん、彼女の不用意な発言が外に漏れ出ないよう念入りに対処しているから、知らないと思うけどね」
「なるほど」
ランベルト王子が女性関係で不祥事を起こさないよう私が後始末していたように、トルステン王子は婚約相手である令嬢の発言などを隠蔽していたらしい。
私たちは婚約相手に今まで悩まされてきた、似た者同士なのかもしれない。
「ヴェロニカの性格を考えると、近いうちに婚約を破棄してくれと言ってくるような気がするんだ」
「女性側から、婚約破棄を申し出るなんてあり得るのですか?」
下手をすると、不敬罪で処罰される可能性もある。だから、普通は婚約を破棄してくださいなんて言えない。
でも、もう既に結婚の不満なんかを周囲に漏らしているのか。だとしたら、不敬罪なんて気にしていないのかな。
「彼女なら、あり得るんだよ。ランベルトが婚約破棄したと耳にしたら自分も、って考えるような女性なんだ」
「そうなのですか」
ヴェロニカという女性も関係性が薄いので、どういう人なのか知らない。だから、トルステン王子の言っていることが本当なのかどうか、判断できなかった。
嘘偽りなく本当なのだとしたら、とんでもない女性だ。他の王族が婚約を破棄したから自分も、という思考は理解できない。
トルステン王子とヴェロニカが近日中に婚約を破棄するかもしれない、という事は理解した。だけど、それは予想でしかない。実際にそうなるのか、分からない。
ならば、私に婚約を申し込むのは早まった考えのように思う。もう少し、待つべきではないか。
私の考えを察して、彼はこう言った。
「ヴェロニカのことなら、気にする必要はない」
「何故ですか? トルステン様には既に、婚約相手が居ますよね。それなのに婚約を申し込むなんて。気にする必要はない、というのはどういう意味ですか?」
ランベルト王子と兄弟であるトルステン王子も同じように、自分の欲望を優先して今の婚約相手から乗り換えるつもりなのか。だとしたら、失望する。
そう思ったが、違ったようだ。
「最近、ヴェロニカは周囲に結婚の不満を漏らしているんだよ」
「結婚の不満ですか?」
不愉快そうな表情を浮かべて、トルステン王子は説明してくれた。
「そう。彼女、本当は兄のランベルトと結婚したいと言っている」
「ッ! そんな事を、公言しているのですか!?」
「もちろん、彼女の不用意な発言が外に漏れ出ないよう念入りに対処しているから、知らないと思うけどね」
「なるほど」
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「女性側から、婚約破棄を申し出るなんてあり得るのですか?」
下手をすると、不敬罪で処罰される可能性もある。だから、普通は婚約を破棄してくださいなんて言えない。
でも、もう既に結婚の不満なんかを周囲に漏らしているのか。だとしたら、不敬罪なんて気にしていないのかな。
「彼女なら、あり得るんだよ。ランベルトが婚約破棄したと耳にしたら自分も、って考えるような女性なんだ」
「そうなのですか」
ヴェロニカという女性も関係性が薄いので、どういう人なのか知らない。だから、トルステン王子の言っていることが本当なのかどうか、判断できなかった。
嘘偽りなく本当なのだとしたら、とんでもない女性だ。他の王族が婚約を破棄したから自分も、という思考は理解できない。
トルステン王子とヴェロニカが近日中に婚約を破棄するかもしれない、という事は理解した。だけど、それは予想でしかない。実際にそうなるのか、分からない。
ならば、私に婚約を申し込むのは早まった考えのように思う。もう少し、待つべきではないか。
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